有価証券報告書-第170期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/21 14:21
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167項目
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
<コーポレート・ガバナンスに対する基本的な姿勢>当社グループは、企業価値とは、業績、技術力のみならず事業活動を行う上での株主様・投資家様、お客様、お取引先様、グループ社員、地域社会の皆様等あらゆるステークホルダーの皆様に対する社会的責任への姿勢を含むものであると認識しており、これら全ての向上に真摯に取り組むことが、企業価値の向上につながると考えています。
したがって、コーポレートガバナンスとは、単に組織の形にとどまらず、こうした全ての取組みを実現するための枠組みであると考えており、枠組みの構築にあたっては、適切なリスクテイクによる企業価値向上に資する体制の整備、ステークホルダーとの協働、資本市場との適切な対話、株主の権利・平等性の確保、透明性の確保といったことが重要と認識しています。
こうした考えのもと、当社グループは、「グループ企業理念」をあらゆる事業活動の基盤として、サステナビリティ経営を推進することにより、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
(ⅰ) 現在の体制を選択している理由
需要分野、事業環境、商流、規模などが異なる広範囲なセグメントのシナジー効果を発揮させることが当社の企業価値の源泉であり、持続的成長の礎となる技術開発やイノベーションの追求は、現場と一体となった議論無くしては達成できないと当社は考えております。
さらに、多岐にわたる事業に対するリスク管理や経営資源の分配などにつき、活発な議論や適切な意思決定を行うと同時に、機動的な業務執行の監督を取締役会が行うことが必要であり、そのためには、監督と執行を完全には分離せず、業務執行側に対する正しい理解を持ったメンバーが取締役会に参画することが望ましいと考えております。
こうした考えのもと、機関設計として、監督と執行を完全には分離しない一方、当社の幅広い事業に対する充実した監査の実施、監督機能の維持・強化、経営に関する意思決定の迅速化を図るため、監査を担当する者が取締役会において議決権を有する監査等委員会設置会社を選択しております。
その上で、モニタリングの実効性の向上のため、取締役会に対し、コンプライアンス、指名・報酬、品質マネジメント、コーポレートガバナンスに関する的確な提言を行う機能を担う諮問委員会を設置しております。また、業務執行の実効性向上のため、社長以下執行役員が重要事項を審議する場として経営審議会を置くほか、サステナビリティ推進や事業ポートフォリオ管理など全社横断的な重要事項を統括・推進するため、経営審議会の補佐機関として各種委員会を設置し、取締役会がこれらをモニタリングする体制としております。
(ⅱ) 取締役(監査等委員である取締役を除く。)の構成
当社の取締役(監査等委員である取締役を除く。)は、定款上の員数である10名以内とし、取締役会における実質的な議論の確保、監督機能の向上と多様性に配慮した構成となるよう以下を実施しております。
実施項目取組内容目的
取締役会取締役員数(監査等委員である取締役を含む。)13名
※うち、監査等委員である取締役5名
取締役会における実質的な議論の確保、監督機能の向上と多様性の両立
社外取締役員数6名(46.2%)
※うち、監査等委員である取締役3名
社外の公正中立な視点や少数株主等ステークホルダーの視点の反映
独立社外取締役比率3分の1以上取締役会の公正性と透明性の向上及び企業としての成長戦略議論の更なる活性化
取締役会議長原則、独立社外取締役から選定
取締役の構成業務執行取締役は社長のほか、全社として重点を置く特定機能を総括する取締役を配置
非業務執行取締役は8名(監査等委員である取締役5名、社外取締役3名)で過半数
取締役会のモニタリング機能強化

2023年6月21日現在の取締役会の体制は以下のとおりであり、取締役会の議長は、独立社外取締役の馬場 宏之です。
(*は非業務執行取締役)
代表取締役社長 山口 貢
代表取締役副社長執行役員 勝川 四志彦
代表取締役副社長執行役員 永良 哉
取締役執行役員 坂本 浩一
取締役執行役員 宮岡 伸司
社外取締役 馬場 宏之(議長) *
社外取締役 伊藤 ゆみ子 *
社外取締役 北川 慎介 *
取締役(監査等委員) 石川 裕士 *
取締役(監査等委員) 松本 群雄 *
社外取締役(監査等委員) 河野 雅明 *
社外取締役(監査等委員) 三浦 州夫 *
社外取締役(監査等委員) 関口 暢子 *
当社グループの中長期的な重要課題(マテリアリティ)の解決と2021年5月に策定・公表した「KOBELCOグループ中期経営計画(2021~2023年度)」の遂行に向けて、取締役会としての機能向上のために、上記各取締役に特に発揮を期待する知識・経験・スキルを、スキルマトリックスとして整理し、株主総会参考書類、統合報告書等で開示します。
また、当社は、取締役会の実効性について、事業年度毎に、各取締役に対するアンケート及びアンケート結果に対するコーポレートガバナンス委員会による一次評価を経た上で、取締役会で議論・評価を行い、課題を抽出、取締役会の運営方法の改善を実施します。取締役会の実効性の評価結果については、当社ホームページにてその概要を公開しております。なお、2022年度の取締役会実効性評価アンケートについては第三者機関への業務委託により実施しました。
(ⅲ) 監査等委員である取締役、監査等委員会の体制
監査等委員会設置会社である当社は、会社法上の監査等委員会に関する規定(非業務執行取締役3名以上、うち過半数を社外取締役とする)に対し、透明性・公正性が担保され、広範囲な事業セグメントにわたる取締役の職務執行に対し十分な監査機能が果たされるよう、監査等委員会を社内委員2名、社外委員3名の5名で構成することを基本としております。なお、監査等委員会委員長は社外委員から選出しております。
実施項目取組内容目的
監査等委員会監査等委員の員数5名(うち社外監査等委員 3名)透明性・公正性の担保、監査機能の強化
監査等委員の構成社外監査等委員を法曹界、金融界、産業界出身等多様な領域から招聘
監査等委員会委員長原則、社外監査等委員から選定
常勤監査等委員2名設置監査環境の整備、社内の情報の収集、内部統制システムの整備状況の日常的な監査による監査等委員会の職務執行の円滑化

2023年6月21日現在の監査等委員会の体制は次のとおりであり、その委員長は、独立社外取締役の河野 雅明です。
取締役(監査等委員・常勤) 石川 裕士
取締役(監査等委員・常勤) 松本 群雄
社外取締役(監査等委員) 河野 雅明(委員長)
社外取締役(監査等委員) 三浦 州夫
社外取締役(監査等委員) 関口 暢子
また、監査等委員である取締役には、常に財務及び会計に関する相当程度の知見を有するものを配し、監査の実効性向上に配慮しております。現在、監査等委員である取締役のうち、取締役松本 群雄氏、社外取締役河野 雅明氏及び社外取締役関口 暢子氏は、財務及び会計に関する相当程度の知見を有しております。
なお、監査等委員会の職務を補助するため監査等委員会室として、4名のスタッフを配置しております。
(ⅳ) 取締役会と執行機能
取締役会は、重要な業務執行その他法定の事項につき審議・決議と業務執行の監督を担います。
ただし、取締役会が迅速な判断を阻害しないよう取締役会での審議基準を定め、一定の範囲で社長以下の業務執行の責任者に権限を委譲しております。
加えて、業務を執行する取締役を補佐する者として執行役員をおき、経営の委任と迅速な経営判断の実施ができる体制としております。
取締役(監査等委員である取締役を除く。)及び執行役員の任期は、変化の激しい経営環境に機敏に対応するため、1年としております。
(ⅴ) 取締役会の活動状況
当事業年度において取締役会を16回開催しており、個々の取締役の出席状況については次の通りであります。
氏 名開催回数出席回数出席率
山口 貢16回16回100%
輿石房樹16回16回100%
柴 田 耕一朗16回16回100%
勝 川 四志彦16回16回100%
永良 哉16回16回100%
馬場宏之16回16回100%
伊 藤 ゆみ子16回16回100%
北川慎介11回11回100%
石川裕士16回16回100%
対馬 靖14回13回93%
河野雅明16回16回100%
三浦州夫16回16回100%
関口暢子11回11回100%
北畑隆生5回5回100%
宮田賀生5回5回100%

(注)1 北川 慎介氏及び関口 暢子氏が取締役に就任した2022年6月22日開催の第169回定時株主総会以降、取締役会は11回開催されています。
2 北畑 隆生氏及び宮田 賀生氏が取締役を退任した2022年6月22日までに、取締役会は5回開催されています。
3 対馬 靖氏が取締役を退任した2023年2月28日までに、取締役会は14回開催されています。
なお、当事業年度の取締役会において、グループ企業理念に基づくサステナビリティ経営の推進による、中長期的な企業価値向上に向けた各種取組み施策のうち、経営基盤領域に関する取組みを中心に、独立社外取締役会議等の活用も含め、前広な議論を実施することにより、モニタリングを強化いたしました。
(ⅵ) 指名・報酬委員会の設置
当社は、取締役会の運営の公正性及び透明性をより向上させることを目的として、最高経営責任者の選任を含む取締役・執行役員の候補者の指名、選解任及び役員報酬制度等に関する答申を行う機関として指名・報酬委員会を設置しております。指名・報酬委員会は、取締役会において選定された、社長を含む3名から5名(過半数を独立社外取締役とする。)の委員で構成され、毎事業年度最低1回以上、必要に応じ適宜委員会を開催します。取締役会は、指名・報酬委員会の意見の答申の内容を十分に尊重し、当該答申のなされた事項を決定します。
2023年6月21日現在の指名・報酬委員会の体制は以下のとおりであり、その委員長は、独立社外取締役の馬場 宏之です。
社外取締役 馬場 宏之(委員長)
社外取締役(監査等委員) 河野 雅明
代表取締役社長 山口 貢
(ⅶ) 指名・報酬委員会の活動状況
当事業年度において指名・報酬委員会を7回開催しており、個々の委員の出席状況については次の通りであります。
氏 名開催回数出席回数出席率
馬場宏之4回4回100%
河野雅明7回7回100%
山口 貢7回7回100%
北畑隆生3回3回100%

(注)1 馬場 宏之氏が委員に就任した2022年6月22日以降、指名・報酬委員会は4回開催されています。
2 北畑 隆生氏が委員を退任した2022年6月22日までに、指名・報酬委員会は3回開催されています。
なお、当事業年度の指名・報酬委員会における具体的な検討内容として、2023年度の役員人事案等を審議し、取締役会への答申を行いました。
(ⅷ) 独立社外取締役会議の設置
当社は、独立社外取締役の機能を最大限に活用すべく、経営陣の指名や報酬以外の業務執行に関する情報の提供と共有の場として独立社外取締役会議を設置しております。
独立社外取締役会議は独立社外取締役のみで構成され、定例会議を四半期に1度、その他必要に応じ臨時会議を開催します。
独立社外取締役会議には、適宜、業務執行取締役等が出席し、情報提供・意見交換を行います。
(ⅸ) 品質マネジメント委員会の設置
当社は、当社グループにおける品質マネジメント強化活動の継続的なモニタリングと提言及び品質事案に対する再発防止策の実効性のモニタリングを行うため、取締役会の諮問機関として品質マネジメント委員会を設置しております。品質マネジメント委員会の委員は、当社の社内役員又はそれに準ずる者2名及び取締役会で任命された品質に関する技術的知見又は法律的知見を有する社外の有識者3名の社外委員から構成され、委員長は社外委員間の互選により選出しております。
(ⅹ) コンプライアンス委員会の設置
当社は、企業活動における法令・倫理遵守に関する活動に関する事項を審議する取締役会の独立諮問機関として、コンプライアンス委員会を設置しております。
コンプライアンス委員会は、社長、全社コンプライアンス総括役員、全社コンプライアンス担当役員、内部通報システムの受付窓口弁護士(当社とは顧問契約の無い弁護士)、独立社外取締役及び社外有識者などで構成され、その過半数は社外の委員にて構成されるものとします。委員長は社外委員間の互選により選出しております。
コンプライアンス委員会は、コンプライアンス活動の基本方針の策定、コンプライアンス活動の実施状況のモニタリングのほか、必要に応じた措置について取締役会に対し提言や勧告を行います。
コンプライアンス委員会は半期毎に定例会を開催し、必要に応じて臨時会を開催します。
(ⅺ) コーポレートガバナンス委員会の設置
当社は、当社グループの持続的成長と企業価値向上に向けたコーポレートガバナンスを実現するため、取締役会の諮問機関として、基本方針の立案をはじめ、コーポレートガバナンスに関する事項を審議するコーポレートガバナンス委員会を設置しております。
コーポレートガバナンス委員会は、社長及び経営企画部を総括する取締役又は執行役員、総務・CSR部を総括する取締役又は執行役員、取締役会にて選定された独立社外取締役複数名で構成し、その過半数を独立社外取締役とします。委員長は委員の互選により独立社外取締役から選出しております。コーポレートガバナンス委員会は、毎事業年度最低1回以上、必要に応じ適宜委員会を開催します。
(ⅻ) 業務執行の仕組み
当社の取締役会は、経営の重要な方向性の決定とリスクマネジメントを含むモニタリングに重点を置き、執行役員が業務を執行します。当社の執行役員は、法定の機関ではありませんが、取締役会で選任され、取締役会にて委嘱された業務を執行する重要な役職であると位置付けます。こうした体制のもと、経営に関する重要な事項や取締役会付議事項を審議する場として「経営審議会」(月2回開催)を開催します。経営審議会のメンバーは、社長、業務執行取締役及び経営企画部担当執行役員、社長の指名する執行役員(各事業部門の長)及び関係会社社長、並びに常勤の監査等委員である取締役の常任メンバーに加え、案件毎に指名されるメンバーで構成します。
経営審議会は、決議機関ではなく、各事業部門、当社グループの業務執行に対し多方面からの考察を加えることを目的とした闊達な議論の場として位置付け、経営審議会で審議した事項は、取締役会に決議事項もしくは報告事項として上程します。
経営審議会の審議の実効性を高めるため、補佐機関として、サステナビリティ推進、リスクマネジメント、事業ポートフォリオ管理、設備投資・投融資など事業戦略上の重要事項に関する各種委員会を置きます。
また、業務を執行する取締役、執行役員及びフェロー並びに社長の指名する関係会社の社長及び役員を構成員とする「役員連絡会」(四半期に1回開催)を置きます。
「役員連絡会」は経営に関する重要な事項について情報の共有化を図る場であり、加えて、当社グループ一体経営・業務執行に必要な様々な知識の取得と適切な更新等の研鑽のために社内外から講師を招聘した研修を実施する場としても位置付けます。
経営上の意思決定、執行及び監督に係る経営管理組織その他のコーポレートガバナンス体制の概要は、次の図のとおりです。
0104010_001.png③企業統治に関するその他の事項
1) 内部統制システムの整備状況
当社の取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制及びその他業務の適正を確保するための体制は、以下のとおりです。
(ⅰ) 取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
グループ企業理念の下、コンプライアンス体制および運営等に関する基本的事項を「コンプライアンス規程」に定める。当社グループのコンプライアンス推進活動は、『KOBELCOグループ・コンプライアンスプログラム』をベースに計画・実行する。当社及び主要グループ会社において、取締役会の諮問機関として社外委員を入れた「コンプライアンス委員会」を設置する他、外部の弁護士を受付窓口とする「内部通報システム」を導入するなど、外部からのチェックを組み込んだ社会規範や法令等の遵守体制を構築する。
(ⅱ) 財務報告の適正性確保のための体制整備
『財務報告に係る内部統制基本規程』を定め、財務報告の適正性を確保するための社内体制を整備する。
(ⅲ) 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
『取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する規程』を定め、適切に取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理を行う。
(ⅳ) 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
経営審議会の補佐機関として「リスクマネジメント委員会」を設置し、リスクマネジメント全般に関する基本方針の立案・評価、リスクマネジメントの重要課題に関する具体的方針の立案、トップリスク・重要リスクのリスク対策実行計画の評価、全社リスク管理計画の立案・評価などを行う。
また、『リスク管理規程』を定め、これに基づき、リスク管理活動を事業活動と連動して展開し、企業価値を毀損する可能性のあるリスクに適切に対応する。この体制については、内部監査部門により適切性や有効性の検証を実施する。
(ⅴ) 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
当社の取締役会は、経営の重要な方向性の決定とリスクマネジメントを含むモニタリングに重点を置き、業務執行取締役には、社長のほか、全社として重点を置く特定機能を総括する取締役を置く。
「透明性」「公正性」が確保された経営体制を実現すべく、監査等委員である社外取締役に加えて、監査等委員でない社外取締役を選任する。
取締役会のモニタリング機能の実効性を高めるため、諮問機関として、コンプライアンス委員会、指名・報酬委員会、品質マネジメント委員会、コーポレートガバナンス委員会を置く。
「迅速」な意思決定に加えて、事業ユニット間での情報共有・連携などグループの総合力を最大限発揮していくため、「事業部門制」を採用する。
取締役会が選任した執行役員が各事業部門の業務を執行し、経営に関する重要な事項や取締役会付議事項を審議する場として「経営審議会」を開催する。
経営審議会の審議の実効性を高めるため、補佐機関として、サステナビリティ推進、リスクマネジメント、事業ポートフォリオ管理、設備投資・投融資など全社戦略上の重要事項に関する各種委員会を置く。
また、業務を執行する取締役、執行役員及びフェロー並びに社長の指名する関係会社の社長及び役員を構成員とする「役員連絡会」を置き、経営に関する重要な事項について情報の共有化を図る。
(ⅵ) 会社及びその子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
『グループ会社管理規程』を定め、子会社の行う重要な意思決定について、当社主管部門・本社部門と協議、重要事項の報告などを義務づけ、一定金額を超える財産処分行為他については、当社の取締役会、社長の事前承認を要求する。
当社グループとして最低限整備すべきルールを「グループ標準」として定め、当社の全ての子会社がこの標準に沿って自社の規程を整備し、リスク管理の教育・浸透・推進を図るとともに、『リスク管理規程』に従い、個社毎の適切な予防保全策を立案する。
子会社に対して、適宜取締役又は監査役を派遣し、子会社の経営を監督する。
さらにグループ企業理念を共有し、『KOBELCOグループ・コンプライアンスプログラム』をベースに、コンプライアンス委員会の設置や、内部通報制度の整備等といった取組みを子会社に対して求め、法令等遵守体制を構築する。
ただし、上場会社については当社からの一定の経営の独立性を確保するため、当社が関係会社経営者の独自の判断を拘束することのないように配慮をする。
(ⅶ) 監査等委員会の職務を補助すべき取締役及び使用人に関する事項、同取締役及び使用人の取締役(監査等委員である取締役を除く。)からの独立性に関する事項及び監査等委員会の同取締役及び使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
監査等委員会の職務を補助するため監査等委員会室を設置して専任の使用人を置く。また、監査等委員会室の使用人については、取締役(監査等委員である取締役を除く。)からの独立性の確保及び指示の実効性の確保を図るため、その人事異動及び人事評価等を監査等委員と事前に協議する。
監査等委員会室の使用人は「監査等委員会監査等基準」に従い、監査等委員会の指示を受けて監査等委員会監査に係る補助業務等を行う。
なお、監査等委員会監査にかかる補助業務等の遂行にあたっては、取締役(監査等委員である取締役を除く。)、執行役員及び使用人はこれを妨げず、監査の実効性確保に協力する。
(ⅷ) 取締役(監査等委員である取締役を除く。)及び使用人が監査等委員会に報告をするための体制その他の監査等委員会への報告に関する体制、子会社の取締役及び使用人が当社の監査等委員会に報告をするための体制、及び監査等委員会へ報告した者が当該報告をしたことを理由として不利な取扱いを受けないことを確保するための体制
取締役(監査等委員である取締役を除く。)、執行役員及び使用人は、監査等委員会に対して、法定事項に加え、定期的に職務の執行状況、重要な委員会等の報告を行う。また、事業活動において発生した重要なリスクとその対応状況や、財務報告の適正性を確保するための体制の整備・運用状況についても、都度報告する。加えて、子会社の状況については、その取締役、監査役、使用人から監査等委員会に対して、必要に応じて報告を行うとともに、内部統制・監査部は、監査等委員会に対してグループ全体のリスク管理、コンプライアンス等について適宜報告を行う。
「内部通報システム」における内部通報者の不利益待遇の禁止と同様に、監査等委員会に報告を行った者が不利な取扱いを受けないことをコンプライアンス規程に定め、その周知徹底を図る。
(ⅸ) 監査等委員会の職務の執行について生ずる費用の前払又は償還の手続その他の当該職務の執行について生ずる費用又は債務の処理に係る方針に関する事項
監査等委員がその職務の執行について、会社法に基づく費用の支払い等の請求をしたときは、当該請求が監査等委員の職務の執行に必要ではないと認められた場合を除き、速やかに当該費用または債務を処理する。なお、監査等委員会の職務上必要と認める費用について、毎年、あらかじめ一定額の予算を計上する。
(ⅹ) その他監査等委員会の監査が実効的に行われることを確保するための体制
監査等委員会の監査の実効性を確保するため、監査等委員会の「年度監査方針・計画」を取締役会等において説明を受ける他、監査等委員会と代表取締役社長との定期的会合、内部監査部門との連携など監査環境の整備を図る。
2) コンプライアンス体制
当社は、グループ企業理念の下、コンプライアンスを重要な経営基盤の一つと位置付け、事業活動に取り組んでいます。
グループ企業理念においては、グループで共有すべき価値観である「KOBELCOの3つの約束」を果たすために、グループ全社員が実践する具体的な行動規範として、「KOBELCOの6つの誓い」を定めています。当社は、「KOBELCOの6つの誓い」を日々の業務の中で実践するために、業務を行うにあたって関係する法令や社会規範を正しく理解するためのガイドラインを作成しています。役員及び従業員一人ひとりは、このガイドラインに従い、「KOBELCOの6つの誓い」の実践に努めます。
また、当社はコンプライアンス体制及び運営等に関する基本的事項を「コンプライアンス規程」に定めております。
当社は、取締役会の諮問機関としてコンプライアンス委員会を設置しており、グループ全体のコンプライアンス活動計画を立案し、進捗状況を確認の上、必要な見直しと改善を行っています。同委員会は、社長を含む社内委員3名に対し、公正中立な立場の社外委員が4名と過半数を占め、社外委員が委員長を務めています。また、主なグループ会社にもコンプライアンス委員会を設置しています。
コンプライアンス活動計画の実行にあたっては、全社コンプライアンス総括役員、全社コンプライアンス担当役員の指揮のもと、当社の内部統制・監査部が、事業部門やグループ各社と連携し、『KOBELCOグループ・コンプライアンスプログラム』をベースに取組みを進めています。
『KOBELCOグループ・コンプライアンスプログラム』は、「コミットメント・リスク評価」「規程やプロセスの整備・リソースの確保」「教育・情報の周知」「モニタリングの実施・通報への対応」「見直し・改善」の5つのフレームで構成しています。各社での進捗状況をこの5項目に沿って把握した上で、コンプライアンス活動計画を事業や地域の特性を踏まえて実行することで、網羅的かつ実効性のあるコンプライアンス活動をグループ全体において展開しています。
具体的な活動には、コンプライアンスに対する組織トップによるコミットメントの定期的な発信、各種マニュアルの作成、コンプライアンス教育の実施、内部通報制度の設置・運営、コンプライアンス意識調査の定期的な実施等があります。
3) 責任限定契約の内容の概要
当社と監査等委員でない社外取締役及び監査等委員である取締役は、会社法第427条第1項及び定款の定めに基づき、会社法第423条第1項の損害賠償責任を限定する契約を締結しております。当該契約に基づく損害賠償責任の限度額は、法令が規定する額としております。
4) 補償契約の内容の概要
当社は、有用な人材確保、職務執行の萎縮の防止のため、全ての取締役(監査等委員である取締役を含む。)との間で、会社法第430条の2第1項に定める補償契約を締結しており、同項第1号の費用及び同項第2号の損失を法令の定める範囲内において補償することとしております。当該契約においては、取締役の職務の執行の適正性が損なわれないようにするため、次の措置を講じております。
(ⅰ) 同項第2号の損失を補償するためには、確定判決又は当社が適正と認める和解の成立を前提とすること
(ⅱ) 取締役が不正な利益を図り、もしくは会社に損害を加える目的で職務を執行したものであったことが判明した場合、又は会社に対する説明に重要な点で虚偽があったことが判明した場合には、補償の対象外とするとともに、既に受領した補償額の返還を請求できること
5)役員等賠償責任保険契約の内容の概要
当社は、有用な人材確保、職務執行の萎縮の防止のため、当社の取締役(監査等委員である取締役を含む。)、執行役員及び当社取締役会決議にて「重要な使用人」として選任された者を被保険者として、保険会社との間で会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を締結しております。
経営者の適切なリスクテイクを可能とすべく、保険料は当社が全額負担しており、被保険者の実質的な保険料負担はありません。
当該保険契約では、会社訴訟、第三者訴訟及び株主代表訴訟等により、被保険者が負担することとなった争訴費用及び損害賠償金等を塡補の対象としております。ただし、被保険者の職務の執行の適正性が損なわれないようにするため、法令違反行為であることを認識して行った行為に起因して生じた損害は塡補されないなど、一定の免責事由があります。
6)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(「会社支配に関する基本方針」)
(ⅰ) 会社支配に関する基本方針
当社は、明治38年の創立から110年を超える歴史の中で、独自の事業領域を形成してまいりました。特に、当社の素材系事業や機械系事業は事業の裾野が非常に広く、これらの事業分野を構成する個別の事業の多様性を前提として初めて創出されるシナジーが存在いたします。また、これらの事業は、研究開発や生産現場で果敢な挑戦を続ける当社従業員をはじめ、当社との間で長年に亘り信頼関係を培ってきた輸送機やエネルギー・インフラ分野をはじめとする国内外のお取引先様並びにお客様等の多様なステークホルダーによって支えられております。さらに、当社は、素材系事業における代替困難な素材や部材、機械系事業における省エネルギーや環境に配慮した製品等、当社独自の多彩な製品群を幅広いお客様に供給するとともに、電力事業においても極めて重要な社会的インフラである電力の供給という公共性の高いサービスを提供しており、社会的にも大きな責任を担っているものと考えております。当社は、こうした各事業間における技術の交流・融合によるシナジー効果や、独自・高付加価値製品の提供とこれにより構築されたステークホルダーとの信頼関係、社会的インフラ提供の責務と社会の皆様からの信頼こそが当社の企業価値の源泉であると考えております。
当社は、上場会社として、株式の自由な取引の中で、上記のような源泉から生み出される当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する形であれば、支配権の異動を伴う当社株券等に対する大規模な買付行為であっても、当然是認されるべきであると考えておりますが、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、このような当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させる上で必要不可欠な、当社の経営理念、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係等の当社の企業価値を生み出す源泉を十分に理解し、その結果として当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を確保し、向上させる者でなければならないと考えております。
したがって、当社は、当社株券等に対する大規模な買付行為を行い又は行おうとする者に対しては、関連する法令の許容する範囲内において、適切な対応をとることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めなければならないと考えております。
(ⅱ) 基本方針の実現に資する特別な取組み
ア 経営戦略の展開による企業価値向上への取組み
当社は、グリーン社会の実現への貢献、安全・安心なまちづくり・ものづくりへの貢献など、当社グループ独自の技術による社会課題の解決を通じた競争優位性の発揮と、それを支えるガバナンスの追求により企業価値向上を図るため「KOBELCOグループ中期経営計画(2021~2023年度)」の実現に取り組んでおります。
今後も、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人が夢や希望を叶えられる世界」の実現に向け、当社グループのもつ個性と技術を活かし合い、素材系事業、機械系事業、電力事業を3本柱として、社会課題の解決を通じた企業価値の向上を目指してまいります。
イ コーポレートガバナンス強化による企業価値向上への取組み
当社は、継続的に企業価値を向上させるためには、コーポレートガバナンスの強化が必要であると考えております。
当社は、監査等委員会設置会社への移行、取締役会メンバーの見直し、社外委員が委員の過半数を占める指名・報酬委員会やコーポレートガバナンス委員会をはじめとした諮問機関の設置による監督機能向上、役員報酬制度の見直し等の様々な取組みを通じて、コーポレートガバナンス体制の強化を図ってまいりました。
今後も、当社は、コーポレートガバナンス委員会が中心となって、取締役会実効性評価の結果等を踏まえながら、更なるコーポレートガバナンスの強化に向けて、継続的に検討を進めてまいります。
(ⅲ) 基本方針に照らして、不適切な者によって当社の財務及び事業の決定を支配されることを防止するための取組み
当社は、当社株券等の大規模な買付行為を行い又は行おうとする者に対しては、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保する観点から、関係する法令に従い、株主の皆様が大規模な買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示するとともに、株主の皆様の検討のために必要な時間と情報の確保に努めるものといたします。
また、仮に大規模な買付行為に対する速やかな対抗措置を講じなければ、当社の企業価値及び株主共同の利益が毀損されるおそれがあると合理的に判断されるときには、株主から経営を負託された当社取締役会の当然の責務として、関連する法令の許容する範囲内において、適宜、当該時点で最も適切と考えられる具体的な措置の内容を速やかに決定し、実行することにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保に努めてまいります。
なお、上記(ⅱ)及び(ⅲ)に記載の取組みは、上記(ⅰ)に記載の方針に従い、当社の企業価値及び株主共同の利益に沿うものであり、当社の役員の地位の維持を目的とするものではありません。
7) 定款における取締役・株主総会に関する特別の定め
取締役に関しては、当社定款上、以下の特別の定めを置いております。
(ⅰ) 第19条第2項で、取締役の選任決議は議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行うとの定めを置いております。また、同条第3項でその決議は累積投票によらない旨を定めております。
(ⅱ) 職務の執行にあたり期待される役割を十分に発揮できるようにするため、第29条第1項及び附則で、会社法第426条第1項の規定により、会社法第423条第1項に定める取締役(取締役・監査役であったものを含む。)の損害賠償責任を、法令の限度において、取締役会の決議によって免除することができるとの定めを置いております。
(ⅲ) 定時株主総会の決議を待たず柔軟かつ機動的に事業活動の成果である利益を株主に分配することで機動的な資本政策を実現可能とするため、取締役の任期を1年とするなどの要件を満たす会社において、定款の定めにより剰余金の配当等(自己株式の取得を含む。)の決定機関を取締役会とすることが認められていることから、当社定款第35条に「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める」との規定を置いております。
また、株主総会の円滑な運営を行うことを目的として、当社の定款第15条第2項の定めにより、会社法第309条第2項に定める決議は、議決権を行使することができる株主の議決権数の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行うとの定めをおいております。