有価証券報告書-第16期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営方針、経営環境および対処すべき課題
〈事業環境〉
現在のJFEグループを取り巻く事業環境は、経済は国内外とも堅調で、景気の拡大が継続しています。また、主要な産業分野である自動車や環境エネルギー分野等における構造変化への時機を捉えた対応や、著しく進歩する革新的デジタル技術の利活用が、新たなビジネスチャンスの獲得・競争力の強化に繋がると考えております。一方、国内における少子高齢化の進展、原料等資源価格の大幅な変動、保護貿易リスクの高まりなど様々な環境変動も懸念されます。また、国際社会においては、国連で持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、気候変動抑制に関するパリ協定が発効されるなど、持続可能な社会の実現に向けた世界的な枠組みが形成され始めています。これら環境変化への的確な状況判断と迅速な対応が必要不可欠となっております。
〈第6次中期経営計画におけるグループ共通施策〉
本年、JFEグループは、平成30年度から3年間の事業運営の方針となる第6次中期経営計画を策定いたしました。第6次中期経営計画では、「最先端の技術力」、「先進IT」、「グループ連携」、「多様な人材力」を最大限活用することによって、成長分野に戦略的に取り組んでまいります。中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現への貢献を推進することにより、JFEグループの企業理念である、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。」の実現を目指します。
主な取り組みは、以下の通りです。
1.最先端技術により社会ニーズに同期化し、成長戦略を推進
グループ内連携の強化と社外リソースの有効活用により、革新的な研究・技術開発に取り組み、最先端技術を生み出してまいります。更にAI・IoT・ビッグデータ等のデータサイエンス技術やロボティクス技術の活用により生産性を飛躍的に向上させ、競争力を高めます。
自動車の軽量化やEV化等の技術革新、環境エネルギー分野の構造変化等に対しては、これを新たなビジネスチャンスと見定め、最先端技術の活用や運営型事業の拡大により対応してまいります。また、省資源・省エネルギー型プロセス、商品およびソリューションの提供を進めてまいります。
2.国内収益基盤整備の継続と製造実力の強化
国内設備投資は前中期経営計画の実績を上回る水準で計画的に実行します。設備のリノベーションにより安定生産の定着やコスト削減を推進し、更なる競争力を確保するとともに、能力増強や高級鋼の開発・製造を通じて、収益拡大を図ります。構造変化が進む分野に対して、お客様のニーズを的確に把握して、付加価値の高い商品・サービスをタイムリーに提供してまいります。
3.海外事業の推進と収益拡大
これまでに投資した海外プロジェクトからの収益拡大に重点を置いた活動を展開します。国内事業との効果的な垂直分業体制や、ミャンマーでの薄板建材事業など、グループネットワークを活用した最適なサプライチェーンを構築し、各地域の特性に応じた事業運営を図ります。加えて、重点分野・戦略地域への新規事業投資を検討・実施してまいります。現時点では、第6次中期経営計画期間の事業投資は、1,000億円規模を見込んでいますが、投資効果の高い案件があれば、これにこだわらず積極的に実施してまいります。
4.持続的な成長を支える企業体質強化
第6次中期経営計画を推進していくために、持続可能な社会の実現への貢献を重要な経営課題と位置付け、様々なESG課題に対しての取り組みを強化してまいります。
・製鉄プロセスにおけるCO2排出削減や水資源・エネルギーの再利用に加えて、環境に配慮した商品・プロセス技術の開発等による環境負荷低減を推進します。
・働き方改革・業務改革の推進、人材育成や技能伝承・ダイバーシティの推進など、多様な人材がその能力を最大限発揮できる環境整備を進めてまいります。
・指名委員会・報酬委員会の設置、取締役会の実効性評価とその結果を踏まえた取締役会・監査役会の一部構成見直しなどのこれまでの取り組みを更に有効に機能させ、ガバナンスの充実を図ってまいります。
これらの継続的な活動に加えて、新たに以下の取り組みを実施いたします。
・お客様対応・環境保全・労働安全衛生・人材育成など、グループのCSR重要課題に、重要業績評価指標(KPI)を設定し、各事業会社が目標の達成に向けた活動を展開
・取締役等に対する中長期的な業績に連動する報酬制度の導入
・統合報告書の発行による、ステークホルダーへの情報発信の充実
当社は、国内収益基盤の強化および海外事業の収益拡大により、自己資本利益率(ROE)10%を目指して、各施策に取り組んでおります。また、グループの成長を目指した投資を遂行しつつ、国際格付A格(目標となるDebt/EBITDA倍率3倍未満)に求められる財務体質の実現に向け、収益・キャッシュフローの改善を進めております。
第6次中期経営計画では、これら財務目標の持続的な達成に向け、連結経常利益2,800億円、親会社株主帰属当期純利益2,000億円の収益目標を掲げ、その達成に向けて、各施策を着実に実行してまいります。なお、グループ連結、事業会社毎の財務・収益目標につきましては、事業の特性や外部環境の変化を踏まえ、中期最終年度での到達目標ではなく、3年間で安定的な達成を目指す水準(期間平均)といたします。
〈各事業会社の取り組み〉
JFEスチール㈱におきましては、最先端技術により成長戦略を推進してまいります。お客様志向で販売を展開し、JFEブランドを更に浸透・拡大していくことで、「常に新たな価値を創造し、お客様とともに成長するグローバル鉄鋼サプライヤー」を目指してまいります。
まず、自動車の軽量化やEV化等の技術革新へ対応するため、ハイテン材を主軸とした技術開発を加速し、進化させていくなど、重点分野(自動車・インフラ建材・エネルギー)を中心に、商品開発やソリューション提供を推進してまいります。また、環境プロセス技術については、フェロコークス等の環境調和型の原料処理技術など、生産プロセス技術の開発を推進してまいります。
次に、基幹製鉄所である西日本製鉄所を中心に、連続鋳造設備の新設等、能力増強・パフォーマンスの最大化を図り、また、安価原料使用など上工程を中心とした革新的な生産プロセス技術の開発を推進いたします。これらの取り組み等により、JFEスチール単体では粗鋼3,000万トンの安定生産の実現と3ヵ年で1,050億円規模のコスト削減を実施し、製造実力を、より強靭で揺るぎないものに高めてまいります。
海外事業展開につきましては、地域・市場毎の成長ステージに応じて、これまでにグローバルで生産体制を拡充してきた重点分野を中心に、収益拡大の取り組みをグループ一体で継続・推進いたします。また、成長の著しいアジア諸国において、従来型の垂直分業に加えて、需要地での一貫生産体制の構築等により、海外鉄源の更なる活用を推進してまいります。
第6次中期経営計画では、連結経常利益2,200億円(期間平均)を目指してまいります。
JFEエンジニアリング㈱におきましては、更なる成長を図るため、国内では従来型のEPC(設計・調達・建設)に加え、O&M(維持管理)まで含めた運営型事業を強化、拡大してまいります。海外においても都市インフラ、環境エネルギー分野を中心に安定した収益を確保できる基盤を構築してまいります。加えて、高効率廃棄物発電プラント、AIソリューション等に代表されるお客様・市場のニーズにあった新商品を迅速に市場に提供し、受注拡大を目指してまいります。また、プロジェクトを確実に遂行し収益を確保すべく、リスク管理体制を強化いたします。
持続可能な社会の実現に貢献できる、「くらしの礎を創る、くらしの礎を担う」エンジニアリング会社として、第6次中期経営計画では、連結経常利益300億円(期間平均)を目指してまいります。
JFE商事㈱におきましては、既存の収益基盤の維持・拡大や将来の成長に向けた取り組みを積極的に推進し、安定的な収益基盤の確立と拡大を目指してまいります。
グループリソースを最大限活用し、鋼材販売量の拡大を進めます。加えて、グループ外への取引拡大にも積極的に取り組み、トレード収益の維持・拡大を目指してまいります。また、鉄鋼サプライチェーンの中において必要な経営資源を投下し、需要を捕捉するための加工・流通拠点の機能強化や、再編等を通じた体質強化に加え、活動領域を拡大すること等により、さらなる事業収益の拡大を図ってまいります。
更に、グローバル地域戦略も推進し、日本を中心に据えたグローバル4極体制(日本、米州、中国、アセアン)でのマネジメント強化を図ってまいります。第6次中期経営計画では、連結経常利益350億円(期間平均)を目指してまいります。
なお、当社は、持分法適用関連会社であるジャパン マリンユナイテッド㈱につきましても、収益改善の取り組みを注視し、必要な施策を実施してまいります。
当社はグループの経営課題を着実に実行していくために、株主利益に適うグループ経営および健全なコーポレートガバナンスの要としてその機能を充実していくとともに、さらに効率的な運営を図ってまいります。
株主還元については最重要課題の一つと位置付けており、配当性向を現行の25%~30%程度から30%程度に高めてまいります。
〈第6次中期経営計画 主要財務・収益目標と株主還元方針〉
(注)上記の記載には、平成30年4月26日の第6次中期経営計画発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれております。
(2)会社の支配に関する基本方針
① 基本方針
当社は、経営支配権の異動は、企業活動・経済の活性化にとって有効な手段の一つであり、当社株式の大規模買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、原則として、株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。
しかしながら、大規模買付行為またはこれに関する提案につきましては、株主の皆様が、当該大規模買付行為または提案の企業価値および株主共同の利益への影響を的確に判断する必要があると認識しております。そのために、大規模買付者および当社取締役会の双方から、株主の皆様に迅速に必要かつ十分な情報・意見・提案等の提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間を確保することといたします。
② 基本方針の実現に資する特別な取り組み
・企業理念と経営の基本姿勢
当社グループは、企業理念である「常に世界最高の技術をもって社会に貢献する」ことを通じて、企業価値および株主共同の利益の向上に誠実に努めることを経営の基本姿勢としております。
・当社発足以来の実績
当社発足後の第1次中期経営計画(平成15~17年度)および第2次中期経営計画(平成18~20年度)においては、その創設の狙いを最大限発揮することにより、収益性の高い企業体質の確立と、将来の成長に向けた基盤作りに着実に取り組み、高い水準の収益をあげることができました。
第3次中期経営計画(平成21~23年度)では世界金融危機や東日本大震災の発生等、厳しい経営環境の中、強靭な企業体質の構築に取り組み、中長期的な企業価値の向上を図ってまいりました。
第4次中期経営計画(平成24~26年度)において、持続的な成長のため企業体質の強化に取り組み、商社事業の資本再編および造船事業の再編ならびに半導体事業の譲渡といった、事業ポートフォリオの見直しを行いました。
前中期経営計画(平成27~29年度)において、国内収益基盤の強化等の主要施策を着実に実行して、競争力の向上を図ってきました。
鉄鋼事業におきましては、コークス炉設備改修等の国内製造基盤整備を図るとともに、自動車・薄板建材分野を中心に、北米やアセアン等への海外投資を行ってまいりました。エンジニアリング事業におきましては、電力創生および環境分野を中心とした事業拡大と海外事業の強化に取り組みました。商社事業におきましては、国内の加工拠点や海外コイルセンター強化を通じて、サプライチェーン拡充による販売力の向上を図ってまいりました。
・新たな成長戦略の推進
第6次中期経営計画では、「最先端の技術力」、「先進IT」、「グループ連携」、「多様な人材力」を最大限活用することによって、成長分野に戦略的に取り組んでまいります。中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現への貢献を推進することにより、JFEグループの企業理念である、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。」の実現を目指します。
・コーポレートガバナンス強化
当社では、経営の透明性および公平性を徹底することにより、企業価値および株主共同の利益の向上を目指し、コーポレートガバナンスに関する各種制度・仕組を整備・構築してまいりました。
複数の特性の異なる事業から構成されている当社グループにおいては、各事業の執行を当社グループに属する事業会社に委ねる体制を採る一方、純粋持株会社である当社は、グループ経営の統括により経営の実効性を改善するとともに、社外監査役を含む監査役監査、社外取締役の登用、取締役任期の短縮によりコーポレートガバナンス強化を図ってまいりました。現在、社外取締役吉田政雄、山本正已および家守伸正、社外監査役大八木成男、佐長功および沼上幹の6氏は株式会社東京証券取引所等が定める独立役員の要件および当社が定める「社外役員独立性基準」を満たしております。また、当社は、6氏を株式会社東京証券取引所等の定めに基づく独立役員として指定し、同取引所等に届け出ております。
当社は当社およびJFEグループが、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上を実現し、企業理念を実践するために最良のコーポレートガバナンスを追求しその更なる充実を図ることを目的として、平成27年10月に「JFEホールディングス コーポレートガバナンス基本方針」を制定しました。また、取締役等の人事および報酬について、公正性、客観性および透明性を担保すべく、取締役会の諮問機関として、指名委員会および報酬委員会を設置しました。指名委員会および報酬委員会は、それぞれ委員の過半数を社外役員で構成し、委員長はいずれも社外役員の中から決定しております。今後の事業運営に際しましても、公正・公平・透明なコーポレートガバナンスを徹底し、企業価値および株主共同の利益を向上させてまいります。
・すべてのステークホルダーの皆様とともに
当社グループでは、製鉄所見学会等を開催して当社株主の皆様とコミュニケーションを深めるほか、お客様との技術的連携を通じたわが国製造業の競争力向上への貢献、地球環境保全に役立つ技術開発や、定期的な中途採用を含む雇用の促進、健全な労使関係、安全な労働環境、地域社会との共存等に努めるなど、すべてのステークホルダーの皆様からご支持とご協力がいただけるよう努力してまいります。
③基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、平成19年3月1日開催の取締役会において、「当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針」(以下「本対応方針」という。)の導入を決定し、同年およびその後の本対応方針の有効期限である2年ごとの定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただいたうえで、本対応方針を継続しております。
本対応方針により、具体的には、議決権割合20%以上の当社株式を取得しようとする大規模買付者に対し、大規模買付行為完了後の経営方針および事業計画等の提示を事前に求めます。その後一定期間、当社取締役会は、大規模買付者が本対応方針に基づくルールを遵守したか否か、あるいは、当該提案内容が当社に回復しがたい損害をもたらすことがないか、企業価値、株主共同の利益を著しく損なうことがないか、という観点から評価、検討を行ない、取締役会としての意見を開示するとともに、大規模買付者と交渉したり、取締役会として株主の皆様へ代替案を提示したりすることがあります。また、社外取締役および社外監査役計3名から構成される特別委員会を設置し、特別委員会が大規模買付行為を抑止するための措置の発動を勧告した場合には、それを最大限尊重した上で、外部専門家の意見も参考にしつつ、当社取締役会は、企業価値および株主共同の利益の保護を目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律および当社定款が取締役会の権限として認める対抗措置の発動を行うことがあります。
なお、平成29年6月23日開催の定時株主総会において、本対応方針を一部変更のうえ、継続することについて株主の皆様のご承認が得られました。資本市場からの要請等を踏まえ、より株主の皆様の意思を重視し、更に客観性を高める内容にするため、主に以下の点を変更しております。
・当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値および株主共同の利益を著しく損なう場合に原則として該当すると考えられる類型の一部を削除し、いわゆる高裁四類型および強圧的二段階買収に限定いたしました。
・対抗措置の発動の可否について、株主意思を確認する仕組みを導入いたしました。
・当社取締役会が大規模買付者から大規模買付情報を求める期間に上限を設定いたしました。
本対応方針の詳細については、当社ウェブサイトに掲載しております。
④上記の取り組みが、上記基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものでなく、かつ、会社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由
本対応方針は、当社株式の大規模買付行為が開始された場合において、株主の皆様に迅速に必要かつ十分な情報・意見・提案等の提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間を確保することにより、株主の皆様が、当該大規模買付行為の企業価値および株主共同の利益への影響を的確に判断することを担保するためのものです。従って、上記基本方針に沿った内容であり、株主共同の利益を損なうものではありません。
また、当該大規模買付行為に関する当社取締役会の判断における透明性、客観性、公正性および合理性を担保するため、取締役会から独立した組織として、社外取締役および社外監査役計3名から構成される特別委員会を設置することに加え、本対応方針の継続については平成29年6月23日開催の定時株主総会でご承認をいただいており、会社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。
〈事業環境〉
現在のJFEグループを取り巻く事業環境は、経済は国内外とも堅調で、景気の拡大が継続しています。また、主要な産業分野である自動車や環境エネルギー分野等における構造変化への時機を捉えた対応や、著しく進歩する革新的デジタル技術の利活用が、新たなビジネスチャンスの獲得・競争力の強化に繋がると考えております。一方、国内における少子高齢化の進展、原料等資源価格の大幅な変動、保護貿易リスクの高まりなど様々な環境変動も懸念されます。また、国際社会においては、国連で持続可能な開発目標(SDGs)が採択され、気候変動抑制に関するパリ協定が発効されるなど、持続可能な社会の実現に向けた世界的な枠組みが形成され始めています。これら環境変化への的確な状況判断と迅速な対応が必要不可欠となっております。
〈第6次中期経営計画におけるグループ共通施策〉
本年、JFEグループは、平成30年度から3年間の事業運営の方針となる第6次中期経営計画を策定いたしました。第6次中期経営計画では、「最先端の技術力」、「先進IT」、「グループ連携」、「多様な人材力」を最大限活用することによって、成長分野に戦略的に取り組んでまいります。中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現への貢献を推進することにより、JFEグループの企業理念である、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。」の実現を目指します。
主な取り組みは、以下の通りです。
1.最先端技術により社会ニーズに同期化し、成長戦略を推進
グループ内連携の強化と社外リソースの有効活用により、革新的な研究・技術開発に取り組み、最先端技術を生み出してまいります。更にAI・IoT・ビッグデータ等のデータサイエンス技術やロボティクス技術の活用により生産性を飛躍的に向上させ、競争力を高めます。
自動車の軽量化やEV化等の技術革新、環境エネルギー分野の構造変化等に対しては、これを新たなビジネスチャンスと見定め、最先端技術の活用や運営型事業の拡大により対応してまいります。また、省資源・省エネルギー型プロセス、商品およびソリューションの提供を進めてまいります。
2.国内収益基盤整備の継続と製造実力の強化
国内設備投資は前中期経営計画の実績を上回る水準で計画的に実行します。設備のリノベーションにより安定生産の定着やコスト削減を推進し、更なる競争力を確保するとともに、能力増強や高級鋼の開発・製造を通じて、収益拡大を図ります。構造変化が進む分野に対して、お客様のニーズを的確に把握して、付加価値の高い商品・サービスをタイムリーに提供してまいります。
3.海外事業の推進と収益拡大
これまでに投資した海外プロジェクトからの収益拡大に重点を置いた活動を展開します。国内事業との効果的な垂直分業体制や、ミャンマーでの薄板建材事業など、グループネットワークを活用した最適なサプライチェーンを構築し、各地域の特性に応じた事業運営を図ります。加えて、重点分野・戦略地域への新規事業投資を検討・実施してまいります。現時点では、第6次中期経営計画期間の事業投資は、1,000億円規模を見込んでいますが、投資効果の高い案件があれば、これにこだわらず積極的に実施してまいります。
4.持続的な成長を支える企業体質強化
第6次中期経営計画を推進していくために、持続可能な社会の実現への貢献を重要な経営課題と位置付け、様々なESG課題に対しての取り組みを強化してまいります。
・製鉄プロセスにおけるCO2排出削減や水資源・エネルギーの再利用に加えて、環境に配慮した商品・プロセス技術の開発等による環境負荷低減を推進します。
・働き方改革・業務改革の推進、人材育成や技能伝承・ダイバーシティの推進など、多様な人材がその能力を最大限発揮できる環境整備を進めてまいります。
・指名委員会・報酬委員会の設置、取締役会の実効性評価とその結果を踏まえた取締役会・監査役会の一部構成見直しなどのこれまでの取り組みを更に有効に機能させ、ガバナンスの充実を図ってまいります。
これらの継続的な活動に加えて、新たに以下の取り組みを実施いたします。
・お客様対応・環境保全・労働安全衛生・人材育成など、グループのCSR重要課題に、重要業績評価指標(KPI)を設定し、各事業会社が目標の達成に向けた活動を展開
・取締役等に対する中長期的な業績に連動する報酬制度の導入
・統合報告書の発行による、ステークホルダーへの情報発信の充実
当社は、国内収益基盤の強化および海外事業の収益拡大により、自己資本利益率(ROE)10%を目指して、各施策に取り組んでおります。また、グループの成長を目指した投資を遂行しつつ、国際格付A格(目標となるDebt/EBITDA倍率3倍未満)に求められる財務体質の実現に向け、収益・キャッシュフローの改善を進めております。
第6次中期経営計画では、これら財務目標の持続的な達成に向け、連結経常利益2,800億円、親会社株主帰属当期純利益2,000億円の収益目標を掲げ、その達成に向けて、各施策を着実に実行してまいります。なお、グループ連結、事業会社毎の財務・収益目標につきましては、事業の特性や外部環境の変化を踏まえ、中期最終年度での到達目標ではなく、3年間で安定的な達成を目指す水準(期間平均)といたします。
〈各事業会社の取り組み〉
JFEスチール㈱におきましては、最先端技術により成長戦略を推進してまいります。お客様志向で販売を展開し、JFEブランドを更に浸透・拡大していくことで、「常に新たな価値を創造し、お客様とともに成長するグローバル鉄鋼サプライヤー」を目指してまいります。
まず、自動車の軽量化やEV化等の技術革新へ対応するため、ハイテン材を主軸とした技術開発を加速し、進化させていくなど、重点分野(自動車・インフラ建材・エネルギー)を中心に、商品開発やソリューション提供を推進してまいります。また、環境プロセス技術については、フェロコークス等の環境調和型の原料処理技術など、生産プロセス技術の開発を推進してまいります。
次に、基幹製鉄所である西日本製鉄所を中心に、連続鋳造設備の新設等、能力増強・パフォーマンスの最大化を図り、また、安価原料使用など上工程を中心とした革新的な生産プロセス技術の開発を推進いたします。これらの取り組み等により、JFEスチール単体では粗鋼3,000万トンの安定生産の実現と3ヵ年で1,050億円規模のコスト削減を実施し、製造実力を、より強靭で揺るぎないものに高めてまいります。
海外事業展開につきましては、地域・市場毎の成長ステージに応じて、これまでにグローバルで生産体制を拡充してきた重点分野を中心に、収益拡大の取り組みをグループ一体で継続・推進いたします。また、成長の著しいアジア諸国において、従来型の垂直分業に加えて、需要地での一貫生産体制の構築等により、海外鉄源の更なる活用を推進してまいります。
第6次中期経営計画では、連結経常利益2,200億円(期間平均)を目指してまいります。
JFEエンジニアリング㈱におきましては、更なる成長を図るため、国内では従来型のEPC(設計・調達・建設)に加え、O&M(維持管理)まで含めた運営型事業を強化、拡大してまいります。海外においても都市インフラ、環境エネルギー分野を中心に安定した収益を確保できる基盤を構築してまいります。加えて、高効率廃棄物発電プラント、AIソリューション等に代表されるお客様・市場のニーズにあった新商品を迅速に市場に提供し、受注拡大を目指してまいります。また、プロジェクトを確実に遂行し収益を確保すべく、リスク管理体制を強化いたします。
持続可能な社会の実現に貢献できる、「くらしの礎を創る、くらしの礎を担う」エンジニアリング会社として、第6次中期経営計画では、連結経常利益300億円(期間平均)を目指してまいります。
JFE商事㈱におきましては、既存の収益基盤の維持・拡大や将来の成長に向けた取り組みを積極的に推進し、安定的な収益基盤の確立と拡大を目指してまいります。
グループリソースを最大限活用し、鋼材販売量の拡大を進めます。加えて、グループ外への取引拡大にも積極的に取り組み、トレード収益の維持・拡大を目指してまいります。また、鉄鋼サプライチェーンの中において必要な経営資源を投下し、需要を捕捉するための加工・流通拠点の機能強化や、再編等を通じた体質強化に加え、活動領域を拡大すること等により、さらなる事業収益の拡大を図ってまいります。
更に、グローバル地域戦略も推進し、日本を中心に据えたグローバル4極体制(日本、米州、中国、アセアン)でのマネジメント強化を図ってまいります。第6次中期経営計画では、連結経常利益350億円(期間平均)を目指してまいります。
なお、当社は、持分法適用関連会社であるジャパン マリンユナイテッド㈱につきましても、収益改善の取り組みを注視し、必要な施策を実施してまいります。
当社はグループの経営課題を着実に実行していくために、株主利益に適うグループ経営および健全なコーポレートガバナンスの要としてその機能を充実していくとともに、さらに効率的な運営を図ってまいります。
株主還元については最重要課題の一つと位置付けており、配当性向を現行の25%~30%程度から30%程度に高めてまいります。
〈第6次中期経営計画 主要財務・収益目標と株主還元方針〉
| 第6次中期 財務・収益目標 | ||
| 当社連結 | 連結経常利益 | 2,800億円/年 |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 | 2,000億円/年 | |
| Debt/EBITDA倍率 | 3倍 程度 | |
| 事業会社 連結経常利益 | 鉄鋼事業 | 2,200億円/年 |
| エンジニアリング事業 | 300億円/年 | |
| 商社事業 | 350億円/年 | |
| 第6次中期 | |
| 株主還元方針(配当性向) | 30% 程度 |
(注)上記の記載には、平成30年4月26日の第6次中期経営計画発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれております。
(2)会社の支配に関する基本方針
① 基本方針
当社は、経営支配権の異動は、企業活動・経済の活性化にとって有効な手段の一つであり、当社株式の大規模買付行為が開始された場合において、これを受け入れるかどうかは、原則として、株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。
しかしながら、大規模買付行為またはこれに関する提案につきましては、株主の皆様が、当該大規模買付行為または提案の企業価値および株主共同の利益への影響を的確に判断する必要があると認識しております。そのために、大規模買付者および当社取締役会の双方から、株主の皆様に迅速に必要かつ十分な情報・意見・提案等の提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間を確保することといたします。
② 基本方針の実現に資する特別な取り組み
・企業理念と経営の基本姿勢
当社グループは、企業理念である「常に世界最高の技術をもって社会に貢献する」ことを通じて、企業価値および株主共同の利益の向上に誠実に努めることを経営の基本姿勢としております。
・当社発足以来の実績
当社発足後の第1次中期経営計画(平成15~17年度)および第2次中期経営計画(平成18~20年度)においては、その創設の狙いを最大限発揮することにより、収益性の高い企業体質の確立と、将来の成長に向けた基盤作りに着実に取り組み、高い水準の収益をあげることができました。
第3次中期経営計画(平成21~23年度)では世界金融危機や東日本大震災の発生等、厳しい経営環境の中、強靭な企業体質の構築に取り組み、中長期的な企業価値の向上を図ってまいりました。
第4次中期経営計画(平成24~26年度)において、持続的な成長のため企業体質の強化に取り組み、商社事業の資本再編および造船事業の再編ならびに半導体事業の譲渡といった、事業ポートフォリオの見直しを行いました。
前中期経営計画(平成27~29年度)において、国内収益基盤の強化等の主要施策を着実に実行して、競争力の向上を図ってきました。
鉄鋼事業におきましては、コークス炉設備改修等の国内製造基盤整備を図るとともに、自動車・薄板建材分野を中心に、北米やアセアン等への海外投資を行ってまいりました。エンジニアリング事業におきましては、電力創生および環境分野を中心とした事業拡大と海外事業の強化に取り組みました。商社事業におきましては、国内の加工拠点や海外コイルセンター強化を通じて、サプライチェーン拡充による販売力の向上を図ってまいりました。
・新たな成長戦略の推進
第6次中期経営計画では、「最先端の技術力」、「先進IT」、「グループ連携」、「多様な人材力」を最大限活用することによって、成長分野に戦略的に取り組んでまいります。中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現への貢献を推進することにより、JFEグループの企業理念である、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。」の実現を目指します。
・コーポレートガバナンス強化
当社では、経営の透明性および公平性を徹底することにより、企業価値および株主共同の利益の向上を目指し、コーポレートガバナンスに関する各種制度・仕組を整備・構築してまいりました。
複数の特性の異なる事業から構成されている当社グループにおいては、各事業の執行を当社グループに属する事業会社に委ねる体制を採る一方、純粋持株会社である当社は、グループ経営の統括により経営の実効性を改善するとともに、社外監査役を含む監査役監査、社外取締役の登用、取締役任期の短縮によりコーポレートガバナンス強化を図ってまいりました。現在、社外取締役吉田政雄、山本正已および家守伸正、社外監査役大八木成男、佐長功および沼上幹の6氏は株式会社東京証券取引所等が定める独立役員の要件および当社が定める「社外役員独立性基準」を満たしております。また、当社は、6氏を株式会社東京証券取引所等の定めに基づく独立役員として指定し、同取引所等に届け出ております。
当社は当社およびJFEグループが、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上を実現し、企業理念を実践するために最良のコーポレートガバナンスを追求しその更なる充実を図ることを目的として、平成27年10月に「JFEホールディングス コーポレートガバナンス基本方針」を制定しました。また、取締役等の人事および報酬について、公正性、客観性および透明性を担保すべく、取締役会の諮問機関として、指名委員会および報酬委員会を設置しました。指名委員会および報酬委員会は、それぞれ委員の過半数を社外役員で構成し、委員長はいずれも社外役員の中から決定しております。今後の事業運営に際しましても、公正・公平・透明なコーポレートガバナンスを徹底し、企業価値および株主共同の利益を向上させてまいります。
・すべてのステークホルダーの皆様とともに
当社グループでは、製鉄所見学会等を開催して当社株主の皆様とコミュニケーションを深めるほか、お客様との技術的連携を通じたわが国製造業の競争力向上への貢献、地球環境保全に役立つ技術開発や、定期的な中途採用を含む雇用の促進、健全な労使関係、安全な労働環境、地域社会との共存等に努めるなど、すべてのステークホルダーの皆様からご支持とご協力がいただけるよう努力してまいります。
③基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、平成19年3月1日開催の取締役会において、「当社株式の大規模な買付行為に関する対応方針」(以下「本対応方針」という。)の導入を決定し、同年およびその後の本対応方針の有効期限である2年ごとの定時株主総会において株主の皆様のご承認をいただいたうえで、本対応方針を継続しております。
本対応方針により、具体的には、議決権割合20%以上の当社株式を取得しようとする大規模買付者に対し、大規模買付行為完了後の経営方針および事業計画等の提示を事前に求めます。その後一定期間、当社取締役会は、大規模買付者が本対応方針に基づくルールを遵守したか否か、あるいは、当該提案内容が当社に回復しがたい損害をもたらすことがないか、企業価値、株主共同の利益を著しく損なうことがないか、という観点から評価、検討を行ない、取締役会としての意見を開示するとともに、大規模買付者と交渉したり、取締役会として株主の皆様へ代替案を提示したりすることがあります。また、社外取締役および社外監査役計3名から構成される特別委員会を設置し、特別委員会が大規模買付行為を抑止するための措置の発動を勧告した場合には、それを最大限尊重した上で、外部専門家の意見も参考にしつつ、当社取締役会は、企業価値および株主共同の利益の保護を目的として、新株予約権の発行等、会社法その他の法律および当社定款が取締役会の権限として認める対抗措置の発動を行うことがあります。
なお、平成29年6月23日開催の定時株主総会において、本対応方針を一部変更のうえ、継続することについて株主の皆様のご承認が得られました。資本市場からの要請等を踏まえ、より株主の皆様の意思を重視し、更に客観性を高める内容にするため、主に以下の点を変更しております。
・当社に回復しがたい損害をもたらすことが明らかである場合や企業価値および株主共同の利益を著しく損なう場合に原則として該当すると考えられる類型の一部を削除し、いわゆる高裁四類型および強圧的二段階買収に限定いたしました。
・対抗措置の発動の可否について、株主意思を確認する仕組みを導入いたしました。
・当社取締役会が大規模買付者から大規模買付情報を求める期間に上限を設定いたしました。
本対応方針の詳細については、当社ウェブサイトに掲載しております。
④上記の取り組みが、上記基本方針に沿うものであり、株主共同の利益を損なうものでなく、かつ、会社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由
本対応方針は、当社株式の大規模買付行為が開始された場合において、株主の皆様に迅速に必要かつ十分な情報・意見・提案等の提供と、それらを検討するための必要かつ十分な時間を確保することにより、株主の皆様が、当該大規模買付行為の企業価値および株主共同の利益への影響を的確に判断することを担保するためのものです。従って、上記基本方針に沿った内容であり、株主共同の利益を損なうものではありません。
また、当該大規模買付行為に関する当社取締役会の判断における透明性、客観性、公正性および合理性を担保するため、取締役会から独立した組織として、社外取締役および社外監査役計3名から構成される特別委員会を設置することに加え、本対応方針の継続については平成29年6月23日開催の定時株主総会でご承認をいただいており、会社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。