有価証券報告書-第77期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/21 15:32
【資料】
PDFをみる
【項目】
109項目

対処すべき課題

本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営方針及び経営環境
当社グループは、「私たちは、優れた製品とサービスを通じて、世界中の人びとの豊かで快適な住生活の未来に貢献します。」という企業理念「LIXIL CORE」を掲げ、事業を展開しております。また、「LIXIL Behaviors」として3つの行動指針「DO THE RIGHT THING(正しいことをする)」、「WORK WITH RESPECT(敬意を持って働く)」、「EXPERIMENT AND LEARN(実験し、学ぶ)」を定めております。これは、日々の仕事の中で、当社グループの従業員一人ひとりがどのように考え、行動すべきかを示したものであります。LIXIL Behaviorsを体現することで、目的意識を持ち、起業家精神に溢れた組織を作り、持続的な成長を実現してまいります。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、新経営計画(New Management Plan)を策定し、2019年5月13日に公表いたしました。この新経営計画は、これまでに築いてきた強固な事業基盤のもとで、グループ資産の有効活用を通じて成長機会の獲得や構造改革、グループ経営体制とプロセスの刷新を進めることにより、当社の潜在能力を最大限に引き出し、企業価値の向上につなげることを目指しております。
[ 背景 ]
新経営計画は、「Diversity」「Beyond」「Team Leadership」という3つの基本理念に基づき策定いたしました。
・「Diversity」とは、当社グループがこれまでの進化のステージを通じ、グローバルなブランドや先進技術をはじめ、築きあげてきた資産や人材の多様性を示しており、この多様性を活用することで、成長力を高め、企業価値の向上につなげてまいります。
・「Beyond」とは、すでに複数の戦略や施策が望ましい方向へと進捗している中で、それらの取り組みを継続するだけでなく、既存の枠組みを超えて挑戦を続けていく姿勢を示しております。
・「Team Leadership」とは、様々なマネジメントスタイルを持つリーダーが、オーナーシップと自己規律を持ち、権限委譲を図ることにより、事業規模と多様性を十分に活用することができるという考え方であります。
[ 戦略的方向性 ]
3つの基本理念に基づき、ビジネス及びマネジメントに関する戦略的方向性を明確化いたしました。注力する5つの主要領域は次のとおりであります。
<ビジネスの方向性>① Capture / 捉える
自社の既存資産を有効活用することにより、幅広いビジネス機会を捉えていきます。国内市場では、製品ラインナップや生産の最適化、シェア拡大を目指すほか、海外市場では、シャワートイレの成長戦略の推進やGROHEブランドのグローバル展開といった水回り事業の強化、ペルマスティリーザ社などの事業再生を進めます。
② Transform / 変革する
国内のチャネル強化や、グローバル全体での生産性の飛躍的な改善、新たな顧客体験やB to Bビジネス創出に向けたデジタル化の推進といった変革を推進します。
③ Create / 創造する
健康面に着目した健康増進ソリューションなど、住まいやワークスペースに新たな価値を生み出す複合的ソリューションを提供します。また、世界市場向けにウォーターマネジメントビジネスを展開するなど、革新的なビジネスモデルを通じて新たな成長を目指します。
<マネジメントの方向性>④ Re-enhance / 再強化する
コーポレートガバナンス並びにコンプライアンス体制の再構築を行うとともに、グループ経営体制を導入し、持株会社が中長期的な観点から企業価値の最大化に注力する体制を整えます。
⑤ Ahead / 将来を見据える
社内における次世代経営リーダーの育成、新しいコーポレート・レスポンシビリティ(CR)活動の推進、LIXIL Behaviors(3つの行動)などを通じたグループ内のつながりの再構築を行い、当社グループを次のステージへと導きます。
[ 財務目標 ]
当社グループは、これらの戦略的方向性に基づき、以下の財務目標を設定しております。
2024年3月期までに達成する数値目標として売上収益2兆円、事業利益率6.3%を掲げております。
(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。
0102010_001.png(注)CAGR:年平均成長率 Compound Annual Growth Rate
当社グループは新経営計画の推進を通じて、グローバルな資産の活用、先進的なビジネスモデルの構築や商品の展開を進め、持続可能な社会の発展に貢献できる企業を目指してまいります。
(特別調査委員会からの最終報告書の受領について)
当社は、2019年2月8日に「当社子会社における不適切な取引行為に係る特別調査委員会設置に関するお知らせ」において公表しましたとおり、当社の連結子会社である株式会社LIXILリニューアルにおいて、当社に対して適切な報告が行われていなかった可能性があること、及び売上高の一部を早期に計上するという不適切な会計処理を行っていた可能性があることについて、当該事象の詳細及び当社連結財務諸表への影響度を含め、事実関係解明のために特別調査委員会を設置し、また再発防止策の検討を行うため、調査を実施してまいりました。
一連の調査の結果、当社は2019年3月29日に特別調査委員会より最終報告書を受領いたしました。最終報告書においては、その他の子会社において発見された類似取引事例を含む判明事実の詳細、原因分析、再発防止策の提言及び当社連結財務諸表への影響度等が記載されております。当社としましては、本件を真摯に受け止め、既に特別調査委員会からの提言を踏まえた具体的な再発防止策を立案し順次実行に移しておりますが、今後もコンプライアンス意識の再徹底と当社グループの内部統制のさらなる強化に取り組んでまいります。
なお、本件による当社の連結財務諸表への影響は軽微であると判断し、過去の決算訂正は行わないことといたしました。