有価証券報告書-第221期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 16:34
【資料】
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【項目】
164項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、グローバル市場における競争力強化施策の実行と成長戦略の展開により、収益力と財務体質の強化を図り、お客様の視点に立ったサービスの提供をベースに、社会に一層貢献できる企業価値の高い会社を目指します。
長期的ヴィジョンとして、当社グループでは「トータル・ケーブル・テクノロジーの追求」を掲げております。
当社は、ワイヤ、ワイヤロープ及び繊維ロープとそれらの派生商品(エンジニアリング事業等)を広範に保持し、日本のあらゆる産業へ提供する中で、技術を蓄積してきました。これに加え診断技術等のソフト面やカーボンファイバー等異素材の技術開発にも取組んでおります。
これを踏まえ、当社は、ケーブルに関して様々な対応が可能な世界的にもユニークかつ競争力あるサプライヤーとして、新たな成長のステージに挑戦してまいります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、当連結会計年度を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画「TCT-Focus2020」を策定し、「国内事業基盤の強化」、「新素材・新技術への挑戦」、「海外展開」の3つをキーワードとして、全事業の活性化に取り組み、経営目標数値としては、最終年度に売上高800億円、営業利益80億円、EBITDA100億円超(いずれも連結ベース)等を目指しておりました。しかしながら、国内外における大幅な環境変化、施策の進捗遅れにより残念ながら当初数値目標から大きく乖離する結果となりました。
新中期経営計画につきましては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により策定が大幅に遅れております。基本的な考え方・目標については「TCT-Focus2020」の思想を引き継ぐものとなりますが、具体的な施策及び目標数値については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を見極めたうえで決定する方針です。
(3) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
今後当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により世界経済が減速する中で、金融情勢や資源価格の動向等、引き続き予断を許さない状況が続くものと思われます。
このような状況の中、当社グループは、「事業基盤の更なる強化」と「成長戦略の着手・実行」期間と位置付け活動してまいりました中期経営計画「TCT-Focus2020」に引き続き、現在策定中の新中期経営計画において成長戦略の遅れをキャッチアップし、持続的成長に向けて邁進する所存であります。
中期経営計画「TCT-Focus2020」の取り組みとしては、以下のとおりです。
①CFCC事業の推進について
送電線事業においては、当連結会計年度に新たにインド、ブラジル、タイで受注実績を獲得したほか、インドネシア、北米、ロシア等の市場についても、ユーザーとの共同開発等は概ね順調に進んでおります。また、北米土木事業においては,2018年に米国全州道路交通運輸行政官協会のガイドスペックが制定され、当連結会計年度において大規模橋梁のパイル用補強材を受注いたしました。当社グループとしては、2018年4月に分社化した新会社「東京製綱インターナショナル株式会社」の機動的な事業展開により、引き続き、当事業に注力してまいります。
②海外インフラ需要、新規マーケットへの積極的展開
中東諸国、ロシア、中央アジア、東南アジアへの当社防災製品の販売拡大に向けた事業活動が進捗しております。当連結会計年度において、カザフスタンでは、エセンタイ川上流の護岸工事の受注に向けて活動しております。フィリピンにおいては、同国インフラ整備計画の元、複数の道路改良工事案件を受注いたしました。
③スチールコード事業の体質転換
グローバル市場での競争が加速するタイヤコード業界において、生産品種と品質レベルでの差別化を企図しておりましたが、極細ワイヤ市場の縮小に伴いコスト削減が必須であり、他社とのアライアンスによりスマートファクトリーを目指す方針に転換しております。
④インフラ需要に対応した国内市場の確実な捕捉
鋼索鋼線、開発製品のそれぞれの業界における当社グループの高い信頼、ブランド力を活かし、「安全・防災・環境・エコ」に関するニーズが強い国内市場において、貢献度アップと収益最大化に努めてまいります。
⑤財務基盤の強化
今後も着実に利益を積み上げていくことにより、安定的な株主還元の実現と拡大を目指すと共に、更なる財務基盤の強化を図ってまります。
今後当社グループでは、以上の取り組みを通じて、変動の激しい事業環境に対応し、成長し続ける強靭な企業体質を構築し、株主・お客様・サプライヤー・従業員等様々なステークホルダーの信頼に応えられる企業となるために全力を尽くす所存であります。