有価証券報告書-第84期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/28 13:13
【資料】
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【項目】
133項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「お客さまとともに発展する」、「事業を通じた国際社会への貢献」、「創造と挑戦を実践する人づくり」、「高い倫理観と公正性に基づいた健全な企業活動を行う」、「人と地球環境を大切にする」という5つの経営理念の下、市場環境の変化とともに急速に多様化するユーザーニーズに迅速・的確に対応し、社内外の経営資源を戦略的・効率的に活用することにより、金属加工機械、金属工作機械及びこれらに関連するソフトウエア・情報ネットワークシステム・技術サービスの各事業分野で最高のソリューションを提供し続けることで、長期的な成長と社会に貢献できる会社づくりを進め、持続的な企業価値の向上に努めています。
(2)中長期的な会社の経営戦略
振り返りますと、当社グループの経営環境は、1990年以降バブルの崩壊やリーマンショックなど概ね10年に一度は予期できない景気後退の局面に直面してきました。そして今回は、新型コロナウイルスの感染拡大(パンデミック)という100年に一度の衛生上の危機に陥り、ヒトやモノの移動停止による経済活動の抑制を余儀なくされました。このように様々な要因を背景とした景気変動の影響を受ける市場に身を置く企業として、次の10年(2030年)およびその先に向けて、業界のメガトレンドや内閣府が掲げるムーンショット目標の実現を背景に想定されるリスクと機会を踏まえて、グローバルで持続可能な成長を実現する経営基盤への抜本的な変革を進めていきます。また、その成長が同時に人と地球にやさしい(社会課題を軽減する)環境を創出するとともに、「お客さまとともに発展する」という経営理念に則り、お客さま起点のニーズに基づく価値(製品やサービスを通じたソリューション)を創出・提供していくことで、社会から信頼されるモノづくりのパートナーになることを目指します。
上記を背景に、当社グループは2030年に目指す姿とその実現に向けて「長期ビジョン2030」を策定しました。具体的な長期目標・長期経営目標は以下のとおりです。
長期ビジョン
2030年に目指す姿
「シクリカル企業からの脱却と次世代モノづくりの創造」
「社会から信頼されるモノづくりのパートナー」
長期経営目標売上高 5,000億円 (FY2030目標)
ROE 安定的に10%を確保 (FY2030目標)
SDGsを意識した取り組みの強化、企業統治体制の整備

<長期ビジョン2030>当社グループは「長期ビジョン2030」の実現に向けた3つの重点項目として、「成長戦略」「ESGの推進」「資本効率の改善」を掲げ、さらに成長戦略については、以下の3つの戦略を柱とし、事業領域の拡大を確実なものとするため推進していきます。
① 環境対応ビジネス
・カーボンニュートラルに向けた社会・お客さまに価値を生み出す商品の展開
・産業構造の変化によるビジネスチャンスの拡大・環境対応型ビジネスへの変化
・働き方改革、労働環境への対応(自動化・スキルレスソリューションの展開)
② DX&サービス
・お客さまの製造現場におけるDX化・デジタル化への対応に向けた提案システム改革(新展示場の全面刷新)
・アフターサービスビジネスにおける新稼働保障体制構築によるサービス拡大
・DXによる効率化、コスト構造改革による収益性改善
③ グローバル拡大
・日本、北米、欧州の3極体制における自主独立体制構築(開発・製造)
・欧米先進国市場における地域ニーズに即した商品展開
・新興国市場での現地仕様の商品展開と新たなビジネスモデルの構築
(3)経営環境及び優先的に対処すべき課題
今後の外部環境については、長引く供給制約や部材、資源価格の高騰、これを起因としたインフレ抑制のための主要国での利上げの対応動向などに加え、ロシアのウクライナ侵攻の長期化の懸念もあり、先行き不透明な状況が続くことが見込まれます。
当社グループの主要な販売先である金属加工業におきましても、エネルギー価格の高騰や資材調達コストの増大による収益への影響が顕在化しております。こうしたモノづくりを取り巻く課題を解決するための省エネ・省力化・高効率化に対する需要は今後さらに高まっていくことが予想されます。また、リモートでの営業活動が浸透するなど、ビジネススタイルも大きく変化しつつあり、地域特性に応じたお客様ニーズの多様化も進展しております。併せて脱炭素化社会実現への貢献をはじめとするサステナビリティをめぐる諸課題への対応に注目が集まっております。
このような状況の中、当社グループは以下の施策に取り組んでまいります。
① 事業・地域戦略
・革新的な技術の開発に基づくレーザビジネスの拡大
・ロボットやソフトウエアの技術を駆使した自動化ビジネスの推進
・「V-factory」によるIoTを活用した生産性向上提案とサービス提供の促進
・リアル(既存施設)とバーチャル(Web)が融合した販売モデルの構築
・欧米市場における地域ニーズに応じた現地完結型体制の整備
・先端技術の探索に基づく新規事業への投資、アライアンスの実行
② 強固な収益体質の確立
・モノづくり改革の推進による品質・コスト・納期の追求
・製造IoT改革によるヒトに優しい最先端のモノづくりの実現
・AI分析とITを活用したサービス品質の向上と活動の効率化
③ 資産効率性の向上
・リードタイム短縮や、棚卸資産の最適化
・ノンコア資産の整理・売却
・政策保有株式の縮減
・経営基盤の強化に向けた人材育成、技術開発等のソフトへの投資拡充
④ サステナビリティ経営の実践
・脱炭素社会の実現に資する環境負荷低減に配慮した商品企画と生産体制の推進
・働き方の多様化の推進、女性活躍を後押しする人事制度の整備
・リスクマネジメント及びコーポレート・ガバナンス体制の強化
・地域社会、文化、教育、スポーツなど幅広い分野での社会貢献活動の実施
当社グループといたしましては、以上のような諸施策を着実に推進・実行することにより、強固な体制構築とさらなる企業価値の向上を図るとともに、金属加工機械の世界トップメーカーとしての地位を不動のものとしてまいります。