有価証券報告書-第70期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/22 16:53
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【項目】
67項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(当期)における業績は、売上収益が429,664百万円(3,391,193千EUR)(前期比14.1%増)、営業利益が29,391百万円(231,976千EUR)(前期比1,398%増)、税引前当期利益が24,803百万円(195,769千EUR)(前期は1,064百万円の税引前当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益が15,263百万円(120,469千EUR)(前期は7,826百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
電気自動車(EV)へのシフト、人工知能(AI)の発達、高齢化等、社会は大きく変革しております。このような変革する社会の中で重要な役割を果たし続けるため、当社グループは、5軸加工機の普及、搬送の自動化、加工や計測の工程の複合化を推進し、複雑な加工を高精度・高効率に実現できる生産工程を包括的に提供する企業を目指してまいります。
事業戦略として、コネクテッドインダストリーズ(IoT、インダストリー4.0)への対応を強化しております。独国でカールツァイス社やデュル社等と提携して、ジョイントベンチャーADAMOS(ADAptive Manufacturing Open Solutions)を設立し、同社において産業用IoTプラットフォーム「ADAMOS」を提供することで、工作機械や計測機器等生産ラインにある複数の機械のデータを一元管理し、保守や生産の計画の精度向上や機器の故障予測に活用してまいります。また、パートナー企業とのオープンイノベーションにも積極的に取組み、多くのお客様の課題である加工の段取り時間削減を実現する周辺機器を紹介しております。さらに、短納期かつ安定した品質で自動化システムを納入できるよう、ワークストッカや機内計測装置等の各ユニットのモジュール化を進め、システム導入のためのすべてを一括してサポートする「DMG MORI ワンストップサービス」を実施しております。当社グループでは、標準的な自動化案件のみではなく、お客様に合わせてカスタマイズしたシステムやターンキー案件まで幅広く対応いたします。
技術面では、アディティブマニュファクチャリング分野における技術革新をより一層推進すべく、セレクティブレーザメルティング(以下、「SLM」)に高い技術力を持つREALIZER GmbH社を子会社化し、SLMを用いたLASERTEC 30 SLMを新たに製品群として拡充いたしました。既存のパウダーノズル方式の製品に加え、新たにパウダーベッド方式の製品を取り揃えたことにより、金属ワークを生成する主要な積層造形プロセスを当社グループより提供できるようになっております。今回のSLM技術の取得により、パウダーベッド方式とパウダーノズル方式の両技術を組み合わせることで、お客様に全く新しいアプリケーションを提供することが可能となります。また、切削能力を従来の2倍に向上させた立形マシニングセンタNVX 5000 2nd Generation、自社開発の高性能主軸「MASTERシリーズ」を搭載し切削能力を大幅に向上させた高精度5軸制御マシニングセンタDMU 50 3rd Generation及び横形マシニングセンタNHX5500/6300 2nd Generationを新たに販売開始いたしました。いずれも機械性能の向上だけでなく、自動化に対応した仕様となっております。新たに販売される機械には、モニタリングやアイドリングストップ等の省エネ機能GREENmodeを標準搭載し、消費電力を大幅に削減することが可能となりました。さらに、2018年からは「MASTERシリーズ」の無償保証期間を2年から3年に延長いたします。当社グループでは、引き続きより多くのお客様に新しい技術を提案できるよう、より高機能で投資価値のある新製品を開発してまいります。
販売面におきましては、2月に独国フロンテン工場、5月に米国シカゴ、6月に伊賀、11月に独国ゼーバッハ工場、米国デービス工場、露国ウリヤノフスク工場にて自社展示会・ショールーム見学会を行い、医療業界や金型業界、航空宇宙産業をはじめとする多くのお客様からのご好評をいただきました。また、世界4大工作機械見本市である中国北京での「CIMT」、独国ハノーバーでの「EMO Hannover 2017」の他、名古屋で開催された「メカトロ テックジャパン(MECT)」に出展し、DMG MORIが実現するコネクテッドインダストリーズ(IoT,インダストリー4.0)を紹介するとともに、展示機の多くを周辺機器と組み合わせた自動化ソリューションとして展示し、豊富な加工事例やデモ加工を交えた実践的な技術ノウハウ等、お客様の生産性向上に貢献できるソリューションを多数ご提案いたしました。11月には、中国上海にテクノロジーセンタをグランドオープンし、約1,700㎡の敷地にショールーム、アカデミー、ターンキーエリア、スペアパーツ部門を整備し、中国をはじめ近隣諸国のお客様に最高の製品とソリューションを提供してまいります。
7月には、東京グローバルヘッドクォータ内に先端技術研究センターを開所し、機械学習のプログラミング、IoT、ネットワーク、クラウド等の知識を研究員に習得させ、次世代の新たな価値の創造を担う高度人材を育成してまいります。
当社グループでは、有給休暇の取得促進、コアタイム制の導入、残業ゼロに向けた意識改革、社内託児所の整備等に取り組んでおります。よく遊び、よく学び、よく働く、をモットーに今後も広い分野での社員の活躍を支援し、全社一体となって成長してまいります。
当社グループの工作機械関連の当期の受注金額は、4,483億円となり、前期比22%増となりました。10月以降に、需要好調を受けて当期の受注計画を従来の4,100億円から4,300億円以上に増額いたしましたが、結果はそれを大きく上回るものとなりました。周辺装置・テクノロジーサイクル等を含む機械本体の受注は前期比30%増となっております。受注台数の増加に加え、5軸加工機、複合加工機等の高付加価値・高機能機等の機種構成が上昇したことやソリューション提供により受注単価が向上したこと等も受注金額の増加につながりました。各市場とも需要環境は好調に推移し、国内は43%増、米州は22%増、欧州は25%増、中国を含むアジアは34%増となっております。半導体製造装置関連の需要が年間終始高水準で推移した他、年央以降ロボット、搬送装置等の自動化関連設備向けの需要が大きく伸張し、それに関連する一般機械部品企業、SMEs(Small Midium-sized Enterprises)向け需要増にも波及してまいりました。航空機、医療関連、自動車関連、建設機械関連需要も引き続き堅調に推移いたしました。エネルギー関連向けの需要のみ回復が遅れる結果となりましたが、原油価格等の商品市況は上昇に転じており、今後はエネルギー関連向け工作機械の需要も増加に転じるものと期待しております。当社グループの多機能・高生産性・高品質・提案力等の経営資源を強みにして、さらなる受注獲得を目指してまいります。
前連結会計年度当連結会計年度
売上収益(百万円)376,631429,664
営業利益(百万円)1,96129,391
親会社の所有者に帰属する当期利益
又は損失(△)
(百万円)△7,82615,263
基本的1株当たり当期利益又は損失(△)(円)△67.80116.44

セグメントの動向及び業績は以下のとおりです。なお、セグメント間の内部取引を含めております。
マシンツールでは、売上収益は443,207百万円(前期比14.1%増)となり、セグメント利益は31,407百万円(前期比169.1%増)となりました。
インダストリアル・サービスでは、売上収益は136,136百万円(前期比2.1%増)となり、セグメント利益は9,087百万円(前期比411.4%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フロー計算書
前連結会計年度当連結会計年度
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)18,23731,423
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△10,008△1,387
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△18,376△37,726
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)(百万円)△15,826△2,777
現金及び現金同等物の期末残高(百万円)67,75064,973

当連結会計年度における現金及び現金同等物は前期末に比べ2,777百万円減少し、当連結会計年度末は64,973百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、31,423百万円の収入(前期は18,237百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税引前当期利益24,803百万円、減価償却費及び償却費18,344百万円、金融収益及び金融費用4,649百万円、であり、主な減少要因は、営業債務及びその他の債務の減少9,872百万円、法人所得税の支払額9,703百万円であります。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、1,387百万円の支出(前期は10,008百万円の支出)となりました。主な増加要因は、投資有価証券の売却による収入8,001百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出5,895百万円、無形資産の取得による支出3,488百万円であります。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、37,726百万円の支出(前期は18,376百万円の支出)となりました。主な増加要因は、長期借入による収入65,372百万円、負債性金融商品の発行による収入14,838百万円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出87,489百万円、社債の償還による支出20,000百万円、自己株式の取得による支出5,251百万円であります。
(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の償却に関する事項)
日本基準ではのれん及び耐用年数を確定できない無形資産を一定期間で償却しておりますが、IFRSでは定期償却を実施しておりません。この影響により、当連結会計年度におけるIFRSの税引前当期利益は、日本基準の税金等調整前当期純利益に比べて4,546百万円増加しております。
(開発費の資産化に関する事項)
日本基準では社内開発費の全額を費用処理しておりますが、IFRSでは社内開発費のうち、一定の要件を満たした部分について資産計上しております。この影響により、当連結会計年度におけるIFRSの税引前当期利益は、日本基準の税金等調整前当期純利益に比べて338百万円増加しております。
(退職給付に係る調整累計額及び費用に関する事項)
[退職給付に係る調整累計額]
日本基準では退職給付に係る負債の純額(数理計算上の差異)の増減による資本の増減影響はその他の包括利益累計額に表示しておりますが、IFRSではその他の資本の構成要素に認識した上で利益剰余金に振り替えております。この影響により、当連結会計年度末におけるIFRSのその他の資本の構成要素及び利益剰余金は、日本基準のその他の資本の構成要素及び利益剰余金に比べてそれぞれ129百万円増加し、同額減少しております。
[退職給付に係る費用]
日本基準では退職給付に係る負債の純額(数理計算上の差異)について一定期間で償却しておりますが、IFRSでは定期償却を実施しておりません。この影響により、当連結会計年度におけるIFRSの税引前当期利益は、日本基準の税金等調整前当期純利益に比べて40百万円増加しております。