有価証券報告書-第67期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/19 15:01
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(当期)の工作機械業界における引合・受注の環境は、欧州経済の先行きや原油安によるエネルギー関連需要の失速等懸念材料はあるものの、安定的な円安基調を背景に企業の高い設備投資意欲に支えられ、日本工作機械工業会が発表した平成26年度の工作機械受注実績が前年度比で31.0%増加する等受注環境は引き続き堅調に推移しております。当社グループにおいても、日本や米州を中心とした堅調な受注を背景に、今後も当期以上の受注の拡大が期待できるものと考えております。
このような経営環境下において、平成26年7月には東京都江東区潮見に「東京グローバルヘッドクォータ」をグランドオープンいたしました。全世界の営業・サービスを統括する機能に加え、1階の東京ソリューションセンタでは、DMG MORIの最新鋭の工作機械を常時約30台展示し、新しい加工技術をお客様と共同開発する場を設けております。また、加工スクールの開催によりお客様に最先端の加工技術を習得していただきます。空港からのアクセスの良さ等地の利も活かし、国内のみならず、アジアを中心とした海外のお客様をサポートしてまいります。
5月に伊賀事業所で開催した「IGA INNOVATION DAYS 2014」、9月に米国シカゴで開催された「IMTS 2014」、独国シュツットガルトで開催された「AMB 2014」、10月から11月にかけて東京で開催された「JIMTOF 2014」、平成27年2月に独国DMG MORI SEIKI AKTIENGESELLSCHAFT(以下、「AG社」)のフロンテン工場で開催されたオープンハウスにおいて、革新的な新オペレーティングシステム「CELOS」を搭載し、主軸の性能及び信頼性を向上させ、基本構造を強化して世界最高性能とした高精度・高速横形マシニングセンタ「NHX 4000」、「NHX 5000」の第2世代モデル、アディティブマニュファクチャリングを高精度5軸マシニングセンタに融合させた積層造形機械「LASERTEC 65 3D」、新デザインコンセプト機のCNC旋盤「NLX 4000」、「NLX 3000」といった最新鋭の工作機械を多数展示し、目標を上回る受注を獲得しております。また、伊賀事業所に新たに開設したエクセレンスセンタでは、「Automotive(自動車)」、「Aerospace(航空機産業)」、「Medical(医療分野)」の3分野に特化した機械の展示を行い、加工や治具の搭載、搬送システムの導入等の各種事例を紹介し、お客様の生産効率をさらに向上するアプリケーションを提案しております。
製品面では上記の他、8月に自動車のシリンダブロックとシリンダヘッドの加工に最適な主軸40番テーパでターゲットワークに特化した設計を行うことで省スペースと高速加工を可能とし、単位面積当たりの生産性を大幅に向上することで、自動車関連のお客様のグローバル展開及び新興国を中心とした自動車産業の拡大に貢献する、量産部品加工用高速横形マシニングセンタ「i 50」、10月に「CELOS」の搭載、自動化への対応、高精度及び省エネルギー等の最新技術を1台の機械に集約した次世代の工作機械「NTX 1000」の第2世代モデル、従来機より機械剛性が向上し、切削加工とミーリング加工において安定した高い切削能力を発揮する4軸複合加工機「NZX 4000」の販売を開始いたしました。「CELOS」及び当社のセンシング技術、データ分析技術等は、Industry4.0、IoTに対応する主な要素技術として注目を集めております。
平成26年10月には、株式会社アマダの100%子会社である株式会社アマダマシンツールの一部である旋盤事業について、譲受けることを決定しております。譲受けの対象となる旋盤事業は、超高精度小型旋盤を中心に自動車部品、光学業界向に汎用製品のみならず特殊機対応にも積極的に取り組み、お客様ニーズに対応するビジネスを推し進め、ワシノブランドを確立しております。ワシノの技術・品質・ブランドに当社の強固なグローバル販売、エンジニアリング、サービス体制網等の経営資源を活用することで、当該事業の価値を大きく向上させることができるものと考えております。
当社の資本・業務提携先であり、持分法適用関連会社であるAG社に対して、議決権比率をこれまでの26.5%から連結企業として一体経営に必要な50%超に引き上げることを目的にドイツ法に基づく公開買付けを行うことを1月に公表し、実施してきました。4月13日に当初買付け期間に続く追加買付け期間が終了し、本公開買付けの買付け期間が全て終了しました。4月30日までに関係する各国の独占禁止法及び競争法の承認が得られ、5月7日に応募株式の決済を行い、当社及びDMG MORI GmbHによるAG社株式の議決権所有割合は52.54%となり、AG社は当社の連結対象会社となります。今後も引き続き、対等の精神で企業の統合を加速します。
また、国際会計基準(以下、「IFRS」)を従来の日本基準に替えて任意適用すること及び、平成27年6月開催の第67回定時株主総会で承認されたことにより、決算期を3月末から12月末へ変更を行います。IFRSを導入することにより、財務情報の国際的な比較可能性の向上、グループ内の会計処理の統一を図り、ステークホルダーの皆様の利便性を高めてまいります。
こうした状況のもとで、連結売上高は174,660百万円(前期比8.7%増)、連結営業利益は14,236百万円(前期比52.1%増)、連結経常利益は20,354百万円(前期比81.0%増)、連結当期純利益は15,216百万円(前期比61.1%増)となりました。
前連結会計年度当連結会計年度
売上高(百万円)160,728174,660
営業利益(百万円)9,35714,236
経常利益(百万円)11,24520,354
当期純利益(百万円)9,44215,216

なお、セグメントの動向及び業績は以下のとおりです。
日本では、自動車、産業機械関連の受注が好調に推移いたしました。その結果、売上高は135,135百万円(前期比4.6%増)となり、セグメント損益は10,606百万円のセグメント利益(前期比68.8%増)となりました。
米州では、自動車、航空機、医療関連で受注が引き続き好調に推移いたしました。その結果、売上高は65,301百万円(前期比17.7%増)となり、セグメント損益は905百万円のセグメント利益(前期比34.2%減)となりました。
欧州では、航空機関連を中心に受注が好調に推移いたしました。その結果、売上高は37,660百万円(前期比11.5%増)となり、セグメント損益は1,498百万円のセグメント利益(前期比53.0%増)となりました。
中国では自動車、金型関連を中心に、アジアでは、自動車、電気機械関連を中心に引合・受注が堅調に推移いたしましたが、売上高は22,601百万円(前期比1.4%減)となり、セグメント損益は1,252百万円のセグメント利益(前期比87.5%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フロー計算書
前連結会計年度当連結会計年度
営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)5,90611,539
投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)△17,527△58,427
財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)23,91449,385
現金及び現金同等物の増減額(百万円)12,6242,755
現金及び現金同等物の期末残高(百万円)18,91621,408

当連結会計年度における現金及び現金同等物は前期末に比べ2,492百万円増加し、当連結会計年度末は21,408百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
・営業活動によるキャッシュ・フロー
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、11,539百万円の収入(前期は5,906百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益20,963百万円、減価償却費6,804百万円、仕入債務の増加5,435百万円であり、主な減少要因は、売上債権の増加1,827百万円、たな卸資産の増加11,567百万円、持分法による投資利益3,503百万円、為替差益2,644百万円であります。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、58,427百万円の支出(前期は17,527百万円の支出)となりました。主な減少要因は、関係会社株式の取得による支出50,634百万円、有形固定資産の取得による支出6,868百万円、無形固定資産の取得による支出1,668百万円であります。
・財務活動によるキャッシュ・フロー
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、49,385百万円の収入(前期は23,914百万円の収入)となりました。主な増加要因は、短期借入金の純増加額48,065百万円、長期借入による収入20,000百万円であり、主な減少要因は、社債の償還による支出15,000百万円、配当金の支払額3,192百万円であります。