有価証券報告書-第67期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/19 15:01
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136項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高
当連結会計年度における売上高は、174,660百万円(前期比8.7%増)となりました。セグメント別の売上構成比は、日本31.7%、米州36.2%、欧州19.6%、中国・アジア12.5%となっております。増収の主たる要因は、前年に引き続き年度を通じて需要が好調であった米州に加え、日本・欧州でも需要回復があったことによります。
②売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度における売上原価は、112,189百万円(前期比4.4%増)となりました。売上高に対する売上原価の比率は2.7ポイント下落して64.2%となりましたが、これは円安進行等の影響によるものです。
また、売上高の増加に伴い、販売費及び一般管理費は48,233百万円(前期比9.9%増)となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、0.3ポイント増加して27.6%となりました。これは、売上の増加に伴い、運賃5,383百万円(前期比12.6%増)、給与・賞与金14,708百万円(前期比12.2%増)、研究開発費3,872百万円(前期比15.1%増)をそれぞれ計上したためであります。
③営業損益
当連結会計年度における営業損益は、主として売上高の増加により、14,236百万円の営業利益(前期比52.1%増)となりました。セグメント別の利益は、日本は10,606百万円のセグメント利益(前期比68.8%増)、米州は905百万円のセグメント利益(前期比34.2%減)、欧州は1,498百万円のセグメント利益(前期比53.0%増)、中国・アジアは1,252百万円のセグメント利益(前期比87.5%増)をそれぞれ計上しております。
④営業外損益
当連結会計年度における営業外損益は、前連結会計年度の1,888百万円の収益(純額)から、6,118百万円の収益(純額)となりました。主な要因は、為替差益3,662百万円、持分法による投資利益3,503百万円等が計上されているためであります。
以上の結果、経常損益は20,354百万円の経常利益(前期比81.0%増)となりました。
⑤特別損益
当連結会計年度における特別損益は、前連結会計年度の130百万円の収益(純額)から、609百万円の収益(純額)となりました。主な要因は、関係会社株式売却益230百万円、事業分離による移転利益162百万円等が計上されているためであります。
⑥当期純損益
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、20,963百万円(前期比84.3%増)を計上しております。
また、税効果会計適用後の法人税等負担額は5,486百万円となり、前連結会計年度の1,829百万円から3,656百万円増加しております。
少数株主利益260百万円を計上した結果、当期純利益は15,216百万円(前期比61.1%増)となりました。
(2) 経営成績に重要な影響を与える要因について
現在の経済環境は、中国経済の成長率鈍化や原油価格下落によるエネルギー産業の設備投資縮小などの不安要素はあるものの、米州は高水準の受注を維持していることに加え、日本は需要が強く、欧州も緩やかな受注増加傾向にあることから、良好な受注環境が持続すると見込まれます。こうした世界各地域における設備投資動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与えるものと考えております。
(3) 戦略的現状と見通し
グローバル市場における経済発展の段階的差異、金融問題、為替変動、自然災害、地政学的リスク等を背景に、製造業をとりまく生産革新、経営リソースの再配置は新たな局面を迎えております。それとともに、お客様の工作機械メーカーに対する要望も、高精度、高機能の機械の提供はもちろんのこと、オペレーションの支援、エンジニアリング、教育、アフターサービスの充実へと範囲が広がりつつあります。当社グループにおいては、65年以上にわたって蓄積してきた専門技術や強靭な営業・サービスネットワークを駆使し、事業環境の変化、お客様ニーズの変化に対応してまいります。
当社とAG社は、平成21年3月より販売、開発、購買、生産等の各分野での連携を進めてまいりましたが、さらに企業価値を創出するためには、資本面においても両社が一体となって運営されることが最善であるとの結論に至り、平成27年1月22日に当社連結対象会社(DMG MORI GmbH)によるAG社に対する公開買付けの実施を発表しました。この公開買付けにより、当社によるAG社の議決権保有比率は52.54%となり、各国の独占禁止法及び競争法の承認を得て、両社の経営統合が実現しました。
製品展開においては、AG社との提携により、製品ラインアップを拡充し、また小型マシニングセンタ「MILLTAP 700」や空間精度を飛躍的に向上させた5軸機「DIXI 210」を共同開発するなど、新しいお客様の獲得を目指しております。また、株式会社アマダの100%子会社である株式会社アマダマシンツールより事業を譲受けてDMG森精機ワシノ株式会社が事業を開始し、小型旋盤のラインアップをますます充実させてまいります。さらに、アディティブマニュファクチャリングを高精度5軸マシニングセンタに融合させた「LASERTEC 65 3D」を開発し、金属3Dプリンタ市場へ参入を果たしております。今後、AG社と機種統合、部品の共通化を進める一方、アプリケーションを駆使したソリューション提供により、成長を図ると同時に収益性改善に努めてまいります。
生産体制については、今までどおり国内工場をマザー工場と捉え、品質改善、生産性向上に努めております。一方、需要地ニーズへの迅速な対応、為替変動リスクの低減を目的に需要地での生産対応を進め、平成24年11月には北米工場をグランドオープンしました。北米で需要の高い横形マシニングセンタの生産は軌道に乗り、現地の需要にあわせて生産機種の拡大を図っております。平成25年11月には中国に天津工場をグランドオープンし、生産を徐々に拡大しつつあります。また、鋳物加工を実施し、当社の日本工場へ供給を行っており、コストメリットを活かした鋳物の供給拠点として活用してまいります。AG社との協業により日本・北米・欧州・中国という世界4極生産体制を構築しました。今後も需要地生産、納期短縮を含め、お客様によりよい製品とサービスを提供してまいります。
販売展開においては、AG社との販売統合により、顧客数、ソリューション、サービスの提供等の面で、業界における圧倒的な地位を確立しつつあり、両社でより強固な販売、サービス体制を構築してまいります。またマーケティング、直販に強みを持つAG社の営業系システムを活用し、効率的かつ効果的な営業活動を展開し、お客様との関係をより強固なものにしてまいります。
以上の経営方針のもと、顧客価値創造を実現し、事業規模、収益性、財務基盤において、業界内における競争優位を確立し、企業価値向上に努めてまいります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本の財源及び資金の流動性についての分析については「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照ください。