四半期報告書-第43期第3四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

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2018/11/13 15:08
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)が判断したものであります。
当社は、平成29年6月29日開催の第41回定時株主総会で「定款一部変更の件」が承認されたことを受け、平成29年度より決算日を3月31日から12月31日に変更いたしました。これに伴い、平成29年12月期第3四半期連結財務諸表を作成していないため、平成30年12月期第3四半期の対前年同四半期増減率及び平成29年12月期第3四半期連結経営成績(累計)については記載しておりません。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間のわが国経済は、輸出及び生産活動は自然災害等の影響もあり弱含んでいますが、個人消費の持ち直しや設備投資の増加により緩やかな回復が継続しました。海外経済においては、米国経済は法人税減税による企業業績の改善や雇用情勢の改善等を背景に好調に推移したほか、欧州でも底堅い個人消費により景気回復が継続しました。中国経済は米国との貿易摩擦の影響により輸出が鈍化するなど減速基調が見られました。アジア経済は濃淡はありますが回復基調が継続しました。米国や中国での通商政策の影響、地政学リスクなどの懸念材料もあり、先行きは不透明な状況にあります。
当社グループが属する機械業界においては、国内では、自動車、半導体、電子部品関連を中心に引き続き需要が堅調に推移したほか、6月末に採択されたものづくり補助金も追い風となり全体の需要を牽引しました。海外は米国及び欧州では自動車や航空宇宙関係を中心に堅調に推移しました。中国では、自動車関連からの需要は底堅いものの、米国との貿易摩擦の先行き懸念もあり設備投資に慎重さが見られました。アジアは引き続き堅調に推移しました。
このような事業環境の中、当社グループでは国内外の展示会に出展しソディックブランドの強化に取り組みました。海外では、6月に中国・上海で開催されたDMC2018(中国国際金型技術と設備展覧会)や、9月にシカゴにて開催されたIMTS2018(シカゴ国際工作機械見本市)に出展し、シェア拡大に向け積極的な営業活動を展開しました。
また、需要増加に対応するため生産体制の強化を進めております。海外では、タイの第2工場を増設し増産体制を構築しております。国内では、加賀事業所(石川県)において市場の変化に柔軟に対応できる生産体制を構築するため、放電加工機、マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、射出成形機など、多種多様な製品の生産が可能なマルチファクトリーの建設を進めております。また、北米及び上海での営業拠点を整備し営業体制を強化したほか、英国営業拠点の新オフィスの建設を進めております。横浜本社では、5月中旬に研究開発棟の建設工事が完了し、金属3Dプリンタ関連の研究開発、新電源、次世代CNC等の要素技術の開発を強化しております。
当社グループの業績は、国内では、自動車、半導体、電子部品関連を中心に引き続き需要が堅調に推移しました。米国では、航空宇宙関係の需要にやや停滞感が見られたものの自動車や医療機器関連を中心に堅調に推移しました。欧州では、トルコは依然として停滞感が見られましたが、自動車産業を中心にドイツ、イタリア、イギリスなどが牽引し総じて堅調に推移しました。中国では、ものづくりの高度化、自動化対応等の影響もあり、自動車関連の需要は底堅いものの、米国との貿易摩擦の影響により足元では設備投資を様子見する動きが見られています。アジア地域においてはスマートフォン関連に一服感が見られました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高625億77百万円、営業利益82億53百万円、経常利益80億88百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は56億32百万円となりました。
セグメントの業績は以下のとおりであります。
[売上高の内訳] (単位:百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 平成30年1月1日
至 平成30年9月30日)
※参考:前年同一期間
(自 平成29年1月1日
至 平成29年9月30日)
工作機械事業45,11739,751
産業機械事業7,7369,269
食品機械事業4,9342,461
その他4,7894,061
売上高 合計62,57755,543

[セグメント利益の内訳] (単位:百万円)
当第3四半期連結累計期間
(自 平成30年1月1日
至 平成30年9月30日)
※参考:前年同一期間
(自 平成29年1月1日
至 平成29年9月30日)
工作機械事業8,0335,912
産業機械事業6041,199
食品機械事業618△115
その他931685
調整額△1,935△1,943
営業利益 合計8,2535,738

※前年同一期間は当第3四半期連結累計期間(平成30年1月1日から9月30日)に対応する前年の同一期間(平成29年1月1日から9月30日)で、全社の連結対象期間を統一し調整した数値です。
<工作機械事業>当社の最大市場である中国では、ものづくりの高度化や自動化対応、電動化が進む自動車関連、半導体関連を中心に販売は伸長しましたが、スマートフォン関連向けの縮小と米中貿易摩擦による投資判断の先送りなどにより足元では減速感が見られています。米国は自動車関連を中心に、国内では自動車及び半導体関連が引き続き堅調となりました。欧州ではドイツ、イタリア、イギリスを中心に、自動車、航空宇宙関連で需要が見られ、その他アジア地域も、タイ、インド、マレーシアなどは自動車関連を中心に底堅く推移しました。
上記の結果、当事業の売上高は451億17百万円、セグメント利益は80億33百万円となり、生産性の向上により高い収益性を確保いたしました。
<産業機械事業>日本においてはコネクタやセンサー部品など自動車関連の需要は引き続き堅調に推移しました。北米についても医療機器関連を中心に堅調な需要が継続しました。しかしながら、中国及びアジアでは足元での需要に一服感があり、販売は伸び悩みました。
上記の結果、当事業の売上高は77億36百万円、セグメント利益は6億4百万円となりました。
<食品機械事業>食品機械事業は、各種製麺機、麺製造プラント、包装米飯製造装置などの開発・製造・販売、その保守サービスを行っております。中国での大口案件を含め、高品質な調理麺の製造設備需要が引き続き堅調に推移したほか、包装米飯製造装置の需要も国内及びアジアで継続して増加するなど、好調な市場環境が継続しています。
上記の結果、当事業の売上高は49億34百万円、セグメント利益は6億18百万円となりました。
<その他>その他は、精密コネクタなどの受注生産を行う精密金型・精密成形事業、リニアモータやセラミックス部材など独自の技術を活かした製品及びLED照明機器の開発・製造・販売を行う要素技術事業から構成されております。精密金型・精密成形事業は、金属3Dプリンタで造形した金型及びその専用射出成形機を使った高精密金型成形の開発に取り組んでおります。また、セラミックスの販売も半導体製造装置向けを中心に好調に推移しました。
上記の結果、当事業の売上高は47億89百万円、セグメント利益は9億31百万円となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、30億17百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては内外の市場動向が挙げられます。米国の通商政策及び欧州の政治情勢、東アジアでの地政学リスクのほか、欧米等での金利引き上げに伴う為替変動リスクなどが懸念されるものの、グローバルにものづくりが発展していく中で、設備投資需要は継続的に拡大していくものと見ています。その中でも、当社の主要な仕向け先である自動車産業における軽量化への対応、電装化、次世代自動車へのシフトに加え、スマートフォンの高機能化の動きもあり、高精度機のニーズはさらに高まっていくことが予想されます。
こうした中、工作機械事業及び産業機械事業におきましては、日本・欧米などの成熟市場と中国市場、東南アジアをはじめとする新興国市場それぞれに応じた事業展開を推進しております。成熟市場においては、競争力のある製品を投入しシェアアップを図るとともに、既存の納入機のユーザーへの継続的な技術指導や保守メンテナンスを通じて、更新需要の取り込みや周辺機器及び消耗品の販売強化を図ってまいります。中国市場及び新興国市場においては、市場のニーズを反映した低価格機種の開発、販売を強化するとともに、拠点整備などを推進し、収益力の確保を図っております。当社グループは、グローバル市場におけるリスクへの対応力を高め、特定の業種や地域の需要環境に依存しない、安定した収益構造を目指してまいります。
また、次世代のものづくりを担う金属3Dプリンタを新たな成長ドライバーに事業の拡大を図っております。金属3Dプリンタにおいて、加工速度・加工精度の向上、製品ラインナップの拡充、対応する金属粉の種類の充実など、研究開発に力を入れ販売を強化しています。従来のOPMシリーズに加え、エントリーモデルである「LPM325」の開発により、金型だけでなく部品加工の分野まで裾野を広げることでさらなる需要の創造、拡大を目指してまいります。ものづくりのすべての工程が当社グループの技術のみで完結できるワンストップソリューションの強みを活かし、「プラスチック成形革命」をキーワードに、金型製造リードタイムの短縮や生産コストの削減に加え、金属3Dプリンタで製造した金型専用の射出成形機「MR30」を活用して成形サイクルの短縮を実現してまいります。
産業機械事業においては、海外売上高比率の向上を図るため、マーケットニーズの高い全電動射出成形機「MSシリーズ」のラインナップを拡充し、新興国などのボリュームゾーンでの販売拡大を図ってまいります。また、軽量化が求められる自動車業界向けを中心にアルミニウム合金対応の射出成形機「ALM450」を従来のダイカストマシンにかわる製品となるよう取り組んでおります。
さらに、景気動向に左右されにくい事業ポートフォリオ構築を目指し食品機械事業にも注力してまいります。国内市場では、調理麺の品質向上を目的とした設備の導入、海外市場においては膨大な人口と豊かな食文化をもつ中国の存在、日本食ブームの高まりなど、食品機械事業の成長性は非常に高いと言えます。加えて製麺機の技術を応用して、製菓業界や包装惣菜業界など製麺業界以外への展開や新たに立ち上げた包装米飯製造装置の国内外での販売先の拡大を進めております。今後は放電加工機と同様、食品機械業界のリーディングカンパニーとなることを目指し、事業の拡大に取り組んでまいります。
当社グループは従来から放電加工機等をネットワークに接続し活用するアプリケーションソフトウエアを提供してまいりましたが、近年のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)やインダストリー4.0(ドイツ政府が推進する製造業の高度化・デジタル化)などの動きを踏まえ様々な取り組みを推進しています。当社では、金属3Dプリンタで造形した金型専用の射出成形機「MR30」を用いた金型の自動交換システム「ICF-V」を開発し、射出成形のIoTを具現化したスマートファクトリーを提案しています。成形機への金型の装着から材料乾燥・供給、成形品の製造、金型交換までを完全無人化・自動化を実現できるシステムであり、ネットワークに接続された機械の各情報を活用し、監視、保守、制御、分析することで、工程の見える化を実現できます。今後もさらなる生産性向上、生産自動化など、様々な取り組みを強化してまいります。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループのメイン事業である工作機械及び産業機械事業の業績は、製造業の設備投資動向に依るところが大きく、景気変動の影響を強く受けます。これに対し、当社グループでは、景気による影響が比較的少ない食品機械事業などの事業を拡充するほか、要素技術事業で新たな顧客を獲得し、景気変動リスクの低減を図ってまいります。さらに、研究開発の成果等によって新しい事業を興し、リスク分散を図り、安定した事業ポートフォリオの構築を図ってまいります。
また近年、地震のような自然災害、火災、大規模なシステム障害などにより事業継続が困難になる事象が相次いでおります。当社グループでは、そのような危機に直面した場合でも、被害を最小限に抑え、事業継続を確実にするため、事業継続計画を策定し運用しています。生産能力の分散化を図るなど災害に強い生産体制の再検討・再構築を図ってまいります。また、地球温暖化など急激な環境変化を背景に、持続可能な社会に貢献する事業活動の重要性が高まっております。当社グループは、次世代自動車や車両の軽量化など環境負荷低減の取組みにも積極的に関与し、地球環境に配慮したものづくりを通し、サスティナブルな社会に寄与する事業展開を推進してまいります。