有価証券報告書-第45期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

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2021/03/30 13:05
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事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。当社グループとしては、これらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も合わせて慎重に検討した上で行なわれる必要があると考えております。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点はご留意ください。
なお、文中における将来の事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
景気変動に関するリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>当社グループの工作機械及び産業機械事業の業績は、自動車、電気・電子部品、半導体、航空宇宙、医療機器、その他の業界の業績、設備投資動向に大きく影響を受ける傾向があります。また、世界同時不況のような状況に陥った場合は、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性があります。
<当社の対応>当社グループでは、景気変動による影響が比較的少ない食品機械事業などの事業を拡充するほか、要素技術で新たな顧客を獲得し、景気変動リスクの低減を図っております。さらに、研究開発の成果によって新しい事業を興し、リスク分散を図り安定した事業ポートフォリオの構築を図ってまいります。
また、地道な原価低減活動や調達先の見直し等を継続するとともに、自動化・省人化などの生産技術を積極的に展開し、5GやIoT、AIといった最新技術を取り入れながら、市場の変化により柔軟かつ効率的に対応できる生産体制の構築をめざしています。
新規事業に関するリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>当社グループは、『世の中にないものは自分たちで創る』という開発理念のもと、お客様のご要望に耳を傾け、どんな困難な技術課題にも挑戦し克服し、問題を解決しており、創業以来放電加工機や高精度マシニングセンタ、金属3Dプリンタ、独自技術のV-LINE®方式を用いた射出成形機、製麺装置などの食品機械など様々な製品を開発してきました。技術革新及び市場のニーズへの対応や将来の持続的成長に向けて、今後も常に新製品を市場に投入する必要があります。
しかし、その新しい製品をお客様に理解して頂き、売上高・利益の増加に貢献するまでには、時間を要する場合があり、そのような場合には、研究開発費、販売促進費などの費用は、その回収に先行して発生するため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
<当社の対応>当社では、世界最高水準の加工精度、加工速度とお客様が求める多様な機能の拡充をめざして、日本・中国・北米の世界3極の研究開発体制を敷き、最先端技術の研究及び市場動向のマーケティングを行うほか、大学、研究所、学識経験者とも協働して、技術開発・新製品開発に取り組んでおります。また、ESGを重視して省エネルギー・省資源・脱プラ等に貢献する環境配慮型製品の開発を積極的に推進しています。
人材の確保及び育成に関するリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>当社グループが今後も成長を続けていくためには、高度な専門技術を持ったエンジニアや、経営戦略やグローバルな組織運営等のマネジメント能力に優れた人材の確保、育成が重要であると考えております。また、従業員の世代交代が進む中、当社グループにて長年培ってきた高度な技術・技能を有する人材から次世代を担う若手技術者へのコア技術の伝承も非常に重要な課題だと認識しております。しかし、必要な人材を継続的に獲得し、定着させるための競争は厳しく、日本国内では少子高齢化や労働人口の減少、また中国やタイ等の海外拠点においても雇用環境が急速に変化するなど、当社が求める人材の獲得及び育成が計画通りに進まなかった場合、当社グループの将来の成長に影響を及ぼす可能性があります。
<当社の対応>高度な専門技術を持ったエンジニアや、経営戦略やグローバルな組織運営等のマネジメント能力に優れた人材の確保・育成においては、積極的な採用活動を行い優秀な人材の獲得に努めるほか、入社後の体系的な人材育成や幹部研修、階層別研修等を通した人材育成にも注力しています。また、2020年4月よりこれまでの人事制度を抜本的に改革した新人事制度の運用を開始し、社員それぞれのキャリア志向・特性に応じたキャリア形成を目指しています。

為替相場の大幅な変動によるリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>当社グループにおける海外売上高の連結売上高に占める割合は60%以上あり、それぞれの国の経済状況に大きく依存します。また、海外との取引は米ドル、ユーロ、人民元等で決済されており、為替変動によっては、業績に影響を与える場合があります。特に工作機械事業において主要製品の約半数をタイ国の現地法人が製造しているため、タイバーツにおける対円・対米ドル為替相場の大幅な高騰が発生すると製品の製造コストの増大につながり、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。
<当社の対応>当社グループでは、従来より主要製品等の海外生産を進め、海外販売比率も約6割にのぼっており、為替レート変動による利益面への影響は、収益と費用の相殺効果により限定的となる生産・販売体制を取っております。
また、米ドル、ユーロなどの主要通貨に対しては為替予約による為替ヘッジを行うなど、為替レート変動の影響低減に向けた取り組みを推進しております。また、当社における外貨建ての商流等を精査した上で、必要に応じて為替予約の適用範囲を拡大してまいります。
海外事業におけるリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>当社グループはグローバルに事業を展開しており、主要製品の大半を海外にて生産しており、海外売上高比率も約60%を占めております。特に中国市場における売上高は40%弱を占めるなど依存度は高まっています。当社グループが事業活動を展開する国や地域において、予期しない法律または規制の変更、不測の政治体制または経済政策の変化、テロ・戦争・天災・その他の要因による社会混乱などが発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
<当社の対応>当社では他社に先駆け中国へ進出し、生産工場の設立や販売網の拡充を行ってまいりましたが、中国国内販売は中国国内生産にて賄うなど地産地消の体制を整備して、為替変動や各種規制等による影響低減を図っております。
その他の地域につきましては、マーケットシェアが高い日本・中国・アジア地域に対し、今後シェア拡大が見込める欧米地域ではテックセンターを活用した販売体制及び顧客サポート強化を進めます。また、成長が期待できるインドなど新興国でも販売拠点の整備などを推進し、中国市場への依存度を低減し地域別売上高比率の最適化を目指してまいります。
法的規制のリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>当社グループの技術及び製品(以下、「製品等」という)については、外国為替及び外国貿易法第25条及び第48条により、輸出等が規制されています。万が一、製品等が懸念される国や需要者等へ違法に販売された場合、法的な制裁や社会的な信用の失墜などで業績に影響を与える可能性があります。
<当社の対応>当社グループとしては、輸出管理室において製品等が違法に輸出されないよう常に十分な注意を払い、管理しています。また、その他の法的規制の動向に関しても情報収集を行い、社内共有等を通じて法令遵守の徹底に努めております。

情報セキュリティのリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>当社グループは、事業活動を通して個人情報を入手することがあるほか、営業上・技術上の機密情報を保有しております。これらの情報に関して、サイバー攻撃、コンピューターウイルスの感染、不正アクセス、インフラ障害、情報システムの不具合などにより情報が流出した場合や重要データの破壊、改ざん、システム停止など不測の事態が生じた場合には、当社グループに対する社会的信用の低下や事業活動の中断、対策費用の発生、多額の課徴金の支払い、取引の停止などにより、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
<当社の対応>当社グループでは、適切なIT技術対策や社内体制の整備、従業員への教育などにより、営業上・技術上の機密情報の厳格な管理に努めています。社内標準端末としてシンクライアント利用の徹底に加え、IT資産管理・内部情報漏えい・サイバー攻撃等への対策として、総合型のセキュリティ管理ツールを導入するなどの対策を講じております。更なるセキュリティ体制強化に向け、定期的な第三者機関による脆弱性診断等も実施してまいります。
特に新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワーク実施者の増加に合わせて、情報セキュリティの強化に努めています。
企業の社会的責任に関するリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>当社グループは、社会の持続可能な発展のために、地球環境への配慮・労働環境の整備・人権の尊重など企業の社会的責任を重要な経営課題と認識し、社是「創造」「実行」「苦労・克服」の精神に基づき、お客様の「ものづくり」をサポートすることによって、その実現に向けた取り組みを行っております。しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、事業活動において、環境汚染、労働災害の発生等の労働安全衛生に係る問題、または特定の労働者への差別等の人権に係る問題等が生じた場合、当社グループの社会的な信用が低下し、顧客からの取引停止、または一部事業からの撤退等により、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
<当社の対応>当社グループでは、社会的要請の変化を踏まえ、2017年に代表取締役社長を委員長とする「CSR推進委員会」を設置し、体系的にコンプライアンス、社会貢献、人材育成、品質管理、環境など重要なテーマに対する取り組みを継続しております。また、当社グループは、次世代自動車や車両の軽量化など環境負荷低減に向けたものづくりにも積極的に関与することで、地球環境に配慮したものづくりを通し、サスティナブルな社会に寄与する事業展開を推進しています。
競合環境に関するリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>国内外に競合企業が存在する中で、他社の技術により当社グループの技術でカバーできる範囲を大きく超えた製品が開発された場合、当社は市場占有率を失う可能性があります。また、当社グループに関しましては、競合他社とは、技術力で差別化する戦略をとっておりますが、他社の値下げ攻勢により、当社グループ製品の販売価格も引き下げざるを得ない状況になった場合、利益を圧迫する可能性があります。
<当社の対応>当社グループでは、競合他社に対し技術力で差別化する戦略をとっており、工作機械事業においては、NC装置やリニアモータ、セラミックスなど製品の重要な基幹部品を内製化することにより、機械の性能を最大限向上させてまいりました。また、納入後のアフターサービスの強化や自動化・IoT等のソリューション提供等によりお客様のものづくりを一貫してサポートできる体制を取ることで、競合他社に勝るサービスを展開してまいります。

原材料の価格及び調達に関するリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>機械の主要構造体である鋳物や加工タンクなどに使用されるステンレス材、消耗品等に使われる真鍮や銅等の価格の高騰が長期化した場合、当社製品の原価に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、受注の一時的集中や天災等の影響による仕入先の部材供給能力低下などで、部材の需要量が供給量を大きく超えた場合、生産数量の不足から受注機会の損失が生じる可能性があります。
<当社の対応>当社では、調達基本方針を定めており、サプライヤー様との相互理解と信頼関係を構築したうえで、品質・価格・安定性など適正な基準に基づき、最適な部品をグローバルに調達しております。安定した部材調達を目指すべく、国内外の複数の調達ルート・サプライヤー様を確保することで調達先を分散し部材の供給不足や材料費・物流費等の高騰へのリスクに対応しております。また、サプライチェーン全体のリスクを把握するため、サプライヤー様の事業継続計画(BCP)策定状況を調査しており、その調査結果を踏まえた上で、当社のBCPの診断・維持・更新を行っています。
災害等に関するリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>当社グループの工場、事業所などにおいて、大きな産業事故、地震・津波・水害等の自然災害、戦争・テロ・暴動等の人為的災害、感染症の流行など各種災害が発生した場合には、部材調達、生産活動、製品の販売活動などの遅延や中断などによって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
<当社の対応>当社グループでは、被害を最小限に抑え、事業継続を確実にするため、事業継続計画(BCP)を策定し運用しています。生産拠点の分散化による災害に強い生産体制の構築、災害後の復旧活動早期化に寄与する安否確認システムの導入のほか、自然災害による経済的な損失に対しては各種保険に加入しています。また、感染症に対する補償についても現在策定を進めています。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に関する対応につきましては、以下「新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリスク」に記載しております。
有利子負債のリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>2020年12月末現在の有利子負債残高は413億85百万円となっております。事業資金の調達及び返済は、金利情勢その他の外的環境に左右されるため、金利が上昇するなどした場合には業績に影響が及ぶ可能性があります。また、当社の業績が著しく悪化した場合には、金融機関からの資金調達が困難になる可能性があります。
<当社の対応>当社グループでは、主に固定金利での資金調達により金利上昇リスクを低減させるほか、適切な設備投資計画の策定や資産の効率化を図るなど有利子負債の削減に取り組んでおります。
固定資産に関する減損リスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>当社グループが保有する産業機械事業の機械装置及び運搬具、工具、器具及び備品、ソフトウェア、のれんなどの固定資産について、射出成形機の収益性低下により帳簿価額が回収できなくなった場合、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスの世界的流行等の発生により、経済情勢や市場環境が著しく変化し経営環境が悪化した場合、また景気変動の影響による設備投資の抑制及び需要の減退等に伴い保有固定資産の経済価値が低下した場合には、必要な減損処理を実施することになり、将来の当社グループの財政状態や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
<当社の対応>当社グループにおいては、5G関連、レンズ向け成形機や北米での医療関連など成長市場での販売拡販を目指し、産業機械事業の販売体制を強化するとともに、生分解性プラスチックの成形加工を可能とした射出成形機など環境に配慮した製品の開発及び拡販を進めてまいります。また、中国向けの販売におけるコストダウンを推進するため、中国工場での生産を検討してまいります。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリスク発生可能性
影響度
<リスクの内容>2020年1月下旬から顕在化した新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、各国政府による緊急事態宣言やロックダウン等により事業活動の制限やサプライチェーン等の混乱などが生じており、当社グループの生産及び販売活動にも影響が生じております。今後、事態の長期化や更なる感染拡大が生じた場合には、景気減速に伴う顧客の設備投資マインドの悪化による需要減、部材調達困難によるサプライチェーンの寸断、国内及び海外工場の生産停止等により、当社グループの業績に大きな影響を与える可能性があります。
<当社の対応>当社グループでは、2020年1月下旬に対策本部を立ち上げ、お客様、取引先様、従業員並びにご家族の安全を最優先とし、従業員一人ひとりが行うことができる感染予防対策の徹底に努めており、具体的には以下の様な対応策を講じております。また、収束後の経済活動拡大に向けた準備を行っております。
当社の対応策
・需要減少に合わせた生産調整(タイ工場の稼働日調整)による在庫水準の適正化
・調達先の見直し及び内製化の強化等、サプライチェーンの抜本的な見直し
・当社における国内全社員を対象とした一時帰休の実施
・全社レベルでの経費削減の徹底
・一部グループ会社における給与減額
・出張(国内・海外)の原則禁止
・在宅勤務、時差通勤、Web会議等の利用促進
・学校の臨時休校に伴う特別休暇の付与
・Web展示会やリモートツール等を活用した営業活動及びサービス体制の強化
・安全衛生面の徹底(マスク着用、検温、アルコール消毒、食堂利用時間の制限、外部との接触の自粛等)
・フェイスシールドの生産及び従業員への配布並びに医療関係・各種公共機関、スポーツ関連施設・団体など
への供給
<当社各拠点の対応状況 2021年3月30日時点>
拠点対応状況
日本公共交通機関利用を一部制限、在宅勤務推進を継続。
2020年8月~2021年2月にて、数日間の一時帰休を実施
欧米出社と在宅勤務のローテーションを継続
中国通常稼働
アジアタイ工場での生産調整も終了し、現在は通常稼働