有価証券報告書-第81期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 13:16
【資料】
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【項目】
149項目
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「高度なKiru・Kezuru・Migaku技術」をビジネステーマとして定め、「切る」、「削る」、「磨く」という3つの技術領域から逸脱することなく、日々進歩する科学を暮らしの豊かさや快適さに帰結させていくことを社会的使命(ミッション)としています。また当社では、一般的に企業の成長とされる売上やシェア、規模の拡大などは成長と捉えず、ミッションの実現性が向上すること、またお客様・株主・取引先・従業員など、すべてのステークホルダーとの価値交換性が向上することを「成長」と定義しています。
(2)中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標
当社は、企業理念である「DISCO VALUES」を全ての構成員が理解し、日々実践・実現出来るよう浸透活動を徹底する一方で、企業としての組織能力を高めるために、各組織および各構成員が自律的に最良な機能を果たすために有効なWill会計(当社独自の管理会計)やPIM(Performance Innovation Management)と称する全社的な業務の改善、効率化を促進する活動をグループ全社で推進しています。
また、当社ではさらなる進化を遂げるためミッションの実現を目指す上での中長期のマイルストーンとしてDISCO VISION 2020を策定しております。DISCO VISION 2020は、企業を構成する主要な要素という観点と当社を取り巻く代表的なステークホルダーとの関係性という観点から、当社の2020年度末における実現したい到達点を定義しています。
1つの到達点としては、企業として、どんな環境でも生き抜く卓越した生命力を持ち、多くのステークホルダーにとって、「甲斐」のある企業、例えば株主にとっての「投資し甲斐」や従業員にとっての「働き甲斐」など、ステークホルダーが当社と関係を持つ「理由」が明確に存在する状態を目指しております。
中長期の定量的な目標としては、下記の2つを維持する態勢を構築することを掲げております。
・4年累計連結経常利益率20%以上
当社の大部分のお客様が所属する半導体業界では、業界特有の需給バランスにより市況が変動するシリコンサイクルと呼ばれる景気変動の波があります。これにより、単年の成果よりも的確に会社の成長を計ることができると考え、この4年累計連結経常利益率を重要業績指標と位置づけております。
・4年累計RORA(Return On Risk Assets)20%以上
棚卸資産や固定資産などの、換金性の低い資産の効率性を表す指標を用いて、事業における本質的な資産効率の向上を目指しております。なお、下記の計算式により算定しております。
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また、定性的な分野についても、定期的に実施しているCS(お客様満足度)調査やSS(サプライヤー満足度)調査、ES(従業員満足度)調査を活用しながら、DISCO VISION 2020の達成基準の検討を全社的に取り組んだ上で、各部門にて目標値とマイルストーンを設定して活動を展開しております。
(3)経営環境及び会社の対処すべき課題
第5世代移動通信システム(5G)の進展によりスマートフォン、データセンタ、IOT、自動運転等に関連する分野での「Kiru・Kezuru・Migaku技術」の用途の拡がりが、中長期的に当社製品の新たな需要に繋がると考えております。
① 高度なKiru・Kezuru・Migaku技術の開発とCS(お客様満足度)の向上
上記の需要を取り込むために、「高度なKiru・Kezuru・Migaku技術」を核として、単に製品を販売するのではなく、装置、消耗品、そして、装置と消耗品を組み合わせ最適な加工条件を導き出すアプリケーション技術、これら3つの技術力を背景に、お客様の加工課題に対するトータルソリューション(総合的な解決策)を提供いたします。また、トータルソリューションの迅速な提供に必要なリソースの最適化や仕組みづくりを進め、お客様より「Kiru・Kezuru・Migakuのことなら、まず、そしてやはりディスコ」と言っていただける状態を追求してまいります。そのためには、継続的な技術開発が必要ですので、これを可能にする財務的・経営的基盤作りに注力してまいります。
② BCM(Business Continuity Management:事業継続管理)体制のさらなる強化
「安心して取引できる会社」「安心して働ける会社」を目指し、事業継続管理体制の構築、維持に取り組んでいます。製造・研究および本社機能を、地震が多い日本に置いていることから、本社・R&Dセンターおよび工場に免震棟を導入しています。さらに、自然災害や火災、感染症の流行、システム障害など、様々な事象のもとでも事業を継続し、早期復旧するBCP(Business Continuity Plan)を策定し、全社的な対応計画を整備しています。重要部材等の備蓄、サプライチェーン対策の強化、情報システムの二重化、従業員の訓練を継続的に行うことで、災害に強い企業づくりをさらに進め、何があっても供給責任を果たすことができる体制づくりを強化してまいります。
(4)新型コロナウイルス感染症の影響
当連結会計年度の後半に新型コロナウイルス感染症の拡大があったものの、顧客の引き合いに大きな変化は見られず、当連結会計年度の業績に重大な影響を与えたとは認識しておりません。
また、2020年4月7日に日本政府より、緊急事態宣言下においても事業継続が求められるものとして半導体工場が追加指定されました。当社グループは、お客様の半導体工場の継続稼働を支える製品を製造する立場であり、今後も前述のBCM体制のさらなる強化に取り組み、半導体生産向けの消耗品である精密加工ツールおよび精密加装置等を生産し納入してまいります。これらを踏まえ、当該感染症拡大の影響による当社グループの経営戦略等の変更はありません。
ただし、今後、当該感染症の影響により経済状況が悪化し最終製品需要が著しく減退した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。