有価証券報告書-第87期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/16 15:08
【資料】
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【項目】
166項目
・戦略
① シナリオの選択と分析
主に、国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlook及び気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書を参考にしております。
i) 1.5℃シナリオ(NZE)
脱炭素社会を実現するための施策・規制が実施されることで化石燃料の消費が減少するとともに、省エネ技術の進展等により最終エネルギー消費全体が減少し、世界がネットゼロを達成するシナリオです。
その場合、電源構成における再生可能エネルギーが、2030年には約60%、2050年には約90%を占めるとされています。
このような状況において、2030年及び2050年の両時点で、各国政府の気候変動対策が強化されることで移行リスクが高まるものの、財務への大きなマイナス影響は生じないと評価しました。
一方で、脱炭素社会の実現のカギを握るのが半導体であり、その中でも省エネ・省電力化に寄与するパワー半導体の需要が大きく高まることが予想されます。半導体向けのソリューション(製造装置、関連機器、消耗品など)を網羅的に取り揃える当社グループにとって、長期に渡ってビジネス機会が拡大すると評価しました。
結果として、2050年に向けては、脱炭素社会への移行によるリスクより、パワー半導体の需要拡大などによるビジネス機会の方が大きいと評価しました。
ⅱ) 4.0℃シナリオ
規制が進まず、気候変動に起因する自然災害、例えば豪雨や洪水、渇水の激化や海面上昇などにより、物理的リスクが高まることが考えられます。
2003年より事業継続マネジメントシステム(BCMS/Business Continuity Management System)を導入しており、BCM専門の部署を設置し、自然災害を含めたあらゆる外乱の影響を排除し、事業継続力を高めるため、施策導入や設備増強を図っています。
② リスク及び機会
今後の事業活動に、気候変動がどのような影響を及ぼすかについて複数のシナリオをもとにリスクと機会の検討を行いました。事業活動に与える影響度合いは「大」「中」「小」の3段階で評価しております。また、リスクと機会が発現する時期を、「中期」、「長期」の2段階で分類しております。

③ リスクへの対応
i) 全社省エネ活動の推進
カーボンニュートラルを目指した活動の一環として、各部門や各個人の省エネ活動の促進に取組んでいます。この取組みは全社を対象とし、各部門のエネルギー使用量(温室効果ガス排出量)に応じた削減目標が設定され、その達成度合いにより、個人Willが付与されます。個人Willの収支は賞与に反映されるため、一人ひとりの行動変容が促され、活動が自走する仕組みとなっています。
ⅱ) 創エネの導入
事業活動に伴う環境負荷を低減するため、桑畑工場をはじめとする国内外の各事業所・拠点に太陽光発電システムを導入し、発電した電力を自社の事業活動に活用しています。
ⅲ) カーボンニュートラルリテラシーの醸成
毎年社員のカーボンニュートラルリテラシーの醸成を目的とした教育を行っています。この教育は、社会情勢の動向や、脱炭素化に取り組まないことのリスクや取り組むことによって生まれる機会、省エネ活動による削減効果算出の方法等が含まれています。これらは社内のe-ラーニングシステムを用いて、国内外のグループ全体で実施しています。
ⅳ) カーボンニュートラル実現に向けた改善活動
カーボンニュートラルの実現に向けた対応を、自社がより強くなるための機会と捉えています。
毎月開催されるPIM活動(改善活動)発表において、省エネ/カーボンニュートラルに関する改善もテーマとして取り組んでいます。また、この改善内容の発表は1分間プレゼンによる対戦形式で行われ、勝利によって得られる個人Willが賞与にも影響を及ぼすため、社員の積極的な参加を促す仕組みとなっています。
ⅴ) BCM対策
2003年より事業継続マネジメントシステム(BCMS/Business Continuity Management System)を導入し、2012年には日本で初めて同マネジメントシステムの国際認証規格(ISO22301)を取得しました。また、代表執行役社長をチェアマンとし、社内取締役で構成されるBCMコミッティを設置・運営するとともに、BCM専門の部署を設置しております。なお、BCMコミッティは毎月取締役会後に開催し、社外取締役がオブザーブ参加しております。
また、自然災害を含むあらゆる外乱の影響を排除し事業継続力を高めるため、施策導入や設備増強を図っており、豪雨、渇水、高潮などの水リスクに応じた対策強化のため、防潮堤の設置や、節水及び水リサイクル率の向上を目指し対策を推進しています。
2018年7月の西日本豪雨では、生産拠点である広島県呉市にも甚大な被害をもたらし、精密加工ツールを製造する呉工場においては、生活用水、工業用水ともに断水となったほか、周辺道路の寸断による物流の混乱等の影響を受けましたが、日常的なBCM活動により支障なく供給責任を果たすことができました。
④ 当社グループにおけるビジネス機会
世界各国において2050年までにカーボンニュートラルの方針が掲げられていますが、パワー半導体など、脱炭素に貢献するデバイスや製品の生産設備に対して投資減税などの優遇策が検討・実施されています。
当社グループは高度なKKM(Kiru,Kezuru,Migaku)技術によって、パワー半導体をはじめとするあらゆる素材、加工プロセス、デバイス向けに最適なソリューションを提供し、KKMに関する領域全般をカバーすることで、2050年に向けて拡大し続ける事業機会を余すことなく獲得できると考えております。
電力を供給・制御するパワー半導体は身近な家電製品からEV、さらには鉄道や送配電設備といった社会インフラに至るまで、あらゆる電気機器に搭載されています。
特に脱炭素社会の実現に向けて需要が拡大する太陽光、風力など再生可能エネルギーによる発電においては、パワー半導体により電力損失を低減することが重要となります。
このようにパワー半導体は脱炭素社会を実現するキーデバイスとして今後さらに需要が高まっていくと予測しています。
現在のパワー半導体はSi(シリコン)ウェーハを用いたものが大半を占めますが、EV(電気自動車)においてSiよりも物質特性に優れる炭化ケイ素(SiC)ウェーハを使った次世代のパワー半導体開発・採用が進みつつあります。
当社グループではSiCウェーハ製造工程の生産性を大きく向上させるKABRAプロセス※を開発、販売しており、今後さらに増大する省エネ需要に応えていきます。(※KABRAプロセス:レーザを連続的に照射することで、分離層(KABRA層)を任意の深さに形成し、このKABRA 層を起点に剥離・ウェーハ化するインゴットスライス加工)
⑤ カーボンニュートラルに向けて(移行計画)
i) Scope1+2
当社グループでは、2030年にScope1+2のカーボンニュートラル実現を目指します。
まず、Scope1については、事業活動において化石燃料を利用する全ての機器・設備について、電化への転換とeフューエルをはじめとした代替燃料への転換により、化石由来のエネルギーからの脱却を進めます。
また、Scope2については、今後事業が成長してもエネルギー使用量を増加させないことを目指し、あらゆる省エネ施策を推進します。
更に、太陽光発電などの創エネ設備を積極的に導入していくとともに、購入する電力は全て再生可能エネルギーに転換することでカーボンニュートラルを実現してまいります。
なお、脱炭素社会への移行による事業機会の拡大に伴い、今後更なる成長を見込んでおり、成り行きのエネルギー使用量が増加する事が予想されます。また再生可能エネルギー価格の高騰などの可能性も踏まえ、エネルギー使用量については、最小限に抑える必要があると考えております。
そのため、全社員による省エネ活動、技術/工程の改善及び高効率設備への更新により、売上高当たりのエネルギー使用量の削減に全力で取り組んでまいります。

ⅱ) Scope3
2050年にScope3のカーボンニュートラル実現を目指します。Scope3の排出量をゼロにするには、自社の取り組みだけでは難しく、広くお客様及びサプライヤーの皆様と協力しながら、ネットゼロに邁進してまいります。
・購入する原材料・部品について
当社グループが提供する精密加工装置、その消耗品である精密加工ツール及び機能消耗品(ケミカル品など)に投入される原材料・部品について、それらを製造する過程で生じる温室効果ガスの排出については、重要な課題と認識しております(Scope3 Cat1)。この課題への取り組みとして、調達品の排出量の把握促進、また低排出原材料・部品等の調達強化など、サプライヤー様との協力関係を構築しながら取り組んでまいります。
・調達に関する輸送・配送について
資材調達に関する輸送・配送における排出について(Scope3 Cat4)、調達先の主体は日本国内となりますが、モーダルシフトも含めたEV・eフューエル・水素などを使った次世代低排出輸送など、法整備や技術革新が進む中で新たに生まれるこうした優良な輸送・配送手段を積極的に選択していきます。
・自社製品の使用に伴う排出について
販売した製品の使用における排出(Scope3 Cat11)についても大きな課題と認識しています。
2004年より製品ライフサイクルの環境負荷が最小限となるよう、設計・開発指針であるグリーンプロダクトガイドラインを制定し、後継機種の開発においては現行機種よりも排出量を削減することを目指し、継続的な排出削減に取り組んでおります。
製品が省電力で高効率であることは、従来よりお客様の重要な選択基準であり、製品販売における訴求ポイントとして認識しておりますが、今後脱炭素社会への移行が加速することで、その重要性がより一層高まっていくと考えております。そのため、更なるお客様の省電力化に貢献できるよう、製品の環境性能において業界トップクラスを目指し、全力で取り組んでまいります。

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