有価証券報告書-第55期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

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2016/06/28 14:31
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対処すべき課題

(1) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、平成28年度を初年度とする3か年の新中期経営計画「中期計画2018」を策定いたしました。「中期計画2018」においては、売上高の成長と収益性の改善を通じた企業価値の向上を課題とし、以下のとおり、目標達成に向けた階層別の戦略を実施していく計画であります。
(環境認識)
国内経済は、政府の経済政策の推進等により、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されます。
世界経済は、一部で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れするリスクがあります。
中長期的には、世界経済はとりわけ新興国において高い成長が予測される一方で、国内経済は人口の減少等により相対的に低い成長にとどまると考えられます。
事業環境については、工作機械、IT関連製造装置、自動車部品加工のいずれの分野においても、急激な市場規模の縮小等の可能性は低く、新興国の成長鈍化や設備投資需要の一巡等により短期的な停滞があったとしても、中長期的にグローバル市場は拡大傾向で推移すると見込まれます。
(平成30年度経営数値目標)
① 連結売上高 220億円以上
② 単体売上高 208億円以上
③ 連結売上高営業利益率 10%以上
④ 連結ROE 10%以上
(中長期的な会社の経営戦略)
① 全社戦略
事業領域については、引き続き工作機械、IT関連製造装置、自動車部品加工の3事業を展開します。工作機械事業において、将来の成長に向けた種蒔きとして、現有の経営資源を活用しつつ、ロボットエンジニアリング等の新規事業の育成に取り組みます。
事業間の資源配分については、主力である工作機械事業に重点を置いて実施していきます。
② 事業・機能別戦略
・工作機械事業
工作機械事業については、コアビジネスとして、さらなる事業規模の拡大と収益性の改善を課題とし、国内需要の確保、海外展開の推進、営業活動の改善と効率化、付加価値のある製品の開発、生産体制の合理化の5つの方向性に基づいた施策を実施していきます。
主な実施事項としては、営業面では、主要ターゲットである自動車産業等における加工ニーズの把握等を通じて、当社グループの特色であるソリューション提案型の営業活動の強化をはかります。また、海外での営業ネットワーク拡充の一環として、メキシコ及びベトナムにおいて販売子会社の設立に向けた準備を実施していきます。
製品面では、顧客からの自動化システムの多様化・高速化ニーズに対応するために、強みとする自動化技術を伸ばし、製品価値の向上を目指すとともに、近年の技術的な環境変化を受けて、将来のサービス展開も視野に入れつつ、IoT、Industry4.0に関連するコア技術の研究開発を推進します。
生産面では、製品・周辺装置の標準化・モジュール化、機械組立等の製造工程へのロボットの導入により、製品品質の向上とコストの削減をはかります。加えて、サプライヤーを育成し、アウトソースを有効に活用することにより、需要変動に柔軟に対応可能な生産体制を構築していきます。
・IT関連製造装置事業
IT関連製造装置事業については、継続的な収益性の改善を課題とし、新規取引先の開拓、営業力の強化の2つの方向性に基づいた施策を実施していきます。主な実施事項としては、安定的に売上高と利益を確保するため、新規顧客開拓に向けた市場調査や、開発情報の早期入手等の既存取引先との関係強化に取り組みます。
・自動車部品加工事業
自動車部品加工事業については、将来の事業規模拡大と収益性の改善を課題とし、新規取引先の開拓、生産能力の増強の2つの方向性に基づいた施策を実施していきます。主な実施事項としては、新たな顧客獲得に向けて、品質面での訴求力を向上させるために、自動車産業向けの品質マネジメントシステムであるISO/TS 16949の認証取得を目指して必要な体制を整備していきます。また、事業規模の拡大を通じたスケールメリットを追求するために、設備投資を実施することにより生産能力を増強していきます。
・コーポレート機能
コーポレート機能領域においては、事業戦略の遂行をサポートするため、人材育成の強化と人事制度の改善、ITの活用の2つの方向性に基づいた施策を実施していきます。主な実施事項としては、従業員の士気向上を目的とした人事制度の見直しや、作業効率向上のための基幹業務システムの改修に取り組みます。
(2) 株式会社の支配に関する基本方針
当社は、平成20年5月9日開催の取締役会において、「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下、「会社の支配に関する基本方針」といいます)を決定しております。
Ⅰ.会社の支配に関する基本方針の内容
当社は、株式公開会社として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えています。
しかしながら、近年わが国の資本市場においては、株主に買収内容を判断するために必要な合理的な情報・期間を十分に与えることなく、一方的に大規模買付行為を強行する動きが顕在化しており、これら大規模買付提案の中には、濫用目的によるものや、株主に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの等、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのあるものも散見されます。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の企業理念、当社の企業価値の源泉、当社のステークホルダーとの信頼関係を理解したうえで、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保・向上させる者でなければならないと考えております。
従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案、又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、そのような提案に対して、当社取締役会は株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様の判断のために必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えています。
Ⅱ.会社の支配に関する基本方針の実現に資する取り組み
当社は、昭和23年に織機メーカーの下請けとして個人創業後、工作機械の自社ブランド製品を開発したことで工作機械事業に進出し、昭和36年に会社を設立して以降、工作機械及び周辺装置の製造・販売を主要な事業として発展してきました。
当社の経営理念は、『高松機械は「社会に貢献」する。お客様には、安全でメリットのある商品を 従業員には、生活の安定と希望を 株主には、適切な配当を 提供すると共に、協力企業とも共存共栄の精神をもって、社会の発展に積極的に貢献する。』であります。この経営理念と、「お客様に稼ぐ機械を提供する」ことをモットーとして、これまで成長を続けてきました。
機械単体の標準機を販売するのではなく、お客様のニーズに細かく対応し、当社からも適切な加工方法などの提案を行うことで、コストパフォーマンスや使い勝手に優れた自動化された製品群をお客様に提供し続けることが当社の企業価値の源泉であると考えており、そのためのたゆまぬ努力を継続しています。
また、企業体質の強化をはかるため、これまで工作機械事業で培ってきたノウハウを活かした事業の多角化として、液晶や半導体関連の製造装置の一部を製造するIT関連製造装置事業、自社製品で構築された自動化ラインによって部品加工を行う自動車部品加工事業を展開しており、受注・生産・販売を積極的に行うことで、事業の安定と事業規模の拡大を推進し、企業価値の向上をはかっています。
Ⅲ.会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針が決定されることを防止するための取り組み
近年わが国においては、会社の経営陣との間で、十分な協議又は合意のプロセスを経ることなく、一方的に大規模買付行為を強行するといった動きが顕在化しております。
もとより、大規模買付行為に応じて当社株式等を売却するか否かは、最終的には株主の皆様のご判断に委ねられるべきものであります。しかしながら、大規模買付者による大規模買付行為の是非を株主の皆様に短期間のうちに適切に判断していただくためには、大規模買付者と当社取締役会の双方から必要かつ十分な情報が提供されることが不可欠であり、当社株式を継続保有することを考える株主の皆様にとっても、大規模買付者の提案(経営方針、事業計画等)は、その継続保有の是非を検討する上で重要な判断材料となります。
また、当社取締役会が当該大規模買付行為についてどのような意見を有しているのか、大規模買付者の提案と比べて当社の企業価値ひいては株主共同の利益を高める代替案があるのか否かという点も、株主の皆様にとっては重要な判断材料となります。
このようなことを踏まえ、当社取締役会では、大規模買付行為に際しては、まず、大規模買付者が事前に株主の皆様の判断のために必要かつ十分な大規模買付行為に関する情報を提供すべきであるという結論に至りました。
当社取締役会も、かかる情報が提供された後、大規模買付行為に対する検討を速やかに開始し、当社取締役会としての意見を公表します。また、大規模買付者が行った提案内容の改善についての交渉や当社取締役会としての株主の皆様に対する代替案の提示を行うこともあります。
かかるプロセスを経ることにより、株主の皆様は、当社取締役会の意見を参考にしつつ、大規模買付者の提案に対する諾否、あるいは当社取締役会から提示した代替案がある場合には、大規模買付者の提案と当該代替案との優劣を比較検討することが可能となり、大規模買付者の提案に対する最終的な諾否を適切に決定するために必要かつ十分な情報の確保と検討の機会が得られることとなります。
以上のことから、当社取締役会は、大規模買付行為が一定の合理的なルールに従って行われることが、不適切な買収を防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものと考え、当社株式等の大規模買付行為に関するルールを設定するとともに、「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策」(以下、「本プラン」といいます)の継続を第53回定時株主総会(平成26年6月26日開催)に議案として上程し、株主の皆様のご承認をいただきましたので発効しました。
なお、詳細につきましては、当社ホームページに掲載の平成26年5月9日付プレスリリース「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」をご参照下さい。
(http://www.takamaz.co.jp/pdf/140509-2.pdf)
Ⅳ.本プランが会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
1.買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に公表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める3原則(①企業価値・株主共同の利益の確保・向上、②事前開示・株主意思、③必要性・相当性)に沿うものであります。また、本プランは企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」にも適合するものであります。
2.当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を目的としていること
本プランは、大規模買付者に対し、事前に当該大規模買付行為に関する情報の提供及び評価・検討等を行う期間の確保を求めることにより、株主の皆様が当該大規模買付行為に応じるべきか否かを適切に判断すること、当社取締役会が代替案等を提示すること、又は大規模買付者と交渉を行うこと等を可能とし、もって当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を目的としております。
3.合理的な客観的発動要件の設定
本プランにおける対抗措置は、あらかじめ定められた合理的かつ客観的な発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しております。
4.株主意思を尊重するものであること
本プランは、第53回定時株主総会における株主の皆様の承認をもって継続されました。また、株主総会における本プラン廃止の通常決議を通じて本プランを廃止することが可能です。この点においても株主の皆様の意思が反映されることとなっております。
5.独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示
当社は、本プランの必要性及び相当性を確保し、経営者の自己保身のために本プランが濫用されることを防止するために、第三者委員会を設置し、当社取締役会が本プランに基づく対抗措置の発動を判断するに当たっては、取締役会の恣意的判断を排除するために、第三者委員会の勧告を最大限尊重した上で、その決議を行うこととしております。
また、その判断の概要については、株主の皆様に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本プランの透明な運営が行われる仕組みが確保されています。
6.デッドハンド型及びスローハンド型の買収防衛策でないこと
本プランは、当社の株主総会における普通決議で廃止することができるため、デッドハンド型の買収防衛策ではありません。また、当社は取締役の期差選任を行っていないため、スローハンド型の買収防衛策でもありません。