有価証券報告書-第107期(平成28年12月1日-平成29年11月30日)

【提出】
2018/02/26 9:12
【資料】
PDFをみる
【項目】
110項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな拡大傾向が続き、企業の設備投資も堅調に推移した。また、欧米の景気拡大や中国の設備投資が進んだことから、輸出関連企業の業績が拡大した。
こうした中、当社グループは黒字体質への転換を目指し、受注・売上の拡大と生産効率化の活動を進めた。繊維機械事業では、インド市場を中心に概ね堅調に推移したが、インドの経済改革に伴う銀行業務の混乱の影響を受けた。工作機械関連事業は、積極的な自動車産業の設備投資に支えられ好調に推移した。
この結果、全体の受注高は42,799百万円(前期比18.0%増加)となった。売上高は繊維機械事業においてインド案件のL/C(信用状)開設遅れの影響もあり39,686百万円(前期比2.1%増加)の微増にとどまった。一方、損益面では、第1四半期の落ち込みの影響から、営業利益は622百万円(前期比14.5%減少)となった。また、営業外費用(持分法による投資損失)として中国関連会社(経緯津田駒紡織機械(咸陽)有限公司)での固定資産の減損損失を含む297百万円の損失を計上したため、経常利益は356百万円(前期比39.0%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は183百万円(同比58.1%減少)となった。
セグメント別の状況は次のとおりである。
①繊維機械事業
繊維機械事業では、インド市場は引き続き設備投資意欲が高く、商談は活発に進んだ。また、インドでは継続的な経済成長を図るための様々な経済改革が進められ、今後の市場の拡大が期待できた。ただ、その実行過程における銀行業務の混乱等から、一時的に、当社も影響を受けた。第1四半期は2016年11月の高額紙幣廃止による混乱から業績が落ち込んだ。また、2017年7月には、GSTと呼ばれる新税制(物品・サービス税)の導入の影響から、同10月頃までL/C(信用状)の開設が停滞した。
中国市場は、回復の傾向を強めた。ウォータジェットルームが多数導入されている地区では、排水規制が強化され、排水基準を満たさない繊維工場の強制的な操業停止や、過剰設備の整理が進んだ。このため優良な企業には織物の注文が増加し、新設備増設のために当社ウォータジェットルームの需要が回復した。また、当社の中国子会社の津田駒機械製造(常熟)有限公司でも受注が増加した。また、エアジェットルームについては、高付加価値織物の需要が増えていることから、市場全体で設備投資は回復の傾向を強めている。
台湾市場では、台湾企業の積極的な国外投資が進み、受注・売上に結びついた。また、中国国内の経済発展に伴い、中国市場に向けた製品提供を狙うバングラデシュやインドネシア、ベトナムなどの周辺国市場への販売促進を図った。
コンポジット機械では、航空機部材用の炭素繊維複合素材自動積層機の新規納入を行なった。また、航空機以外の産業分野と共同研究を進めるなど、炭素繊維複合素材の用途拡大と装置の利用拡大に向けた取り組みを展開した。
この結果、繊維機械事業の受注高は32,818百万円(前期比15.0%増加)、売上高は31,100百万円(前期比0.2%減少)、営業利益は994百万円(同比17.2%減少)となった。
②工作機械関連事業
工作機械関連事業では、国内や米国、中国などの自動車業界の積極的な設備投資や、中国の製造業全体で進められた加工設備の自動化、高度化のための設備投資、さらに米国の製造業の活性化などの需要に支えられて、高水準の受注と生産が続いた。
当事業部門では、高速・高精度を実現した新製品のボールドライブ駆動NC円テーブルをエンジン部品の加工用装置として採用され、継続的に納入した。また、急激な需要の拡大に対し、全社を挙げての生産応援と効率化活動を進めるとともに、設備投資を伴う生産能力の拡大に取り組んだ。また、設計部門では、汎用NC円テーブルの設計のプラットホーム化を進めた。
また、事業の拡大を図るため設置している新製品推進室では、航空機部品の加工事業は徐々に部品点数を増やしている。さらに、当社独自のノウハウとロボットを使った搬送装置の新製品の開発を進めた。
この結果、工作機械関連事業の受注高は9,981百万円(前期比29.3%増加)、売上高は8,586百万円(前期比11.2%増加)、営業利益は781百万円(同比34.3%増加)となった。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ421百万円減少し6,373百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権が増加したものの、税金等調整前当期純利益342百万円の計上、減価償却費1,000百万円の計上や仕入債務の増加等により、408百万円(前期 288百万円)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,171百万円等により、マイナス1,155百万円(前期 マイナス668百万円)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出624百万円があったものの、短期及び長期借入による収入958百万円等により、331百万円(前期 マイナス1,648百万円)となった。