有価証券報告書-第73期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/07/29 16:08
【資料】
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【項目】
150項目

研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)は、自社が得意とするプラント・エンジニアリング(EMPC)や省エネルギープロセス、材料評価技術(材料選定、腐食・防食技術)を軸として、将来の市場を見据えた積極的な研究開発活動を展開しております。
これら研究開発には大学との共同研究や産学官連携事業の活用、ユーザーと密接に連携した技術開発を行うことが必要であり、中長期的なテーマに関しては各事業部の営業・技術部門、製造部門と連携しながら推進しております。その促進機関として、全社の開発テーマや新技術を対象とした総合開発委員会を設けております。また、短期的には、各事業部が日常的な用途開発を協力機関企業や開発部と連携しながら、中期経営計画の業務別施策の中で実施しています。
分野としては、SDGsの達成に貢献するべく、CO2削減に寄与する省エネルギー技術やバイオマス利活用技術、窒素循環型社会に貢献する環境リサイクル技術、その他、異種材料の施工技術に関する技術開発を行っています。
研究開発従事者は、各事業部技術部門を含めると約15名となり、これは総従業員数の約4%に当たります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は100百万円であります。
当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発状況及び研究開発費は次のとおりであります。
(1) エンジニアリング事業
① 省エネルギー設備
長年の経験に基づき、様々な角度からお客様の設備や工場を検証し、省エネルギー効率が高く、最小の設備投資費用で短期間にコスト回収が可能となる提案をさせて頂きます。また、当社の強みは工場のプロセスに踏み込んだ提案ができることで、具体的にはプロセスの蒸発濃縮工程や蒸留工程に蒸気圧縮機やヒートポンプを効果的に組み込んだ燃料費の削減、膜分離技術を活用した省エネの提案を行っています。特に最近では、他社と共同開発したヒートポンプと、当社が開発した全く新しい蒸留システムの融合により、排水等に含まれる低濃度のアンモニア回収効率を飛躍的に向上させた設備及び溶剤回収設備の消費エネルギーを画期的に改善した設備を開発して市場展開を図っております。
② 水熱反応利用技術の普及と用途開発
広い分野に利用できる水熱反応技術について、抽出操作、有機反応、無機物の改質、無機合成、有機物の高速加水分解分野で納入実績を上げております。最近の傾向としては、バイオマスから有効成分を抽出して高付加価値製品へ転換する用途、また、有機合成や無機化合物の改質等の用途での市場展開を図っています。
③ 膜分離・濃縮装置
分子の大きさで分離する膜分離・濃縮は、熱を使い相変化が必要な蒸発濃縮に比べ、画期的な省エネ効果を生み出すことが可能となります。この技術は環境、エネルギー、食品、水、医療・医薬等に直結した技術であり、ユーザーのプロセスラインや廃液処理に適用することで、当社の主力製品である蒸発濃縮装置や超省エネ型のヒートポンプ式蒸留装置と組み合わせ、さらに競争力を向上させることが可能です。様々な分野で実績を積み重ねており、将来の省エネルギー設備の強力な武器にするべく、更なる技術開発に取り組んでおります。
④ その他
化学プラントで用いられる樹脂と金属等の異種材料の接着技術の施工性改善技術の開発に取り組んでおり、樹脂であるポリプロピレンを耐食材料、ガラス繊維強化プラスチックを強度部材とした異種材料の接着施工性の改善で成果を挙げております。更に耐食材料であるビニルエステル樹脂(KS樹脂)と金属材との接着施工技術の改善にも取り組んでおります。
上記に係る研究開発費は、89百万円であります。

(2) エネルギー・環境事業
小水力発電設備
小水力発電は出力が安定しており、稼働率が高いという点から見直されており、一定の需要があると判断しております。当社では再生可能エネルギー分野への参入の足掛かりとして本事業に取り組み、設備の導入を推進しております。
上記に係る研究開発費は、 11百万円であります。