有価証券報告書-第109期(2024/04/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/31 15:00
【資料】
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【項目】
171項目
② 戦略
1) 気候関連のリスク及び機会の特定
<気候関連のリスク及び機会の洗い出し>事業運営に影響を与える気候変動要因は、脱炭素社会に向けた規制強化や低炭素化に向けた技術の進展、気候変動対応による市場の変化、気候変動による災害等の頻発等が挙げられます。当社グループの事業内容を踏まえ、各要因によって引き起こされる気候関連の移行リスク・物理的リスク・機会を洗い出しました。移行リスクについては、全事業範囲を分析対象とし、物理リスクについては、主要拠点及び生産拠点を対象としました。
当社グループの事業に影響する主な要因

<気候関連のリスク及び機会の評価>洗い出した移行リスク・物理的リスク・機会の項目に対して、当社グループの事業への影響度の大きさを定性・定量で評価し、これらの結果を、「リスク発現・機会実現までの期間」「リスク発現・機会実現の可能性」「財務影響度」を軸に、以下のとおり整理しました。それぞれのリスク及び機会について、適切な対応策を実行していきます。
下記表の「期間」「可能性」「影響度」の定義は以下のとおりです。
期間短期:3年未満、中期:3~10年、長期:10年以上
可能性小:やや不確実、中:中間、高:やや確実
影響度
売上高60億円未満60~600億円600億円以上
利益・コスト6億円未満6~60億円60億円以上

「リスク・機会への主な対応」の詳細については当社ウェブサイトをご参照ください。
気候変動
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/environment/climate-change/
当社グループにおける重大リスク・機会
分類気候変動
ドライバー
主なリスク・機会期間可能性影響度リスク・機会への主な対応
移行
リスク(1.5℃シナリオ)
政策規制炭素価格等のGHG排出規制強化、カーボンプライシング導入工場、事業所で排出するGHGへの炭素税導入による操業コスト増加長期グループ一体でのスコープ1・スコープ2の削減
材料調達、輸送への炭素税導入又はGHG削減対応による調達コストの増加長期サプライチェーンでの環境負荷低減
市場脱炭素技術開発の進展金属材料・レアメタルの需要増による部品調達コストの増加中期~長期
評判気候変動問題に対する取り組み評価の厳格化、情報開示要請の高まり自社イメージ悪化による株価の下落、投資対象除外による資金調達コストの増加長期中~大気候変動に関する開示情報の充実化
物理的
リスク(4℃シナリオ)
急性洪水、台風、高潮等の気象災害の増加・激甚化拠点損傷や操業停止、サプライチェーン寸断による操業停止、代替品調達短期~長期中~大※リスクアセスメントとリスク低減策の実施
慢性海面の慢性的な上昇海面上昇による拠点の移転長期
熱波及び慢性的な気温上昇気温上昇による空調コスト、メンテナンスの増加、ヒートストレスによる生産性の低下短期~長期労働環境の維持・改善
干ばつ等による水リスクの増加干ばつによる稼働率の低下短期~長期水使用量の削減


分類気候変動
ドライバー
主なリスク・機会期間可能性影響度リスク・機会への主な対応
機会(1.5℃シナリオ)製品・サービス環境規制強化による電子機器への省電力要請の高まり半導体需要増による半導体ライン向け製品売上の増加中期半導体需要への戦略的対応
EVシフト(EV、FCVの普及)EV化に伴う自動車製造ライン増設による自社製品の売上の増加中期~長期自動車のEV化への対応
IoTを活用した低炭素化の進展AI、IoT関連製品の需要増による売上の増加、及び活用によるコスト削減中期~長期事業へのIoT、ICT、AI等先端技術の活用
フードロスをはじめとした廃棄物削減要請の高まりコールドチェーンに関連する物流・倉庫施設向け製品の売上の増加中期~長期コールドチェーン・eコマース需要への対応
低炭素化のための作業の効率化・省人化・省エネ要望の高まり生産・物流の効率化・オートメーション化に寄与する製品・サービスの売上増加中期~長期マテハンシステムの環境価値と社会価値の両立

※2024年3月期の有価証券報告書にて「小」としていましたが、近年の気候変動に伴う世界的な気象災害の発生頻度の増加や被害の激甚化を鑑み、影響度に関する評価を見直しました。
2) 重大リスクのシナリオ分析
気候関連のリスク及び機会を特定した項目のうち、今後顕在化する可能性が高く、重大な事業影響を与えるリスクについてシナリオ分析を実施しました。シナリオは、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)によって示されているものを参照しました。
移行リスク
移行リスク・機会は、炭素税(カーボンプライシング)導入による操業コストの影響について、関連するエネルギーコストと併せて、以下のシナリオを設定して分析を行いました。炭素税は、将来想定されるGHG排出量(スコープ1・スコープ2)を、当社グループ2030年売上予測、排出量削減目標を基に、排出量削減を進めた場合(脱炭素シナリオ)とそうでない場合(成り行きシナリオ)とで算出し、IEAにおいてシナリオ別に予測される炭素価格を掛け合わせて事業影響額を評価しました。エネルギーコストは、当社グループが削減目標どおりに取り組みを進めた場合(脱炭素シナリオ)と取り組みを進めずに事業規模が拡大した場合(成り行きシナリオ)とでエネルギー使用量を設定し、IEA等で示されるエネルギー価格の推移を参考に、今後のエネルギーコストについて評価しました。
当社グループで想定した気候変動シナリオ(移行リスク)
脱炭素シナリオ
(1.5℃シナリオ)
IEA WEO2023 NZE:Net Zero Emissions by 2050 Scenario
(2050年ネットゼロ排出シナリオ)
脱炭素シナリオ
(1.7℃シナリオ)
IEA WEO2023 APS:Announced Pledges Scenario
(発表済み誓約シナリオ)
成り行きシナリオ
(4℃シナリオ)
IEA WEO2023 STEPS:Stated Policies Scenario
(公表政策シナリオ)


<炭素税>成り行きシナリオ(4℃シナリオ)の経路をたどった場合は、2030年で約6億円のコスト増が見込まれます。一方、脱炭素の取り組みを積極的に推進した脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)においては、2030年時点では、約3億円のコスト増が見込まれます。
<エネルギーコスト>成り行きシナリオ(4℃シナリオ)の経路をたどった場合、2023年3月期時点と比較して、2030年では約37%のコスト増が見込まれます。一方、脱炭素の取り組みを積極的に推進した脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)においては、 2023年3月期時点と比べて、2030年では、約12~16%のコスト増が見込まれます。
炭素税の負担、エネルギーコストの双方において、脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)に比べ、成り行きシナリオ(4℃シナリオ)での負担が大きく、当社グループとして脱炭素化、省エネ化の取り組みを積極的に進める理由・メリットがあることが再認識されました。
取り組みを進めるためには、大規模な投資が必要となるものの、取り組みを進めない場合には取り組みを進める場合に比べ、数億円規模で炭素税及びエネルギーコストの追加負担が想定されます。事業に影響を与えるリスクを軽減するため、2030年の削減目標の達成を目指して脱炭素化の取り組みを強化していきます。
物理的リスク
物理的リスクは、温暖化進行による気象災害の増加が重大なリスクとなります。そこで、当社グループ主要24拠点(国内1拠点、海外23拠点)について、気象災害がもたらす影響を定性的に評価しました。評価では、2℃シナリオ(SSP1‐2.6)、4℃シナリオ(SSP5‐8.5)下における洪水、高潮、干ばつ、熱波の各拠点のハザードを調査し、ハザードの多寡に応じてA(高リスク)~E(低リスク)の5段階のグレードを付与しました。本評価でA~Bの高リスクとなった拠点数の推移を以下に示します。
評価の結果、洪水、高潮、干ばつは、2℃シナリオ、4℃シナリオのいずれにおいても高リスク拠点数はほぼ増加せず、気候変動による影響は限定的であることがわかりました。熱波は、4℃シナリオの2050年、2090年にかけて高リスク拠点数が増加することがわかりました。熱波による影響は、空調コストや機器メンテナンスの増加、ヒートストレスによる生産性低下等が挙げられます。当社グループでは、工事現場・工場での従業員の熱中症対策を進めるなど、リスクを軽減する取り組みを積極的に進めていきます。
当社グループで想定した気候変動シナリオ(物理的リスク)
2℃シナリオIPCC第6次評価報告書 (SSP1‐2.6)
4℃シナリオIPCC第6次評価報告書 (SSP5‐8.5)

気候変動による高リスク拠点数
災害現在2℃シナリオ(SSP1‐2.6)4℃シナリオ(SSP5‐8.5)
2050年2090年2050年2090年
洪水00001
高潮11112
干ばつ88888
熱波222716

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