有価証券報告書-第110期(2025/01/01-2025/12/31)
② 戦略
1) 気候関連のリスク及び機会の特定
<気候関連のリスク及び機会の洗い出し>事業運営に影響を及ぼし得る気候変動要因は、脱炭素社会に向けた規制強化や低炭素化に向けた技術の進展、気候変動対応による市場の変化、気候変動による災害の頻発が挙げられます。当社グループの事業内容を踏まえ、各要因によって引き起こされる気候関連の移行リスク・物理的リスク及び機会を特定しました。分析範囲は、移行リスクは全事業、物理リスクは主要拠点及び生産拠点を対象としました。
<当社グループの事業に影響する主な要因>
<気候関連のリスク及び機会の評価>洗い出した移行リスク、物理的リスク及び機会に対して、当社グループの事業への影響度を定性的・定量的に評価し、これらの結果を、「リスク発現・機会実現までの期間」「リスク発現・機会実現の可能性」「財務影響度」を軸に、以下のとおり整理しました。それぞれのリスク及び機会について、適切な対応策を実行していきます。
下記表の「期間」「可能性」「影響度」の定義は以下のとおりです。
「リスク・機会への主な対応」の詳細は、以下URLをご参照ください。
気候変動
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/environment/climate-change/
<当社グループにおける重大リスク・機会>
インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入
当社グループは、省エネや脱炭素に対する従業員の意識の醸成や向上を目的に、ICP制度を導入しています。当社グループのICP価格は、脱炭素社会の進展に伴う炭素価格上昇などのリスクを見据え、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)の「World Energy Outlook 2023」における2030年予想炭素価格を採用し、140米ドル(21,000円)/t-CO2としています。CO2排出量及び削減量にICP価格を適用し、社内報告資料で活用しています。さらに、2025年8月に運用を開始したグループ共通の投資管理規程においても、ICP価格を大規模投資の実行可否を判断する際の参考指標の一つとして採用しています。今後も、ICP制度を従業員の脱炭素に対する意識の向上や意思決定の変容につなげ、持続的な脱炭素の取り組みを推進していきます。
2) 重大リスクのシナリオ分析
特定した気候関連のリスク及び機会のうち、今後顕在化する可能性が高く、重大な事業影響を与えるリスクを対象にシナリオ分析を実施しました。シナリオは、IEAや気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)によって示されているものを参照しました。
移行リスク
移行リスク・機会は、炭素税(カーボンプライシング)導入による操業コストの影響について、関連するエネルギーコストと併せて、以下のシナリオを設定して分析しました。
炭素税は、当社グループの2030年売上予測及び排出量削減目標を基に、将来想定されるGHG排出量(スコープ1・スコープ2)の排出量削減を進めた場合(脱炭素シナリオ)と、そうでない場合(成り行きシナリオ)のそれぞれで算出し、IEAにおいてシナリオ別に予測される炭素価格を掛け合わせて事業影響額を評価しました。
エネルギーコストは、当社グループが削減目標どおりに取り組みを進めた場合(脱炭素シナリオ)と、取り組みを進めずに事業規模のみが拡大した場合(成り行きシナリオ)のそれぞれでエネルギー使用量を設定し、IEA等で示されるエネルギー価格の推移を参考に、今後のエネルギーコストについて評価しました。
<当社グループで想定した気候変動シナリオ(移行リスク)>
<炭素税>成り行きシナリオ(4℃シナリオ)に沿う場合は、2030年で約6億円のコスト増が見込まれます。一方、脱炭素の取り組みを積極的に推進した脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)では、2030年時点で約3億円のコスト増が見込まれます。
<エネルギーコスト>成り行きシナリオ(4℃シナリオ)に沿う場合、2023年3月期時点と比較して、2030年では約37%のコスト増が見込まれます。一方、脱炭素の取り組みを積極的に推進する脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)では、2023年3月期時点と比べて、2030年では、約12~16%のコスト増が見込まれます。
炭素税の負担、エネルギーコストの双方において、脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)に比べ、成り行きシナリオ(4℃シナリオ)の負担が大きく、当社グループが脱炭素化、省エネ化の取り組みを積極的に進める理由・メリットを再認識しました。
これらの取り組みを進めるためには、大規模な投資が必要となるものの、取り組みを進めない場合には取り組みを進める場合に比べ、数億円規模で炭素税及びエネルギーコストの追加負担が想定されます。事業に影響するリスクを軽減するため、2030年の削減目標の達成を目指して脱炭素化の取り組みを強化していきます。
物理的リスク
物理的リスクは、温暖化進行による気象災害の増加が重大なリスクです。そこで、当社グループ主要24拠点(国内1拠点、海外23拠点)について、気象災害がもたらす影響を定性的に評価しました。評価では、2℃シナリオ(SSP1‐2.6)、4℃シナリオ(SSP5‐8.5)下における洪水、高潮、干ばつ、熱波のハザードを調査し、その多寡に応じてA(高リスク)~E(低リスク)の5段階で評価しました。本評価でA~Bの高リスクとなった拠点数の推移を以下に示します。
評価の結果、洪水、高潮、干ばつは、2℃、4℃のいずれのシナリオでも高リスクの拠点数はほぼ増加せず、気候変動の影響は限定的でした。一方、熱波は、4℃シナリオの2050年から2090年にかけて高リスクの拠点数が増加することがわかりました。熱波による影響は、空調コストや機器メンテナンスの増加、ヒートストレスによる生産性低下等が想定されます。当社グループは、工事現場・工場での従業員の熱中症対策を進めるなど、リスクを軽減する取り組みを積極的に進めていきます。
<当社グループで想定した気候変動シナリオ(物理的リスク)>
<気候変動による高リスク拠点数>
1) 気候関連のリスク及び機会の特定
<気候関連のリスク及び機会の洗い出し>事業運営に影響を及ぼし得る気候変動要因は、脱炭素社会に向けた規制強化や低炭素化に向けた技術の進展、気候変動対応による市場の変化、気候変動による災害の頻発が挙げられます。当社グループの事業内容を踏まえ、各要因によって引き起こされる気候関連の移行リスク・物理的リスク及び機会を特定しました。分析範囲は、移行リスクは全事業、物理リスクは主要拠点及び生産拠点を対象としました。
<当社グループの事業に影響する主な要因>

<気候関連のリスク及び機会の評価>洗い出した移行リスク、物理的リスク及び機会に対して、当社グループの事業への影響度を定性的・定量的に評価し、これらの結果を、「リスク発現・機会実現までの期間」「リスク発現・機会実現の可能性」「財務影響度」を軸に、以下のとおり整理しました。それぞれのリスク及び機会について、適切な対応策を実行していきます。
下記表の「期間」「可能性」「影響度」の定義は以下のとおりです。
| 期間 | 短期 | 中期 | 長期 | |
| 3年未満 | 3~10年 | 10年以上 | ||
| 可能性 | 小 | 中 | 高 | |
| やや不確実 | 中間 | やや確実 | ||
| 影響度 | 小 | 中 | 大 | |
| 売上高 | 60億円未満 | 60~600億円 | 600億円以上 | |
| 利益・コスト | 6億円未満 | 6~60億円 | 60億円以上 | |
「リスク・機会への主な対応」の詳細は、以下URLをご参照ください。
気候変動
https://www.daifuku.com/jp/sustainability/environment/climate-change/
<当社グループにおける重大リスク・機会>
| 分類 | 気候変動 ドライバー | 主なリスク・機会 | 期間 | 可能性 | 影響度 | リスク・機会への主な対応 | |
| 移行 リスク(1.5℃シナリオ) | 政策規制 | 炭素価格等のGHG排出規制強化、カーボンプライシング導入 | 工場、事業所で排出するGHGへの炭素税導入による操業コスト増加 | 長期 | 高 | 中 | グループ一体でのスコープ1・スコープ2の削減 |
| 材料調達、輸送への炭素税導入又はGHG削減対応による調達コストの増加 | 長期 | 中 | 中 | サプライチェーンでの環境負荷低減 | |||
| 市場 | 脱炭素技術開発の進展 | 金属材料・レアメタルの需要増による部品調達コストの増加 | 中期~長期 | 小 | 中 | ||
| 評判 | 気候変動問題に対する取り組み評価の厳格化、情報開示要請の高まり | 当社イメージ悪化による株価の下落、投資対象除外による資金調達コストの増加 | 長期 | 小 | 中~大 | 気候変動に関する開示情報の充実化 | |
| 物理的 リスク(4℃シナリオ) | 急性 | 洪水、台風、高潮等の気象災害の増加・激甚化 | 拠点損傷や操業停止、サプライチェーン寸断による操業停止、代替品調達 | 短期~長期 | 高 | 中~大 | リスクアセスメントとリスク低減策の実施 |
| 慢性 | 海面の慢性的な上昇 | 海面上昇による拠点の移転 | 長期 | 小 | 小 | ||
| 熱波及び慢性的な気温上昇 | 気温上昇による空調コスト、メンテナンスの増加、ヒートストレスによる生産性の低下 | 短期~長期 | 高 | 中 | 労働環境の維持・改善 | ||
| 干ばつ等による水リスクの増加 | 干ばつによる稼働率の低下 | 短期~長期 | 中 | 小 | 水使用量の削減 | ||
| 機会(1.5℃シナリオ) | 製品・サービス | 環境規制強化による電子機器への省電力要請の高まり | 半導体需要増による半導体ライン向け製品売上の増加 | 中期 | 高 | 中 | 半導体需要への戦略的対応 |
| EVシフト(EV、FCVの普及) | EV化に伴う自動車製造ライン増設による当社製品の売上の増加 | 中期~長期 | 中 | 小 | 自動車のEV化への対応 | ||
| IoTを活用した低炭素化の進展 | AI、IoT関連製品の需要増による売上の増加、及び活用によるコスト削減 | 中期~長期 | 中 | 中 | 事業へのIoT、ICT、AI等先端技術の活用 | ||
| フードロスをはじめとした廃棄物削減要請の高まり | コールドチェーンに関連する物流・倉庫施設向け製品の売上の増加 | 中期~長期 | 高 | 中 | コールドチェーン・eコマース需要への対応 | ||
| 低炭素化のための作業の効率化・省人化・省エネ要望の高まり | 生産・物流の効率化・オートメーション化に寄与する製品・サービスの売上増加 | 中期~長期 | 高 | 中 | マテハンシステムの環境価値と社会価値の両立 | ||
インターナルカーボンプライシング(ICP)の導入
当社グループは、省エネや脱炭素に対する従業員の意識の醸成や向上を目的に、ICP制度を導入しています。当社グループのICP価格は、脱炭素社会の進展に伴う炭素価格上昇などのリスクを見据え、国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)の「World Energy Outlook 2023」における2030年予想炭素価格を採用し、140米ドル(21,000円)/t-CO2としています。CO2排出量及び削減量にICP価格を適用し、社内報告資料で活用しています。さらに、2025年8月に運用を開始したグループ共通の投資管理規程においても、ICP価格を大規模投資の実行可否を判断する際の参考指標の一つとして採用しています。今後も、ICP制度を従業員の脱炭素に対する意識の向上や意思決定の変容につなげ、持続的な脱炭素の取り組みを推進していきます。
2) 重大リスクのシナリオ分析
特定した気候関連のリスク及び機会のうち、今後顕在化する可能性が高く、重大な事業影響を与えるリスクを対象にシナリオ分析を実施しました。シナリオは、IEAや気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)によって示されているものを参照しました。
移行リスク
移行リスク・機会は、炭素税(カーボンプライシング)導入による操業コストの影響について、関連するエネルギーコストと併せて、以下のシナリオを設定して分析しました。
炭素税は、当社グループの2030年売上予測及び排出量削減目標を基に、将来想定されるGHG排出量(スコープ1・スコープ2)の排出量削減を進めた場合(脱炭素シナリオ)と、そうでない場合(成り行きシナリオ)のそれぞれで算出し、IEAにおいてシナリオ別に予測される炭素価格を掛け合わせて事業影響額を評価しました。
エネルギーコストは、当社グループが削減目標どおりに取り組みを進めた場合(脱炭素シナリオ)と、取り組みを進めずに事業規模のみが拡大した場合(成り行きシナリオ)のそれぞれでエネルギー使用量を設定し、IEA等で示されるエネルギー価格の推移を参考に、今後のエネルギーコストについて評価しました。
<当社グループで想定した気候変動シナリオ(移行リスク)>
| 脱炭素シナリオ (1.5℃シナリオ) | IEA WEO2023 NZE:Net Zero Emissions by 2050 Scenario (2050年ネットゼロ排出シナリオ) |
| 脱炭素シナリオ (1.7℃シナリオ) | IEA WEO2023 APS:Announced Pledges Scenario (発表済み誓約シナリオ) |
| 成り行きシナリオ (4℃シナリオ) | IEA WEO2023 STEPS:Stated Policies Scenario (公表政策シナリオ) |
<炭素税>成り行きシナリオ(4℃シナリオ)に沿う場合は、2030年で約6億円のコスト増が見込まれます。一方、脱炭素の取り組みを積極的に推進した脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)では、2030年時点で約3億円のコスト増が見込まれます。
<エネルギーコスト>成り行きシナリオ(4℃シナリオ)に沿う場合、2023年3月期時点と比較して、2030年では約37%のコスト増が見込まれます。一方、脱炭素の取り組みを積極的に推進する脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)では、2023年3月期時点と比べて、2030年では、約12~16%のコスト増が見込まれます。
炭素税の負担、エネルギーコストの双方において、脱炭素シナリオ(1.5℃/1.7℃シナリオ)に比べ、成り行きシナリオ(4℃シナリオ)の負担が大きく、当社グループが脱炭素化、省エネ化の取り組みを積極的に進める理由・メリットを再認識しました。
これらの取り組みを進めるためには、大規模な投資が必要となるものの、取り組みを進めない場合には取り組みを進める場合に比べ、数億円規模で炭素税及びエネルギーコストの追加負担が想定されます。事業に影響するリスクを軽減するため、2030年の削減目標の達成を目指して脱炭素化の取り組みを強化していきます。
物理的リスク
物理的リスクは、温暖化進行による気象災害の増加が重大なリスクです。そこで、当社グループ主要24拠点(国内1拠点、海外23拠点)について、気象災害がもたらす影響を定性的に評価しました。評価では、2℃シナリオ(SSP1‐2.6)、4℃シナリオ(SSP5‐8.5)下における洪水、高潮、干ばつ、熱波のハザードを調査し、その多寡に応じてA(高リスク)~E(低リスク)の5段階で評価しました。本評価でA~Bの高リスクとなった拠点数の推移を以下に示します。
評価の結果、洪水、高潮、干ばつは、2℃、4℃のいずれのシナリオでも高リスクの拠点数はほぼ増加せず、気候変動の影響は限定的でした。一方、熱波は、4℃シナリオの2050年から2090年にかけて高リスクの拠点数が増加することがわかりました。熱波による影響は、空調コストや機器メンテナンスの増加、ヒートストレスによる生産性低下等が想定されます。当社グループは、工事現場・工場での従業員の熱中症対策を進めるなど、リスクを軽減する取り組みを積極的に進めていきます。
<当社グループで想定した気候変動シナリオ(物理的リスク)>
| 2℃シナリオ | IPCC第6次評価報告書 (SSP1‐2.6) |
| 4℃シナリオ | IPCC第6次評価報告書 (SSP5‐8.5) |
<気候変動による高リスク拠点数>
| 災害 | 現在 | 2℃シナリオ(SSP1‐2.6) | 4℃シナリオ(SSP5‐8.5) | ||
| 2050年 | 2090年 | 2050年 | 2090年 | ||
| 洪水 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
| 高潮 | 1 | 1 | 1 | 1 | 2 |
| 干ばつ | 8 | 8 | 8 | 8 | 8 |
| 熱波 | 2 | 2 | 2 | 7 | 16 |