有価証券報告書-第72期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 14:44
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【項目】
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出の持ち直しなどを背景に企業の生産活動の増産傾向は持続し、企業収益は高水準を維持するなど、回復基調で推移しました。設備投資については新設や増設等の能力増強に向けた大型投資は勢いを欠いたものの、既存設備の維持・更新に係る投資は緩やかに増加しました。世界経済においては、各国での堅調な内需拡大やアジア新興国の輸出回復等により底堅い成長が見られた一方で、英国のEU離脱選択や米国で誕生したトランプ政権による経済政策転換など、今後の不透明感の要因が顕出しました。
当社グループを取り巻く事業環境は、電子産業分野においては国内の大型設備投資が一部企業にとどまる中、中国では半導体の国産化政策に伴い外資を含む大型投資計画が進行しているほか、台湾においても堅調に推移しています。電力分野においては国内では原子力発電所再稼働に大きな進展が見られず、新規火力発電所計画も低い水準が続く一方で、電力需要が旺盛なアジア地域では一部で進捗に遅れが見られるものの多くの発電所の建設計画が進んでいます。水処理関連市場全般においては、国内ではほぼ横ばい状態で、成長は鈍化しています。海外においては当社の主要市場であるアジア地域において産業振興、生活環境改善の観点から高い需要が期待されていますが、対円アジア通貨安の継続や現地水処理企業を含めた競合環境の激化など、厳しい状況が続いています。
このような状況の下、当社グループは、常に3年先を見通した事業運営を継続するため、終了年度を固定せず毎年ローリングする中期経営計画に取り組んでおります。平成30年度を見据えた計画では、安定した収益基盤を構築するため、当社グループが強みを有する「電子」「電力」産業分野及び水処理薬品や標準型水処理機器等の「機能商品事業」の更なる強化を中心とした戦略と施策を立案し、推進しております。
電子産業分野においては、台湾メーカーが進出を積極化するなど設備投資の増加が続く中国において、中国、台湾の現地法人と当社との連携を一層深め、受注活動の強化・納入体制の整備にグループ一体で取り組みました。電力分野においては、国内では既設のメンテナンス・改造工事に注力し、海外では現地法人への専任者の設置、現地企業との協業体制構築の着手など積極的な営業活動を展開しました。機能商品事業においては、営業戦略の見直しや強化に取り組むとともに新規ラボ用純水装置の開発に目途をつけ、水処理薬品については差別化製品の上市による拡販を図り、海外展開も積極的に進めました。
この結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、受注高74,041百万円(前連結会計年度比3.2%減)、売上高81,114百万円(同3.0%増)、営業利益4,114百万円(同4.2%増)、経常利益4,162百万円(同7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,731百万円(同9.9%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
[水処理エンジニアリング事業]
当事業におきましては、電子産業分野では国内の受注高は増加しましたが、売上高は大型のプラント建設が順調に進捗した前連結会計年度に比べて下回り、利益面も売上高減少の影響を受け減少しました。海外における受注高は台湾で減少した一方で、積極的な設備投資が続く中国では増加しました。売上高については中国、東南アジアでは減少したものの、台湾では高水準を維持しました。
電力分野においては、国内、海外ともに新規プラント建設に係る受注高、売上高は減少しましたが、国内の既設のメンテナンス、改造工事が好調に推移し、利益面は前連結会計年度を上回りました。
一般産業向けでは、国内の受注高は用水純水分野で大幅に増加し、売上高、利益面についても、排水分野を含めてプラント建設、メンテナンス、改造工事が伸長したことなどにより増加しました。海外においては東南アジア地域で石油化学、食品分野などで非日系企業への展開を進め、売上高は堅調に推移しました。
この結果、受注高は57,611百万円(前連結会計年度比4.8%減)、売上高は64,700百万円(同2.9%増)となりました。利益面につきましては、売上総利益率は若干改善したものの、営業体制強化等に伴い販売費及び一般管理費が増加したことなどから、営業利益は2,504百万円(同1.9%減)となりました。
[機能商品事業]
当事業におきましては、標準型水処理機器の販売が堅調に推移したこと、冷却水処理剤、電子産業向けRO膜処理剤を中心に水処理薬品の販売が伸長したことなどから、受注高及び売上高が増加しました。この結果、受注高は16,429百万円(前連結会計年度比3.0%増)、売上高は16,413百万円(同3.8%増)となりました。利益面につきましては、売上高の伸長により営業利益1,609百万円(同15.5%増)と大幅に増加しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,132百万円増加し、当連結会計年度末には11,340百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、6,610百万円となりました。これは主に、リース投資資産の増加2,420百万円、仕入債務の減少1,969百万円による資金の減少に対し、税金等調整前当期純利益4,000百万円、売上債権の減少3,757百万円、たな卸資産の減少2,489百万円による資金の増加があったことによるものであります。(前連結会計年度は4,779百万円の支出)
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって支出された資金は、1,312百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出855百万円及び無形固定資産の取得による支出492百万円によるものであります。(前連結会計年度は913百万円の支出)
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって支出された資金は、994百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増額1,924百万円による資金の増加に対し、長期借入金の返済による支出2,400百万円による資金の減少があったことによるものであります。(前連結会計年度は4,055万円の収入)