有価証券報告書-第125期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

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2021/06/29 16:03
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有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 基本方針
当社グループは、企業活動を行う上での軸・拠り所として企業理念「JGC's Purpose and Values」を制定しております。
「JGC's Purpose and Values」は日揮グループのパーパス(存在意義)及びValues(価値観)の2つの要素から構成され、日揮グループのパーパス(存在意義)として、「Enhancing planetary health」を掲げ、当社グループ共通のValuesとして、4つのちから、即ち、「挑戦」、「創造」、「結集」、「完遂」を定め、さらに「尊重」、「誠実」を2つの誓いとして明らかにしております。
当社グループは、企業理念「JGC's Purpose and Values」に基づき企業活動を進めていくことで、企業価値の一層の向上を図り、以て人と地球の健やかな未来づくりに貢献してまいります。
(2) 目標とする経営指標、経営環境、中長期的な経営戦略及び会社の対処すべき課題
前中期経営計画「Beyond the Horizon」の振り返り
当社グループは2016年度から2020年度までの5か年を対象とする中期経営計画「Beyond the Horizon」を定め、実現に向けて取り組んでまいりました。本計画では、目標として、2020年度の売上高1兆円以上、親会社株主に帰属する当期純利益600億円、自己資本利益率(ROE)10%以上の数値を掲げました。
本計画の基本方針として、総合エンジニアリング事業においては、海外オイル&ガス分野の領域や地域の拡大を中心としつつ、インフラ分野への領域拡大を掲げ、同時に機能材製造事業の強化により、さらなる企業価値の向上を目指しました。
本計画のもと、対象期間における実績は以下のとおりとなりました。

本計画期間中の経営実績は、残念ながらいずれも目標値を下回る結果となりました。その主な要因は、本計画策定時の想定とは異なり、原油価格が低迷したことでメジャーオイルや産油・産ガス諸国の顧客が設備投資を抑制し、大型LNG計画の進展が遅れる等プラントマーケットが停滞した結果、受注高を計画どおりに積み上げられなかったことが挙げられます。加えて米国及び中東のプラント建設プロジェクトにおいて、想定以上の天候不順、ビザ発給の遅れによる労働力確保の難しさ等が原因となり、建設工事費用が増加したことにより、2016年度に多額の損失を計上するに至ったことも影響いたしました。
2018年に入ってプラントマーケットにも回復の兆しが見え始め、2018年度は過去最高となる9,354億円の受注高を獲得したものの、2019年度以降は、COVID-19の世界的な感染拡大によって世界経済は減速し、エネルギー需要が減少したことから、顧客の設備投資が先送りされた状況が続いております。
一方で、海外オイル&ガス分野の領域や地域の拡大のほか、インフラ分野は再生可能エネルギー分野を中心に国内外で着実に受注実績を積み上げることができました。また、プロジェクトリスク管理体制の強化に取り組むとともに、大型モジュール工法を確立する等プロジェクト遂行力の強化も着実に成果をあげました。特にデジタル化においては、「IT Grand Plan 2030」を策定・推進するとともにEPC向けデジタルトランスフォーメーション(DX)にも注力して総合エンジニアリング事業の効率化にも着手いたしました。
機能材製造事業もグループの中核事業として位置付け、ケミカル触媒やファインケミカル製品の売上拡大、触媒・ファインケミカル研究開発拠点を統合する等新製品開発体制の強化にも取り組み、着実に成果をあげることができました。電気自動車/ハイブリッド車向け高熱伝導窒化ケイ素基板の工場も新設し、量産化に向けた品質及び生産性効率向上にも取り組みました。
加えて、企業価値のさらなる向上という目的を確実にかつスピード感をもって達成するため、2019年に持株会社体制に移行いたしました。
長期経営ビジョン「2040年ビジョン」について
1.日揮グループのパーパス(存在意義)
当社グループは、前身である日本揮発油株式会社が1928年に創業して以来、時代の要請に応じて変革を繰り返しながら、産業や社会の基盤を支える存在として、「エネルギーと環境の調和」を取り組むべき課題の中心に据えたビジネスを展開し続けてきました。
今、当社グループを取り巻く事業環境は劇的に変化しています。当社グループがこれからも持続的に成長していくためには、足元の環境変化に迅速かつ柔軟に対応しつつ、「人と地球の健やかな未来づくりに貢献する」という長期的でグローバルな視座のもと、当社グループに集う全ての人たちがその存在意義に共感し、自らを変革していく必要があると考えました。
このような考えのもと、当社グループは今般、自らのパーパス(存在意義)を“Enhancing planetary health”と再定義し、パーパスを道標として、長期経営ビジョン「2040年ビジョン」を策定しました。
2.2040年に当社グループが目指す姿
2040年に向けて当社グループは、パーパス(存在意義)である “Enhancing planetary health”を道標に、これまでに培ってきた能力や実績を駆使することで、「エネルギーの安定供給と脱炭素化の両立」、「資源利用に関する環境負荷の低減」、「生活を支えるインフラ・サービスの構築・維持」の3つの社会課題の解決を目指します。
そのために、以下の5つのビジネス領域へと事業を多角化し、2040年に目指す姿である「Planetary healthの向上に貢献する企業グループ」への変革に挑戦していきます。
<5つのビジネス領域>・エネルギートランジション
・ヘルスケア・ライフサイエンス
・高機能材
・資源循環
・産業・都市インフラ

3.3つのトランスフォーメーション
絶え間なく自己変革を繰り返しながら持続的な発展を遂げてきた当社グループは、大きな変革に果断に挑戦していきます。ビジネス領域、ビジネスモデル、組織の3つのトランスフォーメーションです。
(1)ビジネス領域のトランスフォーメーション
5つのビジネス領域を、投資収穫時期等の観点で3つに分類し、長期的な時間軸で事業ポートフォリオの変革を着実に進めていきます。最初の5年間(2021~2025:挑戦の5年間)はコア事業である「エネルギートランジション」、次の5年間(2026~2030:収穫の5年間)は成長事業である「高機能材」と「ヘルスケア・ライフサイエンス」、後半の10年間(2031~2040:飛躍の10年間)は将来事業として認識する「資源循環」と「産業・都市インフラ」が、収益の柱となるシナリオを描いています。

5つのビジネス領域における各事業の方向性は以下のとおりです。
エネルギートランジション
ネットゼロの実現に向けたオイル&ガスの低・脱炭素化とクリーンエネルギー拡大
ヘルスケア・ライフサイエンス
医薬・病院分野の国内及び新興国における展開と医療を通じた人々の健康の実現
高機能材
コア技術を生かした、成長分野でオンリーワンとなる高機能材料の開発・製造
資源循環
資源循環社会の実現に向けた市場形成・エコシステム構築の主導
産業・都市インフラ
環境配慮型の複合的な産業・都市インフラシステムの提供
(2)ビジネスモデルのトランスフォーメーション
EPCビジネスにおいては、IT Grand Plan 2030/EPC DXを推進し、EPCビジネスモデルを深化させていきます。EPCで培った経験を起点としたバリューチェーンの上流・下流へのビジネスモデルの拡大及びデジタル技術を利用した新たなビジネスモデルの確立も目指します。加えて、EPC以外のビジネスモデルに関しても、既存の高機能材製造を強化すると同時に、ライセンス、コンサルテーション・PMC、保全・デジタルO&M、プラットフォームビジネス、事業参画等、当社グループの強みをいかしながら変革に取り組みます。
(3)組織のトランスフォーメーション
ビジネス領域及びビジネスモデルのトランスフォーメーションを確実に成功に導くため、組織面でのトランスフォーメーションも推し進めていきます。地域特有の社会課題の解決に向けた「リージョナル経営体制」の強化と、これまでにないスピード感と発想で新たな技術や事業を創出するための「イノベーション創出環境」の強化に注力します。
4.目指す営業利益水準
3つのトランスフォーメーションを通じて、2025年には営業利益600億円、2030年には1,000億円以上、2040年には1,500~2,000億円の創出を目指します。このために戦略投資を実施し、長期的な収益拡大を実現します。また、2040年までにビジネス領域とビジネスモデルを変革し、事業構成を多様化します。
グループメッセージ
「2040年ビジョン」の策定に際し、ビジョンに定めた20年後の「目指す姿」をともに志す全てのステークホルダーに向けて、当社グループは「3つの約束」をします。当社グループが自らを変革して持続的な成長を実現し、社会に対して価値を生み出す存在であり続けるためには、ここに集う全ての人たちが活力をもって働くことのできる場を作り続けることが何よりも重要であると考えております。
1.未知への挑戦を尊ぶ文化と機会を作ります
2.ビジョンを共有し、お互いを尊重する伝統を守ります
3.多様な人々の活力を交わらせて新たな価値を生み出せる「場」を作ります
新中期経営計画「BSP2025」について
長期経営ビジョン「2040年ビジョン」における最初の5年間―「挑戦の5年(2021~2025年度)」を対象期間とする新中期経営計画「Building a Sustainable Planetary Infrastructure 2025(BSP 2025)」の内容は以下のとおりです。
1.事業環境認識
「2040年ビジョン」で定めた5つのビジネス領域に関する、中期経営計画期間における事業環境認識は次のとおりです。
・エネルギートランジション領域:
化石燃料の中でも比較的低炭素でクリーンな燃料と位置付けられているLNGは、今後も新興国の需要増を背景に 堅調に推移すると見込んでいます。低・脱炭素社会実現に向けたエネルギートランジションにおいて、太陽光・蓄電・バイオマス等の再生可能エネルギー、さらには洋上風力、水素・燃料アンモニア等の新規分野における大きなビジネス機会にも期待しています。
・高機能材領域:
既存分野においては半導体・通信関連商品やケミカル・環境関連商品のCOVID-19の影響からの需要回復に伴う成長を予想しています。新規分野では、電気自動車向け窒化ケイ素基板、半導体用CMP研磨材等の需要拡大が期待されます。
・ヘルスケア・ライフサイエンス、資源循環、産業・都市インフラの各領域:
生活水準の向上や高齢化を背景とし、国内・海外でのヘルスケア・ライフサイエンス市場の拡大が予想されるほか、廃プラスチック等のリサイクルバリューチェーンの形成や、アジアの経済成長による水処理・鉄道市場の拡大も大きな商機となります。
2.3つの重点戦略
上記の事業環境認識を踏まえ、中期経営計画期間において、既存事業である「EPC事業の深化」と「高機能材製造事業の拡大」による収益の確保・拡大、2040年への長期成長を見据えた「将来の成長エンジンの確立」に挑戦します。
(1)EPC事業のさらなる深化
① 大型EPCプロジェクトの競争力・収益力をさらに強化
2025年度の海外の大型EPCプロジェクトの売上高目標を3,500億円に設定し、リスク管理・プロジェクト折衝力の強化を通じたプロジェクト粗利益率の向上と、JV組成戦略・デジタル技術・建設工法の最適化による受注競争力の向上を推し進め、大型EPCプロジェクトにおける当社グループの強みをさらに深化させていきます。
② EPC事業の成長市場・分野への拡大
大型EPCプロジェクトに加え、EPC事業を成長市場・成長分野に拡大し、ポートフォリオの多様化を推進していくことで、2025年度の成長市場・分野におけるEPC事業の売上高目標として3,000億円の達成を目指します。今後案件の増加するLNG受入基地、ガス火力発電、太陽光発電、バイオマス発電、医薬品、病院、ケミカル分野の強化による収益拡大と並行して、成長著しいアジア地域におけるリージョナル経営体制の強化並びに、国内市場への対応も見据えた人員増強を図ります。
(2)高機能材製造事業の拡大
高機能材製造事業においては、事業規模を拡大し、2025年に売上高600億円の達成を目指します。その実現に向け、既存主力事業においてプロパーケミカル触媒、ハードディスク用研磨材、半導体製造装置関連素材等の製品ラインナップを増やし、収益の拡大に取り組みます。また、将来を見据えた戦略投資と次世代事業の開発にも取り組みます。戦略投資ではファインケミカル新製品開発や高熱伝導窒化ケイ素基板生産設備、次世代事業の開発ではカーボンリサイクル向け触媒、全固体電池用電解質、骨再生材料等が対象となります。
(3)将来の成長エンジンの確立
「2040年ビジョン」で定めた5つのビジネス領域について、特に将来の成長エンジンとして期待する以下のビジネスの確立に取り組みます。2025年度は売上高500億円を計画し、10年後には売上高5,000億円規模のビジネスに育成していく方針です。
・エネルギートランジション領域:
カーボンマネジメント支援、洋上風力、スマートO&M、水素・燃料アンモニア、小型モジュール原子炉(SMR)
・ヘルスケア・ライフサイエンス領域:
スマートホスピタル、スマート工場、デジタルヘルスケア
・資源循環領域:
廃プラスチック、廃繊維リサイクル、SAF(Sustainable Aviation Fuel:次世代航空燃料)製造
・産業・都市インフラ領域:
水処理、鉄道
3.戦略投資方針
3つの重点戦略を成功に導くために、本中期経営計画期間は、総額2,000億円の戦略投資を行う予定です。デジタルやM&A、生産設備、事業開発、商業実証及び研究開発を投資対象とし、「EPC事業のさらなる深化」に700億円、「高機能材製造事業の拡大」に500億円及び「将来の成長エンジンの確立」に800億円を投資することを計画しています。

4.財務目標
財務目標として、2025年度に売上高8,000億円、営業利益600億円、当期純利益450億円、ROE10%を目指します。
ビジネス領域別では、エネルギートランジション領域のみによらない事業ポートフォリオの拡大を図ります。また、ビジネスモデル別では、EPC中心のビジネスモデルから多様なビジネスモデルへと変革を推し進めます。

5.資本政策・株主還元方針
当社は、日揮グループのパーパス(存在意義)として掲げた“Enhancing planetary health” 及び2021年度から5年間にわたる中期経営計画「BSP2025」に基づき、中長期的な企業価値向上に努めるとともに、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置付けております。
2021年度から5年間にわたる中期経営計画「BSP2025」においては、以下の株主還元方針に基づいた配当政策を実施してまいります。
・期末配当として年1回の剰余金の配当を行うこと、及び各期の業績に連動させる考え方に基づき、連結配当性向30%を目途とし、かつ1株当たり年間配当額15円を下限とする。
・自己株式取得は、業績見通し及びフリー・キャッシュ・フローの状況を勘案して適宜実施を検討する。
加えて、当社グループのコアビジネスである総合エンジニアリング事業におけるEPCランプサム・ビジネスでは、顧客の信頼獲得及び大型プロジェクトの円滑な遂行の観点から、金融市場の動向に影響されない強固な財務基盤が必要であり、かつ成長戦略投資に機動的に対応するための資金調達余力を確保するため、50%以上の自己資本比率を安定的に維持することを目標としております。また、自己資本利益率(ROE)については、持続的な企業価値向上の観点から、資本効率を重要課題と認識し、10%を目標としております。
6.2050年カーボンニュートラル宣言
長きにわたりオイル&ガスをコアドメインとしてきた当社グループが、Planetary healthの向上に向けた変革を通じて、持続的企業価値向上を実現していく決意の証として、今般、「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、以下の3点に取り組んでまいります。
① 2050年までにScope1、2のCO2排出量ネットゼロ
② 上記①の目標の達成に向けた、2030年までのScope1、2のCO2排出原単位30%削減
③ Scope3へのステークホルダーと協調したCO2排出量の削減
Scope3の削減に向けては、当社グループの培ってきた技術を駆使し、ステークホルダーにエネルギートランジションに向けたソリューションを提供します。
気候変動対応については気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った情報開示を行う予定です。

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