有価証券報告書-第53期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/27 13:37
【資料】
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【項目】
64項目

業績等の概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当連結グループが判断したものです。
(1) 業績
当連結グループは、グローバルなサポート体制の確立とシェア向上、コスト低減を進め収益確保に努めると共に、事業・コスト構造改革を進め、体質強化と経営の効率化に取り組みました。また、地域市場に最適な製品やお客様のライフサイクルコスト低減に繋がるソリューションの提供を促進すべく、グローバルな研究・開発体制の構築と開発マーケティングの強化を推進しました。加えてバリューチェーンの深化を推進する中で、ソリューション事業強化の一環として2016年12月21日付でH-E Parts International LLC及びその子会社を取得、2017年3月20日付でBradken Limited及びその子会社を連結子会社化しました。一方で、2017年3月31日付で提出会社の連結子会社である日立住友重機械建機クレーン株式会社の一部株式を住友重機械工業株式会社に譲渡し、持分法適用関連会社としました。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益については、油圧ショベルの需要回復により販売物量は増加したものの為替影響を受け、前連結会計年度比99%の7,539億4千7百万円となりました。営業利益は事業再編利益の差等により、前連結会計年度比69%の236億2千2百万円となりました。税引前当期利益は前連結会計年度比97%の238億5千9百万円、親会社株主に帰属する当期利益は前連結会計年度比91%の80億2千2百万円となりました。
セグメントの業績は次のとおりとなりました。
なお、当連結会計年度において、提出会社の従来事業である建設機械ビジネスに加えて、第3四半期より提出会社の連結子会社となったH-E Parts International LLC及びその子会社、及び第4四半期より提出会社の連結子会社となったBradken Limited及びその子会社の事業をソリューションビジネスとして新たに追加し、2つの事業セグメントで報告することといたしました。
① 建設機械ビジネス
当期においては、特に油圧ショベルの需要が中国・インド・アジア・西欧で前連結会計年度に比べ回復し、全世界需要は前連結会計年度比約10%増加しました。当連結グループでは、お客様の機械を総合的にサポートするサービスソリューション「ConSite(コンサイト)」のグローバル展開や、部品供給体制の拡充等により、部品・サービス事業の強化を図り、収益の拡大に努めました。日本では、国土交通省が推進するi-Constructionへの対応として、ICT油圧ショベルと情報化施工ソリューションの普及を促進しています。
マイニング機械需要は、当連結会計年度半ばでの資源価格の回復を受け、超大型油圧ショベルでは前連結会計年度比約10%増加しましたが、ダンプトラックでは約20%減少しました。両製品ともに、特に超大型クラスの需要低迷が続きました。提出会社では、日立グループの力を合せて高度な車体安定化制御を実現したリジッドダンプトラックAC-3シリーズのトロリー仕様機や高地仕様機の拡販に努めると共に、鉱山機械の運行管理システムの提供や自律運転技術の開発等、鉱山運営の効率化に取り組んでいます。また、より高度なレベルの顧客サポート体制の構築を進め、部品・サービスの売上収益拡大に努めています。
連結売上収益は、前連結会計年度比99%の7,472億5千6百万円となりました。
② ソリューションビジネス
当事業は、オーストラリア及び米国を中心にマイニング・砕石・建設機械及び設備に係るサービスソリューションの提供、及び付随する部品の開発・加工・販売を展開するH-E Parts International LLC及びその子会社と、鉱業及びインフラ産業向け鋳造部品を製造するほか、マイニング設備やマイニング機械の消耗部品、及びそのメンテナンスサービス等を提供し、多岐に亘るバリューチェーンでの事業を世界各地で展開しているBradken Limited及びその子会社の事業で構成しています。
連結売上収益は、第3四半期にH-E Parts International LLC及びその子会社を連結子会社化したことにより、66億9千1百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は654億5千5百万円となり、当連結会計年度期首より136億5千5百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動に関するキャッシュ・フローは、当期利益が141億9千万円、減価償却費306億8千万円、棚卸資産の減少289億7千4百万円、買掛金及び支払手形の増加205億8千万円を計上する一方、売掛金及び受取手形の増加14億8千2百万円、ファイナンス・リース債権の増加47億5千4百万円等がありました。
この結果、当連結会計年度は879億6千1百万円の収入となりました。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に関するキャッシュ・フローは、主として、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の取得560億7千万円があったため746億1千万円の支出となりました。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動に関するキャッシュ・フローは、主として、短期借入金の増加242億3千2百万円、社債及び長期借入金の減少307億4千万円、配当金(非支配持分株主への配当金を含む)の支払108億6千7百万円等があったことにより258億1千7百万円の支出となりました。
(3) 並行開示情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに関する項目との差異は以下のとおりです。なお、提出会社は日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算額で記載しています。
(のれん)
日本基準ではのれんを償却していましたが、IFRSでは償却を行っていません。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」が5億円減少しています。
(従業員給付)
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用のうち、当期の費用として認識しなかった部分をその他
の包括利益累計額にて認識し、将来の一定期間にわたり純損益として認識しています。また、勤務費用、利息費用及び期待運用収益を純損益として認識しています。
一方、IFRSでは、確定給付型企業年金制度及び退職一時金制度から生じる再測定は、その他の包括利益にて認識しています。再測定は、確定給付制度債務に係る数理計算上の差異、制度資産に係る収益(制度資産に係る利息収益の金額を除く)により構成されています。過去勤務費用は直ちに純損益として認識しています。また、勤務費用は発生時に純損益として認識し、純利息費用は確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じた金額を純損益として認識しています。
この影響により、IFRSは日本基準に比べて、連結損益計算書の当連結会計年度の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」が16億円減少し、連結包括利益計算書の当連結会計年度の「確定給付制度の再測定」が11億円減少しています。
(法人所得税)
内部未実現利益の消去に伴う税効果について、日本基準では繰延税金資産を売却元の実効税率を用いて計
算していましたが、IFRSでは売却先の実効税率を用いて計算しています。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「持分法による投資損益」が1億円増加し、「法人所得税費用」が8億円減少しています。