有価証券報告書-第50期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/24 14:52
【資料】
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【項目】
132項目

業績等の概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当連結グループが判断したものです。
(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、日本では設備投資の持ち直しと生産の増加により景気は緩やかに回復しました。中国では輸出が回復傾向を示し、また、政府による内需拡大策により緩やかに拡大しました。米国では緩やかな回復傾向で推移し、欧州でも英国やドイツが牽引役となり景気が持ち直しました。一方、東南アジア及びインドでは、通貨安・政局不安等により、景気は依然として低迷しています。
油圧ショベルを中心とした建設機械市場については、日本では住宅着工の増加と復興需要を始めとした公共投資の増加により需要は引き続き好調でした。中国では、地方の都市化、道路・鉄道の投資の増加により需要は回復してきましたが、2014年に入り「成長より改革」という政府の方針により建設機械需要に減速感が出ています。一方、タイ・インド・インドネシアでは需要が大きく落ち込みました。
マイニング(鉱山)機械市場については、石炭の価格下落の影響等により、北米・インドネシア・オーストラリア等の鉱山向けの需要が大幅に減少しました。
このような情勢の中、当連結グループは、収益確保をめざしてグローバルなサポート体制の確立とシェア向上、原価低減、経営の効率化に取り組んできました。
建設機械については、日本では排ガス規制に対応しかつ省エネを実現した新型機を順次発売し、2013年12月からはハイブリッドショベルZH200-5Bを市場投入すると共に、お客様の機械を総合的にサポートする新サービスメニュー「ConSite(コンサイト)」の提供を開始しました。海外においては、グローバルな生産・供給体制の拡充と代理店との連携強化に努めました。
マイニング機械については、大手顧客及び新規顧客への積極的な受注活動に引き続き注力しました。
以上の結果、当連結会計年度の連結の業績は、前連結会計年度比104%の8,029億8千8百万円、営業利益は前連結会計年度比134%の691億6千3百万円、経常利益は前連結会計年度比147%の536億7千1百万円となりました。
[日本]
建設機械需要については、震災復興工事・インフラ整備を始めとした公共投資の増加及び新設住宅着工戸数が高い水準であったことにより、レンタル向け需要を中心に好調に推移しました。
このような状況下、日立建機日本株式会社では、RSS(レンタル・セールス・サービス)が一体となって、お客様のニーズに最適な提案を行うことで、RSS複数の部門とお取引いただけるお客様の増大を推進し、売上拡大を図りました。
また、排ガス規制に対応しかつ省エネを実現した新型機を順次発売すると共に、2013年12月からはハイブリッドショベルZH200-5Bを市場投入し、拡販に努めました。
[米州]
米国経済は、住宅着工件数、建設投資及び失業率の改善等で明るい兆しも見えてきており、建設機械需要については底堅く推移しましたが、マイニング機械の需要は落ち込みました。
このような状況下、レンタル業界の買い替え需要の取り込みに加え、排ガス規制に対応した新型機の拡販に努めました。
またブラジルでもディア社との合弁工場で生産を開始し、現地生産体制及び販売体制を整えました。
[欧州]
欧州経済は、英国の堅調な回復に加え、独・仏も回復傾向にあり、欧州全体では持ち直しつつあります。建設機械需要については、英国の高い伸び率に加え西欧各国で回復傾向にあります。
このような状況下、当連結グループは各国代理店へのサポートの強化を推進し、低燃費型の油圧ショベルやホイールローダの積極的な拡販を図りました。
[ロシアCIS・アフリカ・中近東]
ロシア経済は、石油等天然資源輸出の落ち込み等を背景に、2012年後半から減速傾向が継続しています。
このような状況下、当連結グループは、販売面では日立建機ユーラシア販売LLCを通じて代理店サポートを継続し、建設・マイニング機械の拡販に努めました。また1月にロシア新工場の竣工式を行うなど、現地生産体制を整えました。
アフリカでは、南アフリカ及び周辺国における拡販に取り組み、北西アフリカでは代理店と共に建設関連向け機械の販売・サービス強化に努めました。
中近東では、空港工事・道路工事等のインフラ関連を中心とした拡販に引き続き注力し、復興需要関連プロジェクトでの大口受注に成功しました。
[アジア・大洋州]
資源国のインドネシア・オーストラリアでは、資源価格の低迷によりマイニング機械の需要が大きく落ち込みました。建設機械需要についてはインドネシア・オーストラリア・タイで減少が続きました。
このような状況下、営業支援システムの全面展開等で代理店の営業力強化に努めました。
低成長が続くインド経済はインフラ投資と一般建設への投資が未だ停滞しており建設機械の需要も低迷しています。
このような状況下、タタ日立コンストラクションマシナリーCo.,Ltd.は新型機を導入し、拡販に取り組みました。
[中国]
中国経済は、農村の都市化により格差是正を図り、内需を拡大する堅調な推移が見られました。
建設機械需要では、保障性住宅建設、道路、鉄道、港湾、環境整備等へのプロジェクトが増加したことにより、年度では前年度を上回る実績となりましたが、2014年に入り「成長より改革」という政府の方針により建設機械需要に減速感が出てきています。
このような状況下、当連結グループは、重点戦略機種の市場投入を展開すると同時に、サービス・部品販売管理システムの本格活用や、「Global e-Service」システムの活用を通じた代理店との協力関係強化を継続するなど、市場でのプレゼンス向上をめざしました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は536億7千6百万円となり、前連結会計年度末より129億4千6百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が527億7千5百万円、減価償却費374億5百万円、売上債権(リース債権含む)の減少260億6百万円を計上する一方、仕入債務の減少128億5千1百万円、賃貸用営業資産の取得による支出161億4千2百万円、法人税等の支払193億8千5百万円等がありました。
この結果、当連結会計年度は923億2千4百万円の収入となり、前連結会計年度末に比べ323億5千9百万円収入が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、主として、有形固定資産の取得による支出387億5百万円等があったことにより367億2千4百万円の支出となり、前連結会計年度末と比べて3億5千6百万円支出が減少しました。
これにより、営業活動によるキャッシュ・フローと、投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは556億円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、721億7千4百万円の支出となりました。これは主に有利子負債の減少による支出459億4千4百万円(純額)、利息の支払91億1千8百万円、配当金の支払128億3千2百万円等があったことによるものです。