訂正有価証券報告書-第77期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

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2019/03/29 10:30
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業績等の概要

当社グループは、当連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)から従来の日本基準に替えて国際財務報告基準(以下、「IFRS」)を適用しています。IFRSへの移行日は2016年1月1日であり、前連結会計年度(自 2016年1月1日 至 2016年12月31日)についても、IFRSに準拠して表示しています。IFRS上の営業利益は、従前の日本基準では営業外収益・費用、特別利益・損失に計上していた科目の一部が算入となるなど、日本基準上の営業利益の概念とは異なります。また、IFRS適用により、のれんの償却が停止となります。これらの影響により、前連結会計年度の日本基準の営業利益4,893百万円は、IFRSでは8,117百万円となります。日本基準とIFRSとの差異の概要は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 39 初度適用」をご参照ください。なお、前年同期比等については、IFRSに準拠した前期の連結数値をもとに算出しています。
(1)業績
当連結会計年度の当社グループの業績は、受注高 140,412百万円(対前年同期比8.7%増)、売上収益 140,912百万円(同8.4%増)、営業利益 8,718百万円(同7.4%増)、税引前利益 8,310百万円(22.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益 5,182百万円(同6.1%増)となりました。
工業部門では、国内ポンプ事業及び当社連結子会社LEWA GmbH(ドイツ)(以下、「LEWA社」)の利益面での改善が進んだほか、航空宇宙事業においては機種入替による端境期の影響により売上収益は微減となったものの、生産効率の向上に円安のメリットも加わり、セグメント利益は改善しています。
医療部門では、国内血液透析市場の停滞により装置販売が不振の一方で消耗品販売が増加しましたが、CRRT(急性血液浄化療法)事業の業績悪化に歯止めがかからず、セグメント利益は減少しました。その他、Cryogenic Industries グループ(以下、「CIグループ」)の株式取得に関連したアドバイザリー費用、宮崎新工場の立ち上げなど一過性の費用を計上しましたが、本社第二別館の売却益計上により、全社の営業利益は前年同期に比べ増益となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
工業部門
工業部門は、産業用ポンプ・コンプレッサー等を手掛けるインダストリアル事業、発電プラント向け水質調整装置・電子部品製造関連装置等を手掛ける精密機器事業、民間航空機向け炭素繊維強化樹脂(CFRP)成形品等を手掛ける航空宇宙事業、及び新規事業の深紫外線LED事業等で構成しています。
(2016年10月、インダストリアル事業から発電プラント向け水質調整装置、電子部品製造関連装置および粉体計測機器に関する事業を分離し、精密機器事業を新設しました。そのため、インダストリアル事業と精密機器事業については、前年同期比は記載していません。)
<インダストリアル事業>インダストリアル事業の受注高は58,827百万円、売上収益は59,715百万円となりました。
原油価格が本格的な上昇局面に入らないことから、原油・ガス採掘など上流分野の設備投資の本格的な回復には至っておらず、大型案件は限定的で競争環境は厳しさを増しています。上流分野向けの大型機器を主力事業とするLEWA社では上流分野の需要停滞で厳しい事業環境の中、石油化学分野の案件やアフターセールス事業の拡大に注力、さらに経費削減に努めることによって収益改善を図っています。クライオジェニックポンプ事業では、液化天然ガス(LNG)市場の需要の拡大によって引き続き活発な引合いを見込んでいます。前連結会計年度から続いている品質不適合問題は、当連結会計年度も対策費用の追加計上を余儀なくされたものの、技術的な課題解決にほぼ目途がつき、抜本的な改善に向け品質管理体制の強化などリスク管理施策を遂行しております。その他、国内事業については、原油安を受け石油化学メーカーの国内外への大型設備投資が活発化してきており、引合いが増加傾向にあります。
2017年8月21日に株式取得が完了したCIグループについては、第3四半期から連結業績に反映しています。CIグループについても、原油価格の低迷によるLNG市場の落ち込みを受け、当初見込みと比較して当期の売上収益は低調な結果となり、2018年も大きな回復は望めませんが、アジアを中心にLNG需要は増加傾向にあり、中長期的に市場は大きく拡大すると見込まれています。今後、本買収を通じて、成長が見込まれるLNGや次世代エネルギーとして期待される水素を含めた産業ガス製造装置事業への参入という事業領域の拡大にとどまらず、グループとして地域相互補完の関係を構築し、グローバル展開できる体制を整えてまいります。
<精密機器事業>精密機器事業の受注高は10,731百万円、売上収益は9,843百万円となりました。
発電所向け案件においては、原子力発電所向け案件は再稼働の遅れにより停滞していますが、火力発電所向け案件の受注や、受注済み案件の遂行に注力しました。また、スマートフォンや車載向けデバイス市場の好況により、電子部品製造業界向けに2016年に販売開始した新型温水ラミネーター装置の販売が伸長しました。
<航空宇宙事業>航空宇宙事業の受注高は15,712百万円(前年同期比2.1%増)、売上収益は15,550百万円(同0.3%減)となりました。
当期は、一部の航空機部品の価格改定や航空機メーカーの機種の切替えに伴う生産調整から出荷減になったことに加え、東村山工場や宮崎新工場の立ち上げによる先行経費負担の影響により厳しい業績を見込んでおりましたが、下期にカスケードの出荷が増加し、売上収益はほぼ前期並みの水準に回復しました。来期以降、カスケードやベトナム ハノイ第1工場での主翼部品の更なる出荷増が見込まれるほか、東村山工場において本格的に生産稼動し始めたファンケースライナーの出荷増を見込んでいます。
新興国における旅客・貨物需要の増加や格安航空会社の成長等、民間航空機の需要は小型機を中心に引き続き堅調に推移しており、活発な引合い、商談が継続しています。2018年秋頃の生産・出荷開始を目指している宮崎新工場、2018年度中の竣工を目指すベトナム ハノイ第2工場を含めた生産拠点の拡充とともに、事業運営体制・生産体制の再整備により、世界的な航空機需要の高まりを着実に取り込む努力を続けてまいります。
このほか、深紫外線LED事業においては、水殺菌では、水産加工業に向けた中流量水殺菌装置を開発・納入したほか、上下水道施設等に向けた大流量の水殺菌を可能とする製品開発を進めました。また、空気殺菌でも高出力と長寿命という当社深紫外線LEDの特長を活かしたモジュール開発を進めています。事業領域の拡大に向け市場の掘り起しを進め、当社グループの収益基盤の一つとなるよう育成してまいります。
以上の結果、工業部門の業績は、受注高 85,406百万円(前年同期比13.6%増)、売上収益 85,228百万円(同12.7%増)、セグメント利益 7,539百万円(同27.1%増)となりました。
医療部門
<メディカル事業>国内の血液透析市場では、医療経済環境の変化を受けて透析装置販売は低調ながら、当社透析装置との組み合わせで付加価値を提供できる血液回路や人工腎臓透析用剤など消耗品販売が増加し、国内市場の売上収益を下支えしています。海外市場では、医療保険制度の普及が進む中国において市場が拡大しており、現地合弁パートナーである威海威高血液浄化製品有限公司(中国)の積極的な事業展開により透析装置販売は着実に増加しています。また、欧州での販売も伸長した結果、血液透析関連事業全体では売上収益は増加しました。一方で、新機種開発の進捗に伴う開発費用や販売費及び一般管理費の増加もあり、利益面では前期比減少となりました。不振が続くCRRT事業では、主力の中国市場における販売体制の再構築、営業・サービス機能強化により装置販売が大幅に伸長しているものの、欧州他での苦戦が響き、経費増を賄えず業績は悪化しました。
以上の結果、医療部門の受注高は55,005百万円(前年同期比1.8%増)、売上収益は55,684百万円(同2.3%増)、セグメント利益は3,950百万円(同24.2%減)となりました。
メディカル事業において、主力である国内の血液透析市場は、医療経済環境、病院経営の大規模化など医療ビジネスモデルの変化による転換期を迎えており、引き続き市場の停滞、競争環境の激化が続くものと見込んでいます。その中で、国内市場のニーズを的確に捉えた新製品・サービスの開発と、それを支える事業運営体制の再構築及び業務改革を着実に遂行してまいります。また、海外市場では、中国以外のアジア諸国においても医療保険制度の拡充が進んでおり、大手透析サービスプロバイダーとの提携等も視野に入れ、販売体制の強化を進めます。
CRRT事業では、グローバル販売体制の再構築、新型装置の開発体制の抜本的な見直しを行ない、収益性改善に向けた施策を進めます。併せて、新規事業分野である人工膵臓「STG-55」、マイクロ波外科手術用エネルギーデバイス「Acrosurg.(アクロサージ)」、潰瘍性大腸炎患者向けアフェレシス(血液浄化)製品「Immnopure(イムノピュア)」等も着実にグローバル市場の開拓を進めており、メディカル事業の中期的な収益基盤として育成してまいります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の当期末残高は、前連結会計年度末に比べて8,175百万円増加し、34,095百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは+4,915百万円となりました。税引前利益の計上が主な要因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは△48,058百万円となりました。CIグループの買収に伴う子会社株式の取得による支出が主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは+51,015百万円となりました。短期借入れによる収入が主な要因です。
(3)並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下、「日本基準」)により作成した要約連結財務諸表及びIFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりです。
なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けていません。
① 要約連結貸借対照表(日本基準)
(単位:百万円)

前連結会計年度
(2016年12月31日)
当連結会計年度
(2017年12月31日)
資産の部
流動資産101,015122,356
固定資産
有形固定資産33,85936,721
無形固定資産27,00864,097
投資その他の資産13,57417,950
固定資産合計74,441118,769
資産合計175,457241,125
負債の部
流動負債51,886115,621
固定負債58,03653,146
負債合計109,923168,767
純資産の部
株主資本61,28962,780
その他の包括利益累計額2,9157,717
新株予約権8679
非支配株主持分1,2421,780
純資産合計65,53372,357
負債純資産合計175,457241,125

② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)
要約連結損益計算書
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2016年1月1日
至 2016年12月31日)
当連結会計年度
(自 2017年1月1日
至 2017年12月31日)
売上高132,890143,327
売上原価△87,665△93,688
売上総利益45,22549,638
販売費及び一般管理費△40,332△45,816
営業利益4,8933,821
営業外収益1,5361,839
営業外費用△2,228△1,332
経常利益4,2014,329
特別利益7111,384
特別損失△43△75
税金等調整前当期純利益4,8695,637
法人税等合計△2,061△2,895
当期純利益2,8082,742
非支配株主に帰属する当期純利益△78△150
親会社株主に帰属する当期純利益2,7292,591

要約連結包括利益計算書
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2016年1月1日
至 2016年12月31日)
当連結会計年度
(自 2017年1月1日
至 2017年12月31日)
当期純利益2,8082,742
その他の包括利益合計△2,2124,888
包括利益5967,630
(内訳)
親会社株主に係る包括利益5837,393
非支配株主に係る包括利益13236

③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)
前連結会計年度(自 2016年1月1日 至 2016年12月31日)
(単位:百万円)

株主資本その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計
当期首残高64,6965,061771,30671,142
当期変動額合計△3,407△2,1468△63△5,608
当期末残高61,2892,915861,24265,533

当連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
(単位:百万円)

株主資本その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計
当期首残高61,2892,915861,24265,533
当期変動額合計1,4904,802△75386,823
当期末残高62,7807,717791,78072,357

④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2016年1月1日
至 2016年12月31日)
当連結会計年度
(自 2017年1月1日
至 2017年12月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー12,6084,255
投資活動によるキャッシュ・フロー△7,400△47,660
財務活動によるキャッシュ・フロー△6,05251,278
現金及び現金同等物に係る換算差額△638302
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△1,4828,175
現金及び現金同等物の期首残高27,40225,919
現金及び現金同等物の期末残高25,91934,095

⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)
前連結会計年度(自 2016年1月1日 至 2016年12月31日)
ⅰ)連結の範囲に関する事項
当連結会計年度から、Nikkiso America,Inc.が新たに取得したAquiSense Technologies LLCを連結の範囲に含めています。そのほか、マイクロトラック・ベル株式会社の子会社において、新設により1社を連結の範囲に含め、LEWA GmbHの子会社において、清算により1社を連結の範囲から除外し、取得により1社を連結の範囲に含めています。
ⅱ)持分法の適用に関する事項
Typhon Treatment System Ltd.は、Nikkiso America,Inc.が株式を追加取得したため、当連結会計年度から持分法の適用範囲に含めています。
ⅲ)会計方針の変更
当社及び国内連結子会社は、法人税法の改正に伴い、「平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第32号 平成28年6月17日)を当連結会計年度に適用し、2016年4月1日以後に取得した建物附属設備及び構築物に係る減価償却方法を定率法から定額法に変更しています。
なお、当連結会計年度において、連結財務諸表に与える影響額は軽微です。
当連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
ⅰ)連結の範囲に関する事項
当連結会計年度から、新設した宮崎日機装株式会社及びCryogenic Industries,Inc.を連結の範囲に含めています。また、日機装インターナショナル株式会社及び新設したCryogenic Industries,Inc.を通じて、米国のCryogenic Industriesグループ傘下の事業会社であった21社を取得したことにより、日機装インターナショナル株式会社の子会社において12社を連結の範囲に含め、Cryogenic Industries,Inc.の子会社において9社を連結の範囲に含めています。さらに、株式の取得によりSolinas Medical Inc.を連結子会社の範囲に含めているほか、Microtrac, Inc.の子会社において、清算により1社を連結の範囲から除外しています。
⑥ IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
前連結会計年度(自 2016年1月1日 至 2016年12月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 39 初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2017年1月1日 至 2017年12月31日)
ⅰ)のれんの償却
日本基準において、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積もり、その期間で償却することとしていましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止しています。この結果、のれん償却額(販売費及び一般管理費)が2,530百万円減少しています。
ⅱ)表示方法の変更
日本基準では営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSでは財務関連項目を金融収益、金融費用に、その他の項目についてはその他の収益、その他の費用又は持分法による投資利益に表示しています。