有価証券報告書-第78期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業グループが判断したものであります。
(経営の基本方針)
当企業グループは道路建設機械事業を通じて、国土開発という社会事業に貢献することを経営の基本方針としています。ユーザの方々に信頼のおける製品とサービスを提供すること、道路建設機械のスペシャリストとして常に技術の深耕を図り、道路事業の発展に有益な技術を創造して行くこと、そして道路建設機械で培った専門技術を周辺分野の事業にも役立てて行くことが、当企業グループの存在意義であり、責務であると考えております。
この基本方針に基づき、株主の皆様より出資された資金並びに社員の能力を最大限生かせる会社運営を行うことにより、株主の皆様の期待に応えられる業績を上げて行くことに全力を尽くして参ります。
(中期的な会社の経営戦略)
当企業グループは、国内建設投資の成熟化と激動する世界経済の中で現在成長の踊り場を迎えております。我々と致しましては、強みである道路建設機械事業の更なる専門化と国際化を会社の進むべき方向とし、事業構造革新を強力に進めて行く方針であります。この為、①国内事業の安定化、②海外事業の更なる拡大、③魅力ある新製品開発とサービスの提供を中期経営課題として定め、国際競争力の向上と国内外事業による安定的収益構造確立によって、中長期的な持続的成長と国際市場におけるトップメーカとしての地位を目指して参ります。
(中期的な経営方針)
当社は、2022年3月期から2026年3月期の5ヶ年を対象とした、中期的な経営方針を策定し、2021年6月に公表致しました。
1.当社の目指す企業像
(1)あるべき当社の姿
・ 道路建設機械における世界一流のグローバルニッチ企業
・ 中期経営計画として、売上規模300億円の基盤固め
・ 長期目標として、売上規模500億円企業への成長
(2)プライム市場への上場維持確保
・ これまでの安定志向の経営から脱却し、質実ともにグローバル水準の企業経営への脱皮
・ 「事業成長」と「資本政策」を二本柱とした経営への転換と、これを通じた企業価値の向上
2.中期的目標
売上高300億円、ROE8%を実現し、安定的に配当性向50%(DOE4%)を維持
3.KPI
なお、次期中期経営方針につきましては、7月下旬を目処に公表を予定しております。
(経営環境)
国内市場
・ 政府建設投資
国土強靭化加速化計画(総額15兆円/5年)の後継計画として、今年から国土強靭化実施中期計画(総額20兆円強/5年)が開始されることにより、政府建設投資は今後5年間に亘り大幅な予算拡大となる見通しです。災害激甚化対策や老朽化インフラの維持など、高水準のインフラ投資が始まります。
2026年度の政府建設投資は、名目値で前年度比8.9%増の28兆6千億円、インフレを加味した実質値でも前年度比6.9%増の21兆3千億円の大幅拡大となる見通しです。
・ 第一次国土強靭化実施中期計画
国土強靭化実施中期計画の概要は次のとおりで、道路にも予算が付きますが、災害激甚化に伴う治水や耐震強化、老朽化した上下水道や橋梁対策の拡大が目立ちます。国内販売では道路分野以外のローラ使用領域拡大を視野に入れて行く必要があります。
(1)計画期間:2026年度から2030年度
(2)事業規模:概ね20兆円強/5年
(3)主要施策:
ア)防災インフラの整備・管理(流域治水対策等):5.8兆円
イ)ライフラインの強靭化(上下水道、道路、橋梁、港湾強化等):10.6兆円
ウ)デジタル等新技術活用(自動化施工技術による省人化等):0.3兆円
エ)官民連携強化:1.8兆円
オ)地域防災力の強化:1.8兆円
・ 国内ローラ需要
国内ローラの総需要は、レンタル業界の在庫調整の影響で、第76期の2,009台から第77期は33%減の1,365台まで急減速したものの、77期末の3月に底入れし、第78期は11%増の1,520台に回復しています。
建機レンタル業界では、建機の購入単価が2割上昇する中で、レンタル単価への価格転嫁が中々進まず、建機の使用期間を2割延命させる傾向が見られましたが、既に2年に亘る在庫調整が続いています。今後は延命に伴う故障率や修理費、中古車再販価格、レンタル価格転嫁の進捗、中長期経営上の投資金額と減価償却費
の平準化の観点から、建設機械投資サイクルが正常化に向かうものと予想しています。
・ i-Construction 2.0による建設現場改革
国土強靭化実施中期計画の「デジタル等新技術活用」施策では、7工種(盛土、掘削、積込み、運搬、押土、敷均し、締固め)の自動化施工により、建設現場人員の3割省人化(生産性1.5倍)を目指しています。この国土強靭化計画への位置づけにより、自動化施工が更に加速するものと予想されます。当社の自動運転ローラARMs の商談が増加しているのも、正にこの文脈だと思われます。
・ 国内インフレ動向
2025年末の企業間物価指数は、昨年末の123.7から4.3ポイント増の128.0へと引き続きインフレ傾向が続いています。2020年から5年で物価が28%上昇しました。また運輸など企業向けサービス物価指数も、昨年末の108.7から3.4ポイント増の112.1へと上昇しています。サービス物価も2020年から5年間で12%上昇しています。
当社もこれまでに約2割の値上げを進めて来ましたが、社会的にはこれを上回る物価上昇が継続的に続いているという現実がこの統計から理解できます。
円安による輸入物価上昇と人手不足による賃金上昇により、今後ともこの物価上昇は続く見通しです。
当社の販売とモノづくりにおいては、原価上昇に基づく価格転嫁はもとより、自助努力によるコストダウンを改めて強力に進めることで、価格競争力の強化、当社内のベースアップ原資の創出、ROE8%を目指した業績確保を進めて行きます。
・ 取適法(中小受託取引適正化法)施行
2026年1月より、これまでの下請法を強化した取適法が施行されました。政府主導による構造的価格転嫁の実現と中小企業の賃上げ原資確保が狙いです。
資本金3億円以下か従業員300人以下(対象業者拡大)の中小企業との取引に際し、協議無き一方的な代金決定の禁止や、手形払いと60日を超える支払いの禁止が厳格に規制されました。
当社のコンプライアンスの面では、発注条件と取引の適正化が求められます。
当社の資金面では、取適法の対象業者拡大に伴い、12億円相当の追加資金負担増加が試算されています。
日本社会特有の手形による資金融通の連鎖という商慣習が、政府主導で大きく転換するタイミングですので、営業部門の販売代金回収期間についても60日以内(納入翌月末払い)の決済条件へと改善を進めて行きます。
また部品や運送費の仕入原価の上昇が加速して来ますので、引き続き価格転嫁と正攻法によるコストダウンを進めます。
・ 金利のある世界への回帰
日本の政策金利は、1990年に6%でしたが、バブル崩壊後の1999年にゼロ金利政策が始まり、2024年のマイナス金利政策解除までの約25年間に亘りゼロ金利状態が続いて来ました。この政策金利が2025年末には0.75%まで上昇、また長期金利と資本コストの前提となる10年国債利回りも年末には2%まで上昇して来ています。
当社の借入金は約50億円ありますので、1%の金利上昇で50百万円の利払いコストが増加、また銀行借入についても、金利のある世界では審査の厳格化が進みます。
取適法により運転資金量が更に増加する中、金利上昇による資金コストの増加が確実ですので、バランスシート改善による運転資金構造の適正化を進めて行きます。
・ 防衛力整備計画前倒し
世界の安全保障環境が先鋭化する中、2023年から5ヵ年で43兆円の防衛装備計画が決定されました。それ以前の防衛予算がGDP比1%の5兆2千億円に抑えられていたのに対して、2025年度の防衛予算は補正予算の積み増しによりGDP比2%の11兆円超に拡大しました。今後の防衛予算は更に拡大する方向にあります。
この防衛予算では、既に自衛隊基地整備の為に大規模なインフラ工事が急ピッチで進められていますので、国内の新事業領域として営業展開を更に強化して行きます。
海外市場
・ 北米市場
北米の建設投資は2024年をピークに緩やかな調整局面にあります。
1兆2千億ドルのインフラ投資雇用法(2022年から2026年)により、道路建設投資は高い水準を維持し、インフレと高金利で住宅建設が減少に転じる中、半導体工場やAI向け大規模データセンターの建設が下支えしている構造です。
また北米関税交渉の過程で、日本は5,500億ドル、韓国は3,500億ドルという膨大な北米投資を約束しましたので、エネルギーや造船など更なる民間建設投資が積み上がる見通しです。
ローラ需要は、2023年12,111台から3割減の8,394台まで減少して来ました。
総建設投資が高い水準を維持する中で、ディーラ層における急速な流通在庫調整が進んで来ましたので、建設実需に基づく底入れが近いものと予想しています。
・ トランプ関税
2025年4月に強行された北米関税政策は、自由貿易という既存秩序の終わりを告げる転換点になりました。
相互関税は、日本・EUが15%、ASEANがほぼ19%、インド・ブラジルが50%、中国については今年10月まで10%+上乗関税25%で決着しています。また鉄・アルミ・銅については含有量に応じて50%、それ以外の材料部分は相互関税税率が課せられます。
関税コストについては基本的に価格改定で対応する方針です。
・ ASEAN市場
ASEANのローラ需要は、2024年の3,692台から18%増の4,372台と回復基調に入っています。タイではカンボジアとの地域紛争、インドネシアではプラボウォ政権の経済政策混乱で需要停滞したものの、ベトナム、フィリピン、ラオスを中心に需要が回復に転じました。
2026年も各国の公共投資予算は増加傾向にあり、引き続き回復が期待されます。
一方で中国経済の低迷に伴う中国メーカのデフレ輸出が加速し、中国製廉価機械との市場競争が熾烈化しつつあります。
世界ローラ需要
2025年の世界のローラ需要は、2023年ピークの53,835台から、2年で8.9%減の49,074台に減少しています。北米需要の縮小が主因です。日本、ASEAN、中国、西欧は底入れ傾向にあり、中近東、アフリカの成長が目立ってきました。グローバル経済から多極化経済に移行する中で、当社が強みを発揮できる成長市場を見極め、選択と集中で重点市場の市場開拓を進めて行きます。
インフラシステム海外展開行動計画
日本政府は、日本企業の海外インフラ受注を2022年の31兆円から2030年に45兆円まで拡大する為、ODA等により民間支援する方針です。
(1)アフリカでは、「インド洋アフリカ経済圏イニシアティブ」として、港湾、道路など「JAIDA」と連携して推進する方針です。
(2)アジアでは「自由で開かれたインド太平洋」の要としてインフラのハードとソフトで支援。
その中で、インドネシアとベトナムでは、アスファルト再生プロジェクトを推進中です。
(3)西南アジアでは、インド、バングラディッシュで案件形成中です。
(4)ウクライナでは復興案件として、インフラ遠隔施工を推進中です。
(5)中南米では、「PLACIDA」を設立し、新たなインフラプロジェクト形成の模索が始まっています。
(6)中央アジアでは、「CA+JAD 東京イニシアティブ」を立ち上げ、新たに3兆円/5年の投資案件を進めます。
(優先的に対処すべき事業上の課題)
今後世界の建設機械市場は、短期的には調整局面がしばらく続くものの、中長期的には日本の国土強靭化実施中期計画や防衛整備予算倍増、米国における高水準のインフラ投資、新興諸国におけるインフラ投資と鉱山開発の活発化、更には老朽化インフラの更新需要や自然災害甚大化への対応と復興需要など、建設機械の底堅い潜在需要が期待されますので、景気循環とともに回復するものと予想しております。
一方足下では、世界秩序の混迷と、中東危機長期化に伴うエネルギー原材料価格の高騰が世界経済の下押し圧力となるリスクをはらんでおり、予断を許しません。
このような情勢の下で当企業グループでは、成長に向けた新製品投入力の増強と市場開拓、価格戦略と高付加価値化による収益体質向上、AI実装による業務改革と企業体質強化、人的資本投資と収益生産性向上の両立により、成長力と収益力を高めて参ります。
また引き続き中長期成長戦略である、アジア市場深耕と北米市場展開、海外事業領域拡大、新技術活用による次世代事業開発、需要変化対応力強化を進め、中長期的な事業成長と企業価値向上を目指して参ります。
(目標とする経営指標等)
当企業グループは、道路機械という専門技術が求められるニッチマーケットにおいて、業界唯一の独立企業として自由で健全な成長と世界のインフラ整備に貢献できるグローバルニッチメーカを目指しており、売上高、営業利益を重要な経営指標として位置づけ、本業からの収益の着実な積み上げを目指します。
(経営の基本方針)
当企業グループは道路建設機械事業を通じて、国土開発という社会事業に貢献することを経営の基本方針としています。ユーザの方々に信頼のおける製品とサービスを提供すること、道路建設機械のスペシャリストとして常に技術の深耕を図り、道路事業の発展に有益な技術を創造して行くこと、そして道路建設機械で培った専門技術を周辺分野の事業にも役立てて行くことが、当企業グループの存在意義であり、責務であると考えております。
この基本方針に基づき、株主の皆様より出資された資金並びに社員の能力を最大限生かせる会社運営を行うことにより、株主の皆様の期待に応えられる業績を上げて行くことに全力を尽くして参ります。
(中期的な会社の経営戦略)
当企業グループは、国内建設投資の成熟化と激動する世界経済の中で現在成長の踊り場を迎えております。我々と致しましては、強みである道路建設機械事業の更なる専門化と国際化を会社の進むべき方向とし、事業構造革新を強力に進めて行く方針であります。この為、①国内事業の安定化、②海外事業の更なる拡大、③魅力ある新製品開発とサービスの提供を中期経営課題として定め、国際競争力の向上と国内外事業による安定的収益構造確立によって、中長期的な持続的成長と国際市場におけるトップメーカとしての地位を目指して参ります。
(中期的な経営方針)
当社は、2022年3月期から2026年3月期の5ヶ年を対象とした、中期的な経営方針を策定し、2021年6月に公表致しました。
1.当社の目指す企業像
(1)あるべき当社の姿
・ 道路建設機械における世界一流のグローバルニッチ企業
・ 中期経営計画として、売上規模300億円の基盤固め
・ 長期目標として、売上規模500億円企業への成長
(2)プライム市場への上場維持確保
・ これまでの安定志向の経営から脱却し、質実ともにグローバル水準の企業経営への脱皮
・ 「事業成長」と「資本政策」を二本柱とした経営への転換と、これを通じた企業価値の向上
2.中期的目標
売上高300億円、ROE8%を実現し、安定的に配当性向50%(DOE4%)を維持
3.KPI
| KPI | 21/3実績 | 24/3目標 | 26/3目標 |
| 売上高 | 216億円 | 265億円 | 300億円 |
| 営業利益 | 7億円 | 20億円 | 31億円 |
| ROE | 0.0% | 5.5% | 8.0% |
| 配当政策 | ROE3%を下回る場合は配当性向100%の還元 ROE3%~6%の間はDOE3%の還元 ROE6%を超えた場合は配当性向50%の還元 | ||
| 自己株買い | 5~20億円規模を上限とした機動的な自己株買い | ||
なお、次期中期経営方針につきましては、7月下旬を目処に公表を予定しております。
(経営環境)
国内市場
・ 政府建設投資
国土強靭化加速化計画(総額15兆円/5年)の後継計画として、今年から国土強靭化実施中期計画(総額20兆円強/5年)が開始されることにより、政府建設投資は今後5年間に亘り大幅な予算拡大となる見通しです。災害激甚化対策や老朽化インフラの維持など、高水準のインフラ投資が始まります。
2026年度の政府建設投資は、名目値で前年度比8.9%増の28兆6千億円、インフレを加味した実質値でも前年度比6.9%増の21兆3千億円の大幅拡大となる見通しです。
・ 第一次国土強靭化実施中期計画
国土強靭化実施中期計画の概要は次のとおりで、道路にも予算が付きますが、災害激甚化に伴う治水や耐震強化、老朽化した上下水道や橋梁対策の拡大が目立ちます。国内販売では道路分野以外のローラ使用領域拡大を視野に入れて行く必要があります。
(1)計画期間:2026年度から2030年度
(2)事業規模:概ね20兆円強/5年
(3)主要施策:
ア)防災インフラの整備・管理(流域治水対策等):5.8兆円
イ)ライフラインの強靭化(上下水道、道路、橋梁、港湾強化等):10.6兆円
ウ)デジタル等新技術活用(自動化施工技術による省人化等):0.3兆円
エ)官民連携強化:1.8兆円
オ)地域防災力の強化:1.8兆円
・ 国内ローラ需要
国内ローラの総需要は、レンタル業界の在庫調整の影響で、第76期の2,009台から第77期は33%減の1,365台まで急減速したものの、77期末の3月に底入れし、第78期は11%増の1,520台に回復しています。
建機レンタル業界では、建機の購入単価が2割上昇する中で、レンタル単価への価格転嫁が中々進まず、建機の使用期間を2割延命させる傾向が見られましたが、既に2年に亘る在庫調整が続いています。今後は延命に伴う故障率や修理費、中古車再販価格、レンタル価格転嫁の進捗、中長期経営上の投資金額と減価償却費
の平準化の観点から、建設機械投資サイクルが正常化に向かうものと予想しています。
・ i-Construction 2.0による建設現場改革
国土強靭化実施中期計画の「デジタル等新技術活用」施策では、7工種(盛土、掘削、積込み、運搬、押土、敷均し、締固め)の自動化施工により、建設現場人員の3割省人化(生産性1.5倍)を目指しています。この国土強靭化計画への位置づけにより、自動化施工が更に加速するものと予想されます。当社の自動運転ローラARMs の商談が増加しているのも、正にこの文脈だと思われます。
・ 国内インフレ動向
2025年末の企業間物価指数は、昨年末の123.7から4.3ポイント増の128.0へと引き続きインフレ傾向が続いています。2020年から5年で物価が28%上昇しました。また運輸など企業向けサービス物価指数も、昨年末の108.7から3.4ポイント増の112.1へと上昇しています。サービス物価も2020年から5年間で12%上昇しています。
当社もこれまでに約2割の値上げを進めて来ましたが、社会的にはこれを上回る物価上昇が継続的に続いているという現実がこの統計から理解できます。
円安による輸入物価上昇と人手不足による賃金上昇により、今後ともこの物価上昇は続く見通しです。
当社の販売とモノづくりにおいては、原価上昇に基づく価格転嫁はもとより、自助努力によるコストダウンを改めて強力に進めることで、価格競争力の強化、当社内のベースアップ原資の創出、ROE8%を目指した業績確保を進めて行きます。
・ 取適法(中小受託取引適正化法)施行
2026年1月より、これまでの下請法を強化した取適法が施行されました。政府主導による構造的価格転嫁の実現と中小企業の賃上げ原資確保が狙いです。
資本金3億円以下か従業員300人以下(対象業者拡大)の中小企業との取引に際し、協議無き一方的な代金決定の禁止や、手形払いと60日を超える支払いの禁止が厳格に規制されました。
当社のコンプライアンスの面では、発注条件と取引の適正化が求められます。
当社の資金面では、取適法の対象業者拡大に伴い、12億円相当の追加資金負担増加が試算されています。
日本社会特有の手形による資金融通の連鎖という商慣習が、政府主導で大きく転換するタイミングですので、営業部門の販売代金回収期間についても60日以内(納入翌月末払い)の決済条件へと改善を進めて行きます。
また部品や運送費の仕入原価の上昇が加速して来ますので、引き続き価格転嫁と正攻法によるコストダウンを進めます。
・ 金利のある世界への回帰
日本の政策金利は、1990年に6%でしたが、バブル崩壊後の1999年にゼロ金利政策が始まり、2024年のマイナス金利政策解除までの約25年間に亘りゼロ金利状態が続いて来ました。この政策金利が2025年末には0.75%まで上昇、また長期金利と資本コストの前提となる10年国債利回りも年末には2%まで上昇して来ています。
当社の借入金は約50億円ありますので、1%の金利上昇で50百万円の利払いコストが増加、また銀行借入についても、金利のある世界では審査の厳格化が進みます。
取適法により運転資金量が更に増加する中、金利上昇による資金コストの増加が確実ですので、バランスシート改善による運転資金構造の適正化を進めて行きます。
・ 防衛力整備計画前倒し
世界の安全保障環境が先鋭化する中、2023年から5ヵ年で43兆円の防衛装備計画が決定されました。それ以前の防衛予算がGDP比1%の5兆2千億円に抑えられていたのに対して、2025年度の防衛予算は補正予算の積み増しによりGDP比2%の11兆円超に拡大しました。今後の防衛予算は更に拡大する方向にあります。
この防衛予算では、既に自衛隊基地整備の為に大規模なインフラ工事が急ピッチで進められていますので、国内の新事業領域として営業展開を更に強化して行きます。
海外市場
・ 北米市場
北米の建設投資は2024年をピークに緩やかな調整局面にあります。
1兆2千億ドルのインフラ投資雇用法(2022年から2026年)により、道路建設投資は高い水準を維持し、インフレと高金利で住宅建設が減少に転じる中、半導体工場やAI向け大規模データセンターの建設が下支えしている構造です。
また北米関税交渉の過程で、日本は5,500億ドル、韓国は3,500億ドルという膨大な北米投資を約束しましたので、エネルギーや造船など更なる民間建設投資が積み上がる見通しです。
ローラ需要は、2023年12,111台から3割減の8,394台まで減少して来ました。
総建設投資が高い水準を維持する中で、ディーラ層における急速な流通在庫調整が進んで来ましたので、建設実需に基づく底入れが近いものと予想しています。
・ トランプ関税
2025年4月に強行された北米関税政策は、自由貿易という既存秩序の終わりを告げる転換点になりました。
相互関税は、日本・EUが15%、ASEANがほぼ19%、インド・ブラジルが50%、中国については今年10月まで10%+上乗関税25%で決着しています。また鉄・アルミ・銅については含有量に応じて50%、それ以外の材料部分は相互関税税率が課せられます。
関税コストについては基本的に価格改定で対応する方針です。
・ ASEAN市場
ASEANのローラ需要は、2024年の3,692台から18%増の4,372台と回復基調に入っています。タイではカンボジアとの地域紛争、インドネシアではプラボウォ政権の経済政策混乱で需要停滞したものの、ベトナム、フィリピン、ラオスを中心に需要が回復に転じました。
2026年も各国の公共投資予算は増加傾向にあり、引き続き回復が期待されます。
一方で中国経済の低迷に伴う中国メーカのデフレ輸出が加速し、中国製廉価機械との市場競争が熾烈化しつつあります。
世界ローラ需要
2025年の世界のローラ需要は、2023年ピークの53,835台から、2年で8.9%減の49,074台に減少しています。北米需要の縮小が主因です。日本、ASEAN、中国、西欧は底入れ傾向にあり、中近東、アフリカの成長が目立ってきました。グローバル経済から多極化経済に移行する中で、当社が強みを発揮できる成長市場を見極め、選択と集中で重点市場の市場開拓を進めて行きます。
インフラシステム海外展開行動計画
日本政府は、日本企業の海外インフラ受注を2022年の31兆円から2030年に45兆円まで拡大する為、ODA等により民間支援する方針です。
(1)アフリカでは、「インド洋アフリカ経済圏イニシアティブ」として、港湾、道路など「JAIDA」と連携して推進する方針です。
(2)アジアでは「自由で開かれたインド太平洋」の要としてインフラのハードとソフトで支援。
その中で、インドネシアとベトナムでは、アスファルト再生プロジェクトを推進中です。
(3)西南アジアでは、インド、バングラディッシュで案件形成中です。
(4)ウクライナでは復興案件として、インフラ遠隔施工を推進中です。
(5)中南米では、「PLACIDA」を設立し、新たなインフラプロジェクト形成の模索が始まっています。
(6)中央アジアでは、「CA+JAD 東京イニシアティブ」を立ち上げ、新たに3兆円/5年の投資案件を進めます。
(優先的に対処すべき事業上の課題)
今後世界の建設機械市場は、短期的には調整局面がしばらく続くものの、中長期的には日本の国土強靭化実施中期計画や防衛整備予算倍増、米国における高水準のインフラ投資、新興諸国におけるインフラ投資と鉱山開発の活発化、更には老朽化インフラの更新需要や自然災害甚大化への対応と復興需要など、建設機械の底堅い潜在需要が期待されますので、景気循環とともに回復するものと予想しております。
一方足下では、世界秩序の混迷と、中東危機長期化に伴うエネルギー原材料価格の高騰が世界経済の下押し圧力となるリスクをはらんでおり、予断を許しません。
このような情勢の下で当企業グループでは、成長に向けた新製品投入力の増強と市場開拓、価格戦略と高付加価値化による収益体質向上、AI実装による業務改革と企業体質強化、人的資本投資と収益生産性向上の両立により、成長力と収益力を高めて参ります。
また引き続き中長期成長戦略である、アジア市場深耕と北米市場展開、海外事業領域拡大、新技術活用による次世代事業開発、需要変化対応力強化を進め、中長期的な事業成長と企業価値向上を目指して参ります。
(目標とする経営指標等)
当企業グループは、道路機械という専門技術が求められるニッチマーケットにおいて、業界唯一の独立企業として自由で健全な成長と世界のインフラ整備に貢献できるグローバルニッチメーカを目指しており、売上高、営業利益を重要な経営指標として位置づけ、本業からの収益の着実な積み上げを目指します。