有価証券報告書-第74期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/29 16:17
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(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦の影響が長期化して、各地域経済に影を落としました。また、新型コロナウイルス感染症の影響が中国を皮切りに各国に伝播し、第4四半期(1月-3月)での各国経済はこれまでになく下振れしました。我が国の経済も、消費税増税や大型台風等自然災害が影響を及ぼし、さらに第4四半期は、感染症拡大防止のための各国間の移動制限によりインバウンド消費が大幅に減少する等低迷しました。
印刷機械の需要動向は、欧州市場においては、英国のEU離脱が決まったものの、先行きへの警戒感から引続きオフセット印刷機への需要が低迷しており、また、東欧南欧等の代理店地域を中心に各国で需要が低調に推移しました。米国では、オフセット印刷機への設備投資が抑えられる一方で、多品種小ロットに対応したデジタル印刷機への投資が進展しています。中国では、高い生産性を目指す大手印刷会社を中心に、自動化・省力化に優れたオフセット印刷機への投資意欲はあるものの、通貨安や米中貿易摩擦の影響を受け設備需要が先延ばしとなりました。アジア市場及びその他市場では、オフセット印刷機の需要が伸び、加えて証券印刷機の需要も継続しています。日本市場では人手不足の慢性化を背景に、省人化・効率化を目的にした高機能のオフセット印刷機の引き合いはあるものの、景況感の悪化により設備投資の時期に対しては慎重な判断が続きました。
このような市場環境において、当社は当連結会計年度から2023年に迎える創業100周年を見据えた5ヵ年計画の第6次中期経営計画(2019/4~2024/3)をスタートさせました。第6次中期経営計画では、安定的に収益を確保するコア事業(オフセット印刷機事業・証券印刷機事業)、収益化を目指して投資する重点事業(DPS(デジタル印刷機)事業)、中長期的に育てていく新規(育成)事業(PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業)の3つに分類し活動を進めてまいりました。
オフセット印刷機事業においては、昨年4月に中国国際印刷技術展示会「PRINT CHINA 2019」に出展し、多様化するパッケージニーズへの対応機として「LITHRONE(リスロン)G40」による様々なパッケージ印刷の実演や、効率的に多くの印刷に対応が可能な「LITHRONE G37」の実演を通して、世界最大の印刷市場である中国で「Innovate to Create」のテーマのもと自動化・省人化・スキルフリー化による課題解決をアピールしました。この展示会にはDPS事業においても29インチ枚葉デジタル印刷機「Impremia(インプレミア)IS29」を出展し、バリアブル印刷での正確な色の再現や、特殊紙への対応力の高さを実演し、多様なビジネスモデルを提案しました。なお「Impremia IS29」は、日本印刷産業連合会の定める「グリーンプリンティング資機材認定」の最高ランクとなる「スリースター」を取得し、環境面においても、高い性能が認められております。
証券印刷機事業では、昨年11月に銀行券印刷業界におけるアジア最大の会議である「HIGH SECURITY PRINTING ASIA」が日本で初めて開催され、30ヶ国以上の国から中央銀行や政府機関より参加がありました。当社も当会議に参加し、併せてつくばプラントで内覧会を実施し当社の紙幣印刷機の技術力をアピールしました。
DPS事業では、大型の40インチ枚葉ナノグラフィックプリンティングシステム「Impremia NS40」のフィールドテストを昨年11月より開始し、2月には国内外の顧客に対し内覧会を開催しました。「HIGH SECURITY PRINTING ASIA」への参加及び「Impremia NS40」のフィールドテスト等につきましては、「5 研究開発活動」をご参照ください。
以上の結果、当連結会計年度における受注高は88,558百万円(前期比5.2%減少)となり、売上高は、77,646百万円(前期比14.0%減少)となりました。費用面では、為替レートの変動や生産量の減少、サービスパーツ在庫高の期末評価方法見直し等により、売上原価率が前期に比べ上昇し、販売費及び一般管理費率も、のれんの償却や研究開発費等の増加及び売上高の減少により、前期に比べ上昇しました。その結果、営業損益は3,404百万円の損失(前連結会計年度は2,706百万円の利益)となりました。経常損益は、前期と同様に為替差損が発生した影響もあり、3,480百万円の損失(前連結会計年度は2,502百万円の利益)となりました。税金等調整前当期純損益は、これらに加え、当連結会計年度にて事業用資産の減損損失を17,757百万円計上した影響等により、当期は21,176百万円の損失(前連結会計年度は2,458百万円の利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、繰延税金資産の取崩による法人税等調整額の計上等により、25,473百万円の損失(前連結会計年度は1,427百万円の利益)となりました。
また、海外売上高は49,371百万円(前期比8.2%減少)で、売上高に占める割合は63.6%となりました。
なお、上記の減損損失は、当社グループの中核工場であるつくば工場において生産している印刷機械の需要が、先進国市場での書籍や商業印刷物の電子化の影響、さらに新型コロナウイルスの感染拡大の影響の長期化により、想定通りに伸長せず収益性の低下が見込まれると判断し、製造設備等事業用資産の回収可能性を慎重に検討した結果、計上しております。
地域別連結売上高の概況は以下の通りです。
(単位:百万円)
前連結会計年度
(2018.4.1~2019.3.31)
当連結会計年度
(2019.4.1~2020.3.31)
増減率
売上高90,24277,646△14.0%
内 訳日本37,44429,049△22.4%
北米8,0775,890△27.1%
欧州15,18812,303△19.0%
中華圏18,22615,976△12.3%
その他地域11,30514,42527.6%

日本市場は人手不足を背景に、省人化・効率化を目的にしたオフセット印刷機の引き合いはあるものの、消費税増税を境に印刷需要の減少に伴う設備投資の先延ばしや見送り等が発生しました。また、PE事業でも設備投資サイクルが一段落し需要が減少しました。これらの理由により、売上高は前連結会計年度比22.4%減少の29,049百万円となりました。
北米市場は雇用情勢の改善が続き、また企業業績も底堅さを保ち堅調な景気拡大が継続しました。一方で、米中貿易摩擦により通商政策の不確実性が高まる中、オフセット印刷機への投資は依然慎重で、前連結会計年度比27.1%減少の5,890百万円となりました。
欧州市場は製造業の低迷により、景気に停滞感がみられました。印刷機需要は、英国ではEU離脱が決まったものの、先行きへの警戒感から印刷設備投資の低迷が続き、東欧・南欧等の代理店地域でも需要が低調に推移しました。売上高は前連結会計年度比19.0%減少の12,303百万円となりました。
中華圏は米中貿易摩擦の影響により、景気拡大のスピードは鈍化しました。景気対策により内需が下支えされ、景気は横ばいとなりました。また、元安の影響から投資が先送りされたことや、さらにコロナウイルス感染症の影響を受け、売上高は前連結会計年度比12.3%減少の15,976百万円となりました。
その他地域は、インド・アセアン諸国では米中貿易摩擦等の影響を受けて成長の鈍化がみられました。その他地域の売上高は、オフセット印刷機の売上が販売子会社を設立して2年目となるインドで伸びているほか、前連結会計年度で受注した証券印刷機が売上増に寄与したこと等から、前連結会計年度比27.6%増加の14,425百万円となりました。
セグメントごとの業績は次の通りであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
a. 日本
セグメントの「日本」には、日本の国内売上と、日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上が計上されております。同代理店地域には、香港・台湾を除くアジア(中国本土の一部、アセアン等)と中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は65,511百万円(前連結会計年度比10,594百万円の減少)となり、セグメント損失は2,921百万円(前連結会計年度は1,806百万円の利益)となりました。
b. 北米
セグメントの「北米」には、米国の販売子会社の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べました北米の状況の結果、セグメントの「北米」の売上高は5,945百万円(前連結会計年度比2,155百万円の減少)となり、セグメント損失は547百万円(前連結会計年度は712百万円の利益)となりました。
c. 欧州
セグメントの「欧州」には、欧州の販売子会社及び欧州の紙器印刷機械製造販売子会社の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べました欧州の状況の結果、セグメントの「欧州」の売上高は12,628百万円(前連結会計年度比3,305百万円の減少)となり、セグメント利益は143百万円(前連結会計年度は429百万円の利益)となりました。
d. 中華圏
セグメントの「中華圏」には、香港、深圳市、台湾の販売子会社及び中国南通市の印刷機械装置製造販売子会社の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べました中華圏の状況の結果、セグメントの「中華圏」の売上高は11,666百万円(前連結会計年度比4,060百万円の増加)となり、セグメント損失は91百万円(前連結会計年度は207百万円の利益)となりました
e. その他
「その他」には、シンガポール、マレーシア及びインドの販売子会社の売上が計上されております。地域別売上の概況で述べましたその他地域の状況の結果、売上高は2,563百万円(前連結会計年度比512百万円の増加)となり、セグメント利益は2百万円(前連結会計年度は61百万円の損失)となりました。
当社グループの財政状態については、次の通りであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ31,673百万円減少して135,697百万円(前連結会計年度比18.9%減少)となりました。資産の主な減少要因は、事業用資産の減損損失計上に伴う有形固定資産及び無形固定資産の減少17,757百万円、受取手形及び売掛金の減少7,924百万円、現金及び預金の減少6,584百万円、繰延税金資産の減少3,375百万円、投資有価証券の減少2,506百万円等であります。主な増加要因は、たな卸資産の増加4,135百万円、流動資産その他の増加970百万円等であります。
(負債及び純資産)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ531百万円増加して37,717百万円(前連結会計年度比1.4%増加)となりました。負債の主な増加要因は、前受金の増加3,560百万円、電子記録債務の増加2,658百万円、繰延税金負債の増加953百万円等であります。主な減少要因は、支払手形及び買掛金の減少6,749百万円、製品保証引当金の減少269百万円等であります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ32,204百万円減少して97,979百万円(前連結会計年度比24.7%減少)となりました。純資産の主な減少要因は、親会社株主に帰属する当期純損失計上に伴う利益剰余金の減少25,473百万円、自己株式の取得による利益剰余金の減少2,674百万円、配当金による利益剰余金の減少2,287百万円、その他有価証券評価差額金の減少1,115百万円、為替換算調整勘定の減少478百万円等であります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の77.7%から72.2%(前連結会計年度比5.5%減少)となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の2,234.61円から1,750.80円(前連結会計年度比483.81円の減少)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ7,085百万円減少し、38,587百万円(前連結会計年度比15.5%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が112百万円の資金増加であったのに比較し、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ1,694百万円増加し、1,807百万円の資金増加となりました。資金増加の主な内訳は、減損損失17,757百万円、売上債権の減少額11,537百万円、減価償却費の戻入額2,304百万円等であり、資金減少の主な内訳は、税金等調整前当期純損失21,176百万円、たな卸資産の増加額4,404百万円、仕入債務の減少額3,958百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が449百万円の資金減少であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ3,119百万円減少し、3,569百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、有形及び無形固定資産の純増額1,057百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出4,562百万円等であり、資金増加の主な内訳は、有価証券の純減額1,799百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が12,789百万円の資金減少であったものが、前連結会計年度に比べ7,731百万円増加し、5,057百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、自己株式の取得による支出2,674百万円、配当金の支払額2,287百万円等であります。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
日本63,993△10.5
欧州2,291△1.1
中華圏2,360△12.2
合計68,646△10.3

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は平均販売価格で表示しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
日本54,675△15.735,631+20.2
北米5,686△22.297△68.2
欧州14,214+2.95,928+37.2
中華圏10,416+128.52,983+193.4
その他3,566+21.31,532+8.5
合計88,558△5.246,174+25.8

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 受注残高には、見込み受注分は含まれておりません。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
日本46,431△21.2
北米5,890△27.1
欧州12,303△19.0
中華圏10,515+72.8
その他2,504+27.7
合計77,646△14.0

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
なお、連結財務諸表作成にあたっての重要な会計方針等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) に記載しておりますが、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りであります。
a. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得の発生の可能性を年度ごとに見積もり、回収可能性を検討した上で計上しております。今後業績の悪化等により、将来の課税所得が十分に得られず、繰延税金資産の回収可能性に懸念が生じた場合には、該当分の繰延税金資産の取り崩しにより、法人税等調整額が税金費用として計上され、利益に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度において、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響等により将来の課税所得について不足が見込まれたことから、当社の繰延税金資産の全額を取り崩しております。
b. 固定資産の減損
当社グループは、主として独立したキャッシュ・フローを生み出す事業単位を基準に資産のグルーピングを行っておりますが、各グループの単位で減損の兆候があった場合、将来キャッシュ・フロー等を見積り、減損の要否を判定いたします。判定の結果、減損が必要と判断された資産については、帳簿価額を回収可能価額まで減損処理いたします。今後減損の兆候が見られ、将来キャッシュ・フロー等の見積りが減少した場合には、減損損失が発生し、利益に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度において、当社つくば工場にて製造する製品の先進国市場向け需要の減少に加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による収益性の低下が見込まれたため、その製造設備等事業用資産について将来の回収可能性を慎重に検討した結果、減損損失を計上しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の (連結損益計算書関係) ※6 減損損失 をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績等は、次の通りであります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ12,596百万円減少し77,646百万円(前連結会計年度比14.0%減少)となりました。地域別売上高及びセグメント別の売上高につきましては、(1)経営成績等の概要に記載の通りです。
(営業費用、営業損益)
営業損益は、売上高減少及びサービスパーツ在庫高の期末評価方法見直し等により売上原価率が前連結会計年度に比べ上昇した影響もあり売上総利益が6,030百万円減少しました。また、販売出荷費などが同様に減少したものの、のれんの償却費や研究開発費の増加などにより販売費及び一般管理費が80百万円増加した結果、3,404百万円の損失(前連結会計年度は2,706百万円の利益)となりました。
(営業外損益、経常損益)
営業外損益は、前連結会計年度と同様に為替差損が発生したこともあり収支が悪化し、経常損益は3,480百万円の損失(前連結会計年度は2,502百万円の利益)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純損益)
特別損益は、当連結会計年度にて事業用資産の減損損失を17,757百万円計上しており、税金等調整前当期純損益は21,176百万円の損失(前連結会計年度は2,458百万円の利益)となりました。親会社株主に帰属する当期純損益は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」に基づき、現時点での将来の課税所得を見積もり、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した結果、繰延税金資産を取り崩し、法人税等調整額を計上したことなどにより、25,473百万円の損失(前連結会計年度は1,427百万円の利益)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「2 事業等のリスク」に記載した項目が挙げられますが、特に影響が大きい要因は次の通りであります。
当社グループの総売上高に占めるオフセット印刷機事業の割合は大きく、景気動向や法律・規制の施行、租税制度の変更などに起因するオフセット印刷機の需要環境変動が、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度のオフセット印刷機の需要環境は、その他の地域では拡大しましたが、日本、北米、欧州及び中華圏で減少しました。世界最大の印刷機市場となった中華圏は、米中貿易摩擦の影響により、前年より売上が減少していますが、上昇する人件費の抑制を目的とした省力化・高付加価値化を図る設備投資計画については引続き堅調です。DPS事業やPESP事業などの新規事業を着実に拡大させて収益源の多様化・安定化を進展させることにより、オフセット印刷機事業の需要環境変動による経営成績への影響度低減を図ってまいります。
次に、当社グループの海外売上比率は全体の半分を超えており、かつ製造拠点が日本に集中していることから、為替変動の影響を受けやすい構造となっております。当社グループはこの為替変動リスクに対応すべく、先物為替予約等で短期の変動リスクをヘッジする一方、部材などの海外調達比率を高め、また、一部製品の製造を海外生産子会社へ移管するなどにより為替エクスポージャーを低減する努力を続けております。
足元では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、今後の経営成績に最も大きな影響を与える要素と考えております。2020年に入り新型コロナウイルス感染症は全世界に拡大し、収束の見通しが立たない状態になっております。感染拡大による事業停滞のリスクを低減させるべく、「2 事業等のリスク (4) 災害等によるリスク ② 新型コロナウイルス感染拡大により事業活動が停滞するリスク」に記載した対策を国内外のグループ会社も含め迅速に実行しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次の通りであります。
当社グループは、経済・金融環境の変化に伴う需要変動リスクに備えて十分な手許流動性を確保することにより、安定した財務基盤の維持に努めております。運転資金及び事業投資資金については主として内部資金により調達しております。今後、新型コロナウイルス感染症の収束の時期が見通せず、事業に与える影響の長期化が想定される場合や、大型戦略投資資金が必要となる際には、借入金や社債により調達する可能性があります。なお、当社は格付け機関である格付投資情報センター(R&I)より長期格付けA-を取得しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。
「日本」は、日本の国内売上と日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上が計上されております。消費増税の影響を受けて日本国内の売上が減少したことや、中国代理店の子会社化に伴うセグメント変更による減少方向の影響を受け売上高は65,511百万円(前連結会計年度比10,594百万円の減少)となり、また、セグメント損失は,2,921百万円(前連結会計年度は1,806百万円の利益)となりました。
一方、「北米」は米中貿易摩擦により通商政策の不確実性が高まる中、オフセット印刷への投資は依然慎重で、売上高は5,945百万円(前連結会計年度比2,155百万円の減少)となり、セグメント損失は547百万円(前連結会計年度は712百万円の利益)となりました。
「欧州」は英国のEU離脱が決まったものの先行きへの警戒感から印刷設備の低迷が続き、東欧・南欧等の代理店地域でも需要が低調に推移しました。売上高は12,628百万円(前連結会計年度比3,305百万円の減少)となり、セグメント利益は143百万円(前連結会計年度は429百万円の利益)となりました。
「中華圏」には、香港、深圳市、台湾、及び中国南通市の印刷機械製造販売子会社の売上が計上されています。米中貿易摩擦による元安の影響を受け、投資が先送りされたことや、コロナウイルス感染症による売上減少の影響があった一方で、中国代理店の子会社化に伴うセグメント変更による増加方向の影響を受け、売上高は11,666百万円(前連結会計年度比4,060百万円の増加)となりました。また、子会社化によりのれんの償却が当連結会計年度より発生したためセグメント損失は91百万円(前連結会計年度は207百万円の利益)となりました。
「その他」は、主にシンガポール、マレーシア、及びインドの販売子会社売上が計上されています。販売子会社を設立して2年目のインドで伸びを見せており売上高は2,563百万円(前連結会計年度比512百万円の増加)となり、セグメント利益は2百万円(前連結会計年度は61百万円の損失)となりました。
当社は、第6次中期経営計画において、第5次中期経営計画で確立した事業基盤を強化発展させることを狙いとしており、安定的に収益を確保するコア事業(オフセット印刷機械事業・証券印刷機械事業)の一層の強化を図るとともに、収益化を目指して投資する重点事業(DPS事業)、中長期的に育てていく新規(育成)事業(PE事業)の拡大に注力しております。また、2018年4月に販売子会社を設置したインドや、当連結会計年度より子会社化した中国の販売子会社によりアジア・中華圏において市場シェアを伸ばしていくとともに、「重要な後発事象」として開示しているドイツのポストプレスの製造・販売会社であるMBOグループの子会社化により収益拡大効果が高まるよう経営してまいります。
一方で、新型コロナウイルス感染症が今後の経営に与える影響については、短期的にも中期的にも現時点では合理的に算定できておりません。この為、当社としましては、経費削減や生産体制見直しを柱とした緊急事業体質強化策を第6次中期経営計画に対して優先して強力に推進し、経営成績への影響度低減を図ることを4月27日開催の取締役会にて決定しております。第6次中期経営計画の3つの骨子、すなわち収益性向上と成長事業の基盤づくり、マネジメント体制強化および最適資本構成の構築につきましては掛かる状況下にありましても着実に推進し、新型コロナウイルス問題の収束後に備えてまいりますが、具体的な再開時期や数値目標等につきましては状況が落ち着き次第、公表する予定です。

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