有価証券報告書-第41期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/26 10:17
【資料】
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【項目】
107項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、<企業理念>で『常にお客様の立場で物事を考え、個性豊かな人間と、独創的な技術で世界に役立つ』と顧客第一の立場を鮮明にし、また<タクミナの使命>として、あらゆる産業の液体を高精度・高効率に送るポンプのメーカーであること、殺菌をはじめとするポンプの応用技術で水と環境の分野に安全と安心を提供することなど、「事業領域」をより明確に打ち出しております。
この方針のもと、お客様の満足度の高い製品・サービスが提供できる企業を実現し、ポンプのメーカーとしてサステナブルな(持続性のある)社会にとってなくてはならない企業として世界貢献を果たし、ステークホルダーとの共存共栄を続けられる企業を目指しております。
(2) 経営戦略等
平成29年4月よりスタートしました中期経営計画では、お客様に更なるご満足を提供し続けるというユーザー本位の企業理念に基づき、ダイヤフラムポンプの技術革新及び、これを最大限に活用した新規提案の拡充により、市場開拓とサービスの質向上を目指してまいります。具体的には経営戦略として、以下の3項目に取り組んでまいります。
① 主柱事業の強化・拡大
当社グループは、高精密でシステム用途提案を目的とした「スムーズフローポンプ」を活用し、お客様への提案営業を強化してまいります。既にケミカル・素材市場では電池・フィルム業界のプロセスにおける性能・信頼性において高い評価を頂いております。
また、船舶設備関連機器の需要が高まる中、個々のお客様のニーズにお応えする商品開発・提案を行うことにより、ブランド認知も高まってまいりました。今後も水処理業界への拡販は元より、多くの業種におけるプロセスへの提案により市場開拓を目指してまいります。
② 海外市場での販売強化
世界市場での水平分業定着により、研究開発用途や製造用途等多くの引き合いを海外から頂くようになりました。当社グループでは、米国子会社及び韓国子会社の更なる営業力を強化すべく、人員増強及び代理店の拡大とサービスの質向上に取り組んでまいります。また、海外市場で受け入れられる商品拡充を目指し、海外規格対応は元より、顧客ニーズに応じたカスタマイズ製品を積極的に開発し、他社との差別化による顧客満足の更なる向上を目指してまいります。
③ 製品開発力の強化
多種多様に渡る流体を送る技術に加え、ポンプに関わる周辺技術を踏まえたコアコンピタンスの確立・拡充に取り組んでまいります。そのために新たな研究開発棟を建設し、より高度な流体分析を可能とする設備への投資を積極的に行っております。また、大学・企業や研究機関との連携を強化することにより、「スムーズフローポンプ」による市場課題解決の加速を実施してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としてROE(株主資本純利益率)及び総資産経常利益率を活用しております。収益構造の改革、コストダウン、資産の効率的運用などによりその改善をはかり、企業価値の一層の向上を目指していきます。
(4) 経営環境
今後の当社グループを取り巻く経営環境は、トランプ効果の一服による円高や欧州経済のリスク等不透明な状況はあるものの、国内製造業は、設備投資も上向きで「スムーズフローポンプ」や滅菌・殺菌市場向けの汎用ポンプの受注は底堅く推移すると見込まれます。一方、バラスト水処理装置メーカー向けポンプは、バラスト水管理条約が2017年9月に正式発効されることを受けて中期的には需要の増加が見込まれるものの、短期的には、2020年の国際条約のルール変更(改正G8)を背景に、市場が慎重に推移するものとみられ、動きはやや鈍化するものと思われます。
また、海外市場は、中国や資源国の経済に底打ち感が見られるほか、欧米も緩やかな景気回復が予想されます。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
ポンプのメーカーとして、お客様の立場に立った独創性のある製品を提供し続けるため、以下のことを主な課題と考えております。
① マーケティング機能の強化と「わかりやすい」情報発信
当社グループの活動に興味を持っていただき、当社グループの技術・製品について、より一層関心を持っていただけるよう、お客様との接点を豊かにし、「お客様の立場に立って考える」という観点から当社グループ全体を挙げてマーケティング体制の整備を行い、お客様と共同で課題解決に取り組むなど、ユーザーニーズの収集活動を強化してまいります。
また、「わかりやすい」情報発信(移動型研修施設「ポンプ道場」・ショールーム型研修施設「タクトスペース」・環境/社会/経済活動レポート・メールニュース・ホームページ・広告宣伝・展示会など)に注力してまいります。
② ポンプ・ポンプ応用製品及び装置に関する商品化機能の拡充
ポンプ・ポンプ応用製品及び装置に関する商品化機能を拡充し、ケミカル・素材をはじめ食品・医薬品・化粧品など、あらゆる産業で求められている液体の精密充填・精密混合ニーズを的確に把握して、環境に配慮したエコデザインの高付加価値製品を開発・提供し、水処理・滅菌などの従来市場とともに新用途・新市場への展開をはかります。
③ コアコンピタンス(競争力のあるコア技術)の追求と認知度の向上
水の安全・安心を提供し、あらゆる産業で、高付加価値液体の理想的な移送システムを実現するため、滅菌殺菌テクノロジーの追求から生まれるユニークな製品・装置に加え、「スムーズフロー」ブランドに代表されるダイヤフラム(隔膜)方式ポンプの利点(液漏れゼロ・液質を変化させない・超高精度など)について、認知度の向上をはかり、その特長をさらに追求します。
④ 海外売上比率の向上
市場のグローバル化の進展に伴い、海外のお客様に対しても、水の安全・安心の提供やさまざまな産業での理想的な液体移送の実現など、当社グループが貢献できるフィールドが増加しております。そのため、海外各地の情報収集、ユーザーニーズの把握や製品の認知度向上をはかるとともに、各地域の代理店に対する販売支援活動の強化を行い、海外売上比率の向上につとめます。