有価証券報告書-第29期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/15 10:49
【資料】
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【項目】
118項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、米国では新大統領の政策や米ドルの追加利上げなどによる経済成長への期待に加え、良好な雇用情勢や個人消費が底堅く、景気は緩やかに拡大しました。また、欧州経済においては、英国のEU離脱が決定され、先行きに対する不透明感は高まったものの、個人消費の改善や企業の投資が増加したことなどから、堅調に回復してきました。アジア地域では、中国をはじめとする新興諸国の景気に持ち直しの動きが見られました。国内経済では、個人消費の回復に力強さが欠けるものの、雇用環境の改善や輸出の増加、在庫調整が進むなど景気に緩やかな回復が見られました。
当社グループの事業環境は、主に製造業における生産性向上などを目的とした自動化、省力化ニーズに支えられ、年間を通じて良好に推移しました。
用途別の受注動向につきましては、産業用ロボット向けでは、家電やスマートフォンなどの製造ラインで使用される小型の組立ロボット向けや自動車の製造ラインで使われる溶接ロボット向けの受注が増加しました。また、従来の産業用ロボットとは異なり、安全性を確保したことにより人と並んで作業することができる協働型ロボット向けも需要が増加しました。半導体製造装置向けは、通信技術の高度化に伴いスマートフォンやウェアラブル端末、自動車など、さまざまな製品に取り付けられるセンサーの実用化による需要増加を背景とした設備投資が堅調であったことに加え、半導体デバイスメーカーによる微細化、積層化等の先端投資が継続したことにより増加しました。フラットパネルディスプレイ製造装置向けは、スマートフォンなどに有機ELディスプレイの採用が拡大するなど旺盛な設備投資があったことから、良好な受注実績となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、堅調に需要が拡大したことにより、前期比6.3%増加の300億69百万円となりました。
損益面につきましては、新工場棟建設や生産能力投資の実行による減価償却費の増加に加え、急激な受注の増加により製造費用や販売費及び一般管理費は増加したものの、売上高の増加に伴う増益効果により、売上総利益は前期比4.4%増加の138億66百万円、営業利益は前期比2.6%増加の78億13百万円、経常利益は前期比1.6%増加の79億58百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、ドイツ持分法適用会社であるハーモニック・ドライブ・アーゲーを子会社化したことに伴い、従前から保有する持分を当該追加取得の時価で再評価することによる評価差益(段階取得に係る差益)を139億63百万円計上したことから前期比294.5%増加の197億32百万円となりました。
なお、製品群別の売上高は、減速装置が240億59百万円(前期比7.6%増)、メカトロニクス製品が60億9百万円(前期比1.6%増)で、売上高比率はそれぞれ80.0%、20.0%となりました。
報告セグメントの業績は、以下のとおりであります。
(日本)
家電やスマートフォンなどの製造ラインで使用される小型の組立ロボット向けや自動車の製造ラインで使われる溶接ロボット向けの需要が増加したことに加え、センサーに組み込まれる半導体の需要増加や半導体デバイスメーカーによる微細化、積層化等の先端投資が継続し、産業用ロボット向け、半導体製造装置向けが増加しました。また、フラットパネルディスプレイ製造装置向け、モーターメーカー向けギアヘッド及び金属工作機械向けも増加しました。その結果、売上高は前期比8.8%増加の254億94百万円となり、セグメント利益(経常利益)も、増収の影響などにより前期比3.6%増加の88億77百万円となりました。
(北米)
売上高につきましては、半導体製造装置向け、医療機器向けの需要が拡大したことにより、製造部門の操業度が向上し、ドルベースでの売上高とセグメント利益は増加しましたが、為替が円高・ドル安に転じた影響を受け、円ベースでは前期比で減少しました。その結果、売上高は前期比5.7%減少の45億74百万円となり、セグメント利益(経常利益)も、前期比10.3%減少の7億4百万円となりました。
(欧州)
産業用ロボット向けなどの需要が増加したことにより、ユーロベースでの売上高が前期比で増加したことなどから、ドイツ持分法適用会社に係る持分法投資利益が増加しました。この結果、セグメント利益(経常利益)は、前期比163.8%増加の1億34百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて7億70百万円減少し、96億68百万円となりました。
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による収入は、72億25百万円となりました。(前連結会計年度は64億99百万円の収入)
これは、法人税等の支払による支出が18億38百万円あったものの、税金等調整前当期純利益による収入を218億74百万円計上したことが主な要因です。なお、税金等調整前当期純利益にはハーモニック・ドライブ・アーゲーの連結子会社化による段階取得に係る差益が139億63百万円含まれております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による支出は、325億22百万円となりました。(前連結会計年度は43億94百万円の支出)
これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が287億5百万円あったことと、有形固定資産の取得による支出が37億97百万円あったことが主な要因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による収入は、246億48百万円となりました。(前連結会計年度は13億84百万円の支出)
これは、短期借入れによる収入が150億65百万円あったことと、非支配株主からの払込みによる収入が118億17百万円あったことが主な要因です。