有価証券報告書-第60期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/23 9:09
【資料】
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【項目】
127項目

有報資料

本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであり、その実現を保証するものではありません。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「SOFT・HARD・HEARTを創ります。人と地球に優しい製品を開発し社会に貢献します」の経営理念のもと、生産性の向上に役立つ切削工具等の開発・製造・販売に携わってまいりました。また、ブランドステートメントとして“「つくる」の先をつくる”を掲げ、お客様や社会のニーズに応える高付加価値製品を生み出し、モノづくりの夢と可能性を切り拓くことを経営の基本方針といたしております。
(2)中長期的な会社の経営戦略
超硬小径エンドミルを中心に精密加工用工具分野で圧倒的な№1企業を目指します。そのために、開発・生産・販売の各部門において、下記戦略を実施してまいります。また、当社グループ全体の協力体制を強化し、事業領域の拡大を図ります。
① 開発部門
新製品開発では、現在の加工方法が変わるような他社に出来ない競争力のある製品の開発を目指し、新たな素材の工具への応用やコーティングの改良を推進するとともに、Webを活用して社内外における情報の共有化を図り、ユーザーに支持される製品を開発してまいります。また、生産技術開発では、次世代加工技術への取り組みによる既存技術の革新を基本方針として、自社開発工具研削盤の更なる機能向上や画像処理技術による自動測定の範囲拡大を図ります。
② 生産部門
自社開発機による自動化ラインの増強、自動化範囲の拡大等により無人化・省力化を引き続き推進し、高品質かつコスト競争力のある製品を安定的に供給できる体制を一段と強化するとともに、子会社工場での生産強化等による小径エンドミルの生産・供給リスク分散体制の構築やカーボンニュートラルに向けた電力使用量の削減も進めてまいります。
③ 販売部門
新規ユーザーの開拓や既存ユーザーでの当社製品の使用拡大を図るため、デジタルを活用した営業活動の可視化や情報の共有を進めるとともに、環境変化に対応した営業活動の展開として、Webセミナーやオンラインでの加工相談、使い勝手の良いデジタルカタログの制作等を行ってまいります。
④ 事業領域の拡大
当社グループは、超硬小径エンドミルという比較的小規模なマーケットに経営資源を集中することにより、実績を上げてまいりました。この経営方針は今後も継続してまいりますが、エンドミルに次ぐニッチ・マーケットを開拓する必要もあると考えております。もっとも、超硬小径エンドミルにおける市場拡大ニーズを開拓し、捉えることが何よりも重要であり、この状況において、エンドミルに次ぐ新たなマーケット開拓を行うことは容易ではありませんが、当社グループが得意とする精密・微細加工の周辺領域において共同研究等を積極的に行うことによって、新たなマーケット開拓の可能性を可能な限り探ってまいります。
(3)経営環境について
当社グループの主力製品である超硬エンドミルは、切削工具の一種で、工作機械に取り付け、主に金型や各種部品の製作といった金属等の加工に使用されます。それらの金型や部品は様々な工業製品に用いられることから、当社グループの業績はそれら工業製品の生産動向に大きく影響されます。
昨年からの新型コロナウイルス感染症の拡大は、サプライチェーンの寸断や外出規制等による需要の縮小等、世界各国の製造業に大きな影響を与えました。また、米中貿易摩擦の問題も、人権問題や安全保障面での対立が深まるなか改善の方向性は見えていません。日本は同盟国である米国と経済的に繋がりの深い中国との関係において難しい対応を迫られる可能性があります。
このような状況のもと経営環境は厳しい状態が続くものと認識しておりますが、比較的堅調な米国や中国の経済状況を背景に、製造業は輸出ウェイトの高い業種を中心に底堅く推移するものと思われます。またワクチンの普及とともに新型コロナウイルス感染症も徐々に終息に向かい、それに伴いサービス産業も含めて景気回復に転じるものと想定しております。
加えて、今回のコロナ禍において、働き方の常識や仕事の進め方が大きく見直され、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進展することが考えられます。日本でもサービスが開始された5Gは、テレワークや遠隔医療、遠隔授業をはじめ、今回その必要性がクローズアップされた様々な要素を円滑に行うためのインフラとして、その重要性は確実に高まっています。また5Gの普及と相まってIoTやAIの活用もより積極的に行われるとみられることから、半導体や電子部品等への需要は今後さらに拡大が見込まれ、それに伴い当社製品が強みを発揮する精密・微細加工向けの工具需要も伸びていくことが期待されます。また自動車産業におきましては、100年に1度の変革期を迎えており、電動化、自動化、コネクティッド化が進んでいます。パワートレインがエンジンからモーターへ移行することにより、切削加工が減る部分もありますが、新たに必要となる部品も多く、センサー、カメラ、通信モジュール等当社が得意とする精密・微細加工が増えてくるものと期待され、微小径工具の使用は増えるものと考えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
我が国のモノづくりが引き続き世界をリードしていくためには、これまで培ってきた精密・微細加工分野を更に進化させ、様々な分野に応用していくことが重要であり、この精密・微細加工分野を工具の面から支えて行くことが、当社グループの使命であると認識しております。その使命を果たすため、お客様が安心して新たな加工にチャレンジできる、高いレベルで安定した製品を、適正な価格で安定的に供給していくことが最も大切であると認識しております。安定供給につきましては最も重要な課題と位置付けており、昨年仙台在庫センターを開設し、東京本社、香港子会社の3拠点に製品在庫を確保する体制といたしました。また引き続き加工技術や測定技術の向上を図るとともに、自動化を推進してコストの低減を進め、製品開発のスピードアップや営業力のレベルアップ等を実現するため、「中長期的な会社の経営戦略」で挙げた各施策の実行に取り組んでまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上よりも利益を優先する経営を実行し、売上高経常利益率20%の確保を中長期的な目標としております。当期は、新型コロナウイルス感染症の拡大もあり、特に上期において需要の減少やそれに伴う在庫調整・生産調整の実施により第2四半期連結累計期間における売上高経常利益率は12.2%と目標を大きく下回りましたが、下期には主要需要先となる自動車関連が、大手メーカーの生産水準維持の姿勢や米中の需要回復等から持ち直す動きとなったほか、電子・デバイス関連においても、リモートワークの拡大によるパソコンや関連機器の伸びとともに、主力スマートフォンの5G対応モデル発売等から回復傾向となったことに加え、一時帰休の実施に伴う雇用調整助成金や省エネルギー支援事業補助金等の助成金の受給や保険の解約による営業外収益もあり、通期では21.1%と目標をクリアすることが出来ました。次期につきましては、当期に比べ経営環境は改善すると思われるものの、営業外収益が減少することから20.3%に止まるものと想定しております。また、株主資本を有効的かつ効率的に活用することも重要であると考え、自己資本利益率(ROE)10%の確保につきましても中長期的に目標とする経営指標として重視しております。残念ながら当期は8.2%、次期におきましても達成は厳しい状況であると考えられますが、資本の有効活用を進め、改善のための努力を行ってまいります。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループでは、安定した製品を安定的にご提供するとともに、お客様や社会のニーズに応える高付加価値製品を生み出し、日本のモノづくりの進化に貢献してまいりたいと考えております。その一環として、生産現場での自動化を推進し製品品質の安定とコスト低減に取り組むとともに、CBN(立方晶窒化ホウ素)やPCD(多結晶ダイヤモンド)を使用した高付加価値製品の開発とそれらを用いた加工技術提案に注力しております。CBN製品は、ここ数年でようやくその有用性が認知され販売を拡大してまいりましたが、今後は新製品の投入や更なる耐久性や精度の向上等により使用領域を拡げてまいりたいと存じます。PCD製品は、まだ用途が限られておりますが、製品性能の向上を図り、市場の拡大に努めてまいります。
加えて、製品を安定的にご提供できる体制の強化も図ってまいります。万が一に備えて製品在庫の充実を図るとともに、東京都においてはある程度の海抜がある免震構造を備えたビルを主要保管場所としているほか、首都圏における大規模災害等のリスクも考慮し昨年には仙台工場内にも在庫センターを設置いたしました。
(7)その他、会社の経営上重要な事項
内部管理体制の整備・運用状況
当社グループでは、社内規程や稟議制度を整備し、ルールに基づいた業務運営を実施しております。また、内部統制報告制度への対応につきましては、常務取締役を委員長とする「内部統制委員会」を設置し、内部統制の整備・運用の推進及びその評価、監査法人により実施される内部統制監査への対応を行っております。
その他の取組みといたしましては、監査等委員による各部門長へのヒアリングの実施、内部監査部門による各部門への内部監査の実施、今般のコーポレートガバナンス・コードの改訂に伴う対応の充実等を行っております。
コンプライアンスにつきましては、コンプライアンス担当役員を中心に推進を図っており、全社教育のテーマの一つとして従業員研修会やメール・マガジンで取り上げることにより、社内での周知に努めております。また「コンプライアンス相談窓口」を設け、内部通報制度の窓口といたしております。

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