有価証券報告書-第125期(2024/04/01-2025/03/31)
②戦略
当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて、事業全体でのマテリアリティを特定し、サステナビリティ経営を推進しています。また、マテリアリティの中で、特に当社グループの価値創造の源泉に深く関わり、社会的責任を果たすための取り組みをGRBとして活動を展開しています。
⦅マテリアリティ⦆
・マテリアリティ 2つのカテゴリー、6つのテーマと18項目(2025年3月現在)
これまで当社グループでは、CSRに限定した重要課題(マテリアリティ)を定めておりましたが、2023年度にビジネスを通じたお客様・社会への価値提供という観点も取り入れ、社内外の様々なステークホルダーの声を反映し、事業活動として優先的に取り組むべき重要課題としてマテリアリティを設定しました。
2030年を見据え、「自社」及び「ステークホルダー」の観点から評価を行い、優先的に取り組むべき重要課題を、「必要不可欠な貢献分野」、「持続的な発展を可能にする土台」の2つのカテゴリーとして特定しました。
必要不可欠な貢献分野については、「地球環境問題の解決」、「デジタル社会の発展」、「人々のウェルビーイングの向上」の3つのテーマに貢献する価値を、Fujitsu Uvanceを中心とした事業を通じて、お客様や社会に提供します。加えて、この3つのテーマで2030年の非財務指標も設定しました。詳細については、「④指標及び目標 <マテリアリティ 2030年非財務指標>」をご参照ください。
また、持続的な発展を可能にする土台については、当社グループの価値創造の源泉であるとして、「テクノロジー」、「経営基盤」、「人材」を強化し、新たなビジネスモデルやイノベーションの創出を支えます。


・マテリアリティの特定プロセス
当社グループでは、ダブル・マテリアリティの原則に基づき、企業と環境・社会の相互影響(環境・社会課題が当社に与える財務的な影響、当社活動による環境・社会に与える影響)を考慮しマテリアリティを特定しました。
・マテリアリティへのアプローチ
マテリアリティに対するリスク・機会の認識を踏まえ、2025年度に向けたアプローチを検討・整理しました。リスクについては富士通自身の社内における取り組みを中心に施策を実施し、機会についてはFujitsu Uvanceをはじめとしたビジネスを拡大することによって社会課題を解決し、お客様・社会に価値を提供していきます。マテリアリティへのアプローチの推進により、当社事業、社会に対するネガティブなインパクトの縮小、ポジティブなインパクトの拡大を促進し、ネットポジティブの実現に貢献します。
(凡例)●:社内の取り組み、□:お客様・社会への事業展開
当社グループでは、マテリアリティの中で、特に当社グループの価値創造の源泉に深く関わり、社会的責任を果たすための取り組みをGRBとして掲げ、下表のとおり、6つの項目ごとにありたい姿と目標を定めています。なお、目標に対する実績は「指標と目標」に示します。
当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けて、事業全体でのマテリアリティを特定し、サステナビリティ経営を推進しています。また、マテリアリティの中で、特に当社グループの価値創造の源泉に深く関わり、社会的責任を果たすための取り組みをGRBとして活動を展開しています。
⦅マテリアリティ⦆
・マテリアリティ 2つのカテゴリー、6つのテーマと18項目(2025年3月現在)
これまで当社グループでは、CSRに限定した重要課題(マテリアリティ)を定めておりましたが、2023年度にビジネスを通じたお客様・社会への価値提供という観点も取り入れ、社内外の様々なステークホルダーの声を反映し、事業活動として優先的に取り組むべき重要課題としてマテリアリティを設定しました。
2030年を見据え、「自社」及び「ステークホルダー」の観点から評価を行い、優先的に取り組むべき重要課題を、「必要不可欠な貢献分野」、「持続的な発展を可能にする土台」の2つのカテゴリーとして特定しました。
必要不可欠な貢献分野については、「地球環境問題の解決」、「デジタル社会の発展」、「人々のウェルビーイングの向上」の3つのテーマに貢献する価値を、Fujitsu Uvanceを中心とした事業を通じて、お客様や社会に提供します。加えて、この3つのテーマで2030年の非財務指標も設定しました。詳細については、「④指標及び目標 <マテリアリティ 2030年非財務指標>」をご参照ください。
また、持続的な発展を可能にする土台については、当社グループの価値創造の源泉であるとして、「テクノロジー」、「経営基盤」、「人材」を強化し、新たなビジネスモデルやイノベーションの創出を支えます。


・マテリアリティの特定プロセス
当社グループでは、ダブル・マテリアリティの原則に基づき、企業と環境・社会の相互影響(環境・社会課題が当社に与える財務的な影響、当社活動による環境・社会に与える影響)を考慮しマテリアリティを特定しました。
| 実施ステップ | 実施内容 |
| Step1 社会課題の整理・抽出 | ・2030年の未来を見据えたメガトレンドを踏まえ、様々な社会課題を整理したロングリストを作成(163課題) ・ロングリストから、類似項目の統合や、事業と関連性の少ない項目を削除し、最終的に40個の社会課題を抽出 |
| Step2 優先順位付け | ・抽出された社会課題をもとに、幅広く社内外のステークホルダーに対するアンケートやインタビュー、及びデスクトップ調査を実施。2030年の未来を見据え、各課題をリスク・機会両方の側面で、「当社にとっての重要度(環境・社会課題が当社に与える財務的な影響)」及び「ステークホルダーにとっての重要度(当社活動による環境・社会に与える影響)」の視点から包括的に評価・採点を行い、社会課題の優先順位を示すマテリアリティ・マトリックス案(40課題から25課題に絞り込み)を作成 ・個別インタビュー、サステナビリティ経営委員会等を通じて、マテリアリティ・マトリックス案について富士通の独自性(富士通らしさ)といった観点から妥当性に関する評価・討議を実施し(執行役員・業務執行取締役による評価・討議に加え、非執行取締役、監査役によるレビューを含む)、マテリアリティ・マトリックスを最終化(25課題から18課題に集約) ・マテリアリティのコンセプト整理を行い、18課題を2つのカテゴリー、6つのテーマに分類・構造化 マテリアリティ・マトリックス ![]() |
| Step3 マテリアリティの決定 | ・サステナビリティ経営委員会を経て、特定したマテリアリティ及び全社的な取り組み推進の方向性について審議、承認 ・マテリアリティを含む中期経営計画を取締役会にて審議、承認 |
| Step4 レビュー、見直し | ・定期的にレビュー・討議を実施予定 |
・マテリアリティへのアプローチ
マテリアリティに対するリスク・機会の認識を踏まえ、2025年度に向けたアプローチを検討・整理しました。リスクについては富士通自身の社内における取り組みを中心に施策を実施し、機会についてはFujitsu Uvanceをはじめとしたビジネスを拡大することによって社会課題を解決し、お客様・社会に価値を提供していきます。マテリアリティへのアプローチの推進により、当社事業、社会に対するネガティブなインパクトの縮小、ポジティブなインパクトの拡大を促進し、ネットポジティブの実現に貢献します。
(凡例)●:社内の取り組み、□:お客様・社会への事業展開
| マテリアリティ | 2025年度に向けたアプローチ (主な取り組み)※2023年度時点 |
| 気候変動 (カーボンニュートラル) | ●事業拠点のGHG排出量の削減(省エネルギーの推進と再生可能エネルギー使用量の拡大) ●製品の省電力設計の推進、サプライチェーンにおけるGHG排出量の削減 |
| □サプライチェーンのGHG排出量の可視化・削減 □工場等設備のエネルギー使用量の可視化(一次データの収集自動化) 等 | |
| 資源循環 (サーキュラーエコノミー) | ●事業拠点の水使用量削減、サプライチェーン上流における水資源保全意識の強化 ●製品の省資源化・資源循環性向上の推進 等 |
| □ブロックチェーン活用やリサイクルによるトレーサビリティの強化とロスの削減 □生産品質等の可視化による材料の有効活用の促進 等 | |
| 自然共生 (生物多様性の保全) | ●サプライチェーンを含む自社の企業活動の領域における、生物多様性への負の影響低減、正の影響増加 |
| □生物多様性に配慮した事業活動において、事業計画シミュレーションによる環境保全と影響度の可視化 □新たな生産方式の採用・材料開発による水、森林資源の保護・過剰消費の抑制 | |
| 情報セキュリティ確保 | ●ガバナンス強化:経営の能動介入及び現場セキュリティ体制強化による施策実行の迅速性・実効性の向上 ●サイバー脅威への対策強化:予兆を含むセキュリティリスク可視化・対処、情報管理の強化 等 |
| □セキュアなHybrid IT基盤の提供により、顧客システム/事業の信頼性確保 □公共/金融機関などミッションクリティカル領域に対し、レジリエントなHybrid IT基盤の提供と、ITガバナンス、セキュリティガバナンスの強化 等 | |
| デジタル格差の解消 | □先端医療の民主化と、患者に合わせた最適化 □原材料トレーサビリティ・証明に関する課題解決、意思決定の高度化 等 |
| 情報・AI倫理の推進 | ●AI倫理の社内実践の制度化や、従業員やお客様へのAI倫理教育の提供など、AI倫理浸透に向けた活動 ●AI開発者やお客様自身によるAI倫理リスクの発見を容易にし、解決案を提示する技術・エコシステムの提供 |
| □AI倫理ガイドラインを遵守したAIの提供や、説明可能なAIの提供による、AIへの信頼性・透明性の確保(説明可能なAIを利用した企業の財務・非財務データからの不正リスクの予測による、ビジネスにおける持続的な信頼性の向上) □AIの適切な使用に関する倫理ルールやガイドライン作成などのコンサルティングの提供 | |
| 働きやすい環境の推進と労働力不足解消 | □自動化技術あるいはAR/VR及びリモートコミュニケーション技術を活用した、生産・配送・出荷・販売等の作業の効率化と安全性の両立 □労働環境の変化に応じた、働く人を中心とした働き方の改革・エンゲージメント向上のための業務状況や社員の声の可視化、分析による戦略立案と実行 等 |
| 責任あるサプライチェーンの推進 | ●サプライチェーンにおける人権リスクの予防・軽減 ●サプライチェーンにおけるGHG排出量の削減の推進 等 |
| □サプライチェーンのトレーサビリティ向上による管理強化 □災害、パンデミック、国際政治リスクなど、多面的なサプライチェーンリスクの検知 等 | |
| QoL(生活の質)向上に向けた医療ヘルスケアの推進 | □医療機関と外部機関・サービスをつなぎ、生活者・患者の診療情報と生活情報の相互流通の実現 □予防、治療から予後までのEnd-to-endのヘルスケア・ ジャーニーの個別化・最適化(パーソナルヘルスケアの実現) |
| 生涯教育・リスキリングの推進 | □AIによる個人最適化された教育の提供や時間や場所を選ばないマイクロラーニング環境の実現 □DX実現に向けて求められる人材像の定義、人財戦略・人財開発計画の策定支援、教育・研修プログラムの提供により、戦略的なリスキリングの実現 |
| 顧客・生活者体験の向上 | □マーケティング/プロモーションのパーソナライズ化、新たなオンライン・オフライン購買の実現 □あらゆるブランドチャネルと消費者との接点における、一貫性があり、かつ流動的でパーソナライズされたショッピング体験の実現 等 |
| 最先端技術の開発及びイノベーションの創出 | ●量子:量子HPCハイブリッド技術によるお客様との新アプリケーションの開拓、世界をリードするエラー訂正技術の開発。1,000量子ビット機とさらなる大規模化技術の開発 ●Computing:Computing Workload Broker技術を強化し、グラフAIを加速するフレームワークを開発、HPCをデジタルツイン等の新領域に拡大 等 |
| ガバナンス・コンプライアンス | ●コーポレートガバナンス:コーポレートガバナンスの不断の見直し、株主を含む全てのステークホルダーとの協働に資する会社情報開示の充実、株主との建設的な対話の促進 ●コンプライアンス:コンプライアンス意識向上、Global Compliance Programの展開、お取引先へのコンプライアンス教育提供 |
| リスクマネジメント | ●GRCツールの活用最大化(潜在リスクマネジメントへのシフト) ●潜在リスクの高度化(データドリブンへの取り組み) |
| 経済安全保障対応 | ●経済安全保障や地政学上の観点によるビジネス継続リスクの評価と、BCPへの反映等を通じたビジネス・レジリエンスの強化 ●重要な先端領域を含む技術の全社横断的な管理強化 等 |
| デジタルトランスフォーメーション(DX) | ●OneFujitsuプログラム推進によるデータドリブン経営の実現、及びオペレーショナルエクセレンスの追求:合理的・迅速な意思決定を支えるリアルタイムマネジメント、経営資源のEnd-to-endでのデータ化・可視化、グローバルでのビジネスプロセス標準化 |
| DE&I | ●多様性: ・誰もが一体感をもって、自分らしくいられるインクルーシブで公平な組織文化の構築 ・リーダーシップにおける女性の参画強化 ・グローバルに通用する文化・民族の総合戦略の構築 等 ●人権:バリューチェーンにおける人権リスクの予防・軽減(人権教育、有識者ダイアログ) |
| ウェルビーイング・人材育成 | ●人材基盤の強化:ジョブ型人材マネジメント、DX人材への進化 等 ●ウェルビーイング向上:ウェルビーイング理解・浸透策の展開、データドリブンな可視化と分析 等 |
| 項目 | ありたい姿と2025年度目標(KPI) |
| 人権・多様性 | ◆人権 <ありたい姿>実社会/デジタル社会において、「人間の尊厳」への配慮がすべての企業活動に反映され、「人を中心とした価値創造」が恒常的に行われている。 ・継続的な人権教育の実施(受講率90%以上を維持) ・有識者ダイアログの実施(毎年) ・パートナー、お客様、NGOと連携し、富士通の知見・テクノロジーで人権尊重の促進と保護へ貢献 |
| ◆ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I) <ありたい姿>多様性を尊重した責任ある事業活動(レスポンシブルビジネス)に取り組む。誰もが一体感をもって自分らしく活躍できる、公平でインクルーシブな企業文化を醸成する。個人のアイデンティティに関わらず、誰もが違いを認め合い、活躍できるようにする。インクルーシブなデザインやイノベーションを通じて、社会により良いインパクトをもたらすよう努め、エンパワーし合うことで、持続可能な世界の実現を目指す。 ・従業員エンゲージメント・サーベイの 「個人の尊重」に関する質問に対する回答結果の平均を7ポイント向上(80ポイント) ・従業員エンゲージメント・サーベイの「機会の均等」に関する質問に対する回答結果の平均を4ポイント向上(74ポイント) ・リーダーシップレベルの女性比率を20%に向上 ・地域やグローバルな取り組みをしつつ、グローバルに通用する文化・民族の総合戦略を構築 ・LGBTI+の社員に平等な機会と一体感をもたらすため、FWEI(富士通ワークプレイス平等指数)を導入 ・デジタルアクセシビリティをブランドコミュニケーション、顧客エクスペリエンス、ワークプレイスを含む企業戦略の一つとして推進及び提唱 | |
| ウェルビーイング | <ありたい姿>仕事もプライベートも、自分自身が大切にしている価値観に向き合い、自身の未来の幸せに日々向かっている。 ◆ウェルビーイング ・理解浸透に向けて、Globalにウェルビーイングに関するメッセージの発信 ◆ウェルビーイングに関しての指標開発 ・安全衛生 ・重大な災害発生件数:ゼロ |
| 環境 | <ありたい姿>グローバルなSustainability Transformation(SX)リーディング企業として社会的責任を果たす。自らのカーボンニュートラル実現に加え、お客様との共創により、革新的なソリューションを提供することで様々な環境課題を解決する。 ・自社・サプライチェーンにおけるSBT(Science Based Targets)ネットゼロ※を目指したGHG排出削減 ※SBT基準に沿った当社の目標(温室効果ガス排出量ネットゼロ):温室効果ガス排出量を目標年度に基準年度の90%以上を削減し、10%以下となった残存排出量を大気中のCO2を直接回収する技術(DAC)の活用や、植林などによる吸収で除去すること ・事業活動に伴うリスクの回避と環境負荷の最小化 ・ビジネスを通じたお客様・社会の環境課題解決への貢献 (具体的な目標は、第11期環境行動計画で策定) |
| コンプライアンス | <ありたい姿>当社グループ内の役職員が高いコンプライアンス意識をもって、事業活動を行うことにより、社会の規範としての役割を果たしつつ、ステークホルダーから投資や取引、就業の対象として選択される、信頼される企業グループである。 ・社長を含めた富士通本社の経営層や各国グループ会社の社長等からコンプライアンス遵守の重要性をメッセージとして毎年発信 ・コンプライアンス教育を、お取引先100社以上を対象に毎年提供 ・贈賄、カルテルを起こさせない |
| サプライチェーン | <ありたい姿>当社グループは、人権・安全衛生、環境に配慮し、多様性を確保した責任あるサプライチェーンを実現する。 ・調達指針の遵守要請と並行して、お取引先の可視化・課題の特定を推進し、問題を起こさない仕組みを構築 ・GHG排出削減をお取引先とともに推進するため、主要取引先に対して、国際基準に沿った数値の目標設定を要請 (主要取引先において、SBT WB2℃※相当の排出削減目標が設定されることを目標とする) ※産業革命前からの気温上昇を2℃未満に抑制することを規定するとともに、1.5℃までへの抑制に向けた努力を継続 ・各リージョン・国での社会的要請に基づき、多様性の指標を定め活動 ・日本での活動を女性活躍とし、お取引先の取組状況を測定する仕組みを構築 |
| コミュニティ | <ありたい姿>社員一人ひとりが幅広いステークホルダーとの共働・共創を通して社会課題への共感性を高めて活動に取り組み、社会にスケールあるインパクトをもたらすことで、富士通の成長機会を創出し、パーパス実現に貢献している。 ・コミュニティ活動に参加した社員(従業員数の20%) ※コミュニティ活動とは:重要なステークホルダーの1つである地域社会とグローバルで協力し、社会が抱える課題解決に取り組み価値創造をめざす活動 |
