有価証券報告書-第98期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/21 13:29
【資料】
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【項目】
113項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度(2016年4月1日から2017年3月31日まで)におきましては、空調機部門では、国内向けおよび現地通貨ベースでの海外向けともに販売が伸長しましたが、円高に伴う海外売上高の円貨換算減により、売上は前年度を下回る結果となりました。情報通信・電子デバイス部門においては、電子デバイスの販売は増加しましたが、消防システムの商談減の影響が大きく、部門全体での売上は減少しました。これらの結果、連結売上高は2,600億5千4百万円(前年度比7.4%減)となりました。
損益につきましては、主力の空調機では、販売物量拡大と原価低減効果に加え、円高による海外工場からの輸入コスト減もあり増益となりましたが、情報通信システムの減収影響をカバーするに至らず、営業利益は264億9千万円(同3.7%減)、経常利益は239億6千万円(同7.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、独禁法関連引当金繰入額を特別損失として計上したことから、100億3千1百万円(同42.8%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<空調機部門>空調機部門では、各地において商品ラインアップ拡充および販売体制強化の取り組みを進め、国内向けおよび現地通貨ベースでの海外向けともに販売が伸長しましたが、円高に伴う海外売上高の円貨換算減により、売上は2,323億8千万円(同0.3%減)となりました。営業利益は、各地域での競争激化による価格下落や今後の事業拡大に向けた積極的な先行投資による費用増がありましたが、販売物量拡大と素材市況の好転など全社的な原価低減効果に加え、円高による海外工場からの輸入コスト減もあり、過去最高の246億1千2百万円(同43.9%増)となりました。
[海外向け]
売上高は、1,768億5千万円(同1.9%減)となりました。
米州では、北米において、新機種を投入したマルチエアコンの販売が期初から好調に推移し、主力の小型ルームエアコンの販売も増加しましたが、円高による目減りから、売上は前年度を下回りました。なお、本年3月、高い省エネ効率と室外機のコンパクト化を実現したマルチエアコンの新機種を発売し、小規模店舗・事務所や住宅向けのラインアップ強化を図りました。また、米国リーム社との協業の第一弾として、当社製ダクトレスエアコンの供給を昨年12月に開始しています。
欧州では、前年度の南欧を中心とした猛暑の影響により現地消化が進み、本年度においても上半期を中心にフランスやスペイン向けをはじめ各地域において販売が堅調に推移したほか、前年度に一時的に出荷を抑制したギリシャ向けの販売が回復したことから、売上が増加しました。なお、今後の業務用エアコンの販売拡大に向け、本年に入り、マルチエアコンやパッケージエアコンのラインアップ拡充を行いました。
中東・アフリカでは、VRF(ビル用マルチエアコン)の販売は新機種投入効果等により増加しましたが、主力のルームエアコンでは、省エネ規制対応機種の在庫補充一巡と現地市場における消費減速などから、前年度に比べ売上が減少しました。
オセアニアでは、オーストラリアにおいて、販路開拓の取り組みを進めている専門店ルートの販売が伸長したほか、ニュージーランドでも堅調な住宅需要を背景に販売が伸長し、売上が増加しました。
アジアでは、夏期の好天による需要拡大を背景にインド向けの出荷が増加したほか、営業体制強化を進めているタイ等での販売増もあり、売上が前年度を上回りました。
中華圏では、中国において、ルームエアコンの販路開拓およびVRFの小型機種の販売強化によりエアコンの販売が伸長するとともに、フィルター交換が不要で静音性にも優れた空気清浄機の販売も好調に推移しました。また、ラインアップ拡充と販売網の強化に取り組んでいる台湾向けの販売も伸長し、売上が増加しました。
[国内向け]
売上高は、555億3千万円(同5.0%増)となりました。
量販店ルートにおいては、上半期は東日本の天候不順の影響を受け販売が低迷しましたが、下半期は暖房需要の取り込みを進め、通期での販売は前年度を上回りました。また、新規顧客開拓を進めている住宅設備ルートの販売も堅調に推移し、売上が増加しました。
<情報通信・電子デバイス部門>情報通信・電子デバイス部門では、電子デバイスの販売は増加しましたが、消防システムの商談減の影響が大きく、部門全体の売上は262億4千7百万円(同43.6%減)、営業利益は24億4千9百万円(同77.4%減)となりました。
[情報通信システム]
売上高は、145億5千9百万円(同60.1%減)となりました。
消防システムにおいて、近年の売上を大きく押し上げた無線システムのデジタル化移行商談が前年度で終息した影響が大きく、部門全体の売上は減少しましたが、営業活動における提案力の強化を図っている防災システムや保守ビジネスの売上は増加しました。
[電子デバイス]
売上高は、116億8千7百万円(同17.0%増)となりました。
企業の設備更新需要の持ち直しを背景に、産業用ロボット向けを中心とした電子部品・ユニット製造の販売が堅調に推移するとともに、車載用のカメラや車両運行管理機器などについても、運転時の安全対策への関心の高まりなどから販売が伸長し、売上が増加しました。
<その他部門>売上高は14億2千6百万円(同3.0%増)、営業損益は5億7千1百万円の損失(前年度は4億1千7百万円の損失)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費を源泉とした収入、売上債権の回収が進んだことによる運転資金の減少等により、267億9千9百万円の収入(前連結会計年度は232億7百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、開発・生産設備およびITシステムへの投資等により、49億2千3百万円の支出(同68億3千万円の支出)となりました。この結果、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローは218億7千5百万円の黒字(同163億7千7百万円の黒字)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払等により、28億9千1百万円の支出(同33億1千1百万円の支出)となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末比191億8千5百万円増加し、407億8千9百万円となりました。