2017年5月、IASBは、IFRS第17号「保険契約」(以下「IFRS第17号」)を公表し、2020年6月及び2021年12月にIFRS第17号の修正を公表しました。IFRS第17号は、IFRS第4号「保険契約」(以下「IFRS第4号」)を置き換え、IFRS第17号の範囲に含まれる保険契約の認識、測定、表示及び開示に関する原則を示しています。IFRS第17号は一般モデルを提供し、これに直接連動有配当性を有する保険契約特有のアプローチ(変動手数料アプローチ)と、主に短期の保険契約に対する簡素化されたアプローチ(保険料配分アプローチ)が加えられています。
ソニーは、2023年4月1日からIFRS第17号を適用しています。連結財政状態計算書上、従来適用していたIFRS第4号にもとづき、主に保険契約債務その他、生命保険ビジネスにおける契約者勘定及び繰延保険契約費として表示されていた保険関連科目は、IFRS第17号の適用により、主に保険契約負債として表示しています。従来の保険契約債務の測定は、主に当初認識時の仮定を用いて行っていましたが、IFRS第17号の適用後の保険契約負債は、各報告日における仮定を用いて再測定されます。また、従来の繰延保険契約費は、保険契約債務とは別の資産として計上されていましたが、IFRS第17号の適用後は、履行キャッシュ・フローに含まれる範囲で保険契約負債の測定に含まれています。その結果、IFRS第17号の適用によるソニーの資本合計への影響額は、移行日である2022年4月1日時点において、利益剰余金の409,654百万円の増加及び累積その他の包括利益の1,900,321百万円の減少による1,490,667百万円の減少であり、これらの変化は、主に保険契約負債の測定にあたって使用する割引率の変更の影響及びIFRS第4号とIFRS第17号のその他の測定方法の違いによるものです。また、連結損益計算書上、IFRS第17号の適用後の金融ビジネス収入は、保険収益及びその他の金融ビジネス収入に分けて表示しています。IFRS第17号の適用後の保険収益は、預り金である投資要素を控除していること等の理由により、IFRS第4号における保険料収入とは異なっています。
ソニーは、IFRS第17号の適用にともなう会計方針の変更については、実務上不可能でない限り遡及適用しています。一部の保険契約グループについては、完全な遡及適用が実務上不可能なため、ソニーは合理的で裏付け可能な情報を用いる修正遡及アプローチ又は移行日(2022年4月1日)時点の公正価値を用いる公正価値アプローチを適用して、移行日時点における保険契約グループの識別、認識及び測定を行っています(注記13を参照)。そのため、ソニーは比較期の連結財務諸表をIFRS第17号を遡及適用した前提で修正再表示し、2022年4月1日時点の連結財政状態計算書についても修正再表示しています。
2024/06/25 15:36