有価証券報告書-第106期(2022/04/01-2023/03/31)
6.金融商品に関連するリスク管理
(1) 資本リスク
ソニーが資本リスク管理として用いる指標として株主資本利益率(以下「ROE」)があります。
(注)* ROEは当社株主に帰属する資本を用いて算出しています。
なお、金融分野においては以下のとおり法令の規制を受けることから、資本については金融分野と金融分野以外を区別して管理しており、財務健全性維持の観点から、金融分野を除いた株主資本比率を参照しています。
金融分野においては、ソニーは保険業法、銀行法にもとづき自己資本規制比率や純資産等の額を一定水準以上に保つことが義務付けられています。ソニーが遵守すべき重要な指標は以下のとおりです。
保険ビジネス:ソルベンシー・マージン比率の維持
生命保険子会社及び損害保険子会社は、日本国内の基準にもとづく最低ソルベンシー・マージン比率の要求と比較して、高いソルベンシー・マージン比率を維持しています。
銀行ビジネス:自己資本比率の維持
銀行子会社は、日本国内の基準にもとづく自己資本比率を維持しています。
したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されています。2022年3月31日及び2023年3月31日現在のソニーフィナンシャルグループ㈱(以下「SFGI」)における総資産の帳簿価額は、それぞれ20,974,027百万円及び20,805,535百万円です。また、2022年3月31日及び2023年3月31日現在のSFGIの負債総額は、それぞれ18,392,874百万円及び18,990,548百万円です。
(2) 金利リスク
金融分野に含まれる保険ビジネスの金利リスクについては、注記13をご参照ください。また、金融分野に含まれる銀行ビジネスの金利リスクについては、(7)銀行ビジネスにおける市場リスクをご参照ください。
リスク管理方針とエクスポージャー
金利リスクは、市場金利の変動により、金融商品の公正価値もしくは金融商品から生じる将来キャッシュ・フローが変動するリスクとして定義されています。
金融分野を除くソニー連結における金利リスクのエクスポージャーは、主に借入金や社債などの債務に関連しています。利息の金額は市場金利の変動に影響を受けるため、ソニーは、利息の将来キャッシュ・フローが変動する金利リスクにさらされています。
主に金利の上昇による将来の利息の支払額の増加を抑えるために、社債を固定金利で発行することにより資金調達を行っています。
また、主に資金調達コストの引き下げ、資金調達手段の多様化、金利及び外国為替レートの不利な変動ならびに金融商品の公正価値変動がもたらす借入債務及び負債性証券に係るリスクを軽減するために金利スワップ契約を利用しています。
これらにより、金融分野を除くソニー連結において、金利リスクはキャッシュ・フローにとって重要ではありません。
(3) 価格変動リスク
金融分野に含まれる保険ビジネスの価格変動リスクについては、注記13をご参照ください。また、金融分野に含まれる銀行ビジネスの価格変動リスクについては、(7)銀行ビジネスにおける市場リスクをご参照ください。
① リスク管理方針とエクスポージャー
ソニーは、保有する国内外の企業等の株式から生じる価格変動リスクにさらされています。ソニーでは、資本性金融商品について、定期的に公正価値や発行体の財務状況等を把握し、保有状況を継続的に見直しています。
② 感応度分析
2022年3月31日及び2023年3月31日における市場性のある資本性金融商品(株式)の市場価格が10%下落した場合に、税引前利益及びその他の包括利益(税効果考慮前)に与える影響は以下のとおりです。
(4) 流動性リスク
金融負債に係る満期分析以外の金融分野に含まれる保険ビジネスの流動性リスクについては、注記13をご参照ください。
① リスク管理方針
以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野及び一部の子会社を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野に含まれる銀行ビジネスについては当該項目の最後に別途説明しています。
流動性マネジメントと資金の調達
ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全な財政状態を維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。
流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フロー及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて社債、コマーシャル・ペーパー(以下「CP」)、銀行借入などの手段を通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。
当社、英国の子会社Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)及び米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)は日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なCPプログラム枠を有しています。2022年度末時点で当社、SGTS及びSCCは、円換算で合計1兆1,663億円分のCPプログラム枠を保有しています。2022年度末における発行残高はありません。
金融・資本市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2022年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で6,415億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる2,750億円の円貨コミットメントライン、日本の銀行団と結んでいる1,700百万米ドルの複数通貨建てコミットメントライン、外国の銀行団と結んでいる1,050百万米ドルの複数通貨建てコミットメントラインです。金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及びこれらのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。
ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の信用格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。ただし、グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの信用格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの信用格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。
キャッシュ・マネジメント
ソニーは日本においては当社、米国においてはSCC、それ以外の地域においてはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、当社、SGTS及びSCCにより純額ベースで運用又は調達をしています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合は当社、SGTS及びSCCに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合には当社、SGTS及びSCCを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーは当社、SGTS及びSCCの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。
金融分野に含まれる銀行ビジネス
金融分野に含まれる銀行ビジネスにおいては、流動性リスクに関する管理諸規程を整備し、同諸規程に従い、各種流動性リスクの管理を実施しています。流動性リスクには、資金繰りリスクと市場流動性リスクがあります。資金繰りリスクとは、決済日に必要な資金が確保できなくなり、資金決済が履行できなくなることや、資金の確保に通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクです。資金繰りの状況をその資金繰りの逼迫度に応じてフェーズ分けし、各フェーズにおける管理手法、報告方法などを定めるとともに、必要に応じて、ガイドラインなどの設定と見直しを行っています。市場流動性リスクとは、市場の混乱などにより市場において取引ができなくなり、当社が保有するポジションを解消することが不可能となることや、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクです。各種取扱商品に対する市場流動性の状況を把握し、必要に応じて、商品ごとのガイドラインなどの設定と見直しを行っています。加えて、流動性リスクの管理及び十分な流動性バッファーを確保するため、定期的なストレステストを実施しています。同テストでは、流動性ストレスのシナリオを作成、同環境下での資金流出額を見積もることで、流動性確保に必要なバッファーの金額を把握、管理しています。流動性バッファーは、現金や国債といった、流動性危機下であっても直ぐに現金化できる、流動性の高い資産で構成されています。これらの流動性リスク管理は、リスク管理部門が行い、また、その管理状況を、銀行子会社の取締役会や経営会議に、定期的に報告しています。さらに、内部監査部門による監査を実施しています。
② 満期分析
2022年3月31日及び2023年3月31日現在、ソニーが保有する金融負債は以下のとおりです。
(注)*1 要求払預金は1年以内に含まれています。
*2 デリバティブ負債の純額決済・総額決済の内訳は以下のとおりです。
(注)*1 要求払預金は1年以内に含まれています。
*2 デリバティブ負債の純額決済・総額決済の内訳は以下のとおりです。
(5) 為替変動リスク
金融分野に含まれる保険ビジネスの為替変動リスクについては、注記13をご参照ください。また、金融分野に含まれる銀行ビジネスの為替変動リスクについては、(7)銀行ビジネスにおける市場リスクをご参照ください。
① リスク管理方針とエクスポージャー
外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、ソニーの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。ソニーは、主に為替予約等のデリバティブの利用や同一通貨建ての有価証券などで運用することにより、為替リスクの緩和に努めています。
ソニーにおける為替変動リスクのエクスポージャー(純額)の主なものは、以下のとおりです。なお、デリバティブにより為替リスクがヘッジされている金額は除いています。
(注)負債側のエクスポージャー(純額)を負の値、資産側のエクスポージャー(純額)を正の値と表示しています。
② 感応度分析
ソニーが2022年3月31日及び2023年3月31日現在において保有する外貨建て金融商品について、日本円が、米ドル及びユーロに対してそれぞれ10%円高になった場合に、税引前利益に与える影響額は、以下のとおりです。なお、日本円が米ドル及びユーロに対してそれぞれ10%円安になった場合は、以下の表と同額で反対の影響があります。
本分析は、その他全ての変数が一定であることを前提としています。
(6) 信用リスク
① リスク管理方針とエクスポージャー
ソニーでは、営業債権に係る顧客の信用リスク及び営業債権の為替リスクをヘッジするために保有するデリバティブに係る取引相手である金融機関の信用リスクにさらされています。
営業債権については、与信管理に関する社内規程に従い、取引開始前に取引相手の経営内容の把握や信用度の判定を行って取引の適否の検討、与信限度額の設定及び債権保全策の検討をしています。取引開始後は、債権管理に関する社内規程に従い、取引相手ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、取引の経過、回収の内容、債権残高の推移動向を継続して記録管理し、また、取引相手の経営内容及びビジネス動向等の情報を積極的に収集することで、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っています。営業債権のうち、将来損失の発生が予想される部分に対して計上される損失評価引当金の計算にあたり、過去の回収率、現在の状況及び将来の経済状況の予測に加え、継続的な信用リスク評価にもとづいて顧客の信用力を判断しています。
また、デリバティブ取引については、信用度の高い金融機関や中央清算機関等としか取引を行っておらず、取引時には担保の受取がされていることから、信用リスクは小さいと考えています。
金融分野においては、「リスク管理基本規則」を制定し、子会社の規模、特性、及び業務内容に応じたリスク管理を行っています。金融分野のリスク管理に関する具体的な体制等は「リスク管理ガイドライン」に定めており、金融分野の子会社において、金融資産の特性に応じて、負債性証券の発行体の信用リスク、カウンターパーティーリスク、個別案件ごとの与信審査、信用情報管理、信用格付け、保証や担保の設定、問題債権への対応等に関する体制を整備して、それぞれ自律的なリスク管理を行っています。これらの管理状況は、金融分野の子会社における関連部署より、それらの取締役会や経営会議に定期的に報告しています。
② 信用リスク・エクスポージャー
(i)損失評価引当金の変動
営業債権、その他の債権及び契約資産等(映画分野におけるその他の非流動債権を含む)
負債性証券
(注)* 全ての負債性証券は当初認識時点より信用リスクが著しく増加していないため、損失評価引当金は12ヵ月の
予想信用損失に等しい金額で測定されています。
2022年3月31日及び2023年3月31日現在において、ほとんど全ての負債性証券に係る損失評価引当金は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する損失評価引当金です。
貸出金
2022年3月31日及び2023年3月31日現在における信用減損している貸出金で、重要なものはありません。
(ⅱ)担保及びその他の信用補完の説明
ソニーは、各顧客の信用度を案件ごとに評価しています。与信の拡大が必要と判断された際に、入手した担保の金額はマネジメントによる顧客の信用評価にもとづいています。保有される担保は変動するものの、主に下記のようなものを含んでいます。
・全資産に対する浮動担保及び事業
・特定の、又は関連する保証
・顧客の債務保証、有利及び不利な制約を含むローン契約
担保及びその他の信用補完考慮前の金融資産に係る総額での帳簿価額は、これらの金融資産に係る信用リスクに対するソニーの最大エクスポージャーです。IFRS第9号の減損の要求事項が適用されない有価証券に係る担保及びその他の信用補完考慮前の信用リスクに対する最大エクスポージャーについては、注記5に記載しています。
金融分野において、住宅ローンは十分な担保を受け取っており、重要な損失評価引当金は認識されません。債券貸借取引の担保として受け入れている有価証券のうち、売却又は担保として自由に処分できる権利を有し、当該処分を行わず所有しているものの公正価値は、2022年3月31日及び2023年3月31日現在において、それぞれ530,589百万円及び4,691百万円です。各事業年度において当該処分を行った担保はありません。なお、これらの担保は、当該処分が行われるまで連結財政状態計算書には認識されません。
(ⅲ)リスクの等級ごとの信用リスク・エクスポージャー
2022年3月31日及び2023年3月31日現在におけるリスクの等級ごとの信用リスク・エクスポージャーは、以下のとおりです。
営業債権、その他の債権及び契約資産等(映画分野におけるその他の非流動債権を含む)
負債性証券
金融分野で保有している負債性証券について、各社のリスク管理上、ほとんど全てが投資適格先から構成されており、IFRS第9号の減損の要求が適用される金融商品として、12ヵ月の予想信用損失が計上されています。
2022年3月31日及び2023年3月31日現在において、金融分野における主に外部の信用格付けによる信用格付けシステムにもとづく償却原価又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性証券の総額での帳簿価額の分析は以下のとおりです。
貸出金
金融分野の銀行ビジネスで保有している貸出金について、リスク管理上、債務者の信用区分を定期的に見直しており、IFRS第9号の減損の要求が適用される金融商品として、債務者の信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているか否かによって、12ヵ月又は全期間の予想信用損失が計上されています。
2022年3月31日及び2023年3月31日現在において、金融分野の銀行ビジネスにおける債務者の信用区分にもとづく償却原価で測定する貸出金の総額での帳簿価額の分析は以下のとおりです。
(注)* 正常先は、業況が良好であり、かつ財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者です。
(ⅳ)純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した負債性証券に係る信用リスク
2022年3月31日及び2023年3月31日現在の純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した負債性証券に係る信用リスクのエクスポージャーは、それぞれ267,169百万円及び188,906百万円です。当該金融資産について、信用リスクの変化に起因する公正価値の変動額は、2021年度及び2022年度において、それぞれ1,425百万円の増加及び509百万円の増加です。またその変動の累計額は、2022年3月31日及び2023年3月31日現在において、それぞれ2,026百万円及び2,535百万円です。
(7) 銀行ビジネスにおける市場リスク
ソニーは銀行ビジネスにおいて、市場リスクに関する管理諸規程を整備し、同諸規程に従い、金利・為替・株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動による資産・負債(オフバランスを含む)の価値及び資産・負債から生み出される収益への悪影響により損失を被るリスクを管理しています。市場リスクに関する管理諸規程において、リスク管理方法や手続等の詳細を明記しています。ALM及びリスク管理に関する方針は銀行子会社の取締役会にて決定されます。これら諸規程にもとづき、原則として1ヵ月に1回開催されるALM委員会及びリスク管理委員会において実施状況の把握・確認、今後の対応、リスクの状況等について協議を行っています。日次では総合リスク管理部門が、金融資産及び金融負債の金利や為替レート、デュレーション等を総合的に把握し、一定の保有期間及び信頼区間における予想最大損失額であるバリュー・アット・リスク(以下「VaR」)や金利感応度分析等により、モニタリングならびに規程の遵守状況等の管理を行っています。また、金利・為替の変動リスクをヘッジするための金利スワップ等のデリバティブ取引も行っています。VaRの算出にあたっては、ヒストリカル法(観測期間:250日間、信頼区間:99.0%)を採用し、市場リスク量として金利・為替変動リスク及び市場価格変動リスクが算定されます。2022年3月31日及び2023年3月31日現在の市場リスク量は、それぞれ8,230百万円及び21,433百万円です。なお、VaRは、過去の一定期間の市場変動データにもとづき、将来のある一定期間のうちに被る可能性のある最大損失額を統計的手法により推定したものであるため、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合があります。
(8) 金利指標改革による影響
LIBOR(London Interbank Offered Rate)や、その他の銀行間取引金利(IBOR)など、ベンチマーク金利の改革及びその移行が世界の規制当局の優先事項になりました。米ドルLIBORにおける一部のテナーを除いて、パネル行によって算出されるLIBORは、2021年12月31日末をもって公表停止となりました。なお、パネル行によって算出される1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月の米ドルLIBORは2023年6月末以降に公表停止となり、代表性を喪失するほか、オーバーナイト及び12ヵ月の米ドルLIBORは2023年6月末後ただちに恒久的に廃止となります。ソニーは2023年3月31日現在、米ドルLIBORを参照する契約を結んでいます。
前述のとおり、日本円及び英ポンドのIBORは2021年12月31日をもって廃止されており、TONA(Tokyo Overnight Average Rate)やSONIA(The Sterling Overnight Index Average)といった代替金利に移行しています。現在、米ドルにおいてはLIBORに代わってSOFR(Secured Overnight Financing Rate)を参照する取引が徐々に増えています。米ドルLIBORとSOFRの間には重要な違いがあり、米ドルLIBORは「タームレート」となっています。つまり、特定の借入期間(3ヵ月又は6ヵ月など)で発行され、借入期間の開始時に発行されるため、先決め金利です。他方で、SOFRは実際の取引からオーバーナイト・レートにもとづく後決め金利であり、借入期間の終了時に決定されます。さらに、LIBORにはリスクフリーレートに加えて、クレジット・スプレッドが含まれていますが、SOFRには含まれていません。米ドルLIBORを参照する既存の契約をSOFRに移行するには、移行時に二つのベンチマークレートを経済的な価値が同等となるように期間及びクレジットの差異の調整をSOFRに適用する必要があります。
2023年3月31日時点で、米ドルLIBORからより堅固な参照金利への移行に向けた検討を行っているワーキンググループであるARRC(代替参照金利委員会)は、LIBORの代替指標としてSOFRを推奨しています。一方で、一部の市場関係者は、クレジット・スプレッドが含まれた信用リスク感応的な金利指標(CSRs)の使用も求めており、これらの指標はSOFRに加えて使用される可能性があります。
2021年以降、銀行ビジネスにおいてはLIBOR移行プロジェクト計画を策定しました。当初、この移行プロジェクトでは、米ドルも含むLIBOR移行を計画していましたが、米ドルの主要テナーの公表停止時期が2023年6月末となったことから、2023年3月31日現在、米ドルLIBORの移行は完了していません。そのため、引き続き移行プロジェクトを推進しており、米ドルLIBORの公表停止時期に合わせた移行を予定しています。この移行プロジェクトでは、業務プロセス、リスク管理及び評価モデルの変更を検討しているほか、関連する税務及び会計上の影響を管理しています。2023年3月31日現在、評価モデルの一部を除いて、業務プロセス、リスク管理の変更はおおむね完了していますが、米ドルLIBORを参照する証券取引やデリバティブ取引など、一部の契約変更はまだ行われていません。したがって、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月などの米ドルLIBORが廃止される2023年6月末までに、円滑な契約変更ができないリスクがあります。また、負債性証券においてはSOFR以外のCSRsが代替金利として使用される可能性もあり、その場合には短期間でのシステム変更が必要となります。上記のリスクを回避するために、ソニーは、取引相手とは密にコミュニケーションをとっています。また、プロジェクトメンバーや他部署との連携より、システム的な問題にも柔軟に対応しています。
ソニーは、一部のローン契約、及びその金利リスクを管理する目的で有している金利スワップ契約で、米ドルLIBORを参照金利としていた契約については、2023年3月31日から本書提出日現在までの期間において、代替金利指標への移行に向けた変更契約の締結を完了しています。
以下の表は、2023年3月31日現在、当社が保有する米ドルLIBOR及びSOFRを参照する金融商品のうち、SOFR又は代替金利指標に移行していない商品の詳細です。
(注)* デリバティブについては純額で表示しています。
(1) 資本リスク
ソニーが資本リスク管理として用いる指標として株主資本利益率(以下「ROE」)があります。
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |
| ROE * | 12.8% | 13.0% |
(注)* ROEは当社株主に帰属する資本を用いて算出しています。
なお、金融分野においては以下のとおり法令の規制を受けることから、資本については金融分野と金融分野以外を区別して管理しており、財務健全性維持の観点から、金融分野を除いた株主資本比率を参照しています。
金融分野においては、ソニーは保険業法、銀行法にもとづき自己資本規制比率や純資産等の額を一定水準以上に保つことが義務付けられています。ソニーが遵守すべき重要な指標は以下のとおりです。
保険ビジネス:ソルベンシー・マージン比率の維持
生命保険子会社及び損害保険子会社は、日本国内の基準にもとづく最低ソルベンシー・マージン比率の要求と比較して、高いソルベンシー・マージン比率を維持しています。
銀行ビジネス:自己資本比率の維持
銀行子会社は、日本国内の基準にもとづく自己資本比率を維持しています。
したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されています。2022年3月31日及び2023年3月31日現在のソニーフィナンシャルグループ㈱(以下「SFGI」)における総資産の帳簿価額は、それぞれ20,974,027百万円及び20,805,535百万円です。また、2022年3月31日及び2023年3月31日現在のSFGIの負債総額は、それぞれ18,392,874百万円及び18,990,548百万円です。
(2) 金利リスク
金融分野に含まれる保険ビジネスの金利リスクについては、注記13をご参照ください。また、金融分野に含まれる銀行ビジネスの金利リスクについては、(7)銀行ビジネスにおける市場リスクをご参照ください。
リスク管理方針とエクスポージャー
金利リスクは、市場金利の変動により、金融商品の公正価値もしくは金融商品から生じる将来キャッシュ・フローが変動するリスクとして定義されています。
金融分野を除くソニー連結における金利リスクのエクスポージャーは、主に借入金や社債などの債務に関連しています。利息の金額は市場金利の変動に影響を受けるため、ソニーは、利息の将来キャッシュ・フローが変動する金利リスクにさらされています。
主に金利の上昇による将来の利息の支払額の増加を抑えるために、社債を固定金利で発行することにより資金調達を行っています。
また、主に資金調達コストの引き下げ、資金調達手段の多様化、金利及び外国為替レートの不利な変動ならびに金融商品の公正価値変動がもたらす借入債務及び負債性証券に係るリスクを軽減するために金利スワップ契約を利用しています。
これらにより、金融分野を除くソニー連結において、金利リスクはキャッシュ・フローにとって重要ではありません。
(3) 価格変動リスク
金融分野に含まれる保険ビジネスの価格変動リスクについては、注記13をご参照ください。また、金融分野に含まれる銀行ビジネスの価格変動リスクについては、(7)銀行ビジネスにおける市場リスクをご参照ください。
① リスク管理方針とエクスポージャー
ソニーは、保有する国内外の企業等の株式から生じる価格変動リスクにさらされています。ソニーでは、資本性金融商品について、定期的に公正価値や発行体の財務状況等を把握し、保有状況を継続的に見直しています。
② 感応度分析
2022年3月31日及び2023年3月31日における市場性のある資本性金融商品(株式)の市場価格が10%下落した場合に、税引前利益及びその他の包括利益(税効果考慮前)に与える影響は以下のとおりです。
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |
| 税引前利益 | △11,604 | △11,734 |
| その他の包括利益(税効果考慮前) | △9,871 | △9,800 |
(4) 流動性リスク
金融負債に係る満期分析以外の金融分野に含まれる保険ビジネスの流動性リスクについては、注記13をご参照ください。
① リスク管理方針
以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野及び一部の子会社を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野に含まれる銀行ビジネスについては当該項目の最後に別途説明しています。
流動性マネジメントと資金の調達
ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全な財政状態を維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。
流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フロー及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて社債、コマーシャル・ペーパー(以下「CP」)、銀行借入などの手段を通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。
当社、英国の子会社Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)及び米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)は日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なCPプログラム枠を有しています。2022年度末時点で当社、SGTS及びSCCは、円換算で合計1兆1,663億円分のCPプログラム枠を保有しています。2022年度末における発行残高はありません。
金融・資本市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2022年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で6,415億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる2,750億円の円貨コミットメントライン、日本の銀行団と結んでいる1,700百万米ドルの複数通貨建てコミットメントライン、外国の銀行団と結んでいる1,050百万米ドルの複数通貨建てコミットメントラインです。金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及びこれらのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。
ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の信用格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。ただし、グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの信用格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの信用格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。
キャッシュ・マネジメント
ソニーは日本においては当社、米国においてはSCC、それ以外の地域においてはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、当社、SGTS及びSCCにより純額ベースで運用又は調達をしています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合は当社、SGTS及びSCCに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合には当社、SGTS及びSCCを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーは当社、SGTS及びSCCの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。
金融分野に含まれる銀行ビジネス
金融分野に含まれる銀行ビジネスにおいては、流動性リスクに関する管理諸規程を整備し、同諸規程に従い、各種流動性リスクの管理を実施しています。流動性リスクには、資金繰りリスクと市場流動性リスクがあります。資金繰りリスクとは、決済日に必要な資金が確保できなくなり、資金決済が履行できなくなることや、資金の確保に通常よりも著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクです。資金繰りの状況をその資金繰りの逼迫度に応じてフェーズ分けし、各フェーズにおける管理手法、報告方法などを定めるとともに、必要に応じて、ガイドラインなどの設定と見直しを行っています。市場流動性リスクとは、市場の混乱などにより市場において取引ができなくなり、当社が保有するポジションを解消することが不可能となることや、通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクです。各種取扱商品に対する市場流動性の状況を把握し、必要に応じて、商品ごとのガイドラインなどの設定と見直しを行っています。加えて、流動性リスクの管理及び十分な流動性バッファーを確保するため、定期的なストレステストを実施しています。同テストでは、流動性ストレスのシナリオを作成、同環境下での資金流出額を見積もることで、流動性確保に必要なバッファーの金額を把握、管理しています。流動性バッファーは、現金や国債といった、流動性危機下であっても直ぐに現金化できる、流動性の高い資産で構成されています。これらの流動性リスク管理は、リスク管理部門が行い、また、その管理状況を、銀行子会社の取締役会や経営会議に、定期的に報告しています。さらに、内部監査部門による監査を実施しています。
② 満期分析
2022年3月31日及び2023年3月31日現在、ソニーが保有する金融負債は以下のとおりです。
| 2022年3月31日 | ||||||||
| 金額(百万円) | ||||||||
| 帳簿価額 | 合計 | 1年以内 | 1年超~ 2年以内 | 2年超~ 3年以内 | 3年超~ 4年以内 | 4年超~ 5年以内 | 5年超 | |
| 銀行ビジネスにおける顧客預金 *1 | 3,004,215 | 3,004,215 | 2,886,361 | 48,676 | 15,860 | 3,038 | 1,186 | 49,094 |
| 社債 | 216,103 | 218,676 | 36,976 | 25,363 | 40,326 | 20,303 | 35,243 | 60,465 |
| 借入金 | 2,670,156 | 2,687,135 | 2,053,340 | 58,767 | 76,434 | 115,460 | 23,813 | 359,321 |
| ローン・コミットメント | - | 33,587 | 33,587 | - | - | - | - | - |
| デリバティブ負債 *2 | 72,120 | 72,118 | 66,017 | 688 | 718 | 753 | 721 | 3,221 |
| 預り保証金 | 39,296 | 39,296 | 28,872 | 345 | 27 | 8 | 8 | 10,036 |
| 償還可能非支配持分 | 34,995 | 37,046 | 2,435 | 19,927 | 9,046 | 2,381 | - | 3,257 |
| 2022年3月31日 | |||||||
| 金額(百万円) | |||||||
| 帳簿価額 | 合計 | 1年以内 | 1年超~ 2年以内 | 2年超~ 3年以内 | 3年超~ 4年以内 | 4年超~ 5年以内 | |
| リース負債 | 465,349 | 511,883 | 81,421 | 69,791 | 59,214 | 45,063 | 37,363 |
| 5年超~ 6年以内 | 6年超~ 7年以内 | 7年超~ 8年以内 | 8年超~ 9年以内 | 9年超~ 10年以内 | 10年超 | ||
| 35,841 | 32,369 | 30,593 | 27,864 | 19,913 | 72,451 | ||
(注)*1 要求払預金は1年以内に含まれています。
*2 デリバティブ負債の純額決済・総額決済の内訳は以下のとおりです。
| 2022年3月31日 | |||||||
| 金額(百万円) | |||||||
| 合計 | 1年以内 | 1年超~ 2年以内 | 2年超~ 3年以内 | 3年超~ 4年以内 | 4年超~ 5年以内 | 5年超 | |
| 純額で決済するデリバティブ契約 | |||||||
| 支出 | 72,118 | 66,017 | 688 | 718 | 753 | 721 | 3,221 |
| 総額で決済するデリバティブ契約 | |||||||
| 収入 | - | - | - | - | - | - | - |
| 支出 | - | - | - | - | - | - | - |
| 2023年3月31日 | ||||||||
| 金額(百万円) | ||||||||
| 帳簿価額 | 合計 | 1年以内 | 1年超~ 2年以内 | 2年超~ 3年以内 | 3年超~ 4年以内 | 4年超~ 5年以内 | 5年超 | |
| 銀行ビジネスにおける顧客預金 *1 | 3,306,981 | 3,316,556 | 3,171,377 | 30,215 | 14,933 | 1,060 | 2,410 | 96,561 |
| 社債 | 349,332 | 354,169 | 26,039 | 40,986 | 110,862 | 35,591 | 80,416 | 60,275 |
| 借入金 | 2,988,994 | 3,025,480 | 1,998,315 | 70,690 | 147,447 | 270,268 | 62,571 | 476,189 |
| ローン・コミットメント | - | 35,831 | 35,831 | - | - | - | - | - |
| デリバティブ負債 *2 | 34,123 | 33,766 | 28,886 | 623 | 1,041 | 912 | 918 | 1,386 |
| 預り保証金 | 40,568 | 40,568 | 31,085 | 272 | 19 | 58 | 13 | 9,121 |
| 償還可能非支配持分 | 47,326 | 48,616 | - | 24,844 | 10,397 | 4,572 | 198 | 8,605 |
| 2023年3月31日 | |||||||
| 金額(百万円) | |||||||
| 帳簿価額 | 合計 | 1年以内 | 1年超~ 2年以内 | 2年超~ 3年以内 | 3年超~ 4年以内 | 4年超~ 5年以内 | |
| リース負債 | 532,246 | 593,967 | 90,244 | 80,476 | 68,143 | 55,189 | 47,665 |
| 5年超~ 6年以内 | 6年超~ 7年以内 | 7年超~ 8年以内 | 8年超~ 9年以内 | 9年超~ 10年以内 | 10年超 | ||
| 56,603 | 37,539 | 34,588 | 25,798 | 18,384 | 79,338 | ||
(注)*1 要求払預金は1年以内に含まれています。
*2 デリバティブ負債の純額決済・総額決済の内訳は以下のとおりです。
| 2023年3月31日 | |||||||
| 金額(百万円) | |||||||
| 合計 | 1年以内 | 1年超~ 2年以内 | 2年超~ 3年以内 | 3年超~ 4年以内 | 4年超~ 5年以内 | 5年超 | |
| 純額で決済するデリバティブ契約 | |||||||
| 支出 | 32,881 | 27,820 | 769 | 1,076 | 912 | 918 | 1,386 |
| 総額で決済するデリバティブ契約 | |||||||
| 収入 | 29,092 | 25,894 | 156 | 3,042 | - | - | - |
| 支出 | 29,977 | 26,960 | 10 | 3,007 | - | - | - |
(5) 為替変動リスク
金融分野に含まれる保険ビジネスの為替変動リスクについては、注記13をご参照ください。また、金融分野に含まれる銀行ビジネスの為替変動リスクについては、(7)銀行ビジネスにおける市場リスクをご参照ください。
① リスク管理方針とエクスポージャー
外貨建てで取引されている製品・サービスなどのコスト及び価格は為替相場の変動により影響を受けるため、それにより、ソニーの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。ソニーは、主に為替予約等のデリバティブの利用や同一通貨建ての有価証券などで運用することにより、為替リスクの緩和に努めています。
ソニーにおける為替変動リスクのエクスポージャー(純額)の主なものは、以下のとおりです。なお、デリバティブにより為替リスクがヘッジされている金額は除いています。
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |
| 米ドル | △6,384 | 45,316 |
| ユーロ | △22,713 | 1,459 |
(注)負債側のエクスポージャー(純額)を負の値、資産側のエクスポージャー(純額)を正の値と表示しています。
② 感応度分析
ソニーが2022年3月31日及び2023年3月31日現在において保有する外貨建て金融商品について、日本円が、米ドル及びユーロに対してそれぞれ10%円高になった場合に、税引前利益に与える影響額は、以下のとおりです。なお、日本円が米ドル及びユーロに対してそれぞれ10%円安になった場合は、以下の表と同額で反対の影響があります。
本分析は、その他全ての変数が一定であることを前提としています。
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |
| 米ドル | 638 | △4,532 |
| ユーロ | 2,271 | △146 |
(6) 信用リスク
① リスク管理方針とエクスポージャー
ソニーでは、営業債権に係る顧客の信用リスク及び営業債権の為替リスクをヘッジするために保有するデリバティブに係る取引相手である金融機関の信用リスクにさらされています。
営業債権については、与信管理に関する社内規程に従い、取引開始前に取引相手の経営内容の把握や信用度の判定を行って取引の適否の検討、与信限度額の設定及び債権保全策の検討をしています。取引開始後は、債権管理に関する社内規程に従い、取引相手ごとの期日管理及び残高管理を行うとともに、取引の経過、回収の内容、債権残高の推移動向を継続して記録管理し、また、取引相手の経営内容及びビジネス動向等の情報を積極的に収集することで、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や軽減を図っています。営業債権のうち、将来損失の発生が予想される部分に対して計上される損失評価引当金の計算にあたり、過去の回収率、現在の状況及び将来の経済状況の予測に加え、継続的な信用リスク評価にもとづいて顧客の信用力を判断しています。
また、デリバティブ取引については、信用度の高い金融機関や中央清算機関等としか取引を行っておらず、取引時には担保の受取がされていることから、信用リスクは小さいと考えています。
金融分野においては、「リスク管理基本規則」を制定し、子会社の規模、特性、及び業務内容に応じたリスク管理を行っています。金融分野のリスク管理に関する具体的な体制等は「リスク管理ガイドライン」に定めており、金融分野の子会社において、金融資産の特性に応じて、負債性証券の発行体の信用リスク、カウンターパーティーリスク、個別案件ごとの与信審査、信用情報管理、信用格付け、保証や担保の設定、問題債権への対応等に関する体制を整備して、それぞれ自律的なリスク管理を行っています。これらの管理状況は、金融分野の子会社における関連部署より、それらの取締役会や経営会議に定期的に報告しています。
② 信用リスク・エクスポージャー
(i)損失評価引当金の変動
営業債権、その他の債権及び契約資産等(映画分野におけるその他の非流動債権を含む)
| 2021年度 | 2022年度 | |
| 全期間の予想信用損失 (百万円) | 全期間の予想信用損失 (百万円) | |
| 期首残高 | 30,066 | 31,341 |
| 期首現在で認識されている金融資産の変動: | ||
| ―認識の中止が行われた金融資産 | △935 | △4,568 |
| 組成又は新規購入した新規の金融資産 | 5,998 | 6,401 |
| 直接償却 | △9,501 | △6,647 |
| モデル/リスク変数の変更 | 4,269 | △1,409 |
| 外国為替及びその他の変動 | 1,444 | 2,416 |
| 期末残高 | 31,341 | 27,534 |
負債性証券
| 2021年度 | 2022年度 | |
| 12ヵ月の予想信用損失 * (百万円) | 12ヵ月の予想信用損失 * (百万円) | |
| 期首残高 | 29 | 53 |
| 期首現在で認識されている金融資産の変動: | ||
| ―認識の中止が行われた金融資産 | △6 | △4 |
| 組成又は新規購入した新規の金融資産 | 44 | 13 |
| モデル/リスク変数の変更 | △14 | △1 |
| 外国為替及びその他の変動 | - | - |
| 期末残高 | 53 | 61 |
(注)* 全ての負債性証券は当初認識時点より信用リスクが著しく増加していないため、損失評価引当金は12ヵ月の
予想信用損失に等しい金額で測定されています。
2022年3月31日及び2023年3月31日現在において、ほとんど全ての負債性証券に係る損失評価引当金は、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する損失評価引当金です。
貸出金
| 金額(百万円) | |||
| 12ヵ月の 予想信用損失 | 全期間の 予想信用損失 | 合計 | |
| 2021年4月1日残高 | 122 | 946 | 1,068 |
| 2021年4月1日現在で認識されている金融資産の変動: | |||
| ―全期間の予想信用損失への振替 | △1 | 1 | - |
| ―12ヵ月の予想信用損失への振替 | 103 | △103 | - |
| ―認識の中止が行われた金融資産 | △59 | △97 | △156 |
| 組成又は新規購入した新規の金融資産 | 33 | 17 | 50 |
| モデル/リスク変数の変更 | △34 | 163 | 129 |
| 外国為替及びその他の変動 | - | - | - |
| 2022年3月31日残高 | 164 | 927 | 1,091 |
| 2022年3月31日現在で認識されている金融資産の変動: | |||
| ―全期間の予想信用損失への振替 | △1 | 1 | - |
| ―12ヵ月の予想信用損失への振替 | 80 | △80 | - |
| ―認識の中止が行われた金融資産 | △6 | △285 | △291 |
| 組成又は新規購入した新規の金融資産 | 51 | 20 | 71 |
| モデル/リスク変数の変更 | 25 | 241 | 266 |
| 外国為替及びその他の変動 | - | - | - |
| 2023年3月31日残高 | 313 | 824 | 1,137 |
2022年3月31日及び2023年3月31日現在における信用減損している貸出金で、重要なものはありません。
(ⅱ)担保及びその他の信用補完の説明
ソニーは、各顧客の信用度を案件ごとに評価しています。与信の拡大が必要と判断された際に、入手した担保の金額はマネジメントによる顧客の信用評価にもとづいています。保有される担保は変動するものの、主に下記のようなものを含んでいます。
・全資産に対する浮動担保及び事業
・特定の、又は関連する保証
・顧客の債務保証、有利及び不利な制約を含むローン契約
担保及びその他の信用補完考慮前の金融資産に係る総額での帳簿価額は、これらの金融資産に係る信用リスクに対するソニーの最大エクスポージャーです。IFRS第9号の減損の要求事項が適用されない有価証券に係る担保及びその他の信用補完考慮前の信用リスクに対する最大エクスポージャーについては、注記5に記載しています。
金融分野において、住宅ローンは十分な担保を受け取っており、重要な損失評価引当金は認識されません。債券貸借取引の担保として受け入れている有価証券のうち、売却又は担保として自由に処分できる権利を有し、当該処分を行わず所有しているものの公正価値は、2022年3月31日及び2023年3月31日現在において、それぞれ530,589百万円及び4,691百万円です。各事業年度において当該処分を行った担保はありません。なお、これらの担保は、当該処分が行われるまで連結財政状態計算書には認識されません。
(ⅲ)リスクの等級ごとの信用リスク・エクスポージャー
2022年3月31日及び2023年3月31日現在におけるリスクの等級ごとの信用リスク・エクスポージャーは、以下のとおりです。
営業債権、その他の債権及び契約資産等(映画分野におけるその他の非流動債権を含む)
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |
| 債権の期日経過後日数別残高(総額での帳簿価額) | ||
| 期日経過なし又は期日経過後30日以内 | 1,732,371 | 1,849,112 |
| 期日経過後30日超90日以内 | 52,895 | 46,332 |
| 期日経過後90日超 | 45,269 | 63,519 |
| 合計 | 1,830,535 | 1,958,963 |
負債性証券
金融分野で保有している負債性証券について、各社のリスク管理上、ほとんど全てが投資適格先から構成されており、IFRS第9号の減損の要求が適用される金融商品として、12ヵ月の予想信用損失が計上されています。
2022年3月31日及び2023年3月31日現在において、金融分野における主に外部の信用格付けによる信用格付けシステムにもとづく償却原価又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性証券の総額での帳簿価額の分析は以下のとおりです。
| 2022年3月31日 | 2023年3月31日 | |
| 金額(百万円) | 金額(百万円) | |
| 負債性証券の信用格付け別残高(総額での帳簿価額) | ||
| AAA | 488,275 | 559,271 |
| AA | 2,431,758 | 2,807,508 |
| A | 8,560,523 | 8,695,883 |
| BBB | 12,948 | 9,625 |
| その他 | 32,422 | 6,434 |
| 合計 | 11,525,926 | 12,078,721 |
貸出金
金融分野の銀行ビジネスで保有している貸出金について、リスク管理上、債務者の信用区分を定期的に見直しており、IFRS第9号の減損の要求が適用される金融商品として、債務者の信用リスクが当初認識時点から著しく増加しているか否かによって、12ヵ月又は全期間の予想信用損失が計上されています。
2022年3月31日及び2023年3月31日現在において、金融分野の銀行ビジネスにおける債務者の信用区分にもとづく償却原価で測定する貸出金の総額での帳簿価額の分析は以下のとおりです。
| 2022年3月31日 | |||||||
| 金額(百万円) | |||||||
| 正常先 * | 正常先以外 | 合計 | |||||
| 12ヵ月の 予想信用損失 | 全期間の 予想信用損失 | 小計 | 12ヵ月の 予想信用損失 | 全期間の 予想信用損失 | 小計 | ||
| 貸出金 | |||||||
| 住宅ローン | 2,747,406 | 156 | 2,747,562 | 2,532 | 3,423 | 5,955 | 2,753,517 |
| その他 | 24,522 | 282 | 24,804 | 11 | 85 | 96 | 24,900 |
| 合計 | 2,771,928 | 438 | 2,772,366 | 2,543 | 3,508 | 6,051 | 2,778,417 |
| 2023年3月31日 | |||||||
| 金額(百万円) | |||||||
| 正常先 * | 正常先以外 | 合計 | |||||
| 12ヵ月の 予想信用損失 | 全期間の 予想信用損失 | 小計 | 12ヵ月の 予想信用損失 | 全期間の 予想信用損失 | 小計 | ||
| 貸出金 | |||||||
| 住宅ローン | 3,124,410 | 140 | 3,124,550 | 2,173 | 3,350 | 5,523 | 3,130,073 |
| その他 | 16,852 | 242 | 17,094 | 4 | 74 | 78 | 17,172 |
| 合計 | 3,141,262 | 382 | 3,141,644 | 2,177 | 3,424 | 5,601 | 3,147,245 |
(注)* 正常先は、業況が良好であり、かつ財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者です。
(ⅳ)純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した負債性証券に係る信用リスク
2022年3月31日及び2023年3月31日現在の純損益を通じて公正価値で測定するものと指定した負債性証券に係る信用リスクのエクスポージャーは、それぞれ267,169百万円及び188,906百万円です。当該金融資産について、信用リスクの変化に起因する公正価値の変動額は、2021年度及び2022年度において、それぞれ1,425百万円の増加及び509百万円の増加です。またその変動の累計額は、2022年3月31日及び2023年3月31日現在において、それぞれ2,026百万円及び2,535百万円です。
(7) 銀行ビジネスにおける市場リスク
ソニーは銀行ビジネスにおいて、市場リスクに関する管理諸規程を整備し、同諸規程に従い、金利・為替・株式等の様々な市場のリスク・ファクターの変動による資産・負債(オフバランスを含む)の価値及び資産・負債から生み出される収益への悪影響により損失を被るリスクを管理しています。市場リスクに関する管理諸規程において、リスク管理方法や手続等の詳細を明記しています。ALM及びリスク管理に関する方針は銀行子会社の取締役会にて決定されます。これら諸規程にもとづき、原則として1ヵ月に1回開催されるALM委員会及びリスク管理委員会において実施状況の把握・確認、今後の対応、リスクの状況等について協議を行っています。日次では総合リスク管理部門が、金融資産及び金融負債の金利や為替レート、デュレーション等を総合的に把握し、一定の保有期間及び信頼区間における予想最大損失額であるバリュー・アット・リスク(以下「VaR」)や金利感応度分析等により、モニタリングならびに規程の遵守状況等の管理を行っています。また、金利・為替の変動リスクをヘッジするための金利スワップ等のデリバティブ取引も行っています。VaRの算出にあたっては、ヒストリカル法(観測期間:250日間、信頼区間:99.0%)を採用し、市場リスク量として金利・為替変動リスク及び市場価格変動リスクが算定されます。2022年3月31日及び2023年3月31日現在の市場リスク量は、それぞれ8,230百万円及び21,433百万円です。なお、VaRは、過去の一定期間の市場変動データにもとづき、将来のある一定期間のうちに被る可能性のある最大損失額を統計的手法により推定したものであるため、通常では考えられないほど市場環境が激変する状況下におけるリスクは捕捉できない場合があります。
(8) 金利指標改革による影響
LIBOR(London Interbank Offered Rate)や、その他の銀行間取引金利(IBOR)など、ベンチマーク金利の改革及びその移行が世界の規制当局の優先事項になりました。米ドルLIBORにおける一部のテナーを除いて、パネル行によって算出されるLIBORは、2021年12月31日末をもって公表停止となりました。なお、パネル行によって算出される1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月の米ドルLIBORは2023年6月末以降に公表停止となり、代表性を喪失するほか、オーバーナイト及び12ヵ月の米ドルLIBORは2023年6月末後ただちに恒久的に廃止となります。ソニーは2023年3月31日現在、米ドルLIBORを参照する契約を結んでいます。
前述のとおり、日本円及び英ポンドのIBORは2021年12月31日をもって廃止されており、TONA(Tokyo Overnight Average Rate)やSONIA(The Sterling Overnight Index Average)といった代替金利に移行しています。現在、米ドルにおいてはLIBORに代わってSOFR(Secured Overnight Financing Rate)を参照する取引が徐々に増えています。米ドルLIBORとSOFRの間には重要な違いがあり、米ドルLIBORは「タームレート」となっています。つまり、特定の借入期間(3ヵ月又は6ヵ月など)で発行され、借入期間の開始時に発行されるため、先決め金利です。他方で、SOFRは実際の取引からオーバーナイト・レートにもとづく後決め金利であり、借入期間の終了時に決定されます。さらに、LIBORにはリスクフリーレートに加えて、クレジット・スプレッドが含まれていますが、SOFRには含まれていません。米ドルLIBORを参照する既存の契約をSOFRに移行するには、移行時に二つのベンチマークレートを経済的な価値が同等となるように期間及びクレジットの差異の調整をSOFRに適用する必要があります。
2023年3月31日時点で、米ドルLIBORからより堅固な参照金利への移行に向けた検討を行っているワーキンググループであるARRC(代替参照金利委員会)は、LIBORの代替指標としてSOFRを推奨しています。一方で、一部の市場関係者は、クレジット・スプレッドが含まれた信用リスク感応的な金利指標(CSRs)の使用も求めており、これらの指標はSOFRに加えて使用される可能性があります。
2021年以降、銀行ビジネスにおいてはLIBOR移行プロジェクト計画を策定しました。当初、この移行プロジェクトでは、米ドルも含むLIBOR移行を計画していましたが、米ドルの主要テナーの公表停止時期が2023年6月末となったことから、2023年3月31日現在、米ドルLIBORの移行は完了していません。そのため、引き続き移行プロジェクトを推進しており、米ドルLIBORの公表停止時期に合わせた移行を予定しています。この移行プロジェクトでは、業務プロセス、リスク管理及び評価モデルの変更を検討しているほか、関連する税務及び会計上の影響を管理しています。2023年3月31日現在、評価モデルの一部を除いて、業務プロセス、リスク管理の変更はおおむね完了していますが、米ドルLIBORを参照する証券取引やデリバティブ取引など、一部の契約変更はまだ行われていません。したがって、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月などの米ドルLIBORが廃止される2023年6月末までに、円滑な契約変更ができないリスクがあります。また、負債性証券においてはSOFR以外のCSRsが代替金利として使用される可能性もあり、その場合には短期間でのシステム変更が必要となります。上記のリスクを回避するために、ソニーは、取引相手とは密にコミュニケーションをとっています。また、プロジェクトメンバーや他部署との連携より、システム的な問題にも柔軟に対応しています。
ソニーは、一部のローン契約、及びその金利リスクを管理する目的で有している金利スワップ契約で、米ドルLIBORを参照金利としていた契約については、2023年3月31日から本書提出日現在までの期間において、代替金利指標への移行に向けた変更契約の締結を完了しています。
以下の表は、2023年3月31日現在、当社が保有する米ドルLIBOR及びSOFRを参照する金融商品のうち、SOFR又は代替金利指標に移行していない商品の詳細です。
| 2023年3月31日 | ||
| 帳簿価額 | (内訳) 代替ベンチマーク金利に移行していないもの | |
| 百万円 | 百万円 | |
| 負債性証券 | ||
| その他の包括利益を通じて公正価値で測定 | 18,529 | 3,291 |
| 償却原価で測定 | 290,178 | 223,111 |
| 長期借入債務 | △159,918 | △159,918 |
| デリバティブ* | 35,483 | 34,375 |
| 合計 | 184,272 | 100,859 |
(注)* デリバティブについては純額で表示しています。