有価証券報告書-第97期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 13:52
【資料】
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【項目】
155項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「可能性の追求を通して、総合的な高度技術により、情報社会の発展に寄与する」ことを企業理念とし、エレクトロニクス業界において常に時代をリードする製品を開発し、世界各国に展開している拠点から魅力ある製品やサービスを提供してまいります。
また、経営戦略スローガンとして掲げている 「CREATIVE CONNECTIVITY もっと創造的に、もっと繋がる」 のもと、社会やお客様の顕在的・潜在的課題を解決していくチャレンジ精神をもち、独創的なアイディアを創出するクリエイティビティと、アイディアを実現するソリューション力を提供することにより、より良い社会と未来の創出に貢献できる企業を目指してまいります。
(2) 中長期的な経営戦略
当社グループはこれまでもICT(Information and Communications Technology)関連市場への積極的参入と、効率経営をグローバルに推進してまいりました。
車載市場はCASE(Connected, Autonomous, Shared & Service, Electric)をキーワードにした自動車の進化により大きく変革し、IoT(Internet of Things)が進化のスピードを速め、5Gも本格化しつつあります。
当社グループは、こういったビジネス環境の大きな潮流の変化を捉えるとともに、スマートホーム化により市場拡大が見込まれる家電市場向け製品、ウェアラブル端末、環境・エネルギー、ヘルスケアなど、新規市場向け製品の開発・投入を行いながら、当社の原点である“ものづくり”の再構築を図り、創造性あふれる先駆的な製品の投入を推進いたします。
同時に、既存事業における変化への対応は勿論のこと、新規市場での事業拡大、及びパートナー様との協業やオープンイノベーションの推進による新規事業創出への取り組みを積極的に進めてまいります。
これと並行して、企業として永続的な成長・発展を可能とするため、企業体質の強化を重点に取り組んでまいります。
具体的には、開発・設計・生産・販売・物流等各方面における合理化、中長期的な市場および生産性の見直しによる事業の再編成、効率的かつ強力な営業体制の整備、多面的な業務提携の検討、さらには自然災害の事業活動への影響を最小限に抑えるリスク対策として事業継続マネジメント(BCM)を、グループ全体で対応しております。
開発・設計プロセスの改善として、2013年に3D CADの最新版への更新、3Dプリンターの積極的な活用、フロントローディング型製品開発の推進とそのITシステム導入を行いました。
2019年4月には技術融合による新事業・新商品の創出とオペレーションの効率化を図るため、FC事業部とTP事業部を統合しSCI事業部としてスタートすることになりました。
生産体制につきましては、固定費削減を含む生産の効率化を図るとともに最適地生産体制のレビューを継続してまいりました。これらの生産基盤強化に加えIoT活用によるスマート工場の実現に向けた取り組みを開始いたしました。今後も、新技術・新生産技術の開発、更には地球環境保全に貢献する新製品開発や地球温暖化防止のための活動をグループ全体としてより強化してまいります。
環境保全活動は、2003年に環境報告書を発行し、環境会計に取り組むとともに2004年にはグリーン調達ガイドラインを発行し、グループ内にとどまらず協力会社様にも活動推進をお願いしております。今後もその内容の充実を図ってまいります。
企業の社会的責任(CSR)につきましては、従来から企業理念・企業行動憲章を制定し、社会に貢献し評価される企業づくりを目指しております。2006年4月には社員行動規範を制定し、教育活動を含めSMKグループ全構成員にCSR・コンプライアンスの徹底を図っておりますが、企業に求められる社会的責任が時代とともに変化してきたことに対応し2014年4月「企業行動憲章」「社員行動規範」を改定いたしました。
当社グループではその持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために管理体制の充実を図っております。2008年より適用開始された金融商品取引法における内部統制報告制度につきましては、2009年6月から内部統制報告書の提出を行っております。
2015年11月には東京証券取引所の「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」の中で、コーポレート・ガバナンス・コードへの対応を開示いたしました。コーポレート・ガバナンスを健全で効率的な経営を実現するための重要な仕組みと位置づけ、その充実・強化を図っております。
以上の取り組みを通じまして、SMKグループ一丸となって企業価値を高めるべく総力を尽くしてまいります。
(3) 目標とする経営指標
適正利潤を伴う売上の継続的拡大を目的に経営に取り組んでおり、総合的な経営指標としては、ROA(総資産経常利益率)13%、ROE(自己資本当期純利益率)18%を中期目標として掲げております。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
次期の見通しにつきましては、世界経済は米国経済が堅調に推移するものの、中国、欧州ならびに日本経済が減速基調にあり、全体としては緩やかな減速局面に移行しつつあると思われます。貿易摩擦の激化、英国のEU離脱問題、地政学リスクといった政治要因が残存する中、世界経済は下振れリスクを抱えながら不透明な環境で推移するものと思われます。
当電子部品業界は、米中貿易摩擦に端を発した需要減速がスマートフォンから自動車にまで波及しているものの、CASEをキーワードにした自動車の進化、CPS(Cyber Physical System)/ IoT(Internet of Things)の進展や今後本格化する5Gによるネットワーク社会の到来、環境関連市場の活性化などにより、全体としては緩やかな拡大が見込まれます。
当社グループも、従来から取り組んでおります生産性向上や経費削減などにより採算性の改善を図るとともに、新規ビジネスの事業化により、収益を拡大してまいります。同時にビジネス環境の変化に機敏に対応すべく、危機管理対応のさらなる強化に努めてまいります。また、持続的な成長の実現に向け、主力ビジネスや新規市場の継続的な拡大は勿論のこと、パートナー様との協業やオープンイノベーションの推進による新規事業創出への取組みを積極的に進めてまいります。