有価証券報告書-第75期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 14:42
【資料】
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【項目】
134項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、永年にわたり、鉄道の安全・安定輸送の要となる信号保安装置や運行管理システム等の製造・販売を中心に事業を展開してまいりました。これまで、国内外の鉄道新設・改良プロジェクトの推移や要素技術の革新などに伴う市場変化に対し、3ヶ年毎の中期経営計画により対応してまいりました。核となる、具体的な当社グループの企業理念は下記のとおりであります。
①安全で信頼性の高い製品と質の高いサービスを提供し、より快適な社会の実現に寄与する
②新技術に挑戦するとともに、会社の発展と社員の幸福を追求する
③健全な企業活動を通じて、社会に貢献し環境との調和を図る
(2) 中長期的な会社の経営戦略
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内における市場縮小や国際情勢変動による海外市場の混乱など、鉄道信号業界は構造的な変化の様相を見せています。その一方で、この業界にも、5Gデジタル無線やIT技術などの技術革新が押し寄せています。
このような中、10年後のあるべき姿を見据え、2021年4月よりスタートする中期計画「PLAN2023」を策定致しました。最初の3年間を、持続的発展を遂げるための基礎固めの期間と位置付けて、めまぐるしく変化する事業環境への対応が求められる中で、これまで培われた鉄道の安全・安心を守る技術と、デジタル技術革新をはじめとする新しい技術や産業機器による開発にも積極的に挑戦し、安全・快適で効率的な鉄道運行をグループ一丸となり支え、社会に貢献してまいります。
新たな中期経営計画の基本方針は、下記の通りであります。
①10年後の事業展開を見据えた経営基盤の強化
②アフターコロナの姿が明瞭でない中で、事業の核となる国内鉄道市場を固めつつ、成長市場の見極めまでは多方面に施策を展開
③鉄道の安全・安心・快適を支える技術・技能の伝承と、新技術と融合した製品開発
④リソースを適正に配分するため施策の進展や環境変化に応じて展開した施策を見直し
⑤国内鉄道信号市場とともに、長期的には産業機器分野と海外鉄道信号市場での成長を目指す
⑥上記を支える品質管理・コンプライアンス・財務体質の改善
また、重点施策は、下記のとおりであります。
■売上と利益の確保
①国内市場の維持と拡大
②時代のニーズにマッチした信号製品の開発と販売
③生産・販売体制の改革
■ビジネス基盤の拡大
④保有技術を生かした新ビジネスの展開
⑤海外市場獲得に向けた施策
■経営基盤の強化
⑥戦略的財務施策
⑦施策を支える人事戦略
■人間中心企業
⑧グループでつながる「人間中心企業」
あわせて、企業活動の前提として、法令・企業倫理の遵守(コンプライアンス)及びメーカーの責務としての品質維持向上、環境保全にも取り組んでまいります。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①目標とする経営指標
受注高、営業利益、ROE(株主資本当期純利益率)を主な経営指標としております。
②会社の対処すべき課題
(a)縮小環境下における市場の確保と新規獲得
(b)社内生産工程・在庫管理の見える化
(c)見積り原価総額の管理強化
(d)中期経営計画を支える人事・採用戦略の展開
(e)グループ会社間での制度の整合
(f)技術面で、汎用性のあるシステム開発や将来の信号システムに向けた各種開発着手、及び保有技術を用いた新ビジネスの提案
(g)海外市場に関し、世界的情勢を見極めながら慎重かつ入念に準備を進める