有価証券報告書-第99期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/24 14:14
【資料】
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【項目】
148項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、azbilグループが判断したものであります。
(1)経営方針
azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」の理念のもと、事業を通して持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実践することで、自らの中長期的な発展を確実なものとし、企業価値の持続的な向上を実現することで、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていきたいと考えております。
このため、“技術・製品を基盤にソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」へ”、“地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」”、“体質強化を継続的に実施できる「学習する企業体」を目指す”の3つを基本方針に、事業収益力の強化及びグローバルな事業基盤の整備を進めつつ、これらを基にした事業成長施策を展開しております。具体的には、ビルディングオートメーション(BA)、アドバンスオートメーション(AA)、ライフオートメーション(LA)の3事業において、計測と制御の技術を核に、「人を中心としたオートメーション」の発想に基づく製品・サービスを提供し、お客様のニーズや社会課題の解決に貢献することで、お客様・社会とともに自らの持続的成長を目指しております。
(2)経営戦略等
当社は、「人を中心としたオートメーション」すなわち、人を中心に据え、人と技術が協創するオートメーション世界の実現に注力し、お客様の安全・安心や企業価値の向上、地球環境問題の改善等に貢献する世界トップクラスの企業集団になることを長期目標と設定、段階的に中期経営計画を立案し、この目標達成に向けた取組みを行ってまいりました。
これまでは、オートメーションに焦点をあてつつ単一市場への過度な集中を避け、異なる市場構造を持つBA/AA/LAの3つの事業分野から成る複合的な事業ポートフォリオの構築を進め、顧客開拓やシナジー等による事業領域の拡大に取り組んでまいりました。これらの事業領域には、既存の製品・サービスの提供では持続的な成長の実現が厳しくなってきている成熟領域もあれば、IoTやAIといった新たな技術革新に伴い、急激に変化している領域もあります。基盤を確たるものとし、企業としての存続を確かなものとする取組みを継続するとともに、更なる成長を実現するため、国内外の事業機会の変化を的確に捉え、事業創造の視点から「商品と顧客現場の連携」によるソリューション提案力の向上に取り組み、グローバルでの顧客や社会の長期パートナーとして、azbilグループならではの価値の提供を実現してまいります。
2021年5月14日、当社グループは2030年度をゴールとする新長期目標及び新中期経営計画(2021~2024年度)を策定・公表いたしました。当社グループは、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を目指し、グループ理念から経営戦略までが持続可能な社会に対して「直列」に繋がるよう行動指針・行動基準を改定いたしました。さらに、SDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)を経営の重要な道標と位置付け、事業として取り組む領域として「環境・エネルギー」、「新オートメーション」の2つを、また企業活動全体で取り組む領域では「サプライチェーン、社会的責任」、「健幸経営※1、学習する企業体」の2つを「azbilグループSDGs目標」と定め、様々な取組みを進めております。
「持続可能な社会」に向けて、我々を取り巻く環境では、気候変動・脱炭素への対応から社会構造や価値観の変化、ウイルス共生時代における安全・安心の確保に至るまで、様々な社会課題やお客様の課題が生まれております。こうした大きな変化に対応し、解決策を提供できるオートメーションの価値は益々向上しており、需要の増加が期待されます。当社グループといたしましては、アズビルならではの技術・製品・サービスを活かすことのできる「新オートメーション」「環境・エネルギー分野」「ライフサイクル型事業」という3つの事業領域に注力し、新たな課題の解決策を提供することにより、BA、AA、LAの3事業での成長を実現してまいります。
新中期経営計画におきましては、上述の3つの事業領域での成長を確実なものとするために、研究開発拠点(藤沢テクノセンター)の機能強化に向けた設備投資や研究開発費の増加等、必要な投資を積極的に行い、MEMS※2技術を活用した高度なセンサやシステムソリューション開発力の強化を進め、新製品開発・市場投入を加速いたします。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を通じて、事業・業務の効率化や製品・サービスの高付加価値化を行ってまいります。さらに、これまでに成果を上げてきた収益力強化施策の徹底と新たな施策の導入により、一層の事業収益性強化を行ってまいります。加えて、こうした事業成長施策、事業基盤強化の実践に向けて、経営資源を有効かつ戦略的に配分してまいります。また、これまで経営の最も重要な位置付けとしてまいりました、当社ならではのCSR経営をさらに推し進め、社会の要請でもあるESG(環境・社会・ガバナンス)にも積極的に取り組んでまいります。
未だ収束を見ず、新型コロナウイルス感染の蔓延が続く状況は、2021年度においても世界経済や生産活動に影響を及ぼし、事業の見通しを不透明なものとしており、当社グループの事業にも影響を及ぼすものと思われます。当社グループといたしましては、お客様と社員の安全確保と感染防止策の実施を最優先に、事業継続に必要な取組みを引き続き行っております。生産、エンジニアリングやサービス等の現場業務につきましては、お客様と社員の安全を第一に業務を継続することで、感染防止と社会インフラやお客様の重要施設の維持という両面で社会の要請に応えてまいります。また、営業・管理業務等につきましては、DXによる働き方の改革を推進し、在宅勤務の拡大等に取り組むことで感染拡大防止に貢献するとともに、リモートワーク等を通して生産性向上等も図ってまいります。あわせて、危機管理対応としての防疫強化、BCP(Business Continuity Plan‐事業継続計画)整備、強固な財務体質の強化、さらに資金調達力の強化・多様化といった点にも引き続き取り組んでまいります。
※1 健幸経営:健康で幸せ、活き活きとした“働きの場と人”を創るためのアズビル独自の取組み。
※2 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基盤の上に微細加工技術によって集積した機器。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
azbilグループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、収益性と資本効率の向上を通して、2030年度をゴールとする新長期目標として、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しております。また、この長期目標達成に向け、2024年度を最終年度とする4ヵ年の新中期経営計画においては、最終年度の売上高3,000億円、営業利益を360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。
(4)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
azbilグループは、「人を中心としたオートメーション」の理念のもと、事業を通して持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実践することで、自らの中長期的な発展を確実なものとし、企業価値の持続的な向上を実現することで、ステークホルダーの皆様のご期待にお応えしていきたいと考えております。
このため、“技術・製品を基盤にソリューション展開で「顧客・社会の長期パートナー」へ”、“地域の拡大と質的な転換で「グローバル展開」”、“体質強化を継続的に実施できる「学習する企業体」を目指す”の3つを基本方針に、事業収益力の強化及びグローバルな事業基盤の整備を進めつつ、これらを基にした事業成長施策を展開しております。
当社グループでは、新中期経営計画におきましても、経営資源を有効かつ戦略的に配分し、前述の様々な取組みの加速・定着を図ってまいりますが、その具体的な内容は次のとおりです。
① 国内事業
3事業とも国内では成熟産業に位置しますが、それぞれが置かれている環境は事業毎に大きく異なります。
BA事業は、引き続き高水準で推移する首都圏での需要を着実に捉えるため、お客様・社員の安全に十分配慮し、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体にDX推進により、ジョブ遂行能力の強化と効率化を進めてまいります。またIoT、クラウド等の新しい技術活用も含めた商品力強化を推進することによりビジネスモデルの再構築を進めます。具体的には、次世代ビルディングオートメーションシステム「savic-net™ G5」を軸に、センサ・アクチュエータ領域の拡充、先進のビル向けクラウドサービスの拡張、ファシリティマネジメントサービスの変革等を継続して進めております。また、働き方改革や感染症対策等による居住空間の価値や要件の大きな変化に対応し、空間の質向上による付加価値提供を目指してまいります。パーソナルな執務環境や可変性の高いレイアウトに適応し、快適で使い勝手の良いオフィス空間を実現する新空調システム「ネクスフォート™DD」はその一例です。これらの取組みにより、お客様の事業展開にあわせて継続的な価値を提供・提案してまいります。
AA事業では、感染症拡大による影響は予断を許さないところではありますが、中長期的にはグローバルな経済成長の継続や更なる生産性の改善要求、生産現場での人手不足、設備老朽化対応等を背景に生産設備の自動化投資は引き続き拡大基調にあります。多岐にわたる市場から、技術の潮流変化を捉え、今後の成長と付加価値提供が見込める領域を選択・創出・集中することにより成長を図るとともに、グローバルな共通事業モデルに経営資源を集中することにより競争力を強化します。これら成長戦略と収益力強化策をCP事業、IAP事業、SS事業の3つの事業単位でのオペレーションにより着実に実行してまいります。具体的には国内外での顧客カバレッジ拡大のための営業DX導入を含めた営業体制強化、新規客先を継続的なリピート顧客にすることによる受注拡大、新しいオートメーションの創造に資する製品開発の加速等に取り組みます。バルブの稼働データをクラウドで解析して“健康診断結果”を可視化することで生産設備の安定化・保安力強化を実現する「Dx Valve Cloud Service」等は、こうしたソリューションの事例となります。
LA事業では、水道・各種ガスメータのIoT対応を引き続き進めております。各種検針・アラームデータのスマート化実証実験、電気・ガス・水道のデータを利用して新たな価値を創造するサービスの検討等、SMaaS(Smart Metering as a Service)時代を見据えた新たなオートメーション領域への事業展開を加速しております。また商品力強化に加えてサービス関連事業を拡大し、ライフサイエンスエンジニアリング分野、戸建て住宅向け全館空調の生活関連分野の収益改善を図ります。
以上のような3つの事業軸への取組みと同時に、国内外で大きく変化していくことが見込まれるエネルギーマネジメント領域における、製品面、事業インフラ面、サービス面といった多方面において東光高岳グループと協業を進め、事業コンセプトを「DX-EGA」と定めエネルギーデータ(電力:Electricity、ガス:Gas、水道:Aqua)等様々なデータを利用して、生活品質向上や企業の環境経営に新たな価値提供の可能性を確認しております。さらに、IoT、AI等の最新技術の応用、商品のサービス化・クラウド化等、IT関連の事業環境変化に対応し、2020年4月に立ち上げた「ITソリューション推進部」を中心にクラウド運用体制を強化し、商品企画・開発・運用を強力に推進しております。
② 海外事業
海外市場におきましては、事業成長と収益拡大を支えるための更なる事業基盤強化策の一つとして、各国や地域の市場環境に対応し、付加価値の高い特長ある新製品・ソリューションの提案を継続的に強化し、グローバルでの事業拡大を目指します。東南アジア地域においては、シンガポールを拠点とする東南アジア戦略企画推進室により、同地域での横断的な事業推進・戦略企画・経営管理を加速させております。
BA事業では、海外市場でのシェア拡大に向け、次世代ビルディングオートメーションシステムを軸に、国内事業モデルでの強み(省エネルギーのアプリケーション、エンジニアリング・サービス力)を展開し、各国の事業環境・事業基盤に応じた施策を実施するとともに、ライフサイクル型ビジネスモデルの段階的な強化に努めております。また、シンガポールではCapitaLand社主導のイノベーションラボに参加し、空気感染リスクを軽減し安全なオフィスの実現を目指すなど、オープンイノベーション推進を含めて製品力強化とサービスの組合せによる高付加価値化を図り、新オートメーション領域の開拓と環境負荷低減に努めてまいります。
AA事業では、海外での戦略地域の営業体制強化や営業活動の質の改善を図るとともに、主要製品のリニューアルや戦略製品の投入、新市場向けの拡張製品開発や異常予兆検知・AI設備診断等、新しいオートメーション領域の開拓を進めてまいります。
LA事業では、ライフサイエンスエンジニアリング領域を担当する欧州のアズビルテルスター有限会社において、今後の成長に向けて、ワクチン等の医薬品製造関連ソリューション等に取り組んでまいります。
以上に加えて、azbilグループの海外子会社における経営管理面におきましても、リモート管理体制の強化に加えて、現地法人の評価体制を拡充するなど、引き続きグループ・ガバナンスを強化し、各社の堅確な体制構築を進めてまいります。
③ 生産・開発
azbilグループの事業拡大に向けて、グループ生産体制を再編し、商品力強化に向けて開発リソースの集約・強化を進めてまいりました。国内では、生産機能の湘南工場への一拠点化を完了し、藤沢テクノセンターにおける技術開発機能との連携を強化したグループ内のマザー工場として機能整備を推進中です。また、藤沢テクノセンターにつきましてはクラウドやAIを活用した先進的なシステムソリューションや高機能・高精度なデバイスの開発力を一層強化するための中核研究開発拠点として、新棟が2022年に竣工予定です。海外では、異常予兆検知や調節弁の診断サービス等、IoT・AI技術を活用した次世代インテリジェントサービス提供を目的に、タイにSolution and Technology Centerを開設いたしました。グループで最大規模の調節弁整備施設を保有しており、自社・他社を問わず年間10,000台規模の整備が可能であり、将来的に東南アジア全体への事業展開を目指しております。
④ 経営管理
グループ経営の推進とガバナンス体制の充実を図るとともに、リスク管理(品質・PL、防災・防疫・BCP、情報)、コンプライアンス(企業倫理・法令遵守)、人を重視した経営、地球環境への貢献及び社会貢献を重点取組み領域として、azbilグループを挙げてCSR経営の推進に継続して取り組んでおります。
経営管理面では、国際財務報告基準(IFRS)の任意適用も視野に入れた会計水準の向上と、それに伴う内部統制の強化を進めてまいります。また、経営の公正性、中立性及び透明性を高めるべく、コーポレートガバナンス・コードへの対応を継続しながら、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に資するよう、全てのステークホルダーの皆様との間で建設的な対話を進めるための体制整備を積極的に進めております。前述のとおりESG(環境・社会・ガバナンス)に対しても積極的に取組みを進めており、この結果、2020年度も年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が選定した4つのESG指数※3の構成銘柄に選定されております。また、独自のSDGs目標の着実な達成に向けて「サステイナビリティ推進本部」を設置し、取組みを推進しております。
※3 ESG指数:FTSE Blossom Japan Index、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数、MSCI日本株女性活躍指数(WIN)、S&P/JPXカーボンエフィシェント指数。

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