有価証券報告書-第96期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/26 14:16
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注記事項-重要な会計方針、連結財務諸表(IFRS)

3.重要な会計方針の要約
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社により支配されている企業であり、子会社の財務諸表は、連結会社が支配を獲得した日から支配を終了した日までの間、当社の連結財務諸表に含まれています。子会社が適用する会計方針が連結会社の適用する会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表を修正しています。連結会社内の債権債務残高及び取引、並びに連結会社内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表上消去しています。包括利益は非支配持分が負の残高となる場合であっても、親会社の所有者に帰属する持分と非支配持分に帰属させています。
連結財務諸表には、子会社の所在する現地法制度上、親会社と異なる決算日が要請されていることにより、決算日を親会社の決算日に統一することが実務上不可能であり、親会社の決算日と異なる日を決算日とする子会社の財務諸表が含まれています。
連結財務諸表の作成に用いる子会社の財務諸表を当社と異なる決算日で作成する場合、その子会社の決算日と当社の決算日との間に生じた重要な取引又は事象については必要な調整を行っています。
② 関連会社及び共同支配企業
関連会社とは、連結会社が財務及び営業の方針に重要な影響力を有しているが支配はしていない企業であり、連結会社が重要な影響力を有することとなった日から喪失する日まで、持分法により処理しています。
共同支配企業とは、共同支配を有する当事者が純資産に対する権利を有している場合の共同支配の取決めをいいます。共同支配とは、取決めに対する契約上合意された支配の共有であり、関連性のある活動に関する意思決定が、支配を共有している当事者の全員一致の合意を必要とする場合にのみ存在します。共同支配企業については、持分法により処理しています。
関連会社及び共同支配企業の会計方針は、連結会社が適用する会計方針と整合させるため、必要に応じて修正しています。
連結財務諸表には、他の株主との関係等により、決算日を統一することが実務上不可能であるため、決算日が異なる関連会社及び共同支配企業への投資が含まれています。決算日の差異により生じる期間の重要な取引又は事象については必要な調整を行っています。
持分法の下では、投資額は当初は原価で測定し、それ以後は、関連会社及び共同支配企業の純資産に対する連結会社の持分の取得後の変動に応じて投資額を変動させています。その際、関連会社及び共同支配企業の純損益のうち連結会社の持分相当額は連結会社の純損益に計上しています。また、関連会社及び共同支配企業のその他の包括利益のうち連結会社の持分相当額は連結会社のその他の包括利益に計上しています。関連会社及び共同支配企業の損失に対する持分相当額が投資額(実質的に関連会社又は共同支配企業に対する連結会社の正味投資の一部を構成する長期の持分を含みます)を超過するまで当該持分相当額は純損益に計上し、さらなる超過額は連結会社が損失を負担する法的又は推定的義務を負うあるいは企業が関連会社又は共同支配企業に代わって支払う範囲内で損失として計上しています。重要な内部取引に係る利益は、関連会社及び共同支配企業に対する持分比率に応じて相殺消去しています。
関連会社及び共同支配企業の、取得日に認識した資産、負債及び偶発負債の正味の公正価値に対する持分を取得対価が超える額はのれん相当額として認識し投資の帳簿価額に含めており、償却はしていません。
③ 共同支配事業
共同支配事業とは、共同支配の取決めのうち、共同支配を行う参加者が契約上の取決めに関連する資産に対する権利及び負債に係る義務を有するものをいいます。共同支配事業に係る投資については、共同支配の営業活動から生じる資産、負債、収益及び費用のうち、連結会社の持分相当額のみを認識しています。重要な内部取引並びに債権債務は、持分比率に応じて相殺消去しています。
(2) 企業結合及びのれん
企業結合は取得法を用いて会計処理しています。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、引き受けた負債及び連結会社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。発生した取得関連コストは費用として処理しています。
現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な持分を保有者に与えている非支配持分は、公正価値若しくは被取得企業の識別可能純資産の認識金額に対する非支配持分の比例的な取り分で当初測定しています。この測定方法の選択は、取引ごとに行っています。その他の非支配持分は、公正価値若しくは他のIFRSが適用される場合は、他のIFRSに基づき、測定しています。
取得日において、識別可能な資産及び負債は、以下を除き、取得日における公正価値で測定しています。
・繰延税金資産(又は繰延税金負債)及び従業員給付契約に関連する負債(又は資産)は、それぞれIAS第 12号「法人所得税」及びIAS第19号「従業員給付」に従って認識し測定しています。
・IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従って売却目的に分類される資産又は処分グループは、当該基準書に従って認識し、測定しています。
・被取得企業の株式に基づく報酬取引に係る負債若しくは資本性金融商品、又は被取得企業の株式に基づく報酬取引の連結会社の株式に基づく報酬取引への置換えに係る負債若しくは資本性金融商品は、IFRS第2号「株式に基づく報酬」に従って測定しています。
取得対価が識別可能な資産及び負債の公正価値を超過する場合は、連結財政状態計算書においてのれんとして資産計上しています。反対に下回る場合には、直ちに連結損益計算書において利得として計上しています。なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しており、当該取引からのれんは認識していません。
のれんは企業結合時に決定した測定額から減損損失累計額を控除した価額で、連結財政状態計算書の「無形資産」に計上しています。のれんは償却を行わず、毎年又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。のれんの減損損失は連結損益計算書において認識され、その後の戻入は行っていません。
企業結合が発生した報告期間末までに企業結合の当初の会計処理が完了しない場合、連結会社は、未完了の項目については暫定的な金額で報告します。それらが判明していた場合には取得日に認識された金額に影響を与えたと考えられる、取得日に存在していた事実や状況に関して得た新しい情報を反映するために、暫定的な金額を測定期間(最長で1年間)の間に修正するか、又は追加の資産又は負債を認識しています。
(3) 外貨換算
連結会社の各企業の財務諸表は、その企業が営業活動を行う主たる経済環境の通貨(機能通貨)で作成され、各企業の機能通貨以外の通貨(外貨)での取引の換算については、取引日又はそれに近似する為替レートが使用されます。
報告期間末に、外貨建の貨幣項目は、決算日の為替レートで換算され、外貨建非貨幣項目は、取得原価で測定されているものは取引日の為替レート、公正価値で測定されているものは、公正価値が決定された日の為替レートで換算されます。
換算又は決済により生じる換算差額は、その期間の損益として認識され、連結損益計算書において「為替差損益」に計上しています。
連結財務諸表は、親会社の機能通貨であり、連結財務諸表の表示通貨である日本円で表示されます。連結財務諸表を表示するために、在外営業活動体の資産及び負債は、決算日の為替レート、収益及び費用については著しい変動の無い限り期中平均レートを使用して日本円に換算しています。換算差額が生じた場合、その他の包括利益に「在外営業活動体の換算差額」として認識され、累積額は資本の「その他の資本の構成要素」に分類されます。在外営業活動体が処分され、支配が喪失された場合には、累積換算差額を処分した期に純損益に振り替えています。
在外営業活動体の取得により生じたのれん及び公正価値修正は、報告期間末時点で当該活動体の資産及び負債として換算替を行い、換算差額は「その他の資本の構成要素」に分類されます。
(4) 金融商品
① 金融資産
ⅰ) 当初認識及び測定
連結会社は、金融資産を償却原価で測定する金融資産、公正価値で測定する金融資産にその性質・目的により分類しており、当初認識時において分類を決定しています。通常の方法による金融資産の売買は、取引日において認識又は認識の中止を行っています。
a) 償却原価で測定する金融資産
金融資産は、次の条件がともに満たされる場合に償却原価で測定する金融資産に分類しています。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、資産が保有されている場合
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる場合
償却原価で測定する金融資産は、公正価値に取得に直接起因する取引コストを加えた額で当初測定しています。
b) 公正価値で測定する金融資産
上記の償却原価で測定する場合を除き、金融資産は純損益又はその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しています。
資本性金融商品については公正価値で測定し、売買目的で保有する金融資産はその変動を純損益で認識すること及びそれ以外はその変動をその他の包括利益を通じて認識することに指定し(取消不能)、当該指定を継続的に適用しています。
資本性金融商品を除く金融資産で償却原価で測定する区分の要件を満たさないものは、公正価値で測定しその変動を純損益を通じて認識しています。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値で測定し、取引コストは発生時に純損益で認識しています。その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、公正価値に取得に直接起因する取引コストを加えた額で当初測定しています。
ⅱ) 事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
a) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産の帳簿価額については、実効金利法を用いて測定しています。実効金利は、当該金融資産の予想残存期間を通じての、将来の現金受取額の見積額を、正味帳簿価額まで正確に割り引く利率です。利息収益は純損益に認識し、連結損益計算書上「金融収益」に含めて計上しています。償却原価で測定する金融資産の認識を中止した場合、資産の帳簿価額と受け取った対価又は受取可能な対価との差額は純損益に認識しています。
b) 公正価値で測定する金融資産
公正価値で測定する金融資産の公正価値の変動額は純損益に計上しています。ただし、資本性金融商品のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、当該金融資産の処分又は公正価値評価から生じる利得又は損失は、純損益に認識せずその他の包括利益に認識し、「その他の資本の構成要素」項目に累積します。認識を中止した場合には、利益剰余金に振り替えています。なお、資本性金融商品に係る配当金は、配当金を受領する権利が確定した時点で純損益に認識され、連結損益計算書上「金融収益」に含めて計上しています。純損益を通じて公正価値で測定すると指定したものについては、当該金融資産から生じる利得又は損失の純額は、連結損益計算書上「金融収益」又は「金融費用」項目(注記27「金融商品」)に計上されています。また、負債性金融商品の利息収益は、上記の利得又は損失の純額に含まれます。
ⅲ) 償却原価で測定する金融資産の減損
償却原価で測定する金融資産については、報告期間末ごとに、当初認識時と比べた信用リスクの著しい増大の有無を検証しています。金融資産に係る信用リスクが当初認識時以降に著しく増大している場合、又は信用減損金融資産については、全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。著しく増大していない場合には、12ヵ月間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。予想信用損失は、契約に従って受け取るべき契約上のキャッシュ・フローと受け取ると見込んでいるキャッシュ・フローとの差額の割引現在価値に基づいて測定しています。
なお、営業債権については当初認識時から全期間の予想信用損失を貸倒引当金として認識しています。
金融資産に係る貸倒引当金の繰入額又は貸倒引当金を減額する場合における貸倒引当金の戻入額を純損益に計上しています。
ⅳ) 金融資産の認識の中止
連結会社は、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した時、又は、当該金融資産の所有のリスクと経済価値のほとんどすべてが移転した時にのみ、当該金融資産の認識を中止しています。連結会社がリスクと経済価値のほとんどすべてを移転しないが保持もせず、譲渡された資産を支配し続ける場合には、連結会社は資産に対する留保持分及び関連して支払う可能性がある負債を認識しています。
② 金融負債
ⅰ) 当初認識及び測定
連結会社は、金融負債を償却原価で測定する金融負債、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しており、当初認識時において分類を決定しています。すべての金融負債は公正価値で当初測定していますが、償却原価で測定する金融負債については、公正価値から発行に直接起因する取引コストを控除した金額で測定しています。
ⅱ) 事後測定
金融負債の当初認識後の測定は、その分類に応じて以下のとおり測定しています。
a) 償却原価で測定する金融負債
売買目的で保有せず、純損益を通じて公正価値で測定するものに指定しない金融負債は、当初認識後、実効金利法による償却原価で測定しています。利息費用は連結損益計算書上「金融費用」に含めて計上しています。実効金利法による償却及び認識が中止された場合の利得又は損失は、連結損益計算書上「金融収益」又は「金融費用」として計上しています。
b) 純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
売買目的保有又は当初認識時に純損益を通じて公正価値で測定する金融負債は、当初認識後、公正価値で測定し、その変動については当期の純損益として認識しています。
ⅲ) 金融負債の認識の中止
連結会社は、金融負債が消滅した時、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消し、又は失効となった時に認識を中止しています。
③ ヘッジ会計及びデリバティブ
連結会社は、金利及び為替の変動リスクをヘッジするために、通貨スワップ、金利スワップ、為替予約等のデリバティブをヘッジ手段として利用しています。これらのデリバティブは、契約締結時点の公正価値で当初測定し、その後も各報告期間末の公正価値で再測定しています。
連結会社には、ヘッジ目的で保有しているデリバティブのうち、ヘッジ会計の要件を満たしていないものがあります。これらのデリバティブの公正価値の変動はすべて即時に純損益で認識しています。
連結会社は、ヘッジの開始時に、リスク管理目的や様々なヘッジ取引を行うための戦略に従い、ヘッジ手段とヘッジ対象の関係について文書化しています。さらに、ヘッジの開始時及びヘッジ期間中に、ヘッジ手段がヘッジされるリスクに起因するヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動を相殺するのにきわめて有効であるかどうかを四半期ごとに評価しています。予定取引に対してキャッシュ・フロー・ヘッジを適用するのは、当該予定取引の発生可能性が非常に高い場合に限ります。
キャッシュ・フロー・ヘッジ
連結会社は、ヘッジ会計の手法としてキャッシュ・フロー・ヘッジのみを採用しています。
ヘッジ手段に係る利得又は損失のうち、有効部分は連結包括利益計算書においてその他の包括利益として認識し、非有効部分は連結損益計算書において即時に純損益として認識しています。
その他の包括利益に計上されたヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えています。
ヘッジがヘッジ会計の要件を満たさない場合、ヘッジ手段が失効、売却、終了又は行使された場合、あるいはヘッジ指定が取り消された場合には、ヘッジ会計の適用を将来に向けて中止しています。
ヘッジ会計を中止した場合、連結会社は、すでにその他の包括利益で認識したキャッシュ・フロー・ヘッジに係るその他の包括利益の残高を、予定取引が純損益に影響を与えるまで引き続き計上しています。予定取引の発生が予想されなくなった場合は、キャッシュ・フロー・ヘッジに係るその他の包括利益の残高は、即時に純損益で認識されます。
④ 金融資産及び金融負債の相殺表示
金融資産及び金融負債は、連結会社が残高を相殺する強制可能な法的権利を有し、純額で決済するか、又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しています。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヵ月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額で測定しています。棚卸資産は、購入原価、加工費及び棚卸資産が現在の場所及び状態に至るまでに発生したその他のすべてのコストを含んでおり、原価の算定にあたっては、主として総平均法を使用しています。また、正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成に要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除して算定しています。
(7) 有形固定資産
連結会社は、有形固定資産の測定に「原価モデル」を採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示しています。
土地及び建設仮勘定以外の有形固定資産の減価償却費は、以下の見積耐用年数にわたり、主として定額法で計上されます。
見積耐用年数、減価償却方法等は、各報告期間末に見直されます。
建物及び構築物 6-50年
機械装置及び運搬具 3-10年
その他 2-10年
有形固定資産は、処分時、若しくは継続的な使用又は処分から将来の経済的便益が期待されなくなった時に認識を中止しています。有形固定資産の認識の中止から生じる利得又は損失は、当該資産の認識の中止時に純損益に含めています。
(8) 投資不動産
連結会社は、投資不動産の測定に「原価モデル」を採用しており、有形固定資産に準じた見積耐用年数及び減価償却方法を使用しています。
(9) 無形資産
① 個別に取得した無形資産
耐用年数を確定できる個別に取得した無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示しています。償却は、見積耐用年数に従い定額法に基づいています。
見積耐用年数及び償却方法は、各報告期間末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
耐用年数を確定できない個別に取得した無形資産は、償却を行わず減損テストの上、取得原価から減損損失累計額を控除した帳簿価額で表示しています。減損テストは、毎年又は減損の兆候が存在する場合はその都度、個別に又は各資金生成単位で実施しています。
② 自己創設無形資産
研究活動の支出は、発生した年度に連結損益計算書上の費用として認識しています。
開発過程(又は内部プロジェクトの開発段階)で発生したコストは、以下のすべてを立証できる場合に限り、資産計上しています。
ⅰ) 使用又は売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
ⅱ) 無形資産を完成させ、さらにそれを使用又は売却するという企業の意図
ⅲ) 無形資産を使用又は売却する能力
ⅳ) 無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法
ⅴ) 無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用又は売却するために必要となる、適切な技術上、財務上及びその他の資源の利用可能性
ⅵ) 開発期間中に無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
自己創設無形資産の当初認識額は、無形資産が上記の認識条件のすべてを初めて満たした日から開発完了までに発生した費用の合計です。自己創設無形資産が認識されない場合は、開発コストは発生した年度に連結損益計算書上の費用として認識しています。
当初認識後、自己創設無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しています。
③ 企業結合で取得した無形資産
企業結合で取得した無形資産の取得原価は、取得日現在における公正価値で測定しています。
当初認識後、企業結合で取得した無形資産は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した金額で計上しています。
④ 無形資産の償却
耐用年数を確定できる無形資産は、それぞれの見積耐用年数にわたって定額法で償却しています。
主な見積耐用年数は以下のとおりです。
・ソフトウエア 3-5年
・開発費 3年
・顧客関連資産 8年
・技術関連資産 10年
⑤ 無形資産の認識の中止
無形資産は、処分時、若しくは継続的な使用又は処分から将来の経済的便益が期待されなくなった時に認識を中止しています。無形資産の認識の中止から生じる利得又は損失は、当該資産の認識の中止時に純損益に含めています。
(10) リース
リース取引は、資産の所有に伴うリスクと経済価値を実質的にすべて借手に移転する場合には、ファイナンス・リース取引に分類し、その他すべての場合には、オペレーティング・リース取引に分類しています。
契約がリースであるか否か、又は契約にリースが含まれているか否かについては、法的にはリースの形態をとらないものであっても、IFRIC第4号「契約にリースが含まれているか否かの判断」に従い、契約の実質に基づいて判断しています。
① 連結会社が借手の場合
ファイナンス・リース取引によるリース資産及びリース負債は、リース期間の起算日に算定したリース物件の公正価値と最低支払リース料総額の現在価値のいずれか低い金額で連結財政状態計算書に計上しています。リース資産は、その資産に適用される会計方針に基づいて、定額法で減価償却を行っています。
オペレーティング・リース取引によるリース料支払額は、リース期間にわたって定額法で費用として認識しています。
② 連結会社が貸手の場合
ファイナンス・リース取引によるリース債権は、対象リース取引の正味リース投資未回収額を債権として計上しています。
(11) 借入コスト
連結会社は、意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とする資産、つまり適格資産の取得、建設又は生産に直接起因する借入コストは、その資産が実質的に意図した使用又は販売を可能にする時まで、それらの資産の取得原価に加算しています。
上記以外のすべての借入コストは、発生した期間に純損益に認識しています。
(12) 非金融資産の減損
連結会社は各年度において、各資産についての減損の兆候の有無の判定を行い、兆候が存在する場合又は毎年減損テストが要求されている場合、その資産の回収可能価額を見積もっています。個々の資産について回収可能価額を見積もることができない場合には、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積もっています。連結会社の減損会計適用にあたっての資産のグルーピングは、継続的に損益の把握を実施している管理会計上の単位である事業グループ別に行っています。そのほかに、物件を最小の単位として賃貸物件グループと遊休資産グループにグルーピングしています。また本社、福利厚生施設等については、独立したキャッシュ・フローを生み出さないことから全社資産としています。
減損損失は連結損益計算書上の「その他の費用」に計上しています。減損の判定は資産、資金生成単位又はそのグループごとに実施しています。回収可能価額は、資産又は資金生成単位(又はそのグループ)の処分コスト控除後の公正価値とその使用価値のうち高い方の金額で算定しています。資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える場合は、その資産について減損を認識し、回収可能価額まで評価減しています。また、処分コスト控除後の公正価値の算定にあたっては、利用可能な公正価値指標に裏づけられた適切な評価モデルを使用しています。使用価値の評価における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値に関する現在の市場評価等を反映した割引率を使用して、算定しています。
のれん以外の資産に関しては、過年度に認識された減損損失について、その回収可能価額の算定に使用した想定事項に変更が生じた場合等、損失の減少の可能性を示す兆候が存在しているかについて評価を行っています。そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を超える場合、算定した回収可能価額と過年度で減損損失が認識されなかった場合の減価償却控除後の帳簿価額とのいずれか低い方を上限として、減損損失を戻し入れています。ただし、のれんに関する減損損失は戻し入れしません。
(13) 売却目的で保有する非流動資産
継続的な使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産及び資産グループのうち、1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ現在の状態で即時に売却可能で、連結会社の経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する非流動資産及び処分グループとして分類し、非流動資産は減価償却又は償却は行わず、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定しています。
(14) 引当金
過去の事象の結果として、現在の法的債務又は推定的債務が存在し、連結会社が当該債務の決済をするために経済的便益をもつ資源の流出が必要となる可能性が高く、その債務の金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、引当金を認識しています。
貨幣の時間価値の影響に重要性がある場合には、見積られた将来キャッシュ・フローを、貨幣の時間価値と当該負債に固有のリスクについての現在の市場の評価を反映した税引前の割引率で割り引いた現在価値で測定しています。時の経過に伴う割引額の割戻しは、連結損益計算書上の「金融費用」として認識しています。
主な引当金の計上方法は以下のとおりです。
製品保証引当金
製品のアフターサービスの費用に備えるために、過去の実績を基礎にして製品保証費用、経済的便益の流出時期を見積り、認識しています。
独占禁止法関連損失引当金
特定の自動車部品の過去の取引についての独占禁止法違反の疑いに関する和解金等の支払に備えるため、将来発生しうる損失の見積額を計上しています。
(15) 従業員給付
① 退職後給付
ⅰ) 確定給付型制度
連結会社では、確定給付型の退職年金及び退職一時金制度を設けています。
確定給付型制度は、確定拠出型制度(下記ⅱ)参照)以外の退職後給付制度です。確定給付型制度に関連する連結会社の純債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割り引くことによって算定しています。この計算は、毎年、年金数理人によって予測単位積増方式を用いて行っています。制度資産の公正価値は当該算定結果から差し引いています。
割引率は、連結会社の確定給付制度債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りです。制度の改訂による従業員の過去の勤務に係る確定給付制度債務の増減は、純損益として認識しています。連結会社は、確定給付型制度の給付債務及び制度資産の再測定による債務の増減をその他の包括利益で認識し、累積額は直ちに利益剰余金に振り替えています。
ⅱ) 確定拠出型制度
確定拠出型制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度です。確定拠出型制度の拠出は、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識しています。
② その他の長期従業員給付
永年勤続表彰等の長期従業員給付制度については、連結会社が、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて見積られる将来給付額を現在価値に割り引くことによって算定しています。
割引率は、連結会社の債務と概ね同じ満期日を有するもので、期末日において信用格付AAの債券の利回りです。
③ 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しています。
賞与については、連結会社が、従業員から過去に提供された労働の結果として支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつその金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しています。
(16) 売上収益
連結会社は、下記の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務に配分する
ステップ5:企業が履行義務の充足時に(又は充足するにつれて)収益を認識する
連結会社は、自動車メーカ向け部品供給事業においては、国内外の自動車メーカを主な顧客とし、自動車部品におけるパワトレインシステム、エレクトリフィケーションシステム、電子システム、サーマルシステム、モビリティシステム製品等を製造・販売しています。市販・新事業他においては主に、エンドユーザ向けに自動車補修用部品等の販売を行っています。
連結会社では、主に完成した製品を顧客に供給することを履行義務としており、原則として、製品の納入時点において支配が顧客に移転して履行義務が充足されると判断し、当時点において収益を認識しています。
これらの履行義務に対する対価は、履行義務充足後、別途定める支払条件により概ね1年以内に受領しており、重大な金融要素は含んでいません。収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベート及び有償受給取引において顧客に支払われる対価等を控除した金額で測定しています。また、仮単価により製品販売取引を行う場合は、変動対価として、最頻値法等を用いて適切な方法で見積っています。
買戻し契約に該当する一部の有償支給取引については、金融取引として棚卸資産を引き続き認識するとともに、有償支給先に残存する支給品の期末棚卸高について金融負債を認識しています。
(17) 政府補助金
補助金交付のための条件を満たし、補助金を受領することに合理的な保証がある場合は、補助金収入を公正価値で測定し、認識しています。発生した費用に対する補助金は、費用の発生と同じ連結会計年度に収益として計上しています。資産の取得に対する補助金は、資産の取得原価から補助金の額を控除して、資産の帳簿価額を算定しています。
(18) 法人所得税
法人所得税費用は当期法人所得税費用及び繰延法人所得税費用の合計として表示しています。これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本の部又はその他の包括利益に認識する項目から生じる税金を除き、純損益として認識しています。
当期法人所得税費用は、税務当局に対する納付又は税務当局から還付が予想される金額で算定しています。税額は、決算日までに制定又は実質的に制定された税率及び税法により算定しています。
繰延法人所得税費用は、決算日における資産及び負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に対して計上しています。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として将来加算一時差異について認識しています。
なお、以下の一時差異に対しては、繰延税金資産及び負債を計上していません。
・のれんの当初認識から生じる場合
・企業結合でない取引で、かつ取引時に会計上の利益にも課税所得(欠損金)にも影響を与えない取引におけ る資産又は負債の当初認識から生じる場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配企業に対する持分に係る将来減算一時差異に関しては、予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が低い場合、又は当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が低い場合
・子会社、関連会社に対する投資及び共同支配企業に対する持分に係る将来加算一時差異に関しては、一時差異の解消の時点をコントロールすることができ、予測可能な将来に当該一時差異が解消しない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債は、決算日までに制定又は実質的に制定されている税率に基づいて、当該資産が実現される又は負債が決済される年度の税率を見積り、算定しています。
繰延税金資産は各報告期間末に見直され、繰延税金資産の全額又は一部が使用できるだけの十分な課税所得が稼得されない可能性が高い部分について減額しています。未認識の繰延税金資産は各報告期間末に再評価され、将来の課税所得により繰延税金資産が回収される可能性が高くなった範囲内で認識されます。
連結会社は、法人所得税の不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき税務ポジションが発生する可能性が高い場合には、合理的な見積額を資産又は負債として認識しています。
繰延税金資産及び負債は、当期税金資産及び当期税金負債を相殺する法律上の強制力のある権利を有し、かつ同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合、相殺しています。
なお、当社及び国内の100%出資子会社は、連結納税制度を適用しています。
(19) 資本
普通株式 当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を「資本金」及び「資本剰余金」に計上し、直接発 行費用(税効果考慮後)は「資本剰余金」から控除しています。
自己株式 自己株式を取得した場合は、直接取引費用を含む税効果考慮後の支払対価を、資本の控除項目として認識しています。ストック・オプション行使に伴う自己株式の処分を含め、自己株式を売却した場合は、処分差損益を「資本剰余金」として認識しています。
(20) 公正価値の測定
特定の資産・負債は、公正価値によって計上することが求められています。当該資産・負債の公正価値は、市場価格等の市場の情報や、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチ等の算出手順に基づき、決定されています。公正価値の測定に使用されるインプットは、以下の3つのレベルがあります。
① レベル1
測定日現在で連結会社がアクセスできる活発な市場(十分な売買頻度と取引量が継続的に確保されている市場)における同一資産又は負債の市場価格を、調整を入れずにそのまま使用しています。
② レベル2
活発な市場における類似の資産又は負債の公表価格、活発でない市場における同一の資産又は負債の公表価格、資産又は負債の観察可能な公表価格以外のインプット及び相関その他の手法により、観察可能な市場データによって主に算出又は裏付けられたインプットを含んでいます。
③ レベル3
限られた市場のデータしか存在しないために、市場参加者が資産又は負債の価格を決定する上で使用している前提条件についての連結会社の判断を反映した観察不能なインプットを使用しています。連結会社は、連結会社自身のデータを含め、入手可能な最良の情報に基づき、インプットを算定しています。
公正価値の測定は、連結会社の評価方針及び手続きに従い経理部門によって行われており、金融商品の個々の性質、特徴並びにリスクを最も適切に反映できる評価モデルにて実施しています。また、公正価値の変動に影響を与える重要な指標の推移を継続的に検証しています。検証の結果、金融商品の公正価値の変動が著しい際は、経理部門責任者への報告及び承認を行っています。
(21) 賦課金
連結会社は、政府に対する債務が確定した時点で、支払が見込まれる金額を負債として認識しています。
(22) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の普通株主に帰属する当期損益を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しています。希薄化後1株当たり当期利益は、希薄化効果を有する潜在株式の影響を調整して計算しています。
(23) 配当
配当金については、期末配当、中間配当の各々について決議された日の属する期間の負債として認識しています。