有価証券報告書-第84期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 12:50
【資料】
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【項目】
162項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、あらゆるエレクトロニクス機器に不可欠な電子機器用コンデンサ、各種電源・家庭用蓄電システム・機能モジュール・V2HシステムおよびEV用急速充電器などの回路製品、電力・機器用コンデンサおよびコンデンサ応用関連機器などを生産・販売するコンデンサメーカーとして事業展開をしておりますが、これらの全ての部門において、「オンリーワン、ナンバーワン」を目指し、さらなる伸長が期待される「エネルギー・環境・医療機器」「自動車・車両関連機器」「白物家電・産業用インバータ機器」「情報通信機器」の4市場分野に生産・販売・技術・サービスに関する経営資源を集中投下いたします。
併せて、当社グループの継続的な成長と収益確保を図るため、資本効率を高め筋肉質で強靭な企業基盤を構築し、企業価値の向上を図ってまいります。また、人と地球環境に優しい企業を目指すとの理念のもと、顧客から信頼されるグローバルウィナーとして事業活動を推進いたします。
(2)事実上及び財務上の対処すべき課題
顧客ニーズがますます高度化・多様化するなかにあって当社は、コア事業であるコンデンサ事業およびNECST(Nichicon Energy Control System Technology)事業について、「品質、コスト、納期、サービス、技術」などあらゆる面で最上級を目指すトップノッチ経営を打ち出し、積極的な成長戦略を展開し、さらなる企業価値の向上を図ってまいります。
①成熟するコンデンサ事業への対処
当社の基幹ビジネスであるコンデンサ事業は全体としては成熟市場であるものの、自動車関連ではADAS(Advanced Driver Assistance System)や自動運転、そしてパワーエレクトロニクス分野におけるIoTとの融合やAIによるロボットの進化など成長の期待できる分野が注目されており、引き続き自動車・車両関連機器市場、白物家電・産業用インバータ機器市場やエネルギー・環境市場、情報通信機器市場に向けた新製品の導入と拡販により事業の安定的な拡大を図っていきます。自動車用では高温度化、長寿命化、低ESR化などに対応した各種コンデンサの市場導入を行うとともに、EV・HVに向けたモータ駆動インバータ用フィルムコンデンサが国内外で搭載車種を拡大しています。また、コンデンサ技術を応用した新規事業として、IoTやウェアラブル機器、情報通信端末などに最適な小形リチウムイオン二次電池の開発を行い、市場から高い評価を得ています。
②NECST事業の拡大
エネルギー・環境問題の解決のためにクリーンエネルギー社会の創造が求められることに着目、家庭用蓄電システムをいち早く市場導入し、当期末には累計販売台数 53,000台を達成し、「蓄電のニチコン」として業界を牽引しています。
一方でエコカーの普及拡大を見据え、早くからEV用車載充電器や急速充電器をラインアップすると共に、V2H(Vehicle to Home)システムを世界で初めて開発市場導入し、今般系統連系型の新製品を開発しました。当社はこれまでに培った蓄電システムとEV・PHV関連の技術・実績をベースに、太陽電池とEV・PHVの電池と蓄電池の3つの電池を効率よくつなぐ全く新しい次世代蓄電システム「トライブリッド蓄電システム®」を市場導入しました。本システムにより家庭もクルマも太陽光発電で賄える究極の自給自足が可能となり、EVの普及を促進させ、より良い地球環境の実現に大きく寄与できるものと期待されます。さらに単機能蓄電システムでは4.1kWhの超小型軽量、低価格製品から、自家消費に最適な16.6kWhの業界最大容量まで取り揃え、お客さまのニーズに応えます。
最先端の医療分野では、理化学研究所のX線自由電子レーザー施設「SACLA」の心臓部を支える超高精度電源技術を応用した加速器用電源が癌の粒子線治療装置にも採用されています。京都府立医科大学や大阪重粒子線センターへも設置され、国内18施設のうち14施設に当社の加速器用電源を納入しています。また、海外の医療施設にも展開されています。
③人材育成/産学連携
当社では「人」こそ最大の経営資源であり、会社のエネルギーであるとの観点に立ち、人材面での基盤強化を重視しています。そのため当社では、立命館大学との連携によるMOT(Management of Technology)教育を通じて、将来の技術経営を担う人材をこれまで300名以上育成してきました。この教育プログラムからNECST事業のいくつかの製品開発に結実しています。
エネルギーの地産地消とスマート社会の創造に寄与することを目的にスタートした東京大学生産技術研究所との包括的な産学連携研究協力協定など、研究開発活動も積極的に推進しています。新たな価値創造を行うとともに、新規ビジネスの立ち上げを担う人材の育成も行っています。素材開発としてはアルミ電解コンデンサの高機能化に向けた開発を三重大学と進めています。また、科学技術振興機構が実施しているスーパークラスタープログラムにおいて京都大学などと共同研究を行い、1MHzの駆動周波数で出力1kWのSiC電力変換モジュールを開発しました。さらに、NEDOプロジェクトで大阪大学などと連携して研究開発した結果、「トライブリッド蓄電システム®」のV2HスタンドへのSiCパワーモジュールの搭載が実現しました。
④コンプライアンスの徹底
これらの成長戦略に加え、コンプライアンスの徹底を図るとともに、業務の適正を確保するための体制ならびに財務報告の信頼性を確保するための体制を充実させ、一層の内部統制の整備・運用を推進し、企業価値の向上を目指していきます。
なお、当社および当社の一部の海外販売子会社は2014年3月以降、アルミ電解コンデンサおよびタンタル電解コンデンサの販売に関し、過去に独占禁止法および各国競争法に違反していた疑いがあるとして、公正取引委員会ならびに米国およびEUをはじめとした海外競争当局から調査を受けていました。当社は、2016年3月、日本の公正取引委員会より排除措置命令および課徴金納付命令を受け、同年9月、各命令における認定および判断を不服として取消訴訟を提起しましたが、2019年3月、当社の請求を棄却する旨の判決があり、同年4月、これを不服として控訴を提起しました。
海外においては、2015年12月には当社の子会社であるニチコン(香港)リミテッドが、台湾公平交易委員会から制裁金を課す旨の処分を受け、2016年2月、同処分における認定および判断を不服として行政訴訟を提起し、また、2018年3月には、当社が、欧州委員会から制裁金を課す旨の処分を受け、同年5月、同処分における認定および判断を不服として訴訟を提起しましたが、いずれの訴訟についても、現在、審理が継続中です。
なお、上記課徴金および制裁金につきましては、延滞金を付されるリスクなどを回避するべく、いずれも納付期限内に全額を支払い済みです。また、本件に関連して米国およびカナダにおいてクラスアクション(集団訴訟)が提起されていましたが、米国のクラスアクションについては、2018年9月に間接購買者との間で21.5百万米ドルの支払等を内容とする和解契約を締結し、また、同年12月には直接購買者との間で90百万米ドルの支払等を内容とする和解契約を締結しました(これらの和解は、今後、裁判所の承認手続を経ることにより、正式に確定することになります)。なお、カナダのクラスアクションについては、現在も進行中であり、引き続き適切にこれに対応します。
これら一連の件につきましては、株主の皆さまをはじめ、お客さまや関係者の皆さまに多大なご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。
当社は、上述した既に判決が確定した事案または、和解手続中の事案を除き、前記のとおり、上記各命令および処分における認定および判断には誤りがあると考えており、引き続き、裁判所による公正な判断を求めていきますが、競争法コンプライアンス体制をより一層強化するとともに、これを当社グループ全従業員へ改めて周知徹底するべく、規程の整備、体制の見直し、従業員への研修および教育の実施などの施策に取り組んでいます。今後も、こうした活動を継続し、コンプライアンスのさらなる強化と徹底を図っていきます。
(3)株式会社の支配に関する基本方針について
当社は、「より良い地球環境の実現に努め、価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献していくこと」を経営理念に掲げています。また、倫理的・社会的責任を果たすとともに、株主の皆様をはじめとする全ての人々を大切にし、企業価値の最大化を目指して、「誠心誠意」をもって「考働(※)」しています。
この経営理念に基づき、会社の支配に関する基本方針として、当社に対し買収提案が行われた場合は、これを受け入れるか否かの最終的な判断は、その時点における当社株主の皆様に委ねられるべきであり、またその場合に株主の皆様が、十分な情報と相当な検討期間に基づき、公正で透明性の高い株主意思の確認手続きを通じた判断(インフォームド・ジャッジメント)を行えるようにすることが、企業価値および株主共同の利益の確保と向上のため必要であると考えています。
※考働:考えて働くという当社の造語。

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