有価証券報告書-第85期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 13:49
【資料】
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【項目】
167項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社グループは、あらゆるエレクトロニクス機器に不可欠な電子機器用コンデンサ、各種電源・家庭用蓄電システム・機能モジュール・V2HシステムおよびEV用急速充電器などの回路製品、電力・機器用コンデンサおよびコンデンサ応用関連機器などを生産・販売するコンデンサメーカーとして事業展開をしておりますが、これらの全ての部門において、「オンリーワン、ナンバーワン」を目指し、さらなる伸長が期待される「エネルギー・環境・医療機器」「自動車・車両関連機器」「白物家電・産業用インバータ機器」「情報通信機器」の4市場分野に生産・販売・技術・サービスに関する経営資源を集中投下いたします。
併せて、当社グループの継続的な成長と収益確保を図るため、資本効率を高め筋肉質で強靭な企業基盤を構築し、企業価値の向上を図ってまいります。また、人と地球環境に優しい企業を目指すとの理念のもと、顧客から信頼されるグローバルウィナーとして事業活動を推進いたします。
(2)経営環境および優先的に対処すべき課題
顧客ニーズがますます高度化・多様化するなかにあって当社は、コア事業であるコンデンサ事業およびNECST事業について、「品質、コスト、納期、サービス、技術」などあらゆる面で最上級を目指すトップノッチ経営を打ち出し、積極的な成長戦略を展開し、さらなる企業価値の向上を図っていきます。
新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、国内でも感染者の拡大が続いています。当社は、お客様、従業員とその家族の安全確保と感染拡大の防止を最優先としつつ、お客様への製品・サービス提供を続けていきます。新型コロナウイルス感染症に対する対応および今後の見通しにつきましては、「2 事業等のリスク (1)経済状況について」に記載しています。
①変化するコンデンサ事業への対処
当社の基幹ビジネスであるコンデンサ事業においては、自動車関連ではADAS(Advanced Driver Assistance System)や自動運転、そしてパワーエレクトロニクス分野におけるIoTとの融合やAIによるロボットの進化、情報通信では5Gによる高速通信の開始やそれによるIoTの拡大など成長の期待できる分野が注目されており、引き続き自動車・車両関連機器市場、白物家電・産業用インバータ機器市場やエネルギー・環境市場、情報通信機器市場に向けた新製品の導入と拡販により事業の安定的な拡大を図っていきます。自動車用では高温度化、長寿命化、低ESR化などに対応した各種コンデンサの市場導入を行うとともに、EV・HVに向けたモータ駆動インバータ用フィルムコンデンサが国内外で搭載車種を拡大しています。また、コンデンサ技術を応用した新規事業として、IoTやウェアラブル機器、情報通信端末などに最適な小形リチウムイオン二次電池の市場導入を行い、新型スマートフォン向けのスタイラスペン用に採用されるなど市場から高い評価を得ています。
②NECST事業の拡大
エネルギー・環境問題の解決のためにクリーンエネルギー社会の創造が求められることに着目、家庭用蓄電システムをいち早く市場導入し、当期末には累計販売台数 74,000台を達成し、「蓄電のニチコン」として業界を牽引しています。
一方、エコカーの普及拡大を見据え、早くからEV用急速充電器をラインアップすると共に、V2H(Vehicle to Home)システム「EVパワー・ステーション®」を世界で初めて開発市場導入し、今般JET認証を受けた系統連系品を市場導入しました。当社は『「いつも」の節電も、「もしも」の停電対策も。』をキーワードに「トライブリッド蓄電システム®」を市場導入し、太陽電池で発電した電気をEV/PHVの電池と蓄電池を活用することで家庭内で全て消費する自家消費を可能としました。さらに、来る分散型電源社会(地産地消)に貢献すべく、各種VPP(Virtual Power Plant)実証に家庭用蓄電システムやEVパワー・ステーションの提供と協力、公共・産業用蓄電システムを活用した実証に参画しています。
また、近年の異常気象の影響で広域かつ長期間の停電が発生しています。非常用電源として、可搬型の「ポータブル蓄電システム」やEV/PHVの電池から直接電気を取り出す可搬型給電器「パワー・ムーバーⓇ」を開発し、市場導入しています。これらは避難所でのスマートフォンの充電や夜間照明等々に活用されています。
最先端の医療分野では、癌の粒子線治療装置の心臓部である粒子を加速させるための加速器用電源が国内16施設、海外は北米を中心に9施設に採用されています。最新の粒子線治療装置の開発が研究機関等で進められており、そこにも新しい加速器用電源の開発に参画しています。
③人材育成/産学連携
当社では「人」こそ最大の経営資源であり、会社のエネルギーであるとの観点に立ち、人材面での基盤強化を重視しています。そのため当社では、立命館大学との連携によるMOT(Management of Technology)教育を通じて、将来の技術経営を担う人材をこれまで300名以上育成してきました。この教育プログラムからNECST事業のいくつかの製品開発に結実しています。
エネルギーの地産地消とスマート社会の創造に寄与することを目的にスタートした東京大学生産技術研究所との包括的な産学連携研究協力協定など、研究開発活動も積極的に推進しています。新たな価値創造を行うとともに、新規ビジネスの立ち上げを担う人材の育成も行っています。素材開発としてはアルミ電解コンデンサの高機能化に向けた開発を三重大学と進めています。また、科学技術振興機構が実施しているスーパークラスタープログラムにおいて京都大学などと共同研究を行い、1MHzの駆動周波数で出力1kWのSiC電力変換モジュールを開発しました。さらに、NEDOプロジェクトで大阪大学などと連携して研究開発した結果、「トライブリッド蓄電システム®」のV2HスタンドへのSiCパワーモジュールの搭載が実現しました。
④コンプライアンスの徹底
これらの成長戦略に加え、コンプライアンスの徹底を図るとともに、業務の適正を確保するための体制ならびに財務報告の信頼性を確保するための体制を充実させ、一層の内部統制の整備・運用を推進し、企業価値の向上を目指していきます。
なお、当社および当社の一部の海外販売子会社は2014年3月以降、アルミ電解コンデンサおよびタンタル電解コンデンサの販売に関し、過去に独占禁止法および各国競争法に違反していた疑いがあるとして、公正取引委員会ならびに米国およびEUをはじめとした海外競争当局から調査を受けていました。当社は、2016年3月、日本の公正取引委員会より排除措置命令および課徴金納付命令を受け、同年9月、各命令における認定および判断を不服として取消訴訟を提起しましたが、2019年3月、当社の請求を棄却する旨の判決があり、同年4月、これを不服として控訴を提起しました。
海外においては、2015年12月には当社の子会社であるニチコン(香港)リミテッドが、台湾公平交易委員会から制裁金を課す旨の処分を受け、2016年2月、同処分における認定および判断を不服として行政訴訟を提起し、また、2018年3月には、当社が、欧州委員会から制裁金を課す旨の処分を受け、同年5月、同処分における認定および判断を不服として訴訟を提起しましたが、いずれの訴訟についても、現在、審理が継続中です。
なお、上記課徴金および制裁金につきましては、延滞金を付されるリスクなどを回避するべく、いずれも納付期限内に全額を支払い済みです。また、本件に関連して米国およびカナダにおいてクラスアクション(集団訴訟)が提起されていましたが、米国のクラスアクションについては、2018年9月に間接購買者との間で21.5百万米ドルの支払等を内容とする和解契約を締結し、また、同年12月には直接購買者との間で90百万米ドルの支払等を内容とする和解契約を締結しました。これらの和解は、裁判所の承認手続を経ることにより正式に確定するところ、直接購買者との和解については2019年5月に裁判所により最終承認がなされましたが、間接購買者との和解については、2020年4月に予定されていた裁判所による最終承認手続を行うための審問期日が新型コロナウイルスの影響により取り消されため、最終承認の時期は未定です。なお、カナダのクラスアクションについては、現在も進行中であり、引き続き適切にこれに対応します。
これら一連の件につきましては、株主の皆さまをはじめ、お客さまや関係者の皆さまに多大なご心配をおかけしておりますことを、深くお詫び申し上げます。
当社は、上述した既に判決が確定した事案または、和解手続中の事案を除き、前記のとおり、上記各命令および処分における認定および判断には誤りがあると考えており、引き続き、裁判所による公正な判断を求めてまいりますが、競争法コンプライアンス体制をより一層強化するとともに、これを当社グループ全従業員へ改めて周知徹底するべく、規程の整備、体制の見直し、従業員への研修および教育の実施などの施策に取り組んでいます。今後も、こうした活動を継続し、コンプライアンスのさらなる強化と徹底を図っていきます。

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