有価証券報告書-第100期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/19 12:25
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【項目】
153項目

対処すべき課題

(1) 会社の経営の基本方針について
当社グループは、長年お客様とともに生み出した自動化と流体制御の多彩な技術をもとに、企業理念 (Corporate Philosophy) に「私達は創造的な知恵と技術で流体制御と自動化を革新し豊かな社会づくりに貢献します」を掲げ、新たな発想と行動に挑戦しております。
また、経営理念 (Corporate Commitment) に「社会的責任の自覚、地球環境への配慮、顧客志向の徹底、技術革新への挑戦、人材重視の企業風土」を掲げ、国際社会にふさわしいグローバルに活躍できる企業として成長できるよう努めてまいります。
(2) 目標とする経営指標について
当社グループは、各事業の経営計画の目標達成を軸に利益を確保しつつ、新しい事業と市場に挑戦するため、売上高、営業利益率の向上と、株主資本利益率 (ROE) を安定的に維持することを経営目標として企業価値の向上に努めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略について
① 事業環境
世界では、気候変動とともに高齢化や労働力不足が大きな社会的課題となっており、企業は課題解決につながる活動が求められています。一方、IoT (Internet of Things) やAI (人工知能) の普及により、ビジネスモデルの変化が進んでおり、製造業においても環境保護への取組みとともに、製品の高機能化や製造工程の自動化・省人化への取組みが一段と加速しております。そのような中、2019年度に発生した新型コロナウイルスの感染症拡大は、企業活動にも大きな影響を及ぼしており、今後は感染対策からも人に頼らない生産設備や、設備の遠隔操作など、自動化・省人化に向けたニーズがさらに高まるものと想定しております。
② 長期経営ビジョン及び中期経営計画
<長期経営ビジョン>当社グループは、事業環境の変化に適応し持続的に成長し続けるため、2016年に10年後の目指す姿を描いた「10年VISION」を策定し、3つの基本方針「国内No.1商品をグローバルに進化」「新しい事業と市場に挑戦」「事業基盤の強化」を決定いたしました。この基本方針に沿った取組みを推進することで「世界のFAトータルサプライヤー」を目指しております。この「10年VISION」を実現することは、より豊かな社会づくりに貢献し、株主の皆様からの期待に応え、そして社員とその家族の幸せにつながると考えています。
<中期経営計画>第4中期経営計画(2020年3月期から2022年3月期の3か年)は、「10年VISION」達成に向け、力強い成長を実現するために、将来につながる事業基盤を構築する3年間と位置付け「Build-up CKD 2021」としました。生産能力の拡大とBCP (事業継続計画) を実現する東北新工場と中国新生産棟の活用とともに、自動化への投資を進め、高い生産性を実現してまいります。
・ 自動機械事業では、主力の薬品包装のお客様に向けたメンテナンスを含むサービス機能の強化、海外市場への展開など新市場開拓を組み合わせ、売上拡大と収益確保に取組んでまいります。
・ 機器事業では、安全性を求める食品業界や、高精度で高い信頼性を求める半導体・二次電池・電子部品などの先端産業に対し、その市場に特化した空気圧機器や電動機器、そして流体制御機器を幅広く提供できるトータルFAサプライヤーを目指してまいります。そして市場のグローバル化に対応するために、今まで取組んできた東アジア、ASEANに続いて、欧州、北米、インドにおける事業基盤を整備し、開発・生産・販売体制を強化してまいります。
(4) 会社の対処すべき課題について
① 新型コロナウイルス感染症に対する取組み
自動機械事業の薬品包装機は、急がれる新型コロナウイルス感染症の医薬品増産に伴い、必要とされる装置やパーツの供給に努めています。また、機器事業の電磁弁は、人工呼吸器や酸素濃縮器に幅広く使用されており、国内外から多くの引合をいただいております。これらの要求にお応えするよう生産設備を新たに立ち上げ、急増した必要量にも安定的に供給できるよう努めております。このように世界的に大きな問題となっている新型コロナウイルス感染症に対し、企業として社会的責任を果たすべく、最重要課題として取組んでまいります。
② 中長期的な成長に向けた取組み
a) 国内No.1商品をグローバルに進化
国内で高いシェアを持つ特長ある商品を、海外市場にも展開しグローバルNo.1を目指します。自動機械
事業では、中国の薬品製造市場に参入するために、中国市場向け専用機の現地開発と合わせ、サービスを含め
た現地対応力を高めていきます。機器事業では、稼働を開始した東北工場を活用し、高機能製品の世界に向け
た展開を一段と強化してまいります。米国では、テクニカルセンターの機能強化により、お客様に密着した商
品企画と開発を進めてまいります。欧州市場では、アライアンスに取組み市場開拓を積極的に推進してまいり
ます。このように、海外市場の地域や国毎に合わせた商品開発や事業戦略を展開し、その国の文化や人材を取
り込みながら、現地に根付いた活動を進めてまいります。
b) 新しい事業と市場に挑戦
新事業の立ち上げと新市場の開拓に向け、様々な挑戦をいたします。新しい事業の中で最も注力する電動事
業では、当社が従前より保有する空気圧機器のコンパクトで力が強くメンテナンスし易いといった特徴に、高
精度の位置制御ができる電動機器の特徴を加え、多様化するお客様のご要望にお応えできるよう取組んでまい
ります。また、グループ会社のCKD日機電装 (株) とのシナジー効果を高め、開発から販売までの取組みを
強化してまいります。食品業界に向けた新包装形態対応機の開発や、安全で働きやすい労働環境を実現するた
めの助力装置 (パワフルアーム) など、新しい技術で豊かな社会づくりに貢献してまいります。
c)事業基盤の強化
第4次中期経営計画「Build-up CKD 2021」では、中国と北米で新たな商品の現地開発を
起動させてまいります。生産は北米とインドに新たな生産拠点の建設を計画し、欧州では現地パートナーとの
アライアンスにも取組み、生産と販売の事業基盤の強化を進めます。また、既存の生産拠点では、導入が完了
したERPの活用とともに、自動化・省人化に取組み生産性を一段と向上させてまいります。
③ 人材に関する取組み
当社グループでは、「人材重視の企業風土」を経営理念の一つとして掲げており、「人材」を「人財」として企業の持続的な発展・成長のための重要な経営資源と位置付けています。従業員のキャリアデザインを会社が支援するキャリアプランシートの導入やそれぞれの役割に応じた階層別教育を実施し、個々の技能、技術力、生産性を高め、新しいことに挑戦できる人材、提案力のある人材を戦略的かつ計画的に育成し配置を行います。性別・年齢・国籍等に関係なく、多様な人材一人ひとりの可能性を大切にし、それぞれの能力を最大限に発揮して活躍できるように、人材育成を強化してまいります。
④ ESG (環境・社会・ガバナンス) に対する取組み
当社グループでは、社会情勢や事業環境の変化を踏まえ、長期的な視点で企業活動を行っています。SDGs (持続可能な開発目標) のゴールにつながる活動に取組み、ステークホルダーの皆様との信頼関係を築きながら、事業を通じて社会の課題解決と発展に貢献してまいります。
環境負荷低減型商品について、省エネ、省資源に加えて、ライフサイクルの視点を考慮し、開発・拡販に取組んでおります。また、インフラ・生産工程を改善し、エネルギー使用量の削減に努めております。
今後も、法律、規則を順守し、メーカとして長年培ってきた自動化技術、流体制御技術を活かした環境にやさしい商品を開発し、お客様にお届けすることにより、地球環境の保全に貢献してまいります。
(5) 株式会社の支配に関する基本方針について
① 基本方針の内容
当社は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、特定の者の大規模買付行為 (下記③において定義されます。) に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えております。しかし、当社の経営にあたっては、自動化技術と流体制御技術等長年にわたるノウハウと豊富な経験、並びに国内外の顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの間に築かれた信頼関係が不可欠であり、これらに関する十分な情報なくしては、株主の皆様が将来実現することができる企業価値ひいては株主共同の利益を適切に判断することはできないものと考えております。さらに、外部者である大規模買付者から買付の提案を受けた際に、当社の有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果、両事業分野の有機的結合により実現され得るシナジーその他当社の企業価値を構成する要素を十分に把握したうえで、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に及ぼす影響を短期間で適切に判断することは、必ずしも容易ではないものと考えております。
② 財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他基本方針の実現に資する取組み
当社は、創業以来、一貫して自動化技術・流体制御技術の研究開発に取組み、高品質・高効率の自動化を実現するとともに、省資源・省エネルギーを考慮した自動機械装置及び自動化機器を開発し、あらゆる産業界の自動化・ローコスト化に貢献してまいりました。その結果、自動機械商品においては、高い安全性と環境性能をもつ薬品自動包装システムは国内トップシェアを占めており、リチウムイオン電池製造システムや電子基板の三次元はんだ印刷検査機についても高いシェアを誇っております。また、機器商品においても、半導体製造に欠かせない薬液制御機器や、あらゆる産業に応用可能な流体制御機器についても国内でトップの地位を堅持しております。当社は、国内はもとより海外各地において幅広い販売ネットワークを構築しているほか、お客様との密接な関係を構築し、世界に通用する品質保証体制の構築と環境対応商品の開発を行い顧客満足度の向上に邁進しております。
また、企業の社会的責任を全うするため、環境保全活動の一層の推進、CSR基金による社会貢献、社員の自主活動の支援などによりステークホルダーとのコミュニケーションを深めるとともに、行動規準をはじめとする各種社内規程の整備を行うなど内部統制システムを充実させております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための
取組み
当社は、当社を取り巻く経営環境等の変化、金融商品取引法による大量買付行為に関する規制の整備の浸透状況などを鑑み、大規模買付ルールの取扱いについて慎重に検討を重ねた結果、2019年6月21日の第99期定時株主総会終結の時をもって、大規模買付ルールを継続しない (廃止する) こととさせていただきました。
なお、当社は大規模買付ルールの有無に関わらず、今後とも中長期的な企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上にグループをあげて取組んでまいります。また、当社は大規模買付ルール終了後も、大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するための必要かつ十分な情報を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令の許容する範囲内において、適切な措置を講じてまいります。