有価証券報告書-第71期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 12:52
【資料】
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【項目】
127項目

事業等のリスク

文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
(1) 市場環境の変化について
当社は、日本、アジア、欧州、米州等の様々な国・地域に製品を供給しています。したがって、これらの国・地域の経済状況の変化や、対象市場での当社製品に対する需要の変化により当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 原材料の仕入価格動向について
当社主力製品のタンタルコンデンサの主要原材料であるタンタル粉末は「希少金属」であり、その生産は世界的な寡占企業に掌握されています。そのため、その市場価格は当該寡占企業の意向を強く反映したものとなり、下方硬直性を有しています。このことは、他の種類のコンデンサとの価格競争上不利であり、当社損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、その他の原材料についても仕入価格がさらに上昇する可能性があり、当社の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 為替相場変動の影響について
当社は売上高の約10%は米ドル建の輸出です。原材料の一部も米ドル建で仕入れていますが、僅少であり、為替リスク削減の効果はありません。米ドル建の債権債務につきましては、発生時の債権債務残高に対して決済時の為替差損益が1ドル当たり3円以内に収めることを目途に為替予約を付して為替ヘッジに努めていますが、米ドルに対する円高が大幅かつ急速に進行した場合、当社の損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、2020年3月31日現在、為替予約した債権債務はありません。
(4) 在庫リスクについて
当社は、ユーザーの仕様に合わせた製品の受注生産を行っていますが、ユーザーの生産計画等の変更により、見込生産した製品が不動在庫化する可能性があります。また、当社が属する電子部品業界では、激しい価格競争が行われており、製造原価より正味売却価額が低下する可能性もあります。
これら収益性の低下したたな卸資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用されるため、収益性低下に見合う簿価切り下げ額は売上原価に算入することとなり、生産管理、販売政策の如何によっては、営業損益に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 金融商品に関するリスクについて
当社の保有する金融商品に関するリスクについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項(金融商品関係)」に記載しています。
(6) カーエレクトロニクス分野への依存、及び主要な販売先について
当社の売上は、カーエレクトロニクス、小型電子機器及び電気計測機向けの売上で約60%を占めており、その中でも自動車業界への依存度は高く、当該業界の動向は当社の経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。自動車業界の中でも株式会社デンソーグループに対する販売額は、当社総販売実績の約28%を占めています。従って、同社の経営戦略の如何によって当社の経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(7) 新製品及び新技術の企業化について
近年急速に、電子機器が小型化・薄型化し、また取扱い周波数の高周波化及び機器の安全化重視が進んでいます。当社としましては、このような技術的要求に適合する高品質・低コストの製品を他社に先がけて開発・販売することが、安定した収益を確保するための最重要課題と認識しています。しかしながら、人的要因、資金的要因等から製品開発計画が意図したように進展しない可能性もあり、また当初目標とした製品を開発できたとしても、技術革新が早く、当該製品を投入すべき市場を既に失っている可能性があります。そのような場合、将来の成長と収益性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 環境規制への対応について
昨今環境問題は、企業の社会的責任の一つとして重要視されています。国内外の法令等で規制の強化が始まっており、それに対応して当社は環境に関する国際規格の取得や、ハロゲンフリーなどの製品対応を進めていますが、当社製品がこれら規制に対応できなければ、当社の販売活動が制限されることになり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 退職給付について
当社の従業員退職給付費用及び債務は、割引率等年金数理計算での計算の前提と年金資産の期待運用収益率に基づいて計算されています。当該計算の前提と実際の結果とが乖離する場合、また計算の前提を変更した場合、退職給付費用については将来の期間にわたり、また、退職給付に係る負債については事業年度末において影響を及ぼします。今後、割引率の低下、年金運用利回りの悪化があれば、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 自然災害等による影響について
当社は、台風・地震などの自然災害や突発的事象に対して事業継続計画(BCP)を策定し、予防活動・対応態勢の構築を行っていますが、生産設備における悪影響を完全に排除できるものではありません。生産設備の停止などお客様に製品を供給できない事態となった場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)新型コロナウイルス感染症等について
新型コロナウイルス感染症の拡大により、供給元、納入先、当社の工場等のサプライチェーンに影響が生じた場合や、当社の従業員に影響が生じた場合にも、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、感染拡大を防ぐため、政府や自治体の発表・要請を踏まえ、従業員の体調管理・確認、Web会議の導入、出張の制限や勤務形態の見直し等の対応を実施し、事業リスクの低減に努めています。
(12) 製品の欠陥について
当社は、品質第一をモットーに世界的に認められている品質管理基準に従って製品を製造していますが、将来にわたって製品に欠陥が生じないという保証はありません。製品の欠陥により多額な損失が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) 法的規制について
当社は、コンデンサ製品の取引に関して当局による調査を受けていますが、ブラジル当局と和解の方向で話を進めており、当局との関係はほぼ終息するものと判断しています。また、米国及びカナダにおいて、当社を含む複数の日本企業等を相手取り、集団訴訟が提起されていますが、米国の間接購入者原告団とは、既に和解が成立しており、米国の直接購入者原告団との集団訴訟に関する裁判の陪審による審理は、2020年3月に開始されましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って中断しており再開時期は未定です。
また、当社が、台湾の当局に対し提起した抗告訴訟については、2019年12月に、台湾の最高行政裁判所の一部自判判決により当社が勝訴し、既に納付済みの課徴金2,430万新台湾ドル(約87百万円)全額が返還されることとなり、当事業年度において会計処理を行っています。
上記以外の調査結果等については、当事業年度末現在において具体的な動きはありません。これらの調査の結果等により、当社の事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) 継続企業の前提に関する重要事象等及び重要事象等を改善するための対応策等
当社におきましては、今後も独占禁止法等に関連する支払の発生が見込まれる状況の中、当事業年度を含む6期連続して当期純損失を計上し、また5期連続してマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象等が存在しておりますが、当該重要事象等を改善するため、2020年度の経営計画では、次の事項を経営戦略目標とし、業績の回復を図る方策を講じるとともに、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響に備えるため、より一層の資金調達に努めることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しています。
2020年度の経営計画
① 売上高の回復としてセグメント別の売上高目標の達成及び海外市場への拡販
② 原価低減として島根工場の回路保護素子生産設備の福知山工場への移転
③ 経費削減として一般管理費の固定経費削減
④ キャッシュ・フロー改善として売掛金の回収期間の短縮及びたな卸資産の削減の推進
(15) その他
上記に掲げたリスク要因は、当社の事業活動等にかかる全てのリスクを網羅するものではありません。これら以外にもリスクが発生する恐れがあり、それにより当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。