有価証券報告書-第71期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 12:52
【資料】
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【項目】
127項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針 当社は、コンデンサ及び回路保護素子を製造・販売する電子部品メーカーとして、「企業の存在を許容するのは、お客様である」ことを原点に、世界中のお客様の信頼を得ることができる価値ある技術商品の開発・製造・販売を事業活動の軸とする「技術立社」であり続けることを経営の基本理念としています。 この基本理念に基づき世界のエレクトロニクス業界の小型・高性能・高信頼性の市場ニーズに適応した質の高い物作りに取り組み、社会の信頼と期待に応えることを経営の基本方針として事業活動を行ってまいります。
(2)目標とする経営指標 当社は、現段階において、売上高及び営業利益の増加を重要課題として取り組み、目標とする経営指標を設定しておりません。 なお、当社が取り組むべき経営課題については、「(3)中長期的な会社の経営戦略及び(5)会社の対処すべき課題」をご覧ください。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社の中期経営計画(2018年3月期から2020年3月期まで)は、2020年3月31日をもって終了しました。当該中期経営計画においては次の基本方針を定め実行しました。
① 組織的営業力強化による売上高の増加と営業利益の確保
② 成長品種の生産地の福知山工場移管による当社福知山工場の損益の黒字化
③ 不採算品種の段階的縮小
④ 売上総利益に合わせた生産・管理体制の構築
⑤ 独占禁止法及び競争法に関わる件の早期解決並びにコンプライアンス管理体制の維持及び再発防止
上記の中期経営計画前の2017年3月期以降の業績につきましては、下記のとおりです。
(単位:百万円)
2017年3月期2018年3月期2019年3月期2020年3月期
2016年4月1日~2017年3月31日2017年4月1日~2018年3月31日2018年4月1日~2019年3月31日2019年4月1日
~2020年3月31日
売上高4,4844,7334,3833,659
営業利益又は営業損失(△)△2811629125
経常利益又は経常損失(△)△2661485321
当期純損失(△)△1,136△115△647△193

※2017年3月期以降の提出会社の状況を記載しています。
中期経営計画の期間において、営業利益及び経常利益の黒字化は達成しましたが、タンタルコンデンサの売上高の想定以上の落ち込み及び回路保護素子の売上高の増加が計画未達となったことにより、当該中期経営計画立案時の数値目標(2020年3月期において連結売上高50億円以上、連結営業利益1.5億円以上の計上)を達成することはできませんでした。
当社代表取締役社長及び常務取締役は、中期経営計画未達の責任を考慮し、それぞれ月額基準報酬の50%及び40%を3ケ月間自主的に返上することとしました。
なお、2020年4月1日以降につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大等により、当社を取り巻く事業環境が、先行き非常に不透明であることを勘案し、新たな中期経営計画の立案を1年間先送りし、目下の経営課題を2020年度の単年度の経営計画として立案し、実行を開始しています。本計画の内容につきましては、「(5)会社の対処すべき課題」をご覧ください。
(4)経営環境
当事業年度のエレクトロニクス業界の状況は、電子部品の出荷額については、海外経済の景気減速の影響により、極めて低調な水準で推移しました。
エレクトロニクス業界の今後の見通しにつきましては、自動車の電装機器への搭載増加等により電子部品の増加が見込まれるものの、海外の景気減速等、世界経済の動向に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響が懸念されます。一方で、電子部品業界の今後につきましては、顧客からの価格、信頼性、品質に対する要求がますます強くなり、競争激化により厳しい状況が継続すると予想されます。また、タンタルコンデンサ業界では、セラミックコンデンサへの置き換え進展という課題もあります。
このような環境のもとで、当社の売上高につきましては、販売重点製品である、車載用回路保護素子及びリチウムイオン電池向けの高電流ヒューズは順調に推移したものの、乗用車の世界生産の減少等により、自動車電装を始めとするカーエレクトロニクス向けのタンタルコンデンサの需要が低調に推移しました。
(5)会社の対処すべき課題
当社は、タンタルコンデンサ事業につきましては、補聴器等の医療機器向けの下面電極構造のタンタルコンデンサを、回路保護素子事業では、車載用回路保護素子及び高電流ヒューズを、それぞれ販売重点製品と定め、売上高の増加を図ります。また、採算重視の営業活動の継続、生産の平準化による製造原価低減等により、採算性の向上を図ります。以上の事項を着実に推進することにより、利益体質の基盤を強化する所存です。
2020年度の経営計画では、次の事項を経営戦略目標とし、業績の回復を図る所存です。
① 売上高の回復としてセグメント別の売上高目標の達成及び海外市場への拡販
② 原価低減として島根工場の回路保護素子生産設備の福知山工場への移転
③ 経費削減として一般管理費の固定経費削減
④ キャッシュ・フロー改善として売掛金の回収期間の短縮及びたな卸資産の削減の推進
なお、当社は、コンデンサ製品の取引に関して当局の調査及び海外における集団訴訟の提起等を受けていますが、その内容は、「2 事業等のリスク (13)法的規制について 及び (14)継続企業の前提に関する重要事象等及び重要事象等を改善するための対応策等」に記載のとおりです。