有価証券報告書-第52期(2024/04/01-2025/03/31)
②戦略
NIDEC連結売上高の95%以上を占める事業領域から選抜した経営幹部並びに実務担当者が多様な視点から気候変動インパクトを議論し、以下、手順に沿ってシナリオ分析を実施しました。
シナリオ分析ステップ
ステップ1 シナリオ分析の前提条件の決定
シナリオ分析を進めるに当たり次のような前提条件を決定
シナリオ
・移行リスクシナリオ(2℃/1.5℃シナリオ)
・物理的リスクシナリオ(4℃シナリオ)
時間軸
短期:2025年 中期:2030年 長期:2050年
対象範囲
NIDEC連結売上高の95%以上を占める事業領域
ステップ2 気候変動リスク・機会の把握
TCFD提言を参考に、事業への潜在的気候変動リスク・機会を列挙
ステップ3 事業インパクト評価
事業への影響度、リスク・機会が顕在化する時期、早期対応の必要性の観点から事業インパクト評価を実施し、主要な気候変動リスク(炭素税の導入、洪水被害)については定量評価を実施
ステップ4 対応策の検討
事業インパクトが大きいと判断した気候変動・リスク・機会について対応策を検討
(参考)事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会及び対応策
(参考)事業インパクトの定量評価
NIDEC連結売上高の95%以上を占める事業領域から選抜した経営幹部並びに実務担当者が多様な視点から気候変動インパクトを議論し、以下、手順に沿ってシナリオ分析を実施しました。
シナリオ分析ステップ
ステップ1 シナリオ分析の前提条件の決定
シナリオ分析を進めるに当たり次のような前提条件を決定
シナリオ
・移行リスクシナリオ(2℃/1.5℃シナリオ)
| IPCCのSSP1-2.6シナリオ・RCP2.6シナリオやIEAのNZEシナリオを下に、脱炭素社会を実現するために様々な施策・規制が導入される世界を想定 |
・物理的リスクシナリオ(4℃シナリオ)
| IPCCのSSP5-8.5シナリオ・RCP8.5シナリオ等を下に、脱炭素社会を実現するための施策・規制導入は進まず、気象災害が激甚化している世界を想定 |
時間軸
短期:2025年 中期:2030年 長期:2050年
対象範囲
NIDEC連結売上高の95%以上を占める事業領域
ステップ2 気候変動リスク・機会の把握
TCFD提言を参考に、事業への潜在的気候変動リスク・機会を列挙
ステップ3 事業インパクト評価
事業への影響度、リスク・機会が顕在化する時期、早期対応の必要性の観点から事業インパクト評価を実施し、主要な気候変動リスク(炭素税の導入、洪水被害)については定量評価を実施
ステップ4 対応策の検討
事業インパクトが大きいと判断した気候変動・リスク・機会について対応策を検討
(参考)事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会及び対応策
| 気候変動リスク・機会の影響 | 対応策 | |||
| 移行リスク | 政策・法規制 | 炭素税の導入 | 炭素税による製造コストの増加、価格競争力の低下 | ●照明のLED化や省エネ設備の導入、低炭素燃料への置き換え、製造プロセスの最適化等によるScope1排出量の削減 ●再生可能エネルギー導入によるScope2排出量の削減 ●インターナルカーボンプライシング制度の導入 |
| 再エネ導入コストの増加 ※炭素税への対策を行った場合 | ●コーポレートPPA等の長期契約による低コストでの再生可能エネルギーの導入 | |||
| 原油や化石燃料由来電力の調達コストの増加 | ●再生可能エネルギー導入 ●照明のLED化や省エネ設備の導入 ●インターナルカーボンプライシング制度の導入 | |||
| 原材料への炭素課金による調達コストの増加 | ●低炭素材料(再生原料を含む)の使用 ●軽薄短小技術による小型軽量化、省資源化 ●調達先のマルチソース化 ●サプライチェーン温室効果ガス(Scope3)排出量の削減 | |||
| 燃費・ZEV規制の強化 | 内燃機関関連製品の製造施設の減損 | ●他機種への転用を可能にする汎用性の高い設計の採用 ●製造設備の他製品への転用 | ||
| 新規参入企業増による競争激化、価格破壊 | ●技術力、価格競争力の高い製品の開発 ●シェア拡大に伴うスケールメリットの獲得 ●知的財産の保護・活用 | |||
| EV市場拡大による原材料の調達競争激化 | ●軽薄短小技術による小型軽量化、省資源化 ●代替素材を活用するための研究開発強化 ●垂直型M&Aの実施 ●供給能力の高いサプライチェーンの構築 ●サプライヤーとの長期契約の締結 | |||
| レアアース関連規制の導入 | レアアースの調達困難化、調達コストの増加 | ●重希土類、磁石不使用の製品開発 ●供給能力の高いサプライチェーンの構築 | ||
| 技術 | 研究開発力への影響 | 新製品開発遅延リスク | ●研究所と連携した要素技術の開発 | |
| 新技術への投資の失敗 | 顧客から求められる環境性能を満たせなかった場合のビジネス機会損失 | ●顧客との共同開発の実施 ●軽薄短小技術による小型軽量化、省資源化 | ||
| 低炭素技術への移行 | 低炭素原材料や低炭素プロセスへの変更に伴うコストの増加 | ●軽薄短小技術による小型軽量化、省資源化 ●サプライヤーを巻き込んだ取り組みの推進 | ||
| 市場 | 顧客行動の変化 | 顧客からの再エネ使用促進の要請の高まりや、CO2排出量削減が計画どおり進まないことに伴う取引停止 | ●照明のLED化や省エネ設備の導入、低炭素燃料への置き換え、製造プロセスの最適化等によるScope1排出量の削減 ●再生可能エネルギー導入によるScope2排出量の削減 ●顧客との協働による環境関連の取り組みの推進 ●サステナビリティ経営の推進 ●適切な情報開示とステークホルダーとの対話の強化 | |
| 原材料の入手困難化、調達コストの増加 | 希少鉱物、鋼材、その他ハイエンドアルミや銅等の非鉄金属の入手困難化、調達コストの増加 | ●再生原料の使用 ●軽薄短小技術による小型軽量化、省資源化 ●重希土類、磁石不使用の製品開発 ●供給能力の高いサプライチェーンの構築 | ||
| 評判 | 投資家の評価の変化 | ・ESG評価基準の厳格化と開示要請分野の拡大による対応コストの増加 ・投資家や金融機関から情報開示が不十分とみなされることによる資金調達の困難化 ・信用格付けの低下 | ●適切な情報開示とステークホルダーとの対話の強化 | |
| 気候変動リスク・機会の影響 | 対応策 | |||
| 物理的リスク | 急性 | 洪水・冠水・集中豪雨・台風の影響 | ・工場の操業停止 ・固定資産・在庫の毀損 ・電気、水供給等のインフラ網の機能停止 ・別工場での生産や輸送等の対応コストの発生 ・サプライチェーンの寸断 ・保険料の増加 | ●生産工場の地理的分散 ●調達先のマルチソース化 ●BCP(事業継続計画)の実施 |
| 慢性 | 干ばつ・渇水・降水パターン変化の影響 | ・水の安定確保の困難化、取水制限による工場用水の不足 ・水価格上昇によるコスト増加 ・電力の需給逼迫による工場停止、原材料生産・調達能力の制約、部材購買コストの増加 ・降水、気温パターン変化による水質の悪化 | ●生産工場の地理的分散 ●水使用量削減のための製造プロセスの最適化 ●水のリユース、リサイクル率の向上 | |
| 機会 | 製品/サービス | 脱炭素に貢献する商品の市場拡大 | ・電動車・電動バイク市場拡大に伴う関連製品(E-Axle、電動パワーステアリング用モータ、ブレーキ用モータ、電動オイルポンプ用モータ、電動バイク駆動用インホイールモータ等)の需要増加 ・省エネ製品(ブラシレスDCモータ、冷蔵庫用コンプレッサー、データセンター向け水冷モジュール・HDD用モータ、産業用高効率モータ、省エネ性能の高い工作機械、環境に優しい減速機等)の需要増加 ・再エネ関連製品(BESS、スマート・マイクログリッド・ソリューション、風力・水力発電関連製品、小規模発電機、風力・ガスタービンケース製造用工作機械等)の需要増加 ・プラスチック問題の解決に貢献する製品(製缶用プレス機)の需要増加 | ●関連製品の開発強化 ●製品の小型軽量化、高剛性化、省資源化、高効率化、高精度化 |
| 気温差拡大対策商品の市場拡大 | ・空調関連製品の市場拡大に伴う関連製品(エアコン用モータ、空調服用ファン等)の需要増加 ・温度変化に適応可能な工作機械・プレス機械の需要増加 | |||
| 市場 | EV市場の拡大 | ・電動車・電動バイク市場拡大に伴う関連製品(E-Axle、電動パワーステアリング用モータ、ブレーキ用モータ、電動オイルポンプ用モータ、電動バイク駆動用インホイールモータ等)の需要増加 ・高精度な工作機械の需要増加 | ||
| 電化の進展 | 電化の進展に伴うモータ需要の拡大 | |||
| 新製品・新市場への参入 | 電動航空機・船舶、ヒートポンプ技術を含む新市場の拡大 | |||
| レジリエンス | サプライチェーンの強化 | BCPによる災害に強いモノづくりの実現 | ●レジリエンスの高いサプライチェーンの構築 | |
(参考)事業インパクトの定量評価
| リスク | 財務影響 | 算出方法 |
| 炭素税の導入 | 124億円 | 炭素価格はIEA「World Energy Outlook 2022」における2030年の先進国予想炭素価格140USD/t-CO2を採用。CO2排出量(Scope1・2)はNIDECの2030年度排出量目標610千t-CO2を基に算出。 |
| 洪水被害 | 77億円 | ・世界資源研究所(World Resources Institute)が提供している水リスク分析ツール「Aqueduct」を使用した評価結果に加え、各事業所の売上高やBCP(事業継続計画)策定状況を総合的に考慮した洪水リスク評価を実施。 ・高リスクと判定された拠点の中から、当社事業全体への影響が特に大きい5拠点を抽出。 ・それら5拠点がすべて被災した場合に想定される固定資産・在庫の毀損並びに操業停止による機会損失の影響額を、国土交通省の「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」を参考に算出。 |