有価証券報告書-第43期(令和3年1月1日-令和3年12月31日)
研究開発活動
当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。
センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は3,103百万円であり、対売上高比率は6.8%となっております。
(1) 防犯関連
防犯関連におきましては、テロへの不安、コロナ禍などの影響による治安悪化で、社会不安はより一層増大しており、如何にいち早く異常を察知し安全を維持出来るかが課題となっております。このような背景のもと、各国ではデータセンター・発電所などの重要施設のみならず、事業所・商業施設などの民間施設でも防犯カメラシステム、侵入警戒システムへの投資が活発化しております。このような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① レーザースキャンセンサー 「REDSCAN Proシリーズ」
データセンターや発電所などの重要インフラ施設での広域警戒を目的とした「REDSCAN Proシリーズ」を開発いたしました。このセンサーはレーザー光を照射し、対象物の「大きさ」「速度」「センサーからの距離」を識別できる高機能レーザースキャンセンサーです。
レーザースキャンセンサー「REDSCANシリーズ」は発売以来10年以上に渡り、世界各国におけるセキュリティ性の高い現場で採用されております。重要施設向けの防犯システムには、ネットワーク対応型の防犯カメラシステム及びアクセスコントロールシステムとの統合、より高次元な警戒、設置・メンテナンス性の向上、情報セキュリティ対策への要求が高まっており、これらの要求に応える次世代型レーザースキャンセンサーを開発いたしました。業界で初めてレーザースキャンセンサーにカメラを搭載し、センサー検知時の画像を記録し検知エリアを画像で確認することが可能となりました。また、検知範囲については従来機種の1.7倍、50m/190°の広範囲を1台で警戒でき、検知エリアの複数設定と検知ロジックにより、これまで以上に柔軟で高度な警戒が可能となります。
② 光ファイバーセンサー 「FIBER DEFENDER FD7104シリーズ」
軍施設、石油プランドなどの最重要施設での外周警戒を目的とした「FIBER DEFENDER FD7104シリーズ」を開発いたしました。このセンサーはフェンスに取り付けられ、光ファイバー技術を用いてケーブルの振動幅、周波数を解析することで、フェンスへのよじ登りやフェンスの切断などを確実に検出することが可能です。
光ファイバーセンサー「FIBER DEFENDERシリーズ」は、世界で最も厳しいと言われる米国空軍の認証を取得している唯一の光ファイバーセンサーとして、世界各国における多くの最重要施設で採用されております。最重要施設向けの防犯システムにおいても、重要インフラ向け同様にネットワーク対応型の防犯カメラシステム及びアクセスコントロールシステムとの統合、より高次元な警戒、設置・メンテナンス性の向上、情報セキュリティ対策への要求が高まっており、「FIBER DEFENDER FD7104シリーズ」はこれらの要求に応える次世代光ファイバーセンサーとして開発いたしました。
③ ワイヤレスセンサーカメラ技術
一般住宅の防犯においても、いち早く異常を察知し安全を維持できるかが重要となっており、お客様に屋外センサーを設置していただくことで、不審者が屋内へ侵入する前に異常を検知する「屋外事前防犯」を推し進めております。今後、更に安全を確実に確保する場合に、カメラによる画像確認への期待要求は高まると考えております。そこでこの度、屋外センサーと監視カメラを融合させ、センサーで検知した決定的瞬間の画像を無線送信する技術を開発いたしました。また、電池駆動を可能とする低消費電力を実現し、完全なワイヤレスセンサーカメラの製品化を可能といたしました。
(2) 自動ドア関連
自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。
現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約5割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と高い市場シェアを保持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、当社グループが得意とする光技術を軸としたセンサー投入により、シェアは堅調に拡大しております。
国内自動ドア関連事業におきまして、自動ドアシステムの安全、価値向上のためCAN通信※タイプセンサーの開発・普及及び従来の「物売り」のみならず「コト売り」を目指してシステム開発を進めております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
※ CAN通信:(Controller Area Network) ISO(国際標準化機構)の規格に準拠した通信技術で、自動車をはじめとして医療機器やFA・産業機器など幅広い分野で採用されている。
① ワイヤレスドアスイッチ「OW-503CAN(R)シリーズ」
国内の商業施設に多数設置されているワイヤレスドアスイッチOW-503にCAN通信タイプの受信機OW-503CAN(R)シリーズを市場投入しラインナップ強化を図りました。
CAN通信タイプのセンサーは、センサーと自動ドアが双方向で通信するため、さまざまな機能アップが可能となります。本製品は業界最小クラスの筐体サイズ実現などの特徴に加え、CAN通信タイプのセンサーならではの新機能「アシストモード」を搭載致しました。車いすの方やベビーカーを押しながら通行する方にとって、「タッチする」という動作が必要なタッチスイッチ式の自動ドアは、スムースな通行を妨げる場合があります。「アシストモード」なら、ドアの前で数秒間待つだけでタッチスイッチに触れなくてもドアを開けることができ、安全・安心に加え、より快適な通行をサポートいたします。
② CAN/リレー変換器「OU-IO103CAN」
CAN通信タイプセンサー拡充の一環で、CAN通信タイプセンサーの検出信号と接点信号を相互に変換する信号変換器を市場投入しラインナップ強化を図りました。本製品は自動ドアシステムに接続されたCANセンサーの検出信号を無電圧接点へ変換する機能(出力機能)と無電圧接点をCANセンサー検出信号に変換する機能(入力機能)を備えております。出力機能により、警備会社のシステムや入退管理システム、音声機器、回転灯などとの連動が可能となります。また、入力機能により、外部の接点入力信号で自動ドア開閉が可能となり、自動ドアシステムの使用用途が広がります。
③ メディアセンサー「OAB-215CAN」
2020年より国内市場において、ビーコン※搭載自動ドアセンサー「OAB-215V」を活用した情報シェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)」を開始しております。ビーコン機能を搭載した自動ドアメディアセンサー「OAB-215V」のCAN通信タイプを市場投入し、ラインナップ強化を図りました。
店舗の出入り口に設置された自動ドアセンサーは、毎日多くの通行者とのタッチポイントとなっております。この自動ドアセンサーに、ビーコン機能を搭載することで、通行者に、商品情報やクーポンをはじめとした店舗広告の配信が可能となります。また、病院やホテルなどで自動チェックイン・アウトが可能となる、美術館や観光施設は音声ガイドを提供するなど、エントランスを新たなメディアとしてご利用いただけるようになります。
※ ビーコン:BLE(Bluetooth Low Energy)という無線技術を利用した伝達手段。範囲内のビーコン信号受信端末に対し、位置情報の取得や、情報の送信が可能。
(3) その他
その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。
また、独自の画像センシング技術による、客数情報システムの開発・販売及も手掛けております。客数情報は、これまでは導入者側の分析データとして活用されておりましたが、コロナ禍においては、施設利用者が混雑状況を把握できる安全・安心の為のデータとしてご利用の範囲が広がっております。今後はセンシングエリアを更に細分化し、より詳細な人数データを提供できる新しい人数情報カウント用センサーの開発に取り組んでまいります。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 水質モニタリングサービス 「WATER it」
水質計測分野におきましては、今までのセンサーを提供する「モノ売り」事業から、データを含むソリューションを提供する「コト売り」事業への転換として、簡易水質測定システム「WATER it」の展開を開始しております。さらに「WATER it」を連続モニタリングできるシステムまで拡張し、お客様が遠隔かつリアルタイムで水質管理を行うことが可能となりました。これに伴い、pH※計、ORP※計、導電率※計など、接続できるセンサーラインナップを拡充し、ワンストップサービスが実現可能となりました。
水質管理を行う現場では、従来からの人手不足や従業員の高齢化に加え、新型コロナ感染症の影響もあり、定期巡回を減らしたいというご要望が高まっております。一方で、設備の老朽化や異常発生を迅速に把握し対応できる体制構築も求められております。本サービスは、『「はかる」「つたえる」「みる」をカンタンに。』をコンセプトに、いつでも、どこでも水環境を把握できる水質管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)として現場の負担を大幅に削減できるソリューションです。また、クラウドによるデータサービスの更なる需要に対応すべく、遠隔モニタリングのラインナップ強化に向けて対応を進めております。今後は、2021年に投入した水の濁度と色度を測定できる濁色度チェッカー(TDC-Mi)を軸に、上水道分野へ事業展開を広げてまいります。
※ pH:酸性もしくはアルカリ性の度合いを表す指標
※ ORP:酸化力と還元力の度合いを表す指標
※ 導電率:電気の流れやすさを示す指標
② 客数情報カウントシステム
独自の画像認識技術を搭載した新製品「AIO—CX1」を開発し、市場投入前のフィールドテストを進めております。「AIO-CX1」は、360°広角カメラを搭載することで、検知エリアが従来品に比べ約4倍に拡大し、これまで検出困難であった着座人物の検知を可能にした人数情報カウント用センサーです。今後は、ラインナップ最上位機種として、小売チェーン店舗及び展示場並びに大型商業施設でのDX推進に使用する基礎データ(入店者数、滞留者数、滞留時間など)と運用データ(混雑率、立ち寄り率など)の提供を進めてまいります。
③ 画像処理技術
画像処理技術におきましては、独自技術である画像鮮明化アルゴリズムを簡単に汎用組込みボードへ導入するための各種インタフェースを開発いたしました。
AIなどを使った画像認識のニーズが高まる中、鮮明化を前処理に使用することで認識率の大幅な向上が期待されます。鮮明化とAIをワンチップに搭載することにより、コンパクト化が求められるエッジでの高度な画像認識を提供いたします。
(1) FA関連
FA関連におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計など、センサー及びその周辺機器を幅広く開発しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 非接触温度計IO-Link※タイプ 「SA-80T-4IO」
M18のシリンダ形状で、装置内の限られたスペースへの取り付けが可能な据え置きタイプの非接触温度計にIO-Link通信に対応した製品を開発いたしました。
SA-80T-4IOでは、「URシリーズ」などのIO-Linkマスタに接続する事で、PLCレベルとデバイスレベルで1対1の双方向シリアル通信が可能となります。それにより、制御装置で対象物温度データの常時モニタリングが可能となるほか、一括設定やIOチェックをPLCから行うことや、交換時にIO-Linkマスタから設定情報をインポートすることが可能になります。
また、センサーに断線など不具合があればエラー表示も設定可能です。その結果、設備の立ち上げ/保守時間を短縮し、センサレベルの予知保全を行うことができます。
※ IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全などに役立つ。
② マルチプロトコル対応IO-Linkマスタ 「UR-ES16DT」
スプリングクランプ端子台によるコンパクトなIO-Linkマスタのラインナップを拡充するべく開発いたしました。ハードウェア処理による高速なサイクルタイムの実現、チャンネル毎にPNP・NPN入出力にも設定可能な柔軟性はそのままに、新たにEthernet/IP、Ethernet/TCP、Modbus/TCP、CC-Link IE Field Basicに対応いたしました。これらは本体設定より簡単に切り替えて接続することが可能です。本製品によりIoTやIndustry4.0※への対応をより加速させることが出来ると考えております。
※ Industry4.0:ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す国家プロジェクトのこと。工場内のあらゆる機器類をインターネット経由で一括管理することにより、生産性と収益性の向上に役立つ。
③ IO-Link対応リモートI/Oユニット 「UR-DSシリーズ」
IO-Linkマスタのデジタル入出力を手軽に拡張できる最大16点のリモートI/Oユニットを開発いたしました。上位制御側へはIO-Link通信により接続し、IO-Linkマスタと同様にPNP、NPNタイプのデジタル機器を混在して接続が可能です。IO-Linkマスタのポート辺り16点のデジタルI/O を割り付けることが可能となり、「URシリーズ」の IO-Linkマスタと併用することでデジタルI/Oを16x16=256点まで拡張が可能です。これにより導入コストを大幅に抑ながら、デジタル機器のネットワーク対応が可能となります。
④ レーザー変位センサー 「CD2Hシリーズ」
操作性に優れた高精度小型レーザー変位センサーを開発いたしました。上位機種でも採用している独自開発によるイメージセンサー「ATMOS」を搭載し、樹脂筐体ながらクラス最高の繰り返し精度とサンプリング速度を実現しております。IO-Linkにも対応することで、取り込み側機器のAD変換部のコストを抑えノイズの影響も排除した高品位なデータの利用が可能になっております。また、表示部にOLEDディスプレイ※を採用し、より分かりやすく多彩な表現で直感的な操作が可能になっております。表示言語も主要7言語に対応し、よりグローバルな環境でご利用いただけると確信しております。
※ OLEDディスプレイ:Organic Electro light Luminescence Diode (有機ELダイオード)ディスプレイ
⑤ 照明モニタリングセンサーアナログ出力タイプ 「MDF-Aシリーズ」
照明モニタリングセンサー「MDFシリーズ」にアナログ出力タイプを追加いたしました。従来機種は照明の光量低下検知などの予防保全に活用いただけましたが、アナログ出力を装備することで調光制御での利用が可能となり、また照明光量の見える化にも貢献いたします。
⑥ UVセンサーヘッド 「NF-MTA08UV」
ファイバユニットに取付け可能な業界最小サイズでUV波長帯の光を可視光に変換するユニットを開発いたしました。特殊な蛍光体を使用することにより高効率で可視光に変換します。従来UV光源の光量監視などは専用の測定機器が必要でしたが、照明モニタリングセンサー「MDFシリーズ」と組み合わせることで、導入コスト・設置スペースを削減しながらUV光源の予防保全、調光制御、光量監視などが可能となります。
(2) MVL関連
MVL関連におきましては、お客様に高い精度の検査環境を提案し、実現することで、お客様の製品の品質向上や廃棄ロスの低減に、ひいては社会全体の資源問題に貢献してまいりました。検査品質向上や生産性向上といった従来からの課題に加え、昨今のSDGsやコロナ禍への対応のため、お客様の課題は更に高度化・多様化しております。一方、LEDの波長が紫外や赤外に広がり、赤外領域に感度をもつ新しい撮像素子や、LEDにない機能・性能を持つ光源が製品化され、さらにはAIを利用した画像解析が普及するなど、お客様の課題を解決するための技術も多彩になってまいりました。
そこで、高度化・多様化しているお客様の課題を解決すべく、従来からの照明や関連機器の高性能化・高機能化だけではなく、先進技術の積極的な利用や、ソリューション提供のための研究開発にも力を入れております。
なお、産業用カメラメーカー大手の独Basler AG社と共同開発した「Basler SLP Lighting Solutions」が、最も革新的な技術、製品、システムを表彰する「Vision Systems Design 2021 Innovators Awards」で銀賞を受賞し、3年連続で高い評価を獲得いたしました。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 有機EL照明「OLB-LTシリーズ」
2019年に立ち上げた新ブランド「CCS-LT」の第2弾として、マシンビジョン業界初の、発光面が曲面の有機EL照明「OLB-LTシリーズ」を発売いたしました。「CCS-LT」ブランドのLT は、Leading Technology、すなわち先進技術を活用し、今までに無い製品をいち早くお客様にご提案することを意味しております。
今回製品化した「OLB-LT」の有機ELパネルは、0.1mm厚のフレキシブルガラス上に有機発光層を複数重ねた構造で、小電流駆動により長寿命化を実現しつつ、マシンビジョン用途に必要な明るさを実現しております。また、照明筐体は独自技術であるフローティング構造とし、繊細なフレキシブルガラスを衝撃から守ります。さらに、設置環境や検査対象物に合わせ、お客様が自由に有機ELパネルの曲げ方向や曲げ半径を選ぶことができます。高度化・多様化するお客様の課題を解決すべく、これからも先進技術を積極的に取り入れたソリューションをご提案してまいります。
② 高出力紫外・紫LED照明「UV3/VL3シリーズ」
2020年12月に発売した高出力赤外照明に続き、2021年9月に高出力紫外・紫LED照明を発売しました。接着剤、グリス、インク、コーティング剤などは紫外光によって蛍光を発します。紫外LED照明は、この性質を利用して、電子部品や梱包パッケージの塗布検査や印字検査などに、さらに可視光においては困難な素材の選別や物体表面上の微細な傷や欠陥の検査などにも利用されております。
「UV3/VL3シリーズ」は、LEDの高出力化と新しい光学系の開発により、従来品に対し最大2倍の明るさを実現しました。また、高速搬送の製造ラインでも、明るく精細な画像を取得することが可能になります。
LEDの波長は、365nmに加えて、385nm、395nm、405nmを追加しており、検査対象物に適した波長を選択することができます。波長の選定につきましては、ライティングコンサルタントが国内に13拠点あるテスティングルーム(実験室)でお客様をサポートしてまいります。
③ LEDバー照明「HLDL3シリーズ」、 リング照明「HLDR3シリーズ」を発売
自動車部品などの大型ワーク、ロボットピッキング、物流バーコードの読み取りのような用途では、照明から離れた場所を広範囲に明るく照らす必要があります。このような用途で広く利用されているHLDL2シリーズをリニューアルいたしました。
物流業務の生産性向上と人手不足解消に対する期待は高まる一方です。HLDR3では、光の指向性を3種類から選択することができ、どのような環境でも広い視野を確保できます。対象物のサイズに関わらず、効率的に仕分けを行うことができ、全体的なスループットが向上いたします。
また、リング型の照明形状の拡充、約20%の軽量化、コンパクト化を実現し、ロボットアームへも容易に取り付け可能となりました。さらに、検査装置に取り付けやすい照明構造やブラケットの開発により、製造ラインでの照射角度の調整が容易で、取り付け自由度も非常に高くなっております。
従来品比で約1.7倍の明るさと、合計156機種に及ぶ豊富なラインナップにより、様々な用途でお客様に最適なソリューションを提供してまいります。
(3) IPC関連
IPC関連におきましては、様々な産業分野向けとして、高い品質と長期供給性を追求した組み込みボード製品の製造や、生産ライン、社会インフラ向けのシステムを構築し、CPUボード、I/Oボード、コントローラー装置など組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォーム提供からアプリケーション・システムの構築、さらには最新のセンシングや制御装置の提供など、広くお客様のニーズに対応しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 5G遠隔監視カメラシステム実証実験
第5世代移動通信システム(以下 5G)の整備の進展とともに、様々な実証実験が実施されております。国立研究開発法人情報通信研究機構から公募された、5Gを活用したフルハイビジョンの映像伝送の実証実験において、当社の提案が採用されました。
内容は、5Gでフルハイビジョンの映像伝送や制御可能な追尾カメラの試作、5Gキャリア通信での通信品質及び実性能評価、遠隔での映像処理及びフィードバック制御による遠隔監視・操作性能評価を実施するものです。5G及びフルハイビジョン映像を活用した遠隔監視が実現することで、防犯分野への貢献にも繋がると考えております。
② 遠隔監視点検ロボット
現在、社会インフラの老朽化が急速に進んでおり、老朽化が原因となる重大事故も発生しております。メンテナンス費用の増大や少子高齢化による高度点検人材不足など、これらの社会課題を解決すべく、悪環境下でも稼働可能な屋内外点検用クローラロボットを開発いたしました。
大学研究のレスキューロボット技術と遠隔操作・制御の組み込み技術を融合し、人間の代わりに立入困難な場所の現場を可視化して点検業務を支援することができます。既に土管の損傷点検などに活用されており、今後更に点検技術の開発を進め、プラント点検などへの用途拡大を推進してまいります。
センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は3,103百万円であり、対売上高比率は6.8%となっております。
防犯関連におきましては、テロへの不安、コロナ禍などの影響による治安悪化で、社会不安はより一層増大しており、如何にいち早く異常を察知し安全を維持出来るかが課題となっております。このような背景のもと、各国ではデータセンター・発電所などの重要施設のみならず、事業所・商業施設などの民間施設でも防犯カメラシステム、侵入警戒システムへの投資が活発化しております。このような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① レーザースキャンセンサー 「REDSCAN Proシリーズ」
データセンターや発電所などの重要インフラ施設での広域警戒を目的とした「REDSCAN Proシリーズ」を開発いたしました。このセンサーはレーザー光を照射し、対象物の「大きさ」「速度」「センサーからの距離」を識別できる高機能レーザースキャンセンサーです。
レーザースキャンセンサー「REDSCANシリーズ」は発売以来10年以上に渡り、世界各国におけるセキュリティ性の高い現場で採用されております。重要施設向けの防犯システムには、ネットワーク対応型の防犯カメラシステム及びアクセスコントロールシステムとの統合、より高次元な警戒、設置・メンテナンス性の向上、情報セキュリティ対策への要求が高まっており、これらの要求に応える次世代型レーザースキャンセンサーを開発いたしました。業界で初めてレーザースキャンセンサーにカメラを搭載し、センサー検知時の画像を記録し検知エリアを画像で確認することが可能となりました。また、検知範囲については従来機種の1.7倍、50m/190°の広範囲を1台で警戒でき、検知エリアの複数設定と検知ロジックにより、これまで以上に柔軟で高度な警戒が可能となります。
② 光ファイバーセンサー 「FIBER DEFENDER FD7104シリーズ」
軍施設、石油プランドなどの最重要施設での外周警戒を目的とした「FIBER DEFENDER FD7104シリーズ」を開発いたしました。このセンサーはフェンスに取り付けられ、光ファイバー技術を用いてケーブルの振動幅、周波数を解析することで、フェンスへのよじ登りやフェンスの切断などを確実に検出することが可能です。
光ファイバーセンサー「FIBER DEFENDERシリーズ」は、世界で最も厳しいと言われる米国空軍の認証を取得している唯一の光ファイバーセンサーとして、世界各国における多くの最重要施設で採用されております。最重要施設向けの防犯システムにおいても、重要インフラ向け同様にネットワーク対応型の防犯カメラシステム及びアクセスコントロールシステムとの統合、より高次元な警戒、設置・メンテナンス性の向上、情報セキュリティ対策への要求が高まっており、「FIBER DEFENDER FD7104シリーズ」はこれらの要求に応える次世代光ファイバーセンサーとして開発いたしました。
③ ワイヤレスセンサーカメラ技術
一般住宅の防犯においても、いち早く異常を察知し安全を維持できるかが重要となっており、お客様に屋外センサーを設置していただくことで、不審者が屋内へ侵入する前に異常を検知する「屋外事前防犯」を推し進めております。今後、更に安全を確実に確保する場合に、カメラによる画像確認への期待要求は高まると考えております。そこでこの度、屋外センサーと監視カメラを融合させ、センサーで検知した決定的瞬間の画像を無線送信する技術を開発いたしました。また、電池駆動を可能とする低消費電力を実現し、完全なワイヤレスセンサーカメラの製品化を可能といたしました。
(2) 自動ドア関連
自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。
現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約5割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と高い市場シェアを保持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、当社グループが得意とする光技術を軸としたセンサー投入により、シェアは堅調に拡大しております。
国内自動ドア関連事業におきまして、自動ドアシステムの安全、価値向上のためCAN通信※タイプセンサーの開発・普及及び従来の「物売り」のみならず「コト売り」を目指してシステム開発を進めております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
※ CAN通信:(Controller Area Network) ISO(国際標準化機構)の規格に準拠した通信技術で、自動車をはじめとして医療機器やFA・産業機器など幅広い分野で採用されている。
① ワイヤレスドアスイッチ「OW-503CAN(R)シリーズ」
国内の商業施設に多数設置されているワイヤレスドアスイッチOW-503にCAN通信タイプの受信機OW-503CAN(R)シリーズを市場投入しラインナップ強化を図りました。
CAN通信タイプのセンサーは、センサーと自動ドアが双方向で通信するため、さまざまな機能アップが可能となります。本製品は業界最小クラスの筐体サイズ実現などの特徴に加え、CAN通信タイプのセンサーならではの新機能「アシストモード」を搭載致しました。車いすの方やベビーカーを押しながら通行する方にとって、「タッチする」という動作が必要なタッチスイッチ式の自動ドアは、スムースな通行を妨げる場合があります。「アシストモード」なら、ドアの前で数秒間待つだけでタッチスイッチに触れなくてもドアを開けることができ、安全・安心に加え、より快適な通行をサポートいたします。
② CAN/リレー変換器「OU-IO103CAN」
CAN通信タイプセンサー拡充の一環で、CAN通信タイプセンサーの検出信号と接点信号を相互に変換する信号変換器を市場投入しラインナップ強化を図りました。本製品は自動ドアシステムに接続されたCANセンサーの検出信号を無電圧接点へ変換する機能(出力機能)と無電圧接点をCANセンサー検出信号に変換する機能(入力機能)を備えております。出力機能により、警備会社のシステムや入退管理システム、音声機器、回転灯などとの連動が可能となります。また、入力機能により、外部の接点入力信号で自動ドア開閉が可能となり、自動ドアシステムの使用用途が広がります。
③ メディアセンサー「OAB-215CAN」
2020年より国内市場において、ビーコン※搭載自動ドアセンサー「OAB-215V」を活用した情報シェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)」を開始しております。ビーコン機能を搭載した自動ドアメディアセンサー「OAB-215V」のCAN通信タイプを市場投入し、ラインナップ強化を図りました。
店舗の出入り口に設置された自動ドアセンサーは、毎日多くの通行者とのタッチポイントとなっております。この自動ドアセンサーに、ビーコン機能を搭載することで、通行者に、商品情報やクーポンをはじめとした店舗広告の配信が可能となります。また、病院やホテルなどで自動チェックイン・アウトが可能となる、美術館や観光施設は音声ガイドを提供するなど、エントランスを新たなメディアとしてご利用いただけるようになります。
※ ビーコン:BLE(Bluetooth Low Energy)という無線技術を利用した伝達手段。範囲内のビーコン信号受信端末に対し、位置情報の取得や、情報の送信が可能。
(3) その他
その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。
また、独自の画像センシング技術による、客数情報システムの開発・販売及も手掛けております。客数情報は、これまでは導入者側の分析データとして活用されておりましたが、コロナ禍においては、施設利用者が混雑状況を把握できる安全・安心の為のデータとしてご利用の範囲が広がっております。今後はセンシングエリアを更に細分化し、より詳細な人数データを提供できる新しい人数情報カウント用センサーの開発に取り組んでまいります。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 水質モニタリングサービス 「WATER it」
水質計測分野におきましては、今までのセンサーを提供する「モノ売り」事業から、データを含むソリューションを提供する「コト売り」事業への転換として、簡易水質測定システム「WATER it」の展開を開始しております。さらに「WATER it」を連続モニタリングできるシステムまで拡張し、お客様が遠隔かつリアルタイムで水質管理を行うことが可能となりました。これに伴い、pH※計、ORP※計、導電率※計など、接続できるセンサーラインナップを拡充し、ワンストップサービスが実現可能となりました。
水質管理を行う現場では、従来からの人手不足や従業員の高齢化に加え、新型コロナ感染症の影響もあり、定期巡回を減らしたいというご要望が高まっております。一方で、設備の老朽化や異常発生を迅速に把握し対応できる体制構築も求められております。本サービスは、『「はかる」「つたえる」「みる」をカンタンに。』をコンセプトに、いつでも、どこでも水環境を把握できる水質管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)として現場の負担を大幅に削減できるソリューションです。また、クラウドによるデータサービスの更なる需要に対応すべく、遠隔モニタリングのラインナップ強化に向けて対応を進めております。今後は、2021年に投入した水の濁度と色度を測定できる濁色度チェッカー(TDC-Mi)を軸に、上水道分野へ事業展開を広げてまいります。
※ pH:酸性もしくはアルカリ性の度合いを表す指標
※ ORP:酸化力と還元力の度合いを表す指標
※ 導電率:電気の流れやすさを示す指標
② 客数情報カウントシステム
独自の画像認識技術を搭載した新製品「AIO—CX1」を開発し、市場投入前のフィールドテストを進めております。「AIO-CX1」は、360°広角カメラを搭載することで、検知エリアが従来品に比べ約4倍に拡大し、これまで検出困難であった着座人物の検知を可能にした人数情報カウント用センサーです。今後は、ラインナップ最上位機種として、小売チェーン店舗及び展示場並びに大型商業施設でのDX推進に使用する基礎データ(入店者数、滞留者数、滞留時間など)と運用データ(混雑率、立ち寄り率など)の提供を進めてまいります。
③ 画像処理技術
画像処理技術におきましては、独自技術である画像鮮明化アルゴリズムを簡単に汎用組込みボードへ導入するための各種インタフェースを開発いたしました。
AIなどを使った画像認識のニーズが高まる中、鮮明化を前処理に使用することで認識率の大幅な向上が期待されます。鮮明化とAIをワンチップに搭載することにより、コンパクト化が求められるエッジでの高度な画像認識を提供いたします。
FA関連におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計など、センサー及びその周辺機器を幅広く開発しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 非接触温度計IO-Link※タイプ 「SA-80T-4IO」
M18のシリンダ形状で、装置内の限られたスペースへの取り付けが可能な据え置きタイプの非接触温度計にIO-Link通信に対応した製品を開発いたしました。
SA-80T-4IOでは、「URシリーズ」などのIO-Linkマスタに接続する事で、PLCレベルとデバイスレベルで1対1の双方向シリアル通信が可能となります。それにより、制御装置で対象物温度データの常時モニタリングが可能となるほか、一括設定やIOチェックをPLCから行うことや、交換時にIO-Linkマスタから設定情報をインポートすることが可能になります。
また、センサーに断線など不具合があればエラー表示も設定可能です。その結果、設備の立ち上げ/保守時間を短縮し、センサレベルの予知保全を行うことができます。
※ IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全などに役立つ。
② マルチプロトコル対応IO-Linkマスタ 「UR-ES16DT」
スプリングクランプ端子台によるコンパクトなIO-Linkマスタのラインナップを拡充するべく開発いたしました。ハードウェア処理による高速なサイクルタイムの実現、チャンネル毎にPNP・NPN入出力にも設定可能な柔軟性はそのままに、新たにEthernet/IP、Ethernet/TCP、Modbus/TCP、CC-Link IE Field Basicに対応いたしました。これらは本体設定より簡単に切り替えて接続することが可能です。本製品によりIoTやIndustry4.0※への対応をより加速させることが出来ると考えております。
※ Industry4.0:ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す国家プロジェクトのこと。工場内のあらゆる機器類をインターネット経由で一括管理することにより、生産性と収益性の向上に役立つ。
③ IO-Link対応リモートI/Oユニット 「UR-DSシリーズ」
IO-Linkマスタのデジタル入出力を手軽に拡張できる最大16点のリモートI/Oユニットを開発いたしました。上位制御側へはIO-Link通信により接続し、IO-Linkマスタと同様にPNP、NPNタイプのデジタル機器を混在して接続が可能です。IO-Linkマスタのポート辺り16点のデジタルI/O を割り付けることが可能となり、「URシリーズ」の IO-Linkマスタと併用することでデジタルI/Oを16x16=256点まで拡張が可能です。これにより導入コストを大幅に抑ながら、デジタル機器のネットワーク対応が可能となります。
④ レーザー変位センサー 「CD2Hシリーズ」
操作性に優れた高精度小型レーザー変位センサーを開発いたしました。上位機種でも採用している独自開発によるイメージセンサー「ATMOS」を搭載し、樹脂筐体ながらクラス最高の繰り返し精度とサンプリング速度を実現しております。IO-Linkにも対応することで、取り込み側機器のAD変換部のコストを抑えノイズの影響も排除した高品位なデータの利用が可能になっております。また、表示部にOLEDディスプレイ※を採用し、より分かりやすく多彩な表現で直感的な操作が可能になっております。表示言語も主要7言語に対応し、よりグローバルな環境でご利用いただけると確信しております。
※ OLEDディスプレイ:Organic Electro light Luminescence Diode (有機ELダイオード)ディスプレイ
⑤ 照明モニタリングセンサーアナログ出力タイプ 「MDF-Aシリーズ」
照明モニタリングセンサー「MDFシリーズ」にアナログ出力タイプを追加いたしました。従来機種は照明の光量低下検知などの予防保全に活用いただけましたが、アナログ出力を装備することで調光制御での利用が可能となり、また照明光量の見える化にも貢献いたします。
⑥ UVセンサーヘッド 「NF-MTA08UV」
ファイバユニットに取付け可能な業界最小サイズでUV波長帯の光を可視光に変換するユニットを開発いたしました。特殊な蛍光体を使用することにより高効率で可視光に変換します。従来UV光源の光量監視などは専用の測定機器が必要でしたが、照明モニタリングセンサー「MDFシリーズ」と組み合わせることで、導入コスト・設置スペースを削減しながらUV光源の予防保全、調光制御、光量監視などが可能となります。
(2) MVL関連
MVL関連におきましては、お客様に高い精度の検査環境を提案し、実現することで、お客様の製品の品質向上や廃棄ロスの低減に、ひいては社会全体の資源問題に貢献してまいりました。検査品質向上や生産性向上といった従来からの課題に加え、昨今のSDGsやコロナ禍への対応のため、お客様の課題は更に高度化・多様化しております。一方、LEDの波長が紫外や赤外に広がり、赤外領域に感度をもつ新しい撮像素子や、LEDにない機能・性能を持つ光源が製品化され、さらにはAIを利用した画像解析が普及するなど、お客様の課題を解決するための技術も多彩になってまいりました。
そこで、高度化・多様化しているお客様の課題を解決すべく、従来からの照明や関連機器の高性能化・高機能化だけではなく、先進技術の積極的な利用や、ソリューション提供のための研究開発にも力を入れております。
なお、産業用カメラメーカー大手の独Basler AG社と共同開発した「Basler SLP Lighting Solutions」が、最も革新的な技術、製品、システムを表彰する「Vision Systems Design 2021 Innovators Awards」で銀賞を受賞し、3年連続で高い評価を獲得いたしました。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 有機EL照明「OLB-LTシリーズ」
2019年に立ち上げた新ブランド「CCS-LT」の第2弾として、マシンビジョン業界初の、発光面が曲面の有機EL照明「OLB-LTシリーズ」を発売いたしました。「CCS-LT」ブランドのLT は、Leading Technology、すなわち先進技術を活用し、今までに無い製品をいち早くお客様にご提案することを意味しております。
今回製品化した「OLB-LT」の有機ELパネルは、0.1mm厚のフレキシブルガラス上に有機発光層を複数重ねた構造で、小電流駆動により長寿命化を実現しつつ、マシンビジョン用途に必要な明るさを実現しております。また、照明筐体は独自技術であるフローティング構造とし、繊細なフレキシブルガラスを衝撃から守ります。さらに、設置環境や検査対象物に合わせ、お客様が自由に有機ELパネルの曲げ方向や曲げ半径を選ぶことができます。高度化・多様化するお客様の課題を解決すべく、これからも先進技術を積極的に取り入れたソリューションをご提案してまいります。
② 高出力紫外・紫LED照明「UV3/VL3シリーズ」
2020年12月に発売した高出力赤外照明に続き、2021年9月に高出力紫外・紫LED照明を発売しました。接着剤、グリス、インク、コーティング剤などは紫外光によって蛍光を発します。紫外LED照明は、この性質を利用して、電子部品や梱包パッケージの塗布検査や印字検査などに、さらに可視光においては困難な素材の選別や物体表面上の微細な傷や欠陥の検査などにも利用されております。
「UV3/VL3シリーズ」は、LEDの高出力化と新しい光学系の開発により、従来品に対し最大2倍の明るさを実現しました。また、高速搬送の製造ラインでも、明るく精細な画像を取得することが可能になります。
LEDの波長は、365nmに加えて、385nm、395nm、405nmを追加しており、検査対象物に適した波長を選択することができます。波長の選定につきましては、ライティングコンサルタントが国内に13拠点あるテスティングルーム(実験室)でお客様をサポートしてまいります。
③ LEDバー照明「HLDL3シリーズ」、 リング照明「HLDR3シリーズ」を発売
自動車部品などの大型ワーク、ロボットピッキング、物流バーコードの読み取りのような用途では、照明から離れた場所を広範囲に明るく照らす必要があります。このような用途で広く利用されているHLDL2シリーズをリニューアルいたしました。
物流業務の生産性向上と人手不足解消に対する期待は高まる一方です。HLDR3では、光の指向性を3種類から選択することができ、どのような環境でも広い視野を確保できます。対象物のサイズに関わらず、効率的に仕分けを行うことができ、全体的なスループットが向上いたします。
また、リング型の照明形状の拡充、約20%の軽量化、コンパクト化を実現し、ロボットアームへも容易に取り付け可能となりました。さらに、検査装置に取り付けやすい照明構造やブラケットの開発により、製造ラインでの照射角度の調整が容易で、取り付け自由度も非常に高くなっております。
従来品比で約1.7倍の明るさと、合計156機種に及ぶ豊富なラインナップにより、様々な用途でお客様に最適なソリューションを提供してまいります。
(3) IPC関連
IPC関連におきましては、様々な産業分野向けとして、高い品質と長期供給性を追求した組み込みボード製品の製造や、生産ライン、社会インフラ向けのシステムを構築し、CPUボード、I/Oボード、コントローラー装置など組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォーム提供からアプリケーション・システムの構築、さらには最新のセンシングや制御装置の提供など、広くお客様のニーズに対応しております。
当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。
① 5G遠隔監視カメラシステム実証実験
第5世代移動通信システム(以下 5G)の整備の進展とともに、様々な実証実験が実施されております。国立研究開発法人情報通信研究機構から公募された、5Gを活用したフルハイビジョンの映像伝送の実証実験において、当社の提案が採用されました。
内容は、5Gでフルハイビジョンの映像伝送や制御可能な追尾カメラの試作、5Gキャリア通信での通信品質及び実性能評価、遠隔での映像処理及びフィードバック制御による遠隔監視・操作性能評価を実施するものです。5G及びフルハイビジョン映像を活用した遠隔監視が実現することで、防犯分野への貢献にも繋がると考えております。
② 遠隔監視点検ロボット
現在、社会インフラの老朽化が急速に進んでおり、老朽化が原因となる重大事故も発生しております。メンテナンス費用の増大や少子高齢化による高度点検人材不足など、これらの社会課題を解決すべく、悪環境下でも稼働可能な屋内外点検用クローラロボットを開発いたしました。
大学研究のレスキューロボット技術と遠隔操作・制御の組み込み技術を融合し、人間の代わりに立入困難な場所の現場を可視化して点検業務を支援することができます。既に土管の損傷点検などに活用されており、今後更に点検技術の開発を進め、プラント点検などへの用途拡大を推進してまいります。