四半期報告書-第17期第3四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)

【提出】
2018/11/02 16:30
【資料】
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【項目】
36項目
(追加情報)
1. IDT社の買収
当社は、2018年9月11日の取締役会において、米国の半導体企業であるIDT社を当社の完全子会社とすることについてIDT社と合意することを決議し、同日、本買収に係る合併契約をIDT社と締結しました。
(1) 買収の目的
当社グループは現在、変化の激しい半導体市場において、世界をリードする組み込みソリューションプロバイダーとして、グローバルに勝ち残るための成長戦略を実施中です。自動運転やEV/HEVなど市場の拡大が期待される自動車分野において、グローバルで主要なポジションを長年にわたり維持している自動車向け半導体に加え、Industry 4.0や5G(第5世代移動通信システム)など新しい取り組みが進む産業分野やインフラ分野、市場拡大中のIoT分野などを成長戦略の柱として、当社は経営資源の集中を加速しています。
成長戦略実現に向けて、特に、アナログ製品のラインナップ強化やマイコン/SoCとアナログ製品をキットとしてお客様に提供するソリューション提案力の強化を進めており、2017年2月には米国のアナログ半導体企業であるインターシル社の買収を完了しました。
インターシル社の買収により、パワーマネジメント関連アナログ製品のラインアップが強化され、旧インターシル社アナログ製品と既存のマイコン/SoCをキットとして提供するソリューション提案力の強化も図ってまいりました。また同時に、日本国外における拡販力の強化や複数の米半導体企業における経営経験が豊富なインターシル社のマネジメントチームが当社グループに加わることによるグローバルマネジメント力の強化も実現しています。
そして今回、一貫した上記成長戦略に沿い、成長をさらに加速させるため、米国のアナログ半導体企業であるIDT社の買収を決定しました。IDT社は、データセンターや通信インフラ向けなどビッグデータを扱うデータエコノミー関連市場向けに、アナログ・ミックスドシグナル製品の開発、製造、販売・サービスの提供を行う、年間売上高約843百万米ドル(1米ドル110円換算で約927億円、2018年3月期)、営業利益率25%超(non-GAAPベース)のグローバル半導体企業です。
今回の買収の狙いは主に、①補完性が高い製品獲得によるソリューション提供力の強化、②事業成長機会の拡大です。具体的には以下のとおりです。
①補完性が高い製品獲得によるソリューション提供力の強化
当社は本買収を通じてRF、高性能タイミング、メモリインターフェイス/パワーマネジメント、オプティカル・インターコネクト、ワイヤレスパワー、スマートセンサーなど、様々な機能を持つ広範なアナログ・ミックスドシグナル製品を獲得します。これらの製品群と当社が高い実績を誇るマイコン/SoCおよびパワーマネジメントICとの組み合わせにより、組み込みシステムの増大・高速化する情報処理要求に対して、外部センサーからアナログフロントエンドデバイス、およびプロセッサやインターフェイスに至るまで網羅的なソリューションの提供が可能となり、最適なシステムを構築します。
②事業成長機会の拡大
IDT社のアナログ・ミックスドシグナル製品は、データの取得・保存・伝送といった、データエコノミーの成長を支える上での重要なデバイスであり、本買収を通じて当社は、データセンターや通信インフラ向けなど成長著しいデータエコノミー関連分野において事業領域を拡大するとともに、産業・自動車分野でのポジション強化を実現します。
2017年のインターシル社の買収に続き、IDT社が当社グループの一員となることは、日本国外における拡販力やグローバルマネジメント力の強化によるグローバルオペレーションをさらに加速し、また、当社グループが注力する戦略的集中分野において、グローバルリーダーとしてのポジションを強化する強力な施策になると考えています。
(2) 買収する会社の概要
① 名称 Integrated Device Technology, Inc.
② 所在地 6024 Silver Creek Valley Road, San Jose, CA 95138 USA
③ 事業内容 ミックスドシグナルなどのアナログICの開発、製造および販売
④ 資本金等の額 2,752,914千米ドル(2018年3月期)
⑤ 設立年月日 1980年5月
(3) 買収の方法
当社が本買収のために米国デラウェア州に設立する完全子会社(以下「買収子会社」)とIDT社の合併による方法(逆三角合併)で実施します。合併後の存続会社はIDT社となり、合併対価としてIDT社の株主には現金が交付される一方、当社の保有する買収子会社の株式が存続会社の発行済み株式に転換されることにより、存続会社が当社の完全子会社となります。
本買収により取得する株式の数、取得価額および取得後の持分比率は以下のとおりです。
① 異動前の所有株式数 0株 (所有割合:0.0%)
② 取得株式数 135,840,094株(※1) (発行済株式数に対する割合:100.0%)
③ 株式取得費用 約67億米ドル (1米ドル110円換算で約7,330億円)
④ 異動後の所有株式数 135,840,094株 (発行済株式数に対する割合:100.0%)
(※1)9月11日現在の完全希薄化ベースの株式数を基準としております(本買収に伴う株式関連報酬の精算による希薄化等を反映)。小数点以下については四捨五入。
(4) 日程
① 当社取締役会決議 2018年9月11日
② IDT社取締役会決議 2018年8月30日(Pacific Daylight Time)
③ 合併契約締結日 2018年9月11日
④ IDT社合併承認株主総会決議 2018年第4四半期または2019年第1四半期(予定)
⑤ 本買収実行日 2019年度(2019年12月期)上期中(予定)
(注)本買収の実行は、米国その他必要な各国の当局の承認その他の一般的な前提条件の充足後となります。
(5) 資金の調達方法
買収資金については、手元資金に加えて主要取引銀行から新たに調達する予定の借入金で充当することを想定しており、本買収では増資などの新株発行を伴う資金調達(エクイティファイナンス)を実施する予定はありません。
なお、2018年10月11日付で本買収に必要な資金の一部を調達するため実行可能期間付タームローン契約を以下のとおり締結しました。また、今回の実行可能期間付タームローン契約に基づき調達する資金については、長期の資金への借り換えを実施する予定です。
① 借入枠 7,280億円
② 契約締結日 2018年10月11日
③ 借入実行可能期間 本買収実行日の4営業日前の日から2019年12月11日まで
④ 最終返済日 初回の借入実行日から12ヵ月後の日
⑤ 参加金融機関 株式会社三菱UFJ銀行、株式会社みずほ銀行