有価証券報告書-第22期(2023/01/01-2023/12/31)

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2024/03/28 12:47
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134項目
3.重要な会計方針
当社グループの重要な会計方針は次のとおりであり、連結財務諸表が表示されているすべての期間について適用しております。
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業であります。支配とは、投資先に対するパワーを有し、投資先への関与により生じるリターンの変動に晒され、かつ投資先に対するパワーを通じてリターンに影響を与える能力を有する場合をいいます。
子会社の財務諸表は、当社グループが支配を獲得した日から支配を喪失する日まで、連結財務諸表に含まれております。子会社に対する当社グループ持分の一部を処分した後も支配が継続する場合には、当社グループの持分の変動を資本取引として会計処理しており、非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は、親会社の所有者に帰属する持分として資本に直接認識しております。
当該子会社の決算日が連結決算日と異なる場合、仮決算を行った財務諸表を使用しております。
② 関連会社
関連会社とは、当社グループがその財務および経営方針に対して重要な影響力を有しているものの、支配をしていない企業であります。関連会社への投資は持分法によって会計処理しております。
関連会社に対する投資は当初取得原価で認識しております。重要な影響力を有することとなった日から重要な影響力を喪失する日までの関連会社の純損益およびその他の包括利益に対する当社グループの持分は、関連会社に対する投資額の変動として認識しております。
③ 連結上消去される取引
当社グループ内の債権債務残高および取引、ならびに当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去しております。
(2) 企業結合
企業結合は取得法を用いて会計処理しております。取得対価は、被取得企業の支配と交換に譲渡した資産、被取得企業の旧所有者に対する負債および当社が発行する資本性金融商品の取得日の公正価値の合計として測定されます。
取得対価、被取得企業の非支配持分および取得企業が以前より保有していた被取得企業の支配獲得日の公正価値の合計が、取得日における識別可能資産および負債の正味の金額を上回る場合に、その超過額をのれんとして認識しております。反対に下回る場合には、直ちに純損益として認識しております。発生した取得関連費用は純損益として認識しております。なお、支配獲得後の非支配持分の追加取得については、資本取引として会計処理しており、当該取引からのれんは認識しておりません。
企業結合の当初の会計処理が企業結合が発生した連結会計年度末までに完了していない場合には、完了していない項目を暫定的な金額で報告し、取得日から1年以内の測定期間において、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しております。
(3) 外貨換算
① 機能通貨および表示通貨
当社グループの各企業の個別財務諸表は、それぞれの機能通貨で作成しております。当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しております。
② 外貨建取引
外貨建取引については、取引日における直物為替レートまたはそれに近似するレートにより機能通貨に換算しております。連結会計年度の末日における外貨建貨幣性項目は連結会計年度の末日の為替レートを用いて機能通貨に換算し、外貨建非貨幣性項目は取得原価で測定しているものは取引日の為替レート、公正価値で測定しているものは、公正価値を算定した日の為替レートを用いて換算しております。
換算または決済により生じる換算差額は、発生した期間の純損益として認識しております。ただし、その他の包括利益を通じて測定する資本性金融資産およびキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識しております。
③ 在外営業活動体
連結財務諸表作成に際し、在外営業活動体の資産および負債は、連結決算日時点の為替レートで、損益およびキャッシュ・フローは、取引日の為替レート、またはそれに近似する期中平均為替レートで日本円に換算しております。この結果生じる換算差額はその他の包括利益で認識し、その累積額はその他の資本の構成要素として認識しております。
在外営業活動体の持分全体の処分および支配または重要な影響力の喪失を伴う持分の一部処分時には、その他の包括利益で認識し資本に累積していた、在外営業活動体の換算差額は、処分による利得または損失を認識する時に資本から純損益に振り替えております。
在外営業活動体に対する債権または債務である貨幣性項目を有しており、決済の予定がなく、予見可能な将来において決済される可能性も低い場合には、貨幣性項目は、在外活動体に対する純投資の一部を構成します。この場合は、それらの貨幣性項目について生じる換算差額は、その他の包括利益として認識しております。
(4) 金融商品
① デリバティブを除く金融資産
(a) 当初認識および測定
営業債権及びその他の債権については、これらの発生日に当初認識しており、その他のすべての金融資産は、当該金融資産の契約当事者となった取引日に当初認識しております。
金融資産は、当初認識時に、償却原価で測定する金融資産と公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(i) 償却原価で測定する金融資産
金融資産は、次の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類しております。
・ 契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、 資産が保有されている。
・ 金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
・ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
金融資産のうち、次の条件がともに満たされる場合には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に分類しております。
- 契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的が達成される事業モデルに基づいて、資産が保有されている。
- 金融資産の契約条件により、元本および元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが所定の日に生じる。
・ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
当初認識時に事後の公正価値の変動をその他の包括利益に表示するという取消不能な選択をした資本性金融資産については、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
(ⅲ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
上記(i)(ⅱ)以外の金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類しております。
当初認識時において、金融資産をその公正価値で測定し、金融資産が純損益を通じて公正価値で測定するものでない場合には、金融資産の取得に直接起因する取引費用を加算しております。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産の取引費用は、純損益に認識しております。
(b) 事後測定
金融資産の当初認識後の測定は、その分類に応じて次のとおりに測定しております。
(i) 償却原価で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産については、実効金利法による償却原価で測定しております。
(ⅱ)その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
・ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融資産に係る公正価値の変動額は、減損利得または減損損失、実効金利法を用いて算出した金利および為替差損益を除き、当該金融資産の認識の中止が行われるまで、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識を中止する場合、過去に認識したその他の包括利益は純損益に振り替えております。
・ その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融資産に係る公正価値の変動額は、その他の包括利益として認識しております。当該金融資産の認識を中止した場合には、過去に認識したその他の包括利益は利益剰余金に直接振り替えております。なお、当該金融資産からの配当収入については、金融収益として純損益で認識しております。
(ⅲ)純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、当初認識後は公正価値で測定し、その変動額は純損益として認識しております。
(c) 金融資産の減損
当社グループは、償却原価で測定する金融資産等に係る減損については、当該金融資産に係る予想信用損失に対して損失評価引当金を認識することとしております。また、各報告日において、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価しております。
金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る損失評価引当金を12ヶ月の予想信用損失と同額で測定し、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品に係る損失評価引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
ただし、営業債権等については常に損失評価引当金を全期間の予想信用損失と同額で測定しております。
金融商品の予想信用損失は、次のものを反映する方法で見積っております。
・一定範囲の生じ得る結果を評価することにより算定される、偏りのない確率加重金額
・貨幣の時間価値
・過去の事象、現在の状況および将来の経済状況の予測についての、報告日において過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報
当該測定に係る金額は、変動を純損益で認識しております。
(d) 認識の中止
当社グループは、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、または金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんどすべてが移転する場合に、金融資産の認識を中止しております。
② デリバティブを除く金融負債
(a) 当初認識および測定
金融負債は、当初認識時に、償却原価で測定する金融負債と純損益を通じて公正価値で測定する金融負債に分類しております。すべての金融負債は公正価値で当初測定しておりますが、償却原価で測定する金融負債については、直接帰属する取引費用を控除した金額で測定しております。
(b) 事後測定
(i) 償却原価で測定する金融負債
償却原価で測定する金融負債については、実効金利法による償却原価で測定しております。
(ⅱ)純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債については、当初認識後は公正価値で測定し、その変動額は純損益として認識しております。
(c) 認識の中止
当社グループは、金融負債が消滅したとき、すなわち、契約中に特定された債務が免責、取消、または失効となった場合に、金融負債の認識を中止しております。
③ デリバティブおよびヘッジ会計
当社グループは、為替変動リスク等をヘッジする目的でデリバティブを保有しております。当社グループは投機的なデリバティブ取引は行わない方針であります。
デリバティブは、公正価値で当初認識され、関連する取引費用および当初認識時の公正価値と取引価格との差額を発生時に純損益として認識しております。当初認識後は、公正価値で再測定し、ヘッジ手段に指定されたデリバティブがヘッジ会計の要件を満たすかにより、その変動を次のように会計処理しております。なお、当社グループは、ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブについてヘッジ手段として指定し、ヘッジ会計を適用しております。また、当社グループはヘッジ会計を適用するにあたり、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際の戦略等のヘッジ手段とヘッジ対象の関係、ヘッジされるリスクの性質およびヘッジ関係の有効性の評価方法についてヘッジ開始時に正式に文書化しております。
(i) キャッシュ・フロー・ヘッジ
ヘッジ手段に係る利得または損失のうち有効な部分は、その他の包括利益で認識し、非有効部分は純損益で認識しております。
通貨スワップ契約にキャッシュ・フロー・ヘッジを適用する場合には、通貨ベーシス・スプレッドを除く部分をヘッジ手段として指定し、通貨ベーシス・スプレッド部分に関しては、公正価値の変動額を、ヘッジコストとして、その他の包括利益を通じてその他の資本の構成要素に認識しております。その他の資本の構成要素に累積されたキャッシュ・フロー・ヘッジは、ヘッジ対象のキャッシュ・フローが純損益に影響を及ぼす期間と同一の期間において、純損益に振り替えております。ただし、ヘッジ対象が非金融資産の取得である場合、非金融資産の当初の取得原価の修正として処理しております。
また、期間に関連したヘッジ対象をヘッジする目的で実施したデリバティブ取引についてヘッジコストを認識した場合には、その他の資本の構成要素に累積されたヘッジコストの累計額を、ヘッジ手段からのヘッジ調整が純損益に影響を与える可能性のある期間にわたって、規則的かつ合理的な基準で純損益に振り替えております。
その他の包括利益に計上したヘッジ手段に係る金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えております。ヘッジ対象が非金融資産または非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の包括利益として認識している金額は、非金融資産または非金融負債の当初の帳簿価額の修正として振り替えております。
上記以外のキャッシュ・フロー・ヘッジは、ヘッジされた予想将来キャッシュ・フローが純損益に影響を与えるのと同じ期間に当該金額をその他の包括利益から純損益に振り替えております。ただし、当該金額が損失であり、当該損失の全部または一部が将来の期間において回収されないと予想する場合は、回収が見込まれない金額を、直ちに純損益に振り替えております。
ヘッジ会計を中止する場合、ヘッジされた将来キャッシュ・フローの発生がまだ見込まれる場合には、当該金額を、当該キャッシュ・フローが発生するまでその他の包括利益に残し、ヘッジされた将来キャッシュ・フローの発生がもはや見込まれない場合には、直ちに純損益に振り替えております。
(ⅱ)ヘッジ会計の要件を満たさないデリバティブ
公正価値の変動額を純損益として認識しております。
④ 当初認識時の公正価値と取引価格の差額
金融商品の取引価格が当初認識時の公正価値と異なり、その公正価値が観察不能なインプットを用いて算定される場合には取引価格と公正価値の差額は繰り延べられ、契約期間にわたって定額法で償却したとき、または、当該金融商品の認識を中止したときに純損益に認識しております。
(5) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金および容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期的な投資から構成されております。
(6) 棚卸資産
棚卸資産の取得原価には、購入原価、加工費、および棚卸資産が現在の場所および状態に至るまでに発生したその他のすべての原価を含めております。
棚卸資産は当初認識後において取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い金額で測定しますが、正味実現可能価額が取得原価を下回る場合にはその差額を評価減として費用認識しております。正味実現可能価額は、通常の事業過程における見積売価から、完成に要する見積原価および販売に要する見積費用を控除して算定しております。
また、原価は次の方法により算定しております。
商品及び製品
注文生産品…個別法
標準量産品…総平均法
仕掛品
注文生産品…個別法
標準量産品…総平均法
原材料及び貯蔵品…主に総平均法
(7) 有形固定資産
有形固定資産の取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、除去および原状回復費用、ならびに資産計上の要件を満たす借入費用を含めております。
有形固定資産の測定においては原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
土地および建設仮勘定を除き、各資産の残存価額控除後の取得原価は、それぞれの見積耐用年数にわたり定額法で減価償却を行っております。
見積耐用年数、残存価額および減価償却方法は各連結会計年度末に見直し、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として見積りを変更した期間および将来の期間において適用しております。
主要な資産の見積耐用年数は次のとおりであります。
建物及び構築物10~45年
機械装置及び運搬具2~8年
工具、器具及び備品2~10年

(8) のれん及び無形資産
① のれん
当初認識時におけるのれんの測定については、「(2) 企業結合」に記載のとおりであります。当初認識後ののれんについては償却を行わず、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で計上しております。
のれんは、企業結合のシナジーから便益を得ると見込まれる資金生成単位に配分し、のれんが配分された資金生成単位は、各連結会計年度の一定の時期、および減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しております。なお、のれんの減損損失に関しては、減損を行った場合は純損益として認識されますが、その後における当該損失の戻入れは行っておりません。
② 無形資産
無形資産は原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額および減損損失累計額を控除した価額で表示しております。
(a) 個別に取得した無形資産
個別に取得した無形資産は、当初認識時に取得原価で測定しております。
(b) 企業結合により取得した無形資産
企業結合により取得した無形資産は、当該無形資産の取得原価を取得日現在の公正価値で測定しており、主に技術資産、顧客資産、仕掛研究開発資産が含まれております。
<技術資産>被取得企業の企業結合時点において既に開発済みの技術などから期待される将来の超過収益力を反映したものを技術資産として認識しております。
<顧客資産>被取得企業の企業結合時点において存在した顧客から期待される将来の超過収益力を反映したものを顧客資産として認識しております。<仕掛研究開発資産>被取得企業の企業結合時点において資産の要件を満たす識別可能な研究開発の途中段階のものを仕掛研究開発資産として認識しております。
なお、企業結合で取得した無形資産の詳細については、「13.のれん及び無形資産」をご参照ください。
(c) 自己創設無形資産(開発資産)
開発における支出は、次のすべてを立証できる場合にのみ、開発費用を資産計上しております。
・使用または売却できるように無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
・無形資産を完成させ、さらにそれを使用または売却するという企業の意図
・無形資産を使用または売却できる能力
・無形資産が可能性の高い将来の経済的便益を創出する方法
・無形資産の開発を完成させ、さらにそれを使用または売却するために必要となる、適切な技術上、財務上およびその他の資源の利用可能性
・開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力
これらの自己創設無形資産は、正味のキャッシュ・インフローをもたらすと期待される見積耐用年数(5年)に基づく定額法により償却しております。なお、上記の資産計上の要件を満たさない研究・開発費用は、発生時に純損益として認識しております。
耐用年数を確定できる無形資産はそれぞれの見積耐用年数にわたって定額法等で償却し、減損の兆候が存在する場合はその都度、減損テストを実施しております。耐用年数を確定できる無形資産の見積耐用年数および償却方法は各連結会計年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として見積りを変更した期間および将来の期間において適用しております。
市場販売目的のソフトウエアは、主として見込販売期間(3年以内)における見込販売数量に基づく方法とし、自社利用のソフトウエアは、主として社内における見込利用可能期間(5年)に基づく定額法を採用しております。技術資産については、主として事業活動における利用可能期間(15年以内)に基づく定額法を採用しております。顧客関連資産については、主として見積耐用年数(14年以内)に基づく定額法を採用しております。
耐用年数を確定できない無形資産および未だ使用可能でない無形資産については償却を行わず、各連結会計年度の一定の時期、および減損の兆候が存在する場合にはその都度、個別に減損テストを実施しております。
(9) リース
① 全体
(a) リースの識別
当社グループは、契約の開始時に、契約がリースまたはリースを含んでいるかを判定しております。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合には、当該契約はリースであるかまたはリースを含んでおります。契約が特定された資産の使用を支配する権利を移転するか否かを評価するために、当社グループは以下のことを検討しております。
(ⅰ) 契約に特定された資産の使用が規定されている。
(ⅱ) 資産を使用する期間全体を通じて、借手がその資産から生じる経済的便益のほとんどすべてを得る権利を有している。
(ⅲ) 借手が資産の使用を指図する権利を有している。事前に資産の使用方法および使用目的が決められている場合には、以下のいずれかに該当する場合、資産の使用を指図する権利を有していると判断する。
・借手が資産を稼働させる権利を有している
・借手が資産の使用方法および使用目的を事前に決定するように資産を設計した
(b) リース期間
リース期間は、解約不能期間に加え、以下の期間を合計した期間としております。
・リースを延長するオプションが付与されており、借手が当該オプションを行使することが合理的に確実である場合、その対象期間
・リースを解約するオプションが付与されており、借手が当該オプションを行使しないことが合理的に確実である場合、その対象期間
② 借手としてのリース
(a) 契約の構成部分の分離
当社グループは、建物リースについて契約の対価を、独立価格の比率に応じてリース構成部分と非リース構成部分に配分しております。また、建物以外のリースについては、リース構成部分と非リース構成部分を区別せずに、単一のリース構成部分として会計処理をすることを選択しております。
(b) 使用権資産
当社グループは、使用権資産およびリース負債をリースの開始日に認識しております。使用権資産は取得原価で当初測定を行っております。この取得原価は、リース負債の当初測定の金額と、リース開始日より前に支払ったリース料、発生した当初直接コストおよび、原資産の解体および除去費用や原資産または原資産が設置された敷地の原状回復費用の見積りを合計した金額から、受け取ったリース・インセンティブを控除して算定しております。開始日以後においては、原価モデルを採用して、取得原価から減価償却累計額および減損損失累計額を控除して測定しております。
使用権資産は、原資産の耐用年数とリース期間のいずれか短い方の期間にわたり定額法で減価償却しております。当社グループが購入オプションを行使することが合理的に確実である場合には、原資産の耐用年数にわたって償却しております。
(c) リース負債
リース負債は、開始日時点で支払われていないリース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初測定しております。リースの計算利子率が容易に算定できない場合には、当社グループの追加借入利子率を用いており、一般的に、当社グループは追加借入利子率を割引率として使用しております。
リース負債の測定に使用するリース料には、主に固定リース料、延長オプションを行使することが合理的に確実である場合のオプション期間のリース料およびリース期間がリース解約オプションの行使を反映している場合その解約に対するペナルティの支払額が含まれます。
指数またはレートの変動により将来のリース料が変動した場合、残価保証に基づいて支払うと見込まれる金額の見積りが変動した場合、または購入、延長、あるいは解約オプションを行使するかどうかの判定が変化した場合、リース負債を再測定しております。
リース負債を再測定した場合、対応する修正は使用権資産の帳簿価額を修正するか、使用権資産の帳簿価額がゼロまで減額されている場合には純損益として認識しております。
(d) 短期リースおよび少額資産のリース
当社グループは、リース期間が12ヶ月以内の短期リースおよびIT機器のリースを含む少額資産のリースについて、使用権資産およびリース負債を認識しないことを選択しております。当社グループは、これらのリースに係るリース料をリース期間にわたり定額法により費用として認識しております。
(10) 非金融資産の減損損失
当社グループは、各連結会計年度において非金融資産(棚卸資産、繰延税金資産および退職給付に係る資産を除く)についての減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候が存在する場合には、減損テストを実施しております。ただし、のれんおよび耐用年数を確定できない、または未だ使用可能ではない無形資産については、各連結会計年度の一定の時期および減損の兆候を識別したときに減損テストを実施しております。
減損テストでは、回収可能価額を見積り、帳簿価額と回収可能価額の比較を行っております。資産、資金生成単位の回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか高い方の金額で算定しております。使用価値は、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値および当該資産の固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引くことにより算定しております。
減損テストの結果、資産、資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回った場合には減損損失を認識しております。のれんを含む資金生成単位の減損損失の認識にあたっては、まず、その単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しております。
減損損失の戻入れは、過去の期間に認識した減損損失を戻入れする可能性を示す兆候が存在し、回収可能価額の見積りを行った結果、回収可能価額が帳簿価額を上回る場合に行っております。戻入金額は、減損損失を認識しなかった場合の戻入れが発生した時点まで通常の減価償却または償却を続けた場合における帳簿価額を上限としております。なお、のれんに係る減損損失の戻入れは行っておりません。
(11) 引当金
当社グループは、過去の事象の結果として、当社グループが法的債務または推定的債務を負っており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、債務の金額について信頼性のある見積りができる場合に引当金を認識しております。
引当金の貨幣の時間的価値が重要な場合には、見積将来キャッシュ・フローを貨幣の時間的価値および当該負債に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いております。時の経過に伴う割引額の割戻しは金融費用として認識しております。
(12) 賦課金
政府が法令に従って企業に求める経済的便益のある資源の流出である賦課金については、法令により規定される賦課金の支払の契機となる活動により債務発生事象が生じた時点で、支払見込額を債務認識しております。
(13) 従業員給付
① 短期従業員給付
短期従業員給付とは、従業員が当社グループに関連する勤務を提供した期間の末日後12ヶ月以内に決済の期限が到来する従業員給付をいい、ある会計期間中に従業員が当社グループに勤務を提供したときに、当社グループは当該勤務の見返りに支払うと見込まれる金額を認識しております。当社グループにおける短期従業員給付には賞与および有給休暇に係るものを含んでおります。
累積型の有給休暇に関する従業員給付の予想コストは、将来の有給休暇の権利を増加させる勤務を従業員が提供したときに認識しております。また、当社グループは、累積型有給休暇の予想コストを、連結会計年度の末日現在で累積されている未使用の権利の結果として当社グループが支払うと見込まれる追加金額として測定しております。
なお、賞与については、過去に従業員から勤務を提供された結果、支払を行う法的または推定的債務を有しており、かつ、当該債務について信頼性のある見積りが可能な場合に負債として認識しております。
② 退職後給付
当社グループは、退職後給付制度として、確定給付制度および確定拠出制度を採用しております。
(a) 確定拠出制度
確定拠出制度への拠出については、棚卸資産や有形固定資産に含められる場合を除き、その発生時に費用として認識しております。既に支払った掛金が連結会計年度の末日前の勤務に対する掛金を超過する場合には、当該前払が将来支払の減少または現金の返還となる範囲で、当該超過を資産として認識しております。
(b) 確定給付制度
確定給付制度に係る資産または負債の純額は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値(必要な場合には、資産上限、最低積立要件への調整を含む)を控除したものであり、資産または負債として連結財政状態計算書で認識しております。確定給付制度債務は、予測単位積増方式に基づいて算定され、その現在価値は、将来の予想支払額に割引率を適用して算定しております。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間をもとに割引期間を設定し、割引期間に対応した連結会計年度の末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しております。
勤務費用および確定給付制度に係る資産または負債の純額に係る純利息費用は純損益として認識しております。
数理計算上の差異、純利息費用に含まれる部分を除く制度資産に係る収益の変動および資産上限額の影響の変動については、それらが生じた期間において「確定給付制度の再測定」としてその他の包括利益に認識し、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えております。また、過去勤務費用は、制度改訂または縮小が発生したとき、あるいは関連するリストラクチャリング費用または解雇給付を認識したときの、いずれか早い方の期において純損益として認識しております。
③ その他の長期従業員給付
退職後給付制度以外の長期従業員給付制度として、一定の勤続年数に応じた特別休暇や報奨金制度を有しております。その他の長期従業員給付に対する債務額は、従業員が過年度および当年度において提供したサービスの対価として稼得した将来給付の見積額を現在価値に割り引いた額で測定しております。
(14) 政府補助金
政府補助金は、補助金交付のための付帯条件を満たし、かつ補助金を受領することについて合理的な保証が得られた場合に、補助金収入を公正価値で測定し、認識しております。収益に関する補助金は、純損益として認識しております。純損益として認識された補助金は、発生した費用に直接的に基づくものである場合は、対応する費用から控除し、それ以外の要件により受領したものは、その他の収益に計上しております。資産に関する政府補助金は、当該補助金の金額を資産の取得原価から直接減額しております。
(15) 自己株式
自己株式を取得した場合には、取得原価で認識し、資本から控除して表示しております。また、その取得に直接起因する取引費用は、資本から控除しております。ストック・オプションの行使、リストリクテッド・ストック・ユニット(RSU)およびパフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)の権利確定に基づく自己株式の処分をした場合を含め、自己株式を売却した場合は処分差損益を資本剰余金として認識しております。
(16) 株式報酬
当社グループは、取締役、執行役員および従業員等に対するインセンティブ制度として、株式報酬制度を採用しております。
リストリクテッド・ストック・ユニット(RSU)およびパフォーマンス・シェア・ユニット(PSU)は、事後交付型の株式報酬制度であり、RSUは継続勤務を条件としてユニット数を確定させ、PSUは当社の株主総利回りの伸長率等に応じてユニット数を確定させます。本制度における報酬は、付与する当社株式の公正価値を参照して測定しており、算定された報酬は費用として純損益に認識するとともに、同額を資本の増加として認識しております。
ストック・オプションは、付与日における公正価値によって見積り、最終的に権利確定すると予想されるストック・オプションの数を考慮したうえで、権利確定期間にわたって費用として認識し、同額を資本の増加として認識しております。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮して算定しております。また、その後の情報により確定すると見込まれるストック・オプションの数が従前の見積りと異なることが示された場合には、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しております。なお、権利確定後に失効したり、行使されなかった場合は、当該株式報酬の戻入れ額を利益剰余金に直接振り替えております。
(17) 収益認識
当社グループは、次の5ステップアプローチに基づき、収益を認識しております。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:履行義務へ取引価格を配分する。
ステップ5:履行義務の充足時または充足するにつれて、収益を認識する。
当社グループは、半導体専業メーカーとして、各種半導体製品に関する研究、開発、設計、製造、販売およびサービスを行っております。これらの製品販売については、製品の引渡時において顧客が当該製品に対する支配を獲得することから、履行義務が充足されると判断しており、主に当該製品の引渡時点で収益を認識しております。
また、収益は、顧客との契約において約束された対価から、値引き、リベートおよび返品などを控除した金額で測定しております。
販売特約店への販売については、以下のような様々な販売促進の制度が定められております。
シップ・アンド・デビット制度は、顧客への販売活動に関する価格調整を通じて販売特約店を補助する仕組みであります。当該制度が適用される場合には、販売特約店が製品を顧客へ販売した時点で、顧客への販売価格に基づく価格調整を行うこととしております。これについて、当社グループは販売特約店に対して売上収益を認識した時点で、その売上取引に関連する価格調整の見積額を売上収益から控除し、返金負債を計上しております。また、販売特約店がタイムラグにより生じる資金負担を軽減する目的として売掛金の一部を長期未収入金に振替えておりますが、契約に基づき将来的に回収されるものであります。
ストック・ローテーション制度は、販売特約店が、直近6ヶ月の仕入れに対して特定の比率を乗じて算出される金額分の在庫を、半年毎に返品することが可能な制度であります。売上収益に対する返金負債は、決算日毎に算定し、売上収益から控除しております。
(18) 金融収益及び金融費用
金融収益は、配当収入、利息収入、為替差益、金融資産の売却益、純損益で認識したヘッジ金融商品に係る利得、およびその他の包括利益で従前に認識した金額の振替などから構成されております。利息収入は、実効金利法により発生時に認識しております。配当収入は、当社グループの受領権が確定した日に認識しております。
金融費用は、社債、借入金およびリース負債に係る利息費用、為替差損、金融資産の売却損、純損益で認識したヘッジ金融商品に係る損失ならびにその他の包括利益で従前に認識された金額の振替などから構成されております。適格資産の取得、建設または生産に直接起因しない借入費用は、実効金利法により発生時に認識しております。リース料の支払は、金融費用と負債残高の返済部分とに配分しており、金融費用は、負債残高に対して一定の利子率となるようにリース期間にわたって配分しております。
(19) 法人所得税
当期税金および繰延税金は、企業結合に関連するもの、およびその他の包括利益または直接資本の部で認識される項目を除き、連結損益計算書上で法人所得税費用として表示しております。
その他の包括利益に認識される項目に関する当期税金および繰延税金は、その他の包括利益として認識しております。
① 当期税金
当期税金は、税務当局に対する納付または税務当局からの還付が予想される金額で測定しております。税額の算定に使用する税率および税法は、決算日までに制定または実質的に制定されたものであります。
② 繰延税金
繰延税金は、連結会計年度末日における資産および負債の税務基準額と会計上の帳簿価額との間の一時差異に基づいて算定しております。繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除および繰越欠損金について、それらを回収できる課税所得が生じると見込まれる範囲において認識し、繰延税金負債は、原則として、将来加算一時差異について認識しております。
なお、次の一時差異に対しては、繰延税金資産および負債を認識しておりません。
・のれんの当初認識から生じる将来加算一時差異
・企業結合ではなく、取引時に、会計上の利益にも課税所得(税務上の欠損金)にも影響を与えず、取引時、同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせない取引における、資産または負債の当初認識から生じる一時差異
・子会社、関連会社に対する投資ならびに共同支配の取決めに対する持分に係る将来加算一時差異について、解消する時期をコントロールでき、かつ、予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合
・子会社、関連会社に対する投資ならびに共同支配の取決めに対する持分に係る将来減算一時差異のうち、予測可能な将来に当該一時差異が解消する可能性が高くない場合または当該一時差異の使用対象となる課税所得が稼得される可能性が高くない場合
繰延税金資産および負債は、決算日までに制定または実質的に制定されている法定税率(および税法)に基づいて、資産が実現されるまたは負債が決済される期に適用されると予想される税率(および税法)によって測定しております。
繰延税金資産および繰延税金負債は、当期税金資産および当期税金負債を相殺する法律上強制力のある権利を有しており、かつ次のいずれかの場合に相殺しております。
・法人所得税費用が同一の税務当局によって同一の納税主体に課されている場合
・異なる納税主体に課されているものの、これらの納税主体が当期税金資産および当期税金負債を純額ベースで決済することを意図している、もしくは当期税金資産を実現させると同時に当期税金負債を決済することを意図している場合
繰延税金資産の帳簿価額は各連結会計年度の末日現在で再検討しております。一部または全部の繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなった場合、繰延税金資産の帳簿価額をその範囲で減額しております。また、当該評価減額は、十分な課税所得を稼得する可能性が高くなった範囲で戻入れております。
当社グループは、法人所得税に関する不確実な税務ポジションについて、税法上の解釈に基づき合理的な見積額を資産または負債として認識しております。
(20) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社の所有者(普通株主)に帰属する純損益を、各連結会計年度中の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して計算しております。
希薄化後1株当たり当期利益は、すべての希薄化性潜在的普通株式による影響について調整して計算しております。
(21) 売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業
① 売却目的で保有する非流動資産
継続的使用ではなく、売却により回収が見込まれる資産または資産グループのうち、現在の状態で即時に売却可能で、経営者が売却計画の実行を確約し、1年以内に売却する可能性が非常に高い場合には、売却目的で保有する資産および売却目的で保有する資産に直接関連する負債を処分グループとして他の資産および負債と区分し、連結財政状態計算書に計上しております。
売却目的保有に分類した非流動資産は、帳簿価額と売却コスト控除後の公正価値のいずれか低い金額で測定しており、当該資産に分類後は減価償却または償却は行っておりません。
② 非継続事業
既に処分したかまたは売却目的保有に分類している企業の構成単位で、次のいずれかに該当する場合、非継続事業として認識しております。
・独立の主要な事業分野または営業地域
・独立の主要な事業分野または営業地域を処分する統一された計画の一部
・転売のみのために取得した子会社
事業が非継続事業に分類された場合には、その事業が比較期間の開始日から廃止されていたものとして、比較期間の連結損益計算書および連結包括利益計算書を再表示しております。