有価証券報告書-第20期(平成26年1月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/03/27 11:49
【資料】
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【項目】
104項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府の一連の経済対策や日銀の金融政策の効果により、企業業績の改善、設備投資の増加及び雇用拡大へとつながり、景気回復の兆しが見られたものの、消費税率引き上げに伴う個人消費の低迷や、急激な円安による原材料価格の上昇など、依然として国内経済の下振れリスクが存在し、海外においても、近隣諸国との外交問題、新興国経済の減速懸念等、先行きは不透明な状況にあります。
当社の主たる事業領域である情報セキュリティ業界においては、脆弱性をついた不正アクセス、マルウェア等による情報流出、人為的ミスによる漏えい・紛失に加え、企業機密情報の持ち出しなどの情報漏えい事件・事故が相次いで発生しており、賠償による費用だけでなく、信用の毀損も含めた影響の大きさから、セキュリティの向上に対する企業の認識は着実に高まっております。
情報システムのクラウド化が加速し、システムの所有からクラウド環境の利用へと情報技術がシフトしていく中、記憶すべきID、パスワードの数は増加の一途を辿り記憶力の限界を超えており、同じパスワードを使いまわす傾向が高くなってきております。これを悪用し、何らかの手段により他社のID・パスワードを入手してリスト化し、SNSやWEBサービスのアカウント乗っ取りを試みる「パスワードリスト型攻撃」は情報漏えい事件の大きな要因の一つとなっております。
一昨年の指紋認証機能搭載スマートフォン登場を契機に、指紋認証機能を搭載したスマートフォン、タブレット型PCが増えてきており、世界で出荷される指紋認証機器数は2015年だけで4億台超が予想され、パスワードに代わり、指紋認証が新しい本人確認手段の主流になりつつあります。
さらにはクレジットカード会社やネット決済事業者などから指紋認証技術を利用してネットワーク上での本人確認サービスを行う認証局ビジネスへの引き合いも増えてきております。
このような経済環境のなか、バイオセキュリティ事業におきましては、セキュリティ関連製品や情報通信機器を紹介する大規模展示会への出展、SI企業主催の各種セミナーへの参加等による販売促進活動を積極的に展開いたしました。
また昨年4月に加盟した非営利団体FIDO Alliance関連活動による提携先との連携により、FIDO準拠製品の販売およびライセンス事業など新規ビジネスモデルの収益化の機会が実現しつつあります。
なお、昨年に引き続きまして、不動産事業においては名古屋市に所有するテナントビルの賃貸を行いました。
しかしながら予定していた新規事業の収益化が次期にずれ込み、また一部大型案件の延期や営業案件の失注があったため、売上高は611百万円(前期比15.4%増)となり、販管費については、先行投資的な意味合いもあって概ね予算通りに推移したものの、営業損失は△339百万円、経常損失は△192百万円となりました。また、保有株式の売却により特別利益を138百万円計上したものの、保有不動産の評価減による減損損失などの特別損失を44百万円計上した結果、当期純損失は100百万円となりました。
報告セグメントごとの業績は次のとおりであります。
・バイオメトリクス事業
多要素認証統合プラットフォームである「EVE MA」および指紋認証ソリューション「EVE FA」をはじめとする指紋認証機器の売上を計上いたしました。
この結果、売上高は568百万円(前年同期比16.0%増)、営業利益は89百万円(前年同期比102.8%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、自社開発製品事業をバイオメトリクス事業に名称変更致しました。
・不動産関連事業
愛知県名古屋市に所有する不動産についてテナントより賃料売上を計上いたしました。
この結果、売上高は43百万円(前年同期16.2%増)、営業利益は6百万円(前年同期89.6%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ27百万円増加し、当連結会計年度末には454百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ279百万円多い321百万円の資金を支出しております。主として、減価償却費68百万円、株式報酬費用66百万円などにより資金が増加したものの、投資有価証券売却益138百万円、契約に基づく売上連動収益46百万円などにより資金が減少したため、321百万円の支出となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ132百万円多い145百万円の資金を支出しております。主として、投資有価証券の売却による収入346百万円により資金が増加したものの、投資有価証券の取得による支出239百万円、有形固定資産の取得による支出123百万円などにより資金が減少したため、145百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ95百万円多い496百万円の資金が増加しております。主として、長期借入金の返済による支出644百万円、短期借入金の減少33百万円などによる資金の減少があったものの、株式の発行による収入1,177百万円により資金が増加し、496百万円の収入となりました。