有価証券報告書-第19期(平成25年1月1日-平成25年12月31日)

【提出】
2014/03/28 16:17
【資料】
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【項目】
114項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、アベノミクスを中心とした各種政策の効果を背景に輸出環境の改善や公共投資の増加がみられ緩やかながら回復傾向に推移したものの今後のTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の交渉結果がもたらす経済への影響や平成26年4月よりの消費税増税による消費の落ち込みへの懸念等わが国経済は依然として予断を許さない状況が継続しております。
当社の主たる事業領域である情報セキュリティサービス業界におきましては、シンクライアントやサーバー仮想化を含むクラウドコンピューティングの普及や、スマートフォンに代表される携帯端末の普及によりBYODと呼ばれる個人所有の端末による業務使用の増加、マイナンバー制度法案の成立などを背景とした自治体を中心とするセキュリティシステム市場の拡大などもあり、情報セキュリティ分野の需要は従来にも況して高まりつつあります。特に本人確認のためのネットワーク上の本人認証につきましては情報管理の重要性の高まりを受け、従来のパスワード認証の限界が指摘されつつあります。昨今の情報漏えい事件の主たる原因がなりすましによるものであることから、パスワード認証に代表される「記憶」による認証から、なりすましの難しい指紋認証に代表される「生体認証」へ需要がシフトしつつあります。情報社会の発展とともに各ユーザーの扱う情報の重要性や記憶すべきパスワードの数が飛躍的に増大しており、パスワード認証を用い続ける事に限界がみえつつあります。その結果、指紋認証に代表される「生体認証」へユーザー認証の移行を検討している企業や自治体が増えてきております。
また、米国アップル社のスマートフォンへの指紋認証機能搭載を背景に、スマートフォンメーカーやタブレット・パソコンメーカーから当社指紋認証ソフトウェアのライセンスのニーズが出てきており、さらにはクレジットカード会社やネット決済事業者などから指紋認証技術を利用してネットワーク上での本人確認サービスを行う認証局ビジネスへの引き合いも増えてきております。
このような経済環境のなか、バイオセキュリティ事業におきましては、セキュリティ関連製品や情報通信機器を紹介する大規模展示会への出展、SIer主催のセミナーへの参加、Webやテレマーケティングによる販売促進活動を積極的に展開いたしました。その結果、各企業の景況観の改善を背景にIT投資意欲の回復と相まって、当連結会計年度下半期より製品への問合せが増加しております。また指紋認証ソフトウェアの国内外のメーカーへの販売活動を強化した結果、従来の指紋認証セキュリティシステム販売事業から、メーカーへの指紋認証ソフトウェアのライセンス事業など新規ビジネスモデルの収益化の機会が実現しつつあります。
なお、受託開発事業におきましては昨年に引き続きアミューズメント向けの受託業務を行うとともに、不動産事業においては名古屋市に所有するテナントビルの賃貸を行いました。
しかしながら一部大型案件の延期や営業案件の失注があったため、売上高は530百万円(前期比15.7%減)となり、損益面におきましては、来期以降に向けた開発案件費用や展示会出展等販売促進費用がかさんだことや、株式報酬費用が42百万円、ソフトウェア一括償却26百万円等の非現金支出費用による営業費用が増加した結果、営業損失は245百万円、経常損失は257百万円となりました。また、保有不動産の減損損失34百万円などの特別損失を41百万円計上した結果、当期純損失は296百万円となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
・自社開発製品事業
多要素認証統合プラットフォームである「EVE MA」および指紋認証ソリューション「EVE FA」をはじめとする指紋認証機器の売上を計上いたしました。
この結果、売上高は490百万円(前年同期比16.6%減)、営業利益は44百万円(前年同期比83.7%減)となりました。
・受託開発事業
アミューズメント施設向け業務ソフトウェア受託開発を行いました。
この結果、売上高は2百万円(前年同期比25.0%減)、営業利益は2百万円(前年同期比84.2%増)となりました。
・不動産関連事業
愛知県に所有する不動産についてテナントより賃料売上を計上いたしました。
この結果、売上高は37百万円(前年同期同額)、営業利益は3百万円(197.5%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ348百万円増加し、当連結会計年度末には427百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ35百万円多い42百万円の資金を支出しております。主として、売上債権の減少144百万円、減価償却費91百万円などにより資金が増加し、仕入債務の減少18百万円、為替差益57百万円などにより資金が減少したため、42百万円の支出となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ306百万円少ない12百万円の資金を支出しております。主として、貸付による支出42百万円、無形固定資産の取得による支出31百万円などにより資金が減少したため、12百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ14百万円多い400百万円の資金を支出しております。主として、株式の発行による収入787百万円、新株予約権の発行による収入15百万円により資金が増加し、長期借入金の返済による支出299百万円、短期借入金の減少102百万円などによる資金の減少があったものの、400百万円の収入となりました。