有価証券報告書-第23期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/30 10:26
【資料】
PDFをみる
【項目】
92項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績や雇用・所得環境に改善傾向が見受けられるなど、全体的には緩やかな回復基調が続いているものの、米国新政権の政策動向や東アジアの地政学リスクなどによる国内景気への影響などから、先行きは依然として不透明な状況となっております。
当社の主たる事業領域である情報セキュリティ業界においては、総務省の「自治体情報システム強靭性向上モデル」で必須化されている二要素認証への対応などによる自治体需要が昨年3月で一巡したため一服感が見られます。
しかしながら、各省庁や業界団体などからセキュリティ強化を盛り込んだガイドラインが発表され、特に学校法人、医療法人、金融機関などでの需要が高まっております。さらには、昨年5月に施行された改正個人情報保護法により、適用範囲が拡大されると同時に、指紋データなど "生体情報データそのもの" が新たに個人情報として保護の対象となったことから、対応する需要も発生しております。本人確認の手段として生体認証技術は本格的な普及期に突入し、今後も継続して拡大基調にあります。
また、当社が平成26年に日本で初めて加盟した認証規格の標準化団体であるFIDOアライアンスにおいては、加盟企業数は世界で260社となりました。新たにAmazonも加盟するなど、デファクトスタンダードに近づいております。平成28年12月には、日本においても各業界大手企業が参画するジャパンワーキンググループが発足し、本格的な活動が行われておりますが、NTTドコモ、三菱東京UFJ銀行、大日本印刷、LINE、NTT、ソフトバンクに続き、KDDI、JCB等が加盟するなど、順調に拡大しております。現在、実際に導入している企業はまだ一部ではありますが、実際の導入に向けて各社対応を進めております。
このような経済環境のなか、バイオメトリクス事業におきましては、製品面は、主力商品であるEVEシリーズにて
、EVE FA Standalone Editionの二要素対応、EVE MAのシンクライアント端末への対応の拡大、EVE MAの動画顔認証プラグインの機能強化、改正個人情報保護法に続き、動画顔認証の強化や日本ヒューレット・パッカード社様のIcewall MFAとの連携、macOS市場対応に加え、AI技術を用いた指紋検索エンジンによる「IDレス指紋認証」の提供を開始いたしました。販売面においては案件開拓力向上のため、製品連携やSIerのソリューションとして当社製品が採用されるよう他社との連携を推進しており、新たに、基幹業務システムのピーシーエー社様、電子カルテシステムのシーエスアイ社様、仮想化ソリューションのシトリックス社様などとの協業を開始しております。
また、従来より行ってきた展示会出展やセミナーへの参加による販売促進活動においても、新たにパートナー企業との共同出展や、パートナー企業に当社製品を出展いただくなどの活動を継続しております。また、収益安定化施策の一環として、DDS認定販売パートナー制度にサブスクリプションパートナー(DDS-SP)を新設し、利用期間に応じた料金をお支払頂くライセンス方式のサービスを開始し、第1号の認定企業である横河レンタ・リース社様を通じて提供しております。
また、FIDO認証規格普及推進のため、FIDO認証との連携が本格化しつつあるインターネット技術の標準化団体 “W3C”への加盟に加え、米国ノックノックラブズ社様と技術ライセンス契約を締結し、「マガタマプラットフォーム改正個人情報保護法パッケージ」に加え、昨年12月にはオンラインによる対面認証サービスである「どこでも本人確認」のサービス提供を開始しております。スマートフォンメーカーに向けて当社の新アルゴリズムを供給するライセンスビジネスにおいても、海外センサーメーカーと共同開発を推進いたしました。
こうした活動の結果、当連結会計年度の売上高は790百万円(前期比33.9%減)となりました。損益面においては
、新規事業関係の先行投資が一巡したこと、その他経費の見直しによる人件費、広告宣伝費、旅費交通費などの削減効果が継続しており販売費及び一般管理費は前期比で47百万円減となりました。
これらの結果、営業損失233百万円(前期は営業利益59百万円)、経常損失203百万円(前期は経常利益81百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失215百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益74百万円)となりました。
なお、当連結会計年度より当社グループの報告セグメントを単一セグメントに変更したため、セグメント別の記載
を省略しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご覧
ください。
(2)キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の収入48百万円、投資活動による資金の支出201百万円により、フリーキャッシュ・フローは153百万円の減少となりました。しかし、財務活動による資金の収入231百万円があったため、資金は期首に比べ78百万円増加し、329百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純損失203百万円、たな卸資産の増加35百万円、仕入債務の減少28百万円により資金が減少した
ものの、売上債権の回収による増加513百万円があったため、48百万円の収入(前年同期は90百万円の支出)となり
ました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資有価証券の取得による支出121百万円、無形固定資産の取得による支出89百万円があったため、201百万円の支
出(前年同期は395百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株式の発行による収入231百万円があったため、231百万円の収入(前年同期は162百万円の支出)となりました。