有価証券報告書-第95期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 12:54
【資料】
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【項目】
61項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における世界経済は、英国のEU離脱問題、米国の保護主義的政策への懸念、中東リスク等政治情勢に不安定さがみられたものの、比較的堅調に推移しました。また、日本経済は、企業収益や雇用情勢は改善し、個人消費や設備投資も持ち直しの動きがみられ、緩やかな回復基調で推移いたしました。
このような環境のもと、当社製品の主要な需要先である自動車市場は、欧米では堅調に推移し、中国においても需要増加がみられました。
また、建設機械市場は、国内においては排ガス規制対応により需要が増加し、海外においては中国の需要が回復しております。
このような状況のもと、当社グループは、主に次のような活動に取り組んでまいりました。
当連結会計年度は現中期経営計画の最終年度となります。現状と目指す姿とのギャップを埋めながら次期中期以降の飛躍につなげるための体質強化を図りました。
AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業においては、付加価値商品開発、革新的モノづくり、市販製品の拡販による利益拡大の3つを重点的に取り組んでまいりました。
HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業においては、不安定な需要に対応できる事業構造改革と非ショベル比率の拡大を重点的に取り組んでまいりました。
特装車両事業においては、国内は建築費高騰を背景として一時的に頭打ちとなっておりますが、成長著しいインド市場において、日本のマザー工場との連携を強化し、現地の生産体制整備に取り組んでまいりました。
成長産業である航空事業の機動性を向上させるためにHC事業から独立させた航空機器事業においては、生産整流化など足もとの課題収束に取り組んでまいりました。
また、免制震装置においては、今後、長周期地震対策を喫緊の課題としており、大型建築物に効果のあるロック機構付免震用オイルダンパシステムを開発致しました。
当社グループの売上高につきましては、3,553億円と前連結会計年度とほぼ同等の売上高となりました。自動車向け製品販売は円高の影響により減収となりましたが、建設機械向け製品販売は中国における市場回復等により増収となりました。
損益につきましては、グループ全体で原価低減活動を主とする事業構造改革を推進した結果、営業利益は192億47百万円、税引前利益は188億52百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、145億44百万円となりました。
総資産につきましては、現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、株式の評価替えによるその他の金融資産の増加等により、前連結会計年度に比べ223億円増加し、3,813億円となりました。
負債につきましては、営業債務及びその他の債務の増加により、負債総額は59億円増加し、2,116億円となりました。
資本は、利益剰余金の増加等により、164億円増加して1,698億円となりました。
親会社所有者帰属持分比率は、資本が増加したことから43.1%と前連結会計年度末に比べ1.8ポイント好転しました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
① AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成されております。
ⅰ)四輪車用油圧緩衝器
四輪車用油圧緩衝器は、国内および海外市場において総じて堅調であったものの、円高の影響により、売上高は1,510億円と前連結会計年度に比べ7.1%の減収となりました。
ⅱ)二輪車用油圧緩衝器
二輪車用油圧緩衝器は、中国、ベトナム、インドでの販売が増加し、売上高は285億円と前連結会計年度に比べ8.1%の増収となりました。
ⅲ)四輪車用油圧機器
パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、油圧ポンプが減少したものの、電動パワーステアリングやCVT(無段変速機)用ベーンポンプの販売が堅調に推移し、売上高は465億円と前連結会計年度に比べ0.5%の増収となりました。
ⅳ)その他製品
ATV(全地形対応車)用機器を中心とするその他製品の売上高は51億円となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は2,310億円となり、セグメント利益は111億35百万円(セグメント利益率4.8%)となりました。
② HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント
当セグメントは、産業用油圧機器、その他製品から構成されております。
ⅰ)産業用油圧機器
建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、国内は排ガス規制対応により需要が増加しました。また、海外では中国市場が回復し、売上高は886億円と前連結会計年度に比べ11.1%の大幅な増収となりました。
ⅱ)その他製品
鉄道用セミアクティブシステムおよび緩衝器を主とするその他製品の売上高は77億円と前連結会計年度に比べ6.6%の減収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は963億円となり、セグメント利益は65億83百万円(セグメント利益率6.8%)となりました。
③ 特装車両事業、航空機器事業、システム製品および電子機器等
当セグメントは、特装車両、航空機器、システム製品および電子機器等から構成されております。
ⅰ)特装車両
コンクリートミキサ車を主とする特装車両は、復興需要が落ち着き、売上高は85億円と前連結会計年度に比べ6.1%の減収となりました。
ⅱ)航空機器
航空機器は、売上高は77億円と前連結会計年度に比べ10.4%の増収となりました。
ⅲ)システム製品および電子機器等
システム製品および電子機器等の売上高は117億円と前連結会計年度に比べ13.6%の増収となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は280億円となり、セグメント利益は8億34百万円(セグメント利益率3.0%)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの差し引きが98億円の資金流入、また財務活動によるキャッシュ・フローは10億円の資金流出となり、加えて為替換算により2億円減少し、現金及び現金同等物は前連結会計年度比87億円増加し、340億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度比56.1%増加の312億円となりました。これは主に税引前利益189億円、減価償却費及び償却費159億円等の資金増加によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度比5.0%増加の213億円となりました。これは主に有形固定資産の取得197億円等の資金流出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、10億円となりました。主な流出は、長期借入金の返済による支出179億円、配当金の支払額28億円であり、主な流入は長期借入金による収入153億円、短期借入金の純増減額52億円です。
(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(開発費の資産計上)
日本基準では、費用処理しておりました一部の開発費用について、IFRSにおいては資産計上要件を満たすことから、無形資産に計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて無形資産が4,345百万円増加しております。