有価証券報告書-第104期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/23 13:01
【資料】
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【項目】
167項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 経営方針
当社グループは、持続的な成長と企業価値向上の実現を通してステークホルダーの期待に応えるとともに、社会に貢献するという企業の社会的責任を果たすため、経営理念および以下の基本方針に基づき、取締役会を中心に迅速かつ効率的な経営体制の構築並びに公正性かつ透明性の高い経営監督機能の確立を追求し、コーポレート・ガバナンスの強化及び充実に取り組んでまいります。
<経営理念>「人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するカヤバグループ」
1.規範を遵守するとともに、何事にも真摯に向き合います。
2.高い目標に挑戦し、より活気あふれる企業風土を築きます。
3.優しさと誠実さを保ち、自然を愛し環境を大切にします。
4.常に独創性を追い求め、お客様・株主様・お取引先様・社会の発展に貢献します。
<コーポレートガバナンス基本方針>1.当社は、株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.当社は、株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーとの適切な協働に努める。
3.当社は、法令に基づく開示はもとより、ステークホルダーにとって重要または有用な情報についても主体的に開示する。
4.当社の取締役会は、株主受託者責任および説明責任を認識し、持続的かつ安定的な成長および企業価値の向上ならびに収益力および資本効率の改善のために、その役割および責務を適切に果たす。
5.当社は、株主との建設的な対話を促進し、当社の経営方針などに対する理解を得るとともに、当社への意見を経営の改善に繋げるなど適切な対応に努める。
(2) 経営環境
米国・イスラエルとイランの軍事衝突やウクライナ情勢等の不安定な国際情勢、原材料・エネルギー価格高騰、世界各地で発生する自然災害、米国の関税措置等、当社グループを取り巻く経営環境は一層不確実性が高まっております。また、近年著しい進展を見せているAI技術は、人や組織、オペレーションの在り方そのものを抜本的に変える可能性を有し、企業の事業運営の前提条件にも大きな変化をもたらしています。自動車市場においては、カーボンニュートラル実現に向けEVは重要な役割を果たす技術の一つと認識しているものの、その普及状況は地域ごとに差が見られ、政策動向の影響も受けながら、EV市場拡大のスピードにも変化が生じています。さらに、モビリティは社会インフラやデジタル技術との連携を深め、従来の移動手段としての役割を超えた新たな価値創出が求められる段階へと移行しています。建設機械市場においても無人化や省エネ化といったトレンドが広がりつつあります。そのほか、脱炭素化に向けた取り組みをはじめとする地球環境保護に対する社会的要請も一段と高まりを見せており、企業が対応すべき課題も多様化しております。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
「KYB GROUP VISION 2035」
当社は2025年に創立90周年を迎えました。2035年には創立100周年という大きな節目を迎えるにあたり、その先も企業発展の基盤となる終わりなき技術・製品開発へのこだわりを通して、社会課題の解決に貢献するとともに持続的な企業価値の向上に挑み続けることを目的として、「KYB GROUP VISION 2035」を策定し、2025年11月に公表いたしました。
当社は、モビリティ・インフラ・リビングにおける安全性と快適性を支える力として、社会に不可欠な存在を目指し、長期ビジョンに「人々の暮らしの未来を支えるパートナー」を掲げるとともに、スローガンとして「夢ある明日をつくる。Inspiring Dreams, Shaping the Future.」を設定しております。
一方で当社はこの10年間、複数の不適切事象を踏まえ、信頼回復に向けた取り組みを進めてまいりました。今後の10年を「成長の10年」と位置づけ、これまでの取り組みを礎に「新たなるカヤバ」の姿を明確に示すとともに、お客様、株主様、お取引先様、従業員をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様と当社の目指す方向性を共有し、着実な成長と企業価値の向上を実現していくことが重要な課題であると認識しております。その実現に向けては、迅速な意思決定と実行が不可欠であると考えております。
長期ビジョンの実現に向け、次の3つの挑戦を実践します。
1.事業ポートフォリオの最適化
成長事業・製品への「選択と集中」を通じて事業ポートフォリオの最適化を推進し、付加価値の創出と資本効率の向上を追求する、活力ある企業風土の構築を目指します。
2.新規事業創出
コア技術を起点とした独創的な新規事業を創出し、新領域への進出および収益基盤の安定化を目指します。
3.モノづくり革新
現場力とデジタル技術を融合したモノづくりの革新に加え、環境および働く人の双方に配慮したモノづくりを推進し、工場の変革を進めます。

今後10年間を3回の中期経営計画、「構造改革」「成長加速」「新事業拡大」に区分し、段階的に変革を進めてまいります。2026中期経営計画では、長期ビジョン実現に向けた第一歩として、未来の土台を築くために、事業ポートフォリオの最適化、モノづくり革新、経営インフラ改革に取り組みます。あわせて、新規事業創出に向けた取り組みを着実に進め、2029年度以降の成長に向けた基盤を構築するとともに、自律的に挑戦する企業風土の構築を図ってまいります。2026中期経営計画の遂行にあたり、当社は次の項目を「26中期基本方針」として定め、重点的に取り組んでまいります。
「中期基本方針」
1.挑戦する企業風土の構築
人的資本の高度化に向け、人財要件・スキルの可視化を基盤として、ローテーションや経営幹部育成等を通じ、将来を担う人財を計画的に育成するとともに、従業員の主体的な成長を促す仕組みを整備してまいります。また、新規事業では仮説検証の進捗に応じたマイルストーンを設定し、各段階で客観的な評価と投資判断を行う仕組みを整備することで、経営資源の最適配分を図り、新たな収益機会の創出に取り組んでまいります。
2.事業ポートフォリオの最適化
2026中期経営計画は「構造改革」の期間に位置づけています。成長事業・製品への選択と集中を徹底し、成長性および収益性を踏まえた事業ポートフォリオの最適化を推進することで、資本効率を重視した経営資源配分を進めてまいります。
オートモーティブコンポーネンツ事業(AC事業)では、OEM市場におけるグローバルプレゼンスの再強化に向け、高付加価値製品である高機能コンベンショナルタイプのショックアブソーバについて、四輪・二輪の既存のお客様への拡販に加え、新規のお客様の獲得に向けた受注活動を推進してまいります。また、電子制御ショックアブソーバの拡販に向け、地域・市場特性に応じたラインナップ拡充や、地域別の最適生産ライン構築等、生産・販売・技術が一体となった取り組みを進めてまいります。さらに、成長著しいインド市場においては、2027年度からインド現地でのショックアブソーバ生産開始を予定しております。二輪市場の旺盛な需要に対応するため、既存工場の能力増強を検討するとともに、競争力あるコスト構造の確立と体制整備を進めてまいります。
ハイドロリックコンポーネンツ事業(HC事業)では、市場競争力の強化が必要な「守り」の製品群であるシリンダおよび走行モータについて、徹底した原価低減を継続しつつ、生産拠点の集約等を含む再編の検討を進め、収益基盤の強化を図ってまいります。一方、「攻め」の観点では、AC事業のインド拠点を通じてインド市場での在庫販売を開始し、販売拡大に取り組んでまいります。あわせて、CTL(Compact Track Loader)やマイニング等の商品ラインナップ拡充ならびに新規顧客開拓を推進し、建機ショベルに次ぐ第二の成長の柱の育成を目指してまいります。
特装車両事業では、既存のミキサ車について改良を継続しつつ、EVミキサの市場投入に向けた開発を進めてまいります。また、環境配慮型の電子制御ミキサ車であるeミキサについては、将来のEVミキサにつなげる取り組みとして、拡販を推進してまいります。
3.新規事業創出
コア技術を起点とした独創的な新規事業機会の発掘および事業化を加速し、持続的な成長につながる新たな価値創造を推進するため、2026年4月に新事業イノベーション企画部を新設しました。長期ビジョンで掲げる熱マネジメント、スマートマシナリー、レジリエンス、計測ソリューション領域における事業化モデルの確立と実行を推進してまいります。計測ソリューション領域では、油状態診断システムの上市や、スマート道路モニタリングの行政機関向け有償サービス開始等を通じて顧客基盤の拡大を進めてまいります。さらに、社内外からのアイデア募集に加え、M&AやCVCの活用も通じ、顧客価値起点でスピード感のある事業創出を進めてまいります。
4.モノづくり革新
現場力とデジタル技術の融合により、生産性と品質の向上を図るとともに、環境および働く人の双方に配慮したモノづくりを推進してまいります。加工から組立まで連続した一貫生産をコンセプトに、生産工程革新による「運搬・在庫・作業・検査・管理」の極少化と、データ連携されたスマート工場の実現により、生産リードタイムの短縮に取り組みます。また、開発から生産準備に至るプロセスにおいては、デジタル技術活用に向けた検証を進め、設計情報と製造情報の連携を強化することで、エンジニアリングチェーンを起点とした開発リードタイム短縮を進めてまいります。環境負荷低減の観点では、2035年のCO₂排出量71%削減(2018年対比)の達成に向け、CO₂排出量削減ロードマップに基づく取り組みを推進するとともに、Scope3の削減目標達成に向けた活動を進めてまいります。
5.経営インフラ改革
当社を取り巻く環境は絶えず変化しており、意思決定の迅速化や業務の効率化のための経営管理の高度化が重要な課題と捉えています。基幹システムの刷新と高度化を進め、業務プロセスの標準化・効率化を推進してまいります。また、全社横断でのデータ活用基盤を整備することにより、データに基づく迅速な意思決定体制を構築し、経営の可視性向上および資本効率の向上につながる経営基盤の強化を図ってまいります。
<その他>当社は2025年4月24日に公正取引委員会から下請代金支払遅延等防止法(現:中小受託取引適正化法。以下、「下請法」)に基づく勧告(以下、「本勧告」)を受けました。当社は2025年5月12日開催の取締役会において、本勧告を受けた行為が下請法に違反するものであること、今後、自己のために経済上の利益を提供させることにより、下請事業者の利益を不当に害さないことを決議いたしました。また、当社は本勧告の対象となった下請事業者と個別に協議を行い、当事業年度内に必要な支払いを実施することにより、金銭的な回復措置を講じました。さらに、再発防止に向けた取り組みとして、下請法に関する法令教育を全社員に実施するとともに、社内規程・運用ルールの見直しを行いました。これらの改善措置および再発防止策を取りまとめ、2026年3月25日に公正取引委員会へ改善報告書を提出し、同委員会の承認を受けております。当社は本件を厳粛に受け止め、今後も法令遵守を最優先事項とし、お取引先との継続的かつ誠実なコミュニケーションを通じて、より一層信頼される企業を目指してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、3年間(2027年3月期~2029年3月期)の2026中期経営計画を策定しております。2026中期経営計画期間における2027年3月期および最終年度の2029年3月期の目標数値は以下のとおりです。
2026年3月期実績2027年3月期目標2029年3月期目標
売上高4,815億円4,890億円5,140億円
セグメント利益 (注)294億円200億円250億円
セグメント利益率6.1%4.1%4.9%
ROE12.2%6.6%8.1%

(注) セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出したもので、日本基準の営業利益に相当いたします。
当社グループは、資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、重要な経営指標の一つとしてROEを位置付け、その向上を目指して取り組みを進めております。収益力向上については、成長事業・製品への選択と集中により事業ポートフォリオ最適化として、AC事業では、OEM市場におけるグローバルプレゼンスの再強化に向け、高付加価値製品である高機能コンベンショナルタイプのショックアブソーバについて、四輪・二輪の既存のお客様への拡販に加え、新規のお客様の獲得に向けた受注活動を推進してまいります。HC事業では、市場競争力の強化が必要な「守り」の製品群であるシリンダおよび走行モータについて、徹底した原価低減を継続しつつ、生産拠点の集約等を含む再編の検討を進め、収益基盤の強化を図ってまいります。資本効率の向上および財務体質の強化については、政策保有株式の縮減、全社的な棚卸資産や固定資産の圧縮、ならびに自己株式の取得による株主還元の強化を実施してきました。配当性向30%以上を配当方針とし、今後も安定的・継続的な配当の実施を目指してまいります。また、当社グループは、中期経営計画の目標達成と企業価値向上に向け、引き続き資本効率の向上および収益力改善に向けた取り組みを加速させてまいります。

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