有価証券報告書-第96期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/22 13:00
【資料】
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【項目】
58項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、次に定める経営理念に基づき、ステークホルダーの発展を含めた社会への貢献を当社の使命とし、持続的かつ安定的な成長と企業価値の向上を目指しております。
<経営理念>「人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するKYBグループ」
1.高い目標に挑戦し、より活気あふれる企業風土を築きます。
2.優しさと誠実さを保ち、自然を愛し環境を大切にします。
3.常に独創性を追い求め、お客様・株主様・お取引先様・社会の発展に貢献します。
持続的な成長と企業価値向上の実現を通してステークホルダーの期待に応えるとともに、社会に貢献するという企業の社会的責任を果たすため、取締役会を中心に迅速かつ効率的な経営体制の構築ならびに公正性かつ透明性の高い経営監督機能の確立を追求し、次の基本方針に基づきコーポレートガバナンスの強化および充実に取り組むことを基本的な考え方としております。
<基本方針>1.当社は、株主の権利を尊重し、平等性を確保する。
2.当社は、株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それらステークホルダーとの適切な協働に努め
る。
3.当社は、法令に基づく開示はもとより、ステークホルダーにとって重要または有用な情報についても主体
的に開示する。
4.当社の取締役会は、株主受託者責任および説明責任を認識し、持続的かつ安定的な成長および企業価値の向上ならびに収益力および資本効率の改善のために、その役割および責務を適切に果たす。
5.当社は、株主との建設的な対話を促進し、当社の経営方針などに対する理解を得るとともに、当社への意
見を経営の改善に繋げるなど適切な対応に努める。
(2)経営環境
当社を取り巻く市場環境は、自動車市場はアジアやインドが牽引しゆるやかに上昇傾向、建機市場は中国を中心に需要が急回復し2018年も継続すると認識しております。
一方、グローバルでの法規制の強化と企業のESGに対する取り組みへの評価の高まり、更には、人口や社会変化による働き方の多様化とグローバル化や経済成長に伴う賃金上昇の加速、IoT、AI、自動運転などの技術進化の加速と異業種との連携や異業種自体の台頭など、急速な環境変化に対して柔軟なかつ耐性を持った経営基盤と収益基盤の構築に向けて、組織、製品、拠点などのあらゆる面において”抜本的構造改革の断行”が必要であります。
(3)事業上の対処すべき課題
① 「中期的経営戦略」による企業価値向上への取組み
当社の2017年度からの中期方針では、モノづくり、技術、製品に挑戦し、イノベーションを起こすことによってKYBの新しい価値を創造し、業界NO.1、企業価値の向上、持続的成長という次なるステージへの前進を目指します。
その基本方針は以下のとおりです。
(a) AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業
お客様のグローバル化に追従するとともに、生産・販売拠点の再構築に着手
お客様の要求を満足する新製品・新技術確立体制整備の実施
事業部制移行による意思決定、戦略実行のスピード向上を図る
(b) HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業
量に頼らない収益基盤の確立・競争力の強化
建設機械以外の油圧製品について営業/開発体制の強化
(c) 人財育成
グローバルな視点・思考で行動できる人財の育成・確保・多様性を活かした人財活用
(d) 技術・商品開発
「新製品・新技術の創造」「設計・生産技術における品質向上」「機能安全対応の展開及び設計・評価技術の
強化」
(e) モノづくり
リードタイム・スペースの半減・生産性2倍を目指した革新的生産ラインへの取り組み
(f) マネジメント
CSR本部を新設し、さらに実効性のある内部統制システムの充実を図る
② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
目標とする経営指標は、セグメント別売上高・セグメント利益・セグメント利益率とし、セグメント(事業別)管理を重視しています。これらの経営指標の改善結果として、自己資本利益率(ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本)の向上を図ってまいります。
(4)株式会社の支配に関する基本方針について
① 基本方針の内容
上場会社である当社の株式は株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模買付提案又はこれに類似する行為があった場合においても、一概に否定するものではなく、最終的には株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えます。
しかしながら、わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大規模買付提案又はこれに類似する行為を強行する動きが過去にみられたところであり、今後、当社に対しそのような行為が強行される可能性も否定できません。
当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社の企業理念、企業価値の様々な源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。従いまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社では、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させるための取組みとして、以下の施策を実施しております。これらの取組みは、上記①の会社の支配に関する基本方針の実現に資するものと考えております。
(a) 「中期的経営戦略」による企業価値向上への取組み
当社は、中期方針達成に向けて、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)事業上の対処すべき課題」に記載の基本方針に基づく重点方策を実施しております。
(b) コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針」に記載のとおり、経営理念に基づき、ステークホルダーの発展を含めた社会への貢献を当社の使命とし、持続的かつ安定的な成長と企業価値の向上を目指しております。
さらに、当社では以下の事項についても取り組んでおります。
(ⅰ) 役員と従業員が企業活動を遂行する上で遵守しなければならないルールとして「企業行動指針」を整備し、法令遵守と企業倫理の確立に努めております。当社および全グループ企業を対象に、企業リスクを迅速に把握する制度として、即報規則や目安箱による経営層への情報伝達手段を整備しております。さらに、公益通報者保護法の施行を受け、内部通報制度として専用の窓口を設置しております。
(ⅱ) 当社は監査役会設置会社制度を採用しております。当社取締役会は原則として1ヶ月に1回開催(監査役も毎回出席)し、取締役会規則に定められた詳細な付議事項について積極的な議論を行っております。また、監査役会は、監査役のうち2名を社外監査役とし、監査の透明性、公平性を確保しております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
企業価値ひいては株主共同の利益の中長期的な向上又は確保を目指す当社の経営にあたっては、幅広いノウハウと豊富な経験、並びに顧客、従業員および取引先等のステークホルダーとの間に築かれた関係等への十分な理解が不可欠です。これら当社の事業特性に関する十分な理解がなくては、株主の皆様が将来実現することのできる株主価値を適切に判断することはできません。突然大規模な買付行為がなされたときに、大規模な買付を行う者の提示する当社株式の取得対価が当社の企業価値ひいては株主共同の利益と比べて妥当か否かを、株主の皆様が短期間の内に適切に判断するためには、大規模な買付を行う者および当社取締役会の双方から必要かつ十分な情報が提供されることが不可欠であり、当社株式をそのまま継続保有することを考える株主の皆様にとっても、大規模な買付を行う者が考える当社の経営に参画したときの経営方針や事業計画の内容等は、その継続保有を検討するうえで重要な判断材料であります。同様に、当社取締役会が当該大規模な買付行為についてどのような意見を有しているのかも、株主の皆様にとっては重要な判断材料となると考えます。
これらを考慮し、「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」を2016年6月24日開催の第94期定時株主総会において株主の皆様のご承認を賜り継続しております。これにより、大規模な買付行為に際しては、大規模な買付を行う者から事前に情報が提供され、当社取締役会は、かかる情報が提供された後、大規模な買付行為に対する当社取締役会としての意見を、必要に応じて独立した外部専門家(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家)の助言を受けながら慎重に検討したうえで公表いたします。さらに、当社取締役会は、必要と認めれば、大規模買付提案の条件の改善交渉や株主の皆様に対する代替案の提示も行います。かかるプロセスを経ることにより、株主の皆様は当社取締役会の意見を参考にしつつ、大規模な買付を行う者の提案と当社取締役会から代替案が提示された場合にはその代替案を検討することが可能となり、最終的な判断を決定するために必要な情報と機会を与えられることとなります。
当社は、この買収防衛策の詳細を2016年5月17日付で「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)の継続について」として公表いたしました。この適示開示文書の全文はインターネット上の当社ウェブサイト(アドレスhttps://www.kyb.co.jp)に掲載しております。
④ 上記②③の取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由
上記②の取組みは、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
また、上記③の取組みにつきましても、多数の投資家の皆様に長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして実施しております。これは、以下の諸点に照らして、上記①の基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致するものであって、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(a) 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
当社買収防衛策は、経済産業省および法務省が2005年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足しています。
また、経済産業省に設置された企業価値研究会が2008年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」および東京証券取引所が2015年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっております。
(b) 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること
当社買収防衛策は、当社株式に対する大規模な買付行為がなされた際に、当該大規模な買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保し、株主の皆様のために買付者等と交渉を行うこと等を可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。
(c) 独立性の高い社外役員の判断の重視と情報開示
当社買収防衛策における対抗措置の発動等の運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い、社外取締役および社外監査役のみから構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように当社買収防衛策の透明な運営が行われる仕組みが確保されています。
(d) 株主意思を重視するものであること
当社買収防衛策は、2016年6月24日開催の第94期定時株主総会でのご承認により継続したものであり、株主の皆様のご意向が反映されております。
また、当社買収防衛策は、有効期間の満了前であっても、株主総会において、当社買収防衛策の変更又は廃止の決議がなされた場合には、その時点で変更又は廃止されることになり、株主の合理的意思に依拠したものとなっております。
(e) デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
当社買収防衛策は、当社の株主総会で選任された取締役で構成される当社取締役会により廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される当社取締役会により、当社買収防衛策を廃止することが可能です。従って、当社買収防衛策は、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。また、当社は期差任期制を採用していないため、当社買収防衛策はスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。